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公開番号2024120801
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027861
出願日2023-02-26
発明の名称バウムクーヘン焼成機
出願人株式会社 不二商会
代理人個人
主分類A21B 5/04 20060101AFI20240829BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約
【課題】 生地皿が暴露する熱を制御し、さらに作業員の作業環境を改善でき、バウムクーヘン焼成機の全自動化を実現して、省力化できる新しいバウムクーヘン焼成機を提供する。
【解決手段】 焼成炉110と熱源120と回転ドラム130と、架棒体200を第1の公転間欠停止位置から第6の公転間欠停止位置まで順に公転移動させる公転運動と架棒体200の自転運動を制御する駆動機構140と、駆動機構140の間欠的な公転運動と同期して公転運動軌跡を遮断するよう進退作動する蓋160および生地トレイ昇降装置180を備えた構成において、蓋160を第1の公転間欠停止位置とその直前にある公転間欠停止位置の間に設け、蓋開閉機構170の制御により蓋160の開閉運動がバウムクーヘンの焼成プロセスと連動するよう制御する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
熱源が搭載された焼成炉と、
回転ドラム軸によって回転可能に支架された向かい合う左右一対の回転ドラムと、
前記回転ドラム間へ横架される架棒体と、
前記回転ドラムによる間欠回転により前記架棒体の位置を、前記焼成炉の開口内の下側付近に設けられた第1の公転間欠停止位置から、前記焼成炉の開口内の上側付近に設けられた第2の公転間欠停止位置、さらに後続の複数の公転間欠停止位置を経て前記第1の公転間欠停止位置まで順に公転移動させて周回する公転運動と、前記回転ドラムに支架された状態で前記架棒体を自転させる自転運動とを制御する駆動機構と、
前記第1の公転間欠停止位置にある前記架棒体に生地を塗布するための生地トレイと、
前記生地トレイの昇降運動を可能とする生地トレイ昇降装置を備え、
前記駆動機構による前記公転運動の間欠運動の停止期間において、前記第1の公転間欠停止位置にある前記架棒体に生地を塗布する生地塗布期間と、それ以外の非生地塗布期間があり、
前記生地トレイ昇降装置が、前記生地塗布期間において前記生地トレイが前記架棒体に生地を塗布する高さまで前記生地トレイを上昇させ、前記非生地塗布期間において前記生地トレイが前記架棒体に生地を塗布する高さから下方に前記生地トレイを下降させ、
前記生地トレイが、その上面開口を開閉する蓋と、前記上面開口に対する前記蓋の開閉運動を行う蓋開閉機構を備え、当該蓋開閉機構による前記蓋の前記開閉運動がバウムクーヘンの焼成プロセスと連動するよう制御されていることを特徴とするバウムクーヘン焼成機。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記蓋開閉機構により、前記生地トレイが前記生地塗布期間中にあるときは、前記蓋を全面開放状態または少なくとも前記架棒体への前記生地の塗布を可能となる範囲で開放状態とし、前記生地トレイが前記非生地塗布期間中にあるときは、前記蓋を全面閉鎖状態となるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項3】
前記蓋開閉機構が、前記生地塗布期間が終了し、前記非生地塗布期間が始まった後、前記架棒体に塗布された前記生地の成型操作が完了するまで前記蓋を開放しておくことを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項4】
前記蓋開閉機構が、前記生地トレイの上昇運動に連動して、上昇前、上昇中、または上昇後に前記蓋を開放し、前記生地トレイの下降運動に連動して、下降前、下降中、または下降後に前記蓋を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項5】
前記蓋が前記生地トレイ内の生地を撹拌する撹拌子を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項6】
前記撹拌子が前記蓋裏に立設された板状体であり、
前記蓋開閉機構の前記蓋の開閉運動に伴って前記撹拌子により前記生地トレイ内の生地が撹拌されることを特徴とする請求項5に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項7】
前記撹拌子が前記蓋裏に設けられた回転はね装置であり、少なくとも前記蓋の閉鎖状態において、前記回転はね装置が前記生地トレイの生地を撹拌するものである請求項5に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項8】
前記蓋が前記生地トレイの前記上面開口に対してスライドシャッターであり、
前記蓋開閉機構が前記スライドシャッターのスライド運動を制御するアクチュエータを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項9】
前記蓋が前記生地トレイの前記上面開口に対してスライドシャッターと前記スライドシャッターの取っ手を備えたものであり、
前記蓋開閉機構が前記バウムクーヘン焼成機の稼働を支援するロボットアームであり、
前記ロボットアームが、前記蓋の前記取っ手を操作して前記スライドシャッターのスライド運動を制御することを特徴とする請求項8に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項10】
前記ロボットアームが、前記バウムクーヘン焼成機の前記焼成炉の前記駆動機構に対する前記架棒体の懸架操作、および、前記架棒体の取り出し操作を支援するものである請求項9に記載のバウムクーヘン焼成機。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生地を用いて焼成するバウムクーヘン焼成機に関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来のバウムクーヘン焼成機は、例えば、実公昭46-4878号公報や、特公平7-24532号公報などに開示されているように、焼成炉の内部へ間欠回転可能に軸架された向かい合う左右一対の円形ドラムと、その両円形ドラムの左右相互間へ着脱自在に介挿使用される水平な麺棒とを備え、その麺棒が最下段位置へ到達した一旦停止時に、生地皿から生地を巻き付け状態に塗布されて、上記焼成炉の内部において自転しながら公転する運動中に、その生地を焼成する。このようなサイクルを繰り返すことにより、上記生地が樹木の年輪状に積層されたバウムクーヘンを製造するものが基本構造であった。
【0003】
図19は、自転運動と公転運動により回転ドラムに横架した麺棒に生地を塗布しながら焼成する一般的なバウムクーヘン焼成機の基本構造を示す図である。
一般的なバウムクーヘン焼成機では、公転軌道に沿って間欠的に周回する運動において、6か所の停止場所がある。図19において、それぞれの停止位置をP1からP6とする。それぞれの停止位置P1からP6ではバウムクーヘン焼成プロセスにおいて担っている役割としては以下の通りである。
【0004】
バウムクーヘンの焼成プロセスにおいて、P1は作業員による生地づけ、P2は作業員による生地成型、P3は蒸らし焼成、P4は本焼成、P5は色付け焼成、P6は整え準備である。
このうち、加熱焼成できる生地焼成ゾーンにある停止位置はP3からP6までの4か所である。特に、炉の構造上、P4の本焼成、P5の色付け焼成の2か所がメインとなっている。
バウムクーヘン焼成機は、その構造上、回転ドラムに横架している棒を生地に浸漬する段階と、浸漬して棒の周囲に付いた生地を自転させながら焼成する焼成段階とを交互にしながら焼成してゆくが、一般には生地の焼成を15層から30層程度を重ねるものが多い。
【0005】
実公昭46-4878号公報
特公平7-24532号公報
特許第3686671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の課題は、バウムクーヘン焼成機の焼成炉前面に配置される生地皿の表面付近の生地が焼成炉の熱に暴露されてしまうことである。
上記した特許文献1や特許文献2の従来の旧型のバウムクーヘン焼成機であれば、焼成炉の入口が上記開放されており、生地皿が常に熱に暴露した状態であった。そのため、生地皿表面付近の生地が焼成炉の熱で加熱されて蓄熱してゆき、均一な品質の焼成状態のバウムクーヘンを得ることができないという問題があった。
【0007】
従来技術において、生地皿への蓄熱を有効に防止する従来のバウムクーヘン焼成機として、特許文献3に記載したバウムクーヘン焼成機がある。
この特許文献3の従来のバウムクーヘン焼成機は、本願出願人が過去に特許出願し、すでに特許権を取得済みものである。
特許文献3の従来のバウムクーヘン焼成機は、焼成プロセスのうち、P2とP3との間、P6とP1との間に仕切板を設け、焼成プロセスの進行に伴ってこれら仕切板を開閉することで、焼成炉の入口が一時的に閉鎖されており、生地皿が熱に暴露した状態となる時間を短縮させていた。
図20は、特許文献3にかかる従来技術における特許第3686671号公報のバウムクーヘン焼成機の基本構造を示す図である。図20において、焼成炉Bを生地皿72が存在する入口側の生地塗布ゾーンZ1と、加熱源のガスバーナー8、9が存在する内奥側の生地焼成ゾーンZ2に仕切って区分できる第1仕切りシャッター43および第2仕切り回転シャッター45を設置すると共に、その第1仕切りシャッター43および第2仕切り回転シャッター45を回転ドラム14の間欠的な回転駆動と同期して、麺棒16の公転運動軌跡Rを遮断する如く進退作動させることにより、その回転ドラム14の一旦停止中には上記生地焼成ゾーンZ2を密閉して、ここからの放熱を防止する一方、上記回転ドラム14の回転時には同じく生地焼成ゾーンZ2を生地塗布ゾーンZ1との連通状態に開放するように定めたものとなっている。蓋43は焼成機の下方空間に余裕があるので上下昇降式の稼働で良いが、第2の仕切り回転シャッター45は焼成機の前面空間は作業員の作業空間であり余裕がないので、回転シャッター式となっている。
【0008】
しかし、バウムクーヘンの焼成時間は長いうえ、生地皿の配置位置は焼成炉に近く温度が高いため、生地皿表面付近の生地には蓄熱が進んでゆくので改善する余地があった。
つまり、バウムクーヘンの焼成時間は、上記したように、バウムクーヘンの焼成プロセスにおいて、P1生地づけ、P2生地成型、P3蒸らし焼成、P4本焼成、P5色付け焼成、P6整え準備の6プロセスがあり、この6プロセスでバウムクーヘン焼成機の炉内を1周する公転運動を1サイクルとなっており、そのサイクルを繰り返しながら生地を焼成し、このサイクルを15サイクルから30サイクル繰り返して15層から30層からなるバウムクーヘンを焼成するため、1本のバウムクーヘンを焼成するためには、長い焼成時間が必要である。
また、生地皿が暴露する熱は、従来のバウムクーヘン焼成機の構造上、生地皿の配置位置は焼成炉に近く位置せざるを得ず、やはり温度が高い。
このように、相当の時間にわたって、温度が高いエリアに生地皿が配置され、かつ、間欠動作ごとに仕切板が開閉して一時的であれ、数秒から十数秒間にわたって生地皿が焼成炉内の熱に暴露する状態となってしまう。生地皿表面付近の生地には蓄熱が進んでゆき、均一な品質の焼成状態のバウムクーヘンを得るためには改善する余地があった。
【0009】
ここで、本発明者は、生地皿にかかる熱を効率的に制御し、また、生地皿内の生地の蓄熱状態を効率的に分散化させるように改良できればバウムクーヘンの生地の状態を改善でき、バウムクーヘンの焼き上がりを改善できる可能性があることに気付いた。
【0010】
第2の課題は、焼成作業における省力化である。
バウムクーヘン焼成機は自動運転機であるが、バウムクーヘンの焼成を進めるため、運転中に作業員が必要であり、一部の成型作業を担っている。上記のバウムクーヘンの焼成プロセスにおいて、バウムクーヘン焼成機の正面にある開放空間である生地塗布ゾーンZ1の前に立ち、P1の生地づけ、P2の生地成型の操作を介助する必要がある。P1の生地づけプロセスでは生地トレイにおける生地の深さが重要であり、生地の供給をこまめに行う必要がある。また、P2の生地成型プロセスは、生地トレイから上昇した架棒体の生地の状態を確認し、バウムクーヘンの表面に生地づけされた状態をヘラなどで成型する必要がある。このP2の生地成型プロセスは自然で綺麗に焼き上がりに仕上げるためには自動化が難しく、作業員が介在した方が焼き上がりの品質が良い。
しかし、焼成機を操作する製造作業員の立ち位置は、バウムクーヘン焼成機の正面にある開放空間である生地塗布ゾーンZ1の前であり、高温で稼働している炉の開放された部分であるので遮熱することが難しく、放熱が大きくならざるを得ない。焼成機を操作する製造作業員の耐火温度にも限界があり、作業空間の改善が必要となっていた。
ここで、本発明者は、完全全自動のバウムクーヘン焼成機を実現し、作業員の作業環境を改善できる可能性があることに気付いた。
(【0011】以降は省略されています)

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