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公開番号2024173510
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023091981
出願日2023-06-02
発明の名称製パン用改質剤
出願人日油株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類A21D 2/14 20060101AFI20241205BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】本発明の課題は、もっちり感と歯切れが向上した、風味良好なパンが得られる製パン用改質剤を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、ルテインを含有することを特徴とする、製パン用改質剤を提供する。また、上記課題を解決するために、グルテン及び上記製パン用改質剤を含み、ルテインの含有量が、前記グルテン1000000質量部に対して0.2~20質量部であることを特徴とする、製パン用穀粉生地を提供する。本発明の製パン用改質剤を、グルテンを含有する穀粉生地に配合することにより、グルテンを改質し、もっちり感と歯切れが向上した、風味良好なパンを得ることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ルテインを含有することを特徴とする、製パン用改質剤。
続きを表示(約 100 文字)【請求項2】
グルテン、及び、請求項1に記載の製パン用改質剤を含み、
ルテインの含有量が、前記グルテン1000000質量部に対して0.2~20質量部であることを特徴とする、製パン用穀粉生地。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、製パンに使用することで、もっちり感と歯切れ、風味が向上したパンが得られる製パン用改質剤に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
日本人は米を主食とする民族であり、米本来の味が感じられ、もっちりとした食感が味わえる米が良いとされる。一方でパンにおいても穀粉本来の味が感じられ、もっちりとした食感のパンを好む傾向にある。
パンは、穀粉をイーストにて発酵後焼成したものであるため、パンには発酵臭がある。発酵臭は、それ自体をパンの風味ととらえることもあるが、穀粉本来の風味を感じにくくする原因にもなっている。
またパンは、穀粉を原料とするため穀粉に含まれる澱粉およびタンパク質がパンの食感に大きく影響を与える。パン製造時に水の配合量を多くすることで加熱によって澱粉がα化し、もっちりとした食感が得られるが、澱粉同士の結着が強くなり、内相の詰まったパンとなり歯切れが低下する。またパン製造時のミキシングにより穀粉に含まれるタンパク質が結合しグルテンを形成するが、ミキシングを強くすることでグルテン形成を促進した場合、もっちりとした食感のパンが得られるが、パンは噛み切りにくく歯切れが低下してしまう。反対にグルテン形成を抑制すると、かみ切りやすい歯切れのよい食感のパンが得られるが、弾力のない食感となりもっちり感が低下する。
パンをもっちりとした食感にする方法としては、酸性水中油型乳化油脂組成物を含有する湯種生地が提案されており、もっちりとした食感のパンが得られる方法が記載されている(特許文献1)。また特許文献2ではDEが2~9であるデキストリンを水相中に含有する製パン用乳化油脂組成物が提案されており、乳化剤を使用することなく、もっちり感と風味が良好なパンが得られる方法が記載されている。
一方でパンの歯切れを向上したパンを製造する方法として、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、プロピレングルコールモノ脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を使用する方法が提案されている。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-201468号公報
特開2013-102745号公報
特開2009-39070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、もっちりとした食感のパンは得られるが、歯切れが悪いパンとなり、穀粉本来の風味も得られない。特許文献2においても、もっちりとした食感で乳化剤による風味劣化を防止したパンは得られるが、歯切れは悪く食べやすさは改善されておらず、穀粉本来の風味も得られない。
また特許文献3では、歯切れは向上し、パンの食べやすさは向上するが、望まれるもっちりとした食感は得られず、またパンの風味向上効果についても望めない。
したがって、本発明の課題は、もっちりとした食感を有しつつ、歯切れが良好であり、さらには、穀粉本来の風味がする風味良好なパンが得られる製パン用改質剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カロチノイドであるルテインがグルテンを含有する穀粉生地においてグルテンを改質し、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンが得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は下記[1]~[2]である。
[1]ルテインを含有することを特徴とする、製パン用改質剤。
[2]グルテン、及び、[1]記載の製パン用改質剤を含み、
ルテインの含有量が、前記グルテン1000000質量部に対して0.2~20質量部であることを特徴とする、製パン用穀粉生地。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製パン用改質剤によれば、グルテンを含有する穀粉生地に配合することにより、グルテンを改質する。これにより、もっちりとした食感を有しつつ、歯切れが良好であり、さらには、穀粉本来の風味がする風味良好なパンを得ることができる。
なお、本発明におけるもっちり感とは、一定の歪率で一定時間パンを圧縮し続けた際に、応力の低下量が少ないことであり、本発明のおける歯切れが良好とは、パンを破断するための応力値が小さいことを言う。もっちり感、歯切れともに、パンを喫食した際に食感として感じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において製パンとは、穀粉、イースト、水を含有する穀粉生地を焼成してパンを製造することを意味し、製パン用とは製パン時に配合する原料を意味する。
本発明の製パン用改質剤は、ルテインを含有することを特徴とし、グルテンを含有する製パン用穀粉生地に配合することにより、ルテインがグルテンを改質し、もっちり感と歯切れ、風味が向上したパンが得られる。
以下、本発明の製パン用改質剤、製パン用穀粉生地について詳細に説明する。
【0009】
[製パン用改質剤]
本発明の製パン用改質剤は、ルテインを含有することを特徴とし、製パン用原料として用いるものである。
ルテインはカロチノイド系色素の1種類であり、生体内で網膜の黄斑部に局在することで、目に進入するエネルギーの高い光を吸収し、光によって生じる活性酸素を除去することで光に対する目の保護に有益な成分として知られている。本発明における製パン用改質剤は、フリー体のルテイン又はエステル体のルテインのうち少なくとも1種を含むものである。ルテインは、グルテンを含有する製パン用穀粉生地中に含有された際、混合することで、グルテンにルテインが結合してグルテンを改質し、当該製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性を向上させ、もっちり感と歯切れが向上したパンが得られる。またグルテンが改質されることでパンの内相は均一な気泡膜が形成され、パンを咀嚼した際に唾液とパンがなじみやすく、穀粉本来の風味が感じられ風味が向上したパンとなると推察される。色素であるルテインに、このようなパンにおける効果があることはこれまで知られておらず、本発明は従来技術からは想定できない新たな効果を見出したものである。
【0010】
ルテインは、ケール、パセリ、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、レタス、かぼちゃの皮などの植物由来、あるいは鶏卵などの動物由来のものいずれも使用することができるが、ルテイン含有量、風味の観点より植物由来のものが好ましく用いられる。
(【0011】以降は省略されています)

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