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公開番号2024124773
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032674
出願日2023-03-03
発明の名称ニッケル粉末
出願人ノリタケ株式会社
代理人個人,個人
主分類B22F 1/102 20220101AFI20240906BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】Ni粒子の平均粒子径が150nm以下であるにもかかわらず、電極ペースト調製時に優れた分散性を発揮できるニッケル粉末を実現する。
【解決手段】ここに開示されるニッケル粉末は、Ni粒子を主体とする。かかるニッケル粉末のNi粒子は、FE-SEM観察に基づいた平均粒子径が150nm以下であり、かつ、粒子表面に表面改質剤が付着している。そして、表面改質剤は、炭素数8以上18以下の脂肪族モノアミンと、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリアミン化合物とを含む。かかる構成のニッケル粉末は、電極ペースト調製時に、ペースト粘度の増大を抑制しつつ、優れた分散性を発揮できる。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
Ni粒子を主体とするニッケル粉末であって、
前記Ni粒子は、FE-SEM観察に基づいた平均粒子径が150nm以下であり、かつ、粒子表面に表面改質剤が付着しており、
前記表面改質剤は、
炭素数8以上18以下の脂肪族モノアミンと、
酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリアミン化合物と
を含む、ニッケル粉末。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記脂肪族モノアミンは、オレイルアミン、オクチルアミン、ヘキシルアミンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載のニッケル粉末。
【請求項3】
前記ポリアミン化合物は、主鎖にアミノ基とカルボキシ基とが存在する鎖状アミン化合物である、請求項1に記載のニッケル粉末。
【請求項4】
前記鎖状アミン化合物は、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項3に記載のニッケル粉末。
【請求項5】
前記Ni粒子に対する前記表面改質剤の重量比が0.5質量%以上7.0質量%以下である、請求項1に記載のニッケル粉末。
【請求項6】
前記脂肪族モノアミンに対する前記ポリアミン化合物の重量比が10質量%以上120質量%以下である、請求項1に記載のニッケル粉末。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、ニッケル粉末に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの電子部品の電極は、例えば、ニッケル粉末を含む電極ペーストを焼成することで形成される。近年では、電極ペーストやMLCCの性能改善を目的として、ニッケル粉末中のNi粒子に表面改質剤を付着させる技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のNi粒子の表面は、有機ケイ素化合物、カップリング剤又は界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上の表面改質剤によって被覆されている。そして、特許文献1に記載のNi粒子は、これらの表面改質剤を介して誘電体物質(BaTiO

など)と付着している。また、特許文献2に記載のNi粒子の表面は、燐酸系、亜燐酸系、又は次亜燐酸系化合物で修飾されている。これらの特許文献に記載の表面改質剤によると、焼成中のニッケル粉末の熱収縮特性を、他の部品(基板や誘電体層など)の熱収縮特性に近似させることができるため、デラミネーションやクラックなどの構造的欠陥を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許4492785号
特許3155948号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、電極形成用のニッケル粉末の微小化が試みられている。例えば、平均粒子径が150nm以下のNi粒子を含むニッケル粉末を用いると、焼成後の電極の膜厚が大幅に薄くなるため、電子部品の小型化に大きく貢献できる。しかしながら、平均粒子径が150nm以下のNi粒子は、表面積が大きいため、電極ペースト調製時の分散性が低くなる傾向がある。そして、凝集によって粗大な二次粒子が生じると、焼成後の電極の表面平滑性が低下する可能性がある。
【0006】
ここに開示される技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、Ni粒子の平均粒子径が150nm以下であるにもかかわらず、電極ペースト調製時に優れた分散性を発揮できるニッケル粉末を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、ここに開示される技術によって、以下の構成のニッケル粉末が提供される。
【0008】
ここに開示されるニッケル粉末は、Ni粒子を主体とする。かかるニッケル粉末のNi粒子は、FE-SEM観察に基づいた平均粒子径が150nm以下であり、かつ、粒子表面に表面改質剤が付着している。そして、表面改質剤は、炭素数8以上18以下の脂肪族モノアミンと、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリアミン化合物とを含む。
【0009】
ここに開示されるニッケル粉末の表面改質剤は、所定範囲の酸価とアミン価を有するポリアミン化合物を含む。かかるポリアミン化合物は、アミン価を有する官能基が十分に存在しているため、配位結合によってNi粒子の表面の酸点に強固に付着する。さらに、このポリアミン化合物は、酸価を有する官能基も十分に存在しているため、Ni粒子の表面の塩基点にも付着し、脱離しにくくなる。このため、上記構成のポリアミン化合物は、Ni粒子の表面に好適に付着し、電極ペースト調製時の分散性を好適に改善できる。一方で、この種のポリアミン化合物がNi粒子に過剰に付着すると、電極ペースト調製時に粘度が増大する可能性がある。この場合には、基材等に電極ペーストを薄く塗布することが難しくなる。これに対して、ここに開示される技術では、上記ポリアミン化合物の他に、炭素数8以上18以下の脂肪族モノアミンをNi粒子に付着させている。この脂肪族モノアミンがNi粒子の表面の一部を占有することによって、ポリアミン化合物の過剰な付着による粘度増大を抑制できる。加えて、ここに開示される技術では、上記構成のポリアミン化合物と脂肪族モノアミンを、分散剤として電極ペーストに添加するのではなく、表面改質剤としてNi粒子の表面に予め付着させる。これによって、各々の表面改質剤が効率的にNi粒子に付着して立体障害効果を発揮するため、ニッケル粉末の分散性を顕著に改善できる。以上の通り、ここに開示されるニッケル粉末は、Ni粒子の平均粒子径が150nm以下であっても、電極ペースト調製時に優れた分散性を発揮できる。
【0010】
ここに開示されるニッケル粉末の一態様では、脂肪族モノアミンは、オレイルアミン、、テトラデシルアミン、ドデシルアミン、オクチルアミンからなる群から選択される少なくとも一種を含む。これによって、ポリアミン化合物の付着によるペースト粘度の増大をより好適に抑制できる。
(【0011】以降は省略されています)

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