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公開番号
2024125894
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-19
出願番号
2023034016
出願日
2023-03-06
発明の名称
自己形成光導波路の製造方法
出願人
国立大学法人宇都宮大学
,
Orbray株式会社
代理人
弁理士法人特許事務所サイクス
主分類
G02B
6/138 20060101AFI20240911BHJP(光学)
要約
【課題】自己形成光導波路の新たな製造方法を提供すること。
【解決手段】光硬化性樹脂と複数本のコアを備えるマルチコアファイバを2つ用意することを含み、光硬化性樹脂は、重合及び硬化して屈折率naを有するコア部形成用樹脂と、重合及び硬化し、硬化後の屈折率nbがnb<naであるクラッド部形成用樹脂とを含み、2つのマルチコアファイバを互いに対向配置すると共に、マルチコアファイバの間に光硬化性樹脂を配置すること、コア部形成用樹脂のみの重合が可能な強度の光を2つのマルチコアファイバのコアから光硬化性樹脂に入射し、コア部形成用樹脂の重合及び硬化を発生させて光硬化性樹脂内に光導波路のコア部を形成すること、次にクラッド部を形成して、光硬化性樹脂内に複数本の光導波路を自己形成すること、を更に含み、光のコアからの入射は、隣り合うコアを除く2本以上のコアから光を同時に入射することを含む、自己形成光導波路の製造方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
光硬化性樹脂と複数本のコアを備えるマルチコアファイバを2つ用意することを含み、
前記光硬化性樹脂は、所定の波長帯域の光が入射されて重合及び硬化して屈折率naを有するコア部形成用樹脂と、前記コア部形成用樹脂に入射する光の強度以上の光が入射されて重合及び硬化し、硬化後の屈折率nbが前記nb<前記naであるクラッド部形成用樹脂とを含み、
2つの前記マルチコアファイバを互いに対向配置すると共に、前記マルチコアファイバの間に前記光硬化性樹脂を配置すること、
前記コア部形成用樹脂のみの前記重合が可能な強度の光を2つの前記マルチコアファイバの前記コアから前記光硬化性樹脂に入射し、前記コア部形成用樹脂の前記重合及び前記硬化を発生させて前記光硬化性樹脂内に光導波路のコア部を形成すること、
次にクラッド部を形成して、前記光硬化性樹脂内に前記複数本の光導波路を自己形成すること、
を更に含み、
前記光の前記コアからの入射は、隣り合うコアを除く2本以上のコアから前記光を同時に入射することを含む、自己形成光導波路の製造方法。
続きを表示(約 490 文字)
【請求項2】
前記2つのマルチコアファイバのそれぞれにおいて、コアの本数は7本であり、
前記7本のコアのうち、1本のコアはマルチコアファイバの中央に配置され、6本のコアはマルチコアファイバの中央を中心とする円の円周上で等角度且つ等間隔に配置されている、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記光の前記コアからの入射は、
前記円周上の6本のコアのうち、隣り合わない3本のコアからの前記光の同時入射、
前記円周上の6本のコアのうち、残り3本のコアからの前記光の同時入射、
マルチコアファイバの中央に配置された1本のコアからの前記光の入射、
を任意の順序で行うことを含む、請求項2に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記円周上の6本のコアのうち、隣り合わない3本のコアからの前記光の同時入射および残り3本のコアからの前記光の同時入射を行った後、マルチコアファイバの中央に配置された1本のコアからの前記光の入射を行う、請求項3に記載の自己形成光導波路の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己形成光導波路の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
光技術を利用した光通信、光情報処理、電子機器、或いは光学機器等の分野が進展しており、各種光デバイス間に於ける光導波路の開発が課題となっている。各種光デバイスは光ファイバ等の光導波路によって光学的に接続されるが、その接続には極めて高い位置精度が要求される。従来このような接続作業は、手作業若しくは高精度な調芯設備により行われている為、接続コストが上がってしまうという問題があった。
【0003】
そこでこのような問題を解決する為、自己形成光導波路が開発されている。この光導波路は、光硬化性樹脂から光導波路のコアを自己形成した光導波路である。光ファイバ等の端部を光硬化性樹脂に浸漬し、その光ファイバ等から光硬化性樹脂に光を入射して光硬化性樹脂を徐々に硬化させることで、光ファイバ等の端部に自己形成光導波路を形成する。
【0004】
このような自己形成光導波路として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1に依れば光コネクタが、少なくともフェルールと、n本(n:0を含まない自然数)の自己形成光導波路を備える。フェルールは、n本の光ファイバ挿入孔を備え、各光ファイバ挿入孔に光ファイバが挿入されている。
【0005】
更に、光導波路の形成後120秒間放置し、コアとクラッドとの境界面でのモノマーの相互拡散を促し、その後UV照射でクラッドを形成している。光硬化性樹脂のうち、コア領域中では一方のモノマーのみが消費されて重合するので、コアとクラッドとの境界面ではモノマーの濃度勾配が生じて相互拡散が進行し、クラッドの機能を果たす。また、光硬化性樹脂全体をUV照射することで、コア及びクラッド全体が硬化形成されて、光導波路が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/209364号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自己形成光導波路の新たな製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1のように複数の自己形成光導波路を形成しようとすると、各光ファイバのコアから、同時に光を光硬化性樹脂内部に照射した場合、隣り合うコア同士の光照射で形成される、それぞれの自己形成光導波路が互いに結合して形成され、結合不良を招くおそれが有った。
これに対し、複数のコアを有する光ファイバについて、1つのコアからの光入射時に他のコアからの光入射を行わずに各コアから順次光を入射すれば、上記の結合不良を防止することはできる。しかし、そのように自己形成光導波路を製造すると、コアの本数が増えるほど光照射に要する時間が長くなり、自己形成光導波路の製造時間は長くなってしまう。
そこで本発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、隣り合うコアを避けると共に2本以上のコアからの光入射を同時に行うことによって、結合不良を防止しつつ製造時間の短縮が可能になることを新たに見出した。
【0009】
本発明によれば、以下に記載の自己形成光導波路の製造方法が提供される。
[1]光硬化性樹脂と複数本のコアを備えるマルチコアファイバを2つ用意することを含み、
上記光硬化性樹脂は、所定の波長帯域の光が入射されて重合及び硬化して屈折率naを有するコア部形成用樹脂と、上記コア部形成用樹脂に入射する光の強度以上の光が入射されて重合及び硬化し、硬化後の屈折率nbが上記nb<上記naであるクラッド部形成用樹脂とを含み、
2つの上記マルチコアファイバを互いに対向配置すると共に、上記マルチコアファイバの間に上記光硬化性樹脂を配置すること、
上記コア部形成用樹脂のみの上記重合が可能な強度の光を2つの上記マルチコアファイバの上記コアから上記光硬化性樹脂に入射し、上記コア部形成用樹脂の上記重合及び上記硬化を発生させて上記光硬化性樹脂内に光導波路のコア部を形成すること、
次にクラッド部を形成して、上記光硬化性樹脂内に上記複数本の光導波路を自己形成すること、
を更に含み、
上記光の上記コアからの入射は、隣り合うコアを除く2本以上のコアから上記光を同時に入射することを含む、自己形成光導波路の製造方法。
[2]上記2つのマルチコアファイバのそれぞれにおいて、コアの本数は7本であり、
上記7本のコアのうち、1本のコアはマルチコアファイバの中央に配置され、6本のコアはマルチコアファイバの中央を中心とする円の円周上で等角度且つ等間隔に配置されている、[1]に記載の自己形成光導波路の製造方法。
[3]上記光の上記コアからの入射は、
上記円周上の6本のコアのうち、隣り合わない3本のコアからの上記光の同時入射、
上記円周上の6本のコアのうち、残り3本のコアからの上記光の同時入射、
マルチコアファイバの中央に配置された1本のコアからの上記光の入射、
を任意の順序で行うことを含む、[2]に記載の自己形成光導波路の製造方法。
[4]上記円周上の6本のコアのうち、隣り合わない3本のコアからの上記光の同時入射および残り3本のコアからの上記光の同時入射を行った後、マルチコアファイバの中央に配置された1本のコアからの上記光の入射を行う、[3]に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る自己形成光導波路の製造方法に依れば、結合不良の防止と製造時間の短縮とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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