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公開番号2025057863
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023167666
出願日2023-09-28
発明の名称ベーカリー食品用小麦粉
出願人日清製粉株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A21D 2/36 20060101AFI20250402BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】ベーカリー食品用原料として優れた性質を有する高アミロース小麦粉。
【解決手段】コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつゲル離水率が5.8~8.5%である、ベーカリー食品用小麦粉.
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつゲル離水率が5.8~8.5%であり、
該ゲル離水率が下記手順1~8により測定される、小麦粉:
1.遠沈管の質量(W1)を測定する;
2.該遠沈管に被験小麦粉3g(粉水分14質量%換算)を秤量し、次いで純水を、該小麦粉との合計質量が12gとなるよう添加し、懸濁する;
3.得られた懸濁液を、ボルテックスミキサーで混合した後、95℃で30分間加温する(このとき、加温開始から1分、2分、及び3分後にそれぞれ、該懸濁液をボルテックスミキサーで混合する);
4.加温後の該懸濁液を常温で放冷する;
5.放冷後の該懸濁液を含む該遠沈管は、質量(W2)を測定し、次いで4℃で3日間冷蔵する;
6.冷蔵後の該遠沈管を、遠心分離(4255×g、15分)にかけ、該懸濁液をゲル層と水層に分離させる;
7.該水層を除去し、残ったゲル層を含む該遠沈管の質量(W3)を測定する;
8.以下の式により、該被験小麦粉のゲル離水率を計算する;
ゲル離水率(%)={(W3-W2)/(W2-W1)}×100。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の小麦粉。
【請求項3】
前記ベーカリー食品がパン又はパンケーキである、請求項1記載の小麦粉。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載のベーカリー食品用小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の総質量中に20~100質量%含有する原料粉を用いる、ベーカリー食品の製造方法。
【請求項5】
前記ベーカリー食品がパン又はパンケーキである、請求項4記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品用の改良された性質を有する高アミロース小麦粉に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献1~4には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。
【0003】
一方で、アミロースは、食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたことが記載されている。そのため、ベーカリー食品や麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。特許文献5には、高アミロース小麦粉を高含有し、かつ特定量のグリアジンを添加した原料粉を用いることにより、生地の二次加工性が良く、食感が良好なベーカリー食品を製造することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2007-504803号公報
特表2008-526690号公報
特表2015-504301号公報
特表2019-527054号公報
特開2023-118310号公報
【非特許文献】
【0005】
J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。本発明は、ベーカリー食品用原料として優れた性質を有するように改良された高アミロース小麦粉に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定のゲル離水率を有する高アミロース小麦粉により、良好な食感を有するベーカリー食品を製造することができることを見出した。
【0008】
本発明の代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕ベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつゲル離水率が5.8~8.5%であり、
該ゲル離水率が下記手順1~8により測定される、小麦粉:
1.遠沈管の質量(W1)を測定する;
2.該遠沈管に被験小麦粉3g(粉水分14質量%換算)を秤量し、次いで純水を、該小麦粉との合計質量が12gとなるよう添加し、懸濁する;
3.得られた懸濁液を、ボルテックスミキサーで混合した後、95℃で30分間加温する(このとき、該加温開始から1分、2分、及び3分後にそれぞれ、該懸濁液をボルテックスミキサーで混合する);
4.加温後の該懸濁液を常温で放冷する;
5.放冷後の該懸濁液を含む該遠沈管は、質量(W2)を測定し、次いで4℃で3日間冷蔵する;
6.冷蔵後の該遠沈管を、遠心分離(4255×g、15分)にかけ、該懸濁液をゲル層と水層に分離させる;
7.該水層を除去し、残ったゲル層を含む該遠沈管の質量(W3)を測定する;
8.以下の式により、該被験小麦粉のゲル離水率を計算する;
ゲル離水率(%)={(W3-W2)/(W2-W1)}×100。
〔2〕SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕記載の小麦粉。
〔3〕前記ベーカリー食品がパン又はパンケーキである〔1〕又は〔2〕記載の小麦粉。
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載のベーカリー食品用小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の総質量中に20~100質量%含有する原料粉を用いるベーカリー食品の製造方法。
〔5〕前記ベーカリー食品がパン又はパンケーキである、〔4〕記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明で提供される高アミロース小麦粉を用いることで、従来の高アミロース小麦粉を用いた場合と比べて、より良好な食感を有するベーカリー食品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、高アミロース小麦粉とは、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉をいう。小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1や2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
(【0011】以降は省略されています)

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