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公開番号2024124734
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032617
出願日2023-03-03
発明の名称エチレン及び/又はプロピレンの製造方法並びに製造装置
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C07C 4/10 20060101AFI20240906BHJP(有機化学)
要約【課題】幅広い原料油、とりわけ含酸素化合物を含む原料油に対応しつつ、品質の高いエチレン及びプロピレンを安定的にかつ安価に提供する。
【解決手段】少なくとも、原料油の熱分解工程、クエンチ工程、圧縮工程及び酸性成分除去工程を順に備え、前記酸性成分除去工程が、酸性成分を除去用溶液に吸収させる吸収工程及び前記酸性成分を吸収させた除去用溶液より酸性成分を除去して再生する再生工程を有する工程であり、前記原料油として含酸素化合物の含有量が50質量ppm超である原料油を用い、前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/L以下となるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する、エチレン及び/又はプロピレンの製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも、原料油の熱分解工程、クエンチ工程、圧縮工程及び酸性成分除去工程を順に備え、
前記酸性成分除去工程が、酸性成分を除去用溶液に吸収させる吸収工程及び前記酸性成分を吸収させた除去用溶液より酸性成分を除去して再生する再生工程を有する工程であり、
前記原料油として含酸素化合物の含有量が50質量ppm超である原料油を用い、
前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/L以下となるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する、
エチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/Lを超過したところで、前記メタノール濃度が300mg/Lとなるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する請求項1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項3】
前記クエンチ工程において、前記熱分解工程から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、新たにクエンチ水を供給する請求項1又は2に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項4】
前記クエンチ工程において、前記熱分解工程から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、前記原料油の熱分解工程において新たに水蒸気を供給する請求項1~3のいずれか1項に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項5】
前記原料油が、含酸素化合物の含有量が50質量ppm以上のナフサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項6】
前記原料油が、更にバイオオイルを含む請求項5に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項7】
前記酸性成分が、二酸化炭素及び硫化水素から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1~6のいずれか1項に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項8】
前記除去用溶液が、アミン水溶液である請求項1~7のいずれか1項に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【請求項9】
少なくとも、原料油の熱分解設備、クエンチ設備、圧縮設備及び酸性成分除去設備を備え、
前記酸性成分除去設備が、酸性成分を除去用溶液に吸収させる吸収設備及び前記酸性成分を吸収させた除去用溶液より酸性成分を除去して再生する再生設備を有し、かつ前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/L以下となるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する除去用溶液調節設備を有する、
エチレン及び/又はプロピレンの製造装置。
【請求項10】
前記クエンチ設備が、前記熱分解設備から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、新たにクエンチ水を供給するクエンチ水調節設備を有する請求項9に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン及び/又はプロピレンの製造方法並びに製造装置に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
エチレンの製造装置では、原料としてナフサ等の炭化水素油が汎用され、炭化水素油の熱分解により、メタン、エタン、エチレン、プロピレン等の分解ガスとした後、分解ガスを冷却するクエンチ工程、冷却後の分解ガスを昇圧する圧縮工程、分解ガスに含まれる酸性成分(例えば、二酸化炭素、硫化水素等)を除去する酸性成分除去工程等を経て、エチレン及びプロピレンが製造される(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-172887号公報
【非特許文献】
【0004】
日本知能情報ファジィ学会 第25回ファジィシステムシンポジウム講演論文集、25.0.125.0、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原料油となるナフサ等の炭化水素油には、例えばメタノール、エタノール、アセトン、ブタノール、メチルエチルケトン、メチル-tert-ブチルエーテル等のアルコール、エーテル、ケトンといった含酸素化合物が含まれる場合がある。そして、含酸素化合物を、例えば50質量ppm以上と多く含有する原料油を用いた場合、含酸素化合物としてメタノールが含まれる場合は当該メタノール、また含酸素化合物としてメタノール以外の化合物が含まれる場合は、熱分解炉における反応により生成するメタノールが分解ガスに含まれる。そして、分解ガスに含まれるメタノールに起因して、プロピレン中のメタノール濃度の向上が顕著となり、品質低下につながることとなる。そのため、エチレンの製造に際して用いられる原料油としては、含酸素化合物の濃度が低いものを使用することが肝要である。
【0006】
このように、高濃度の含酸素化合物を含有する原料油は、特にプロピレンの品質低下につながることから、基本的に使用不可とすべきである。しかし近年、50質量ppmを超える高濃度の含酸素化合物を含有する原料油が供給されることが増える傾向にあり、使用不可とした場合、調達コストの増加、さらには原料油の安定調達に支障がでることが懸念されるようになっている。そのため、高濃度の含酸素化合物を含有する原料油を使用しても、プロピレンの品質低下を招くことなく、品質の高いエチレン及びプロピレンを製造する方法の開発が喫緊の課題となっている。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、幅広い原料油、とりわけ含酸素化合物を含む原料油に対応しつつ、品質の高いエチレン及びプロピレンを安定的にかつ安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討の結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の構成を有するエチレン及び/又はプロピレンの製造方法並びに製造装置を提供するものである。
【0009】
[1]少なくとも、原料油の熱分解工程、クエンチ工程、圧縮工程及び酸性成分除去工程を順に備え、
前記酸性成分除去工程が、酸性成分を除去用溶液に吸収させる吸収工程及び前記酸性成分を吸収させた除去用溶液より酸性成分を除去して再生する再生工程を有する工程であり、
前記原料油として含酸素化合物の含有量が50質量ppm超である原料油を用い、
前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/L以下となるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する、
エチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[2]前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/Lを超過したところで、前記メタノール濃度が300mg/Lとなるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する上記[1]に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[3]前記クエンチ工程において、前記熱分解工程から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、新たにクエンチ水を供給する上記[1]又は[2]に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[4]前記クエンチ工程において、前記熱分解工程から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、前記原料油の熱分解工程において新たに水蒸気を供給する上記[1]~[3]のいずれか1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[5]前記原料油が、含酸素化合物の含有量が50質量ppm以上のナフサを含む、上記[1]~[4]のいずれか1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[6]前記原料油が、更にバイオオイルを含む上記[5]に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[7]前記酸性成分が、二酸化炭素及び硫化水素から選ばれる少なくとも一種を含む上記[1]~[6]のいずれか1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[8]前記除去用溶液が、アミン水溶液である上記[1]~[7]のいずれか1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
【0010】
[9]少なくとも、原料油の熱分解設備、クエンチ設備、圧縮設備及び酸性成分除去設備を備え、
前記酸性成分除去設備が、酸性成分を除去用溶液に吸収させる吸収設備及び前記酸性成分を吸収させた除去用溶液より酸性成分を除去して再生する再生設備を有し、かつ前記酸性成分を吸収させた除去用溶液中のメタノール濃度が300mg/L以下となるように、前記除去用溶液の少なくとも一部を廃棄し、新たに除去用溶液を供給する除去用溶液調節設備を有する、
エチレン及び/又はプロピレンの製造装置。
[10]前記クエンチ設備が、前記熱分解設備から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、前記クエンチ水の少なくとも一部を廃棄し、新たにクエンチ水を供給するクエンチ水調節設備を有する上記[9]に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造装置。
[11]前記原料油の熱分解設備が、前記熱分解設備から供給された分解ガスのクエンチに用いたクエンチ水に含まれるメタノール濃度が90mg/L以下となるように、水蒸気を供給する水蒸気調節設備を有する上記[9]又は[10]に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造方法。
[12]前記除去用溶液が、アミン溶液である上記[9]~[11]のいずれか1に記載のエチレン及び/又はプロピレンの製造装置。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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