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公開番号2024114380
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-23
出願番号2023020114
出願日2023-02-13
発明の名称電界紡糸装置
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類D01D 5/04 20060101AFI20240816BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】極細繊維の量産化を可能にする技術を提供すること。
【解決手段】紡糸ヘッド4は、第1分割体42と第2分割体43とを有し、両分割体42,43を重ね合わせた重合面に、原料液の移動に使用される液体流路が形成されている。紡糸ヘッド4は、第1方向Xに間欠配置され、第2方向Yに突出する複数の突出部41を有する。突出部41の先端に、前記液体流路における原料液の移動方向の下流側端である吐出口48が位置している。突出部41の先端は、紡糸ヘッド4において第3方向Zの長さが最も短い。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
複数の吐出口が第1方向に間欠配置され、各該吐出口から該第1方向に直交する第2方向の一方側に向けて原料液を吐出する紡糸ヘッドと、
前記紡糸ヘッドとの間に電界を生じさせるための電極と、を備えた電界紡糸装置であって、
前記紡糸ヘッドは、第1分割体と第2分割体とを有し、両分割体は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に分割可能であり、両分割体を重ね合わせた重合面に前記原料液の移動に使用される液体流路が形成されており、
前記紡糸ヘッドは、前記第1方向に間欠配置され、前記第2方向に突出する複数の突出部を有し、該突出部の先端に、前記液体流路における前記原料液の移動方向の下流側端である前記吐出口が位置しており、
前記突出部の先端は、前記紡糸ヘッドにおいて前記第3方向の長さが最も短い、電界紡糸装置。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記突出部の前記第1方向の長さが、該突出部の基端から先端に向かうに従って漸次短くなる、請求項1に記載の電界紡糸装置。
【請求項3】
前記紡糸ヘッドの前記第1方向に直交し且つ第3方向に沿う方向での断面視において、該紡糸ヘッドにおける前記突出部の近傍の輪郭線と前記第2方向とのなす角度が、該突出部の輪郭線と該第2方向とのなす角度のうちの最小値以上である、請求項1又は2に記載の電界紡糸装置。
【請求項4】
前記液体流路は、前記複数の吐出口と1対1で対応する複数の吐出流路と、該複数の吐出流路を前記第1方向に跨ぐように配置され、前記第3方向において各該吐出流路の一部と重なるバッファー流路とを含み、
前記両分割体の一方における前記重合面を形成する面に、前記複数の吐出流路に対応する複数の凹部が形成され、該両分割体の他方における該重合面を形成する面に、前記バッファー流路に対応する凹部が形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
【請求項5】
前記液体流路は、前記複数の吐出口と1対1で対応する複数の吐出流路を含み、
前記紡糸ヘッドは、前記第1分割体と前記第2分割体との間に介在配置される平板状の第3分割体を有し、
前記第1分割体及び前記第2分割体の少なくとも一方は、前記第3分割体との対向面に、前記複数の吐出流路に対応する複数の凹部を有し、
前記第3分割体は、該第3分割体を厚み方向に貫通して前記第2方向に延びる複数の貫通溝を有し、
前記複数の凹部と前記複数の貫通溝とが、前記複数の吐出流路を形成する、請求項1~3の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
【請求項6】
前記液体流路は、前記複数の吐出口と1対1で対応する複数の吐出流路を含み、
前記紡糸ヘッドは、前記第1分割体と前記第2分割体との間に介在配置される平板状の第3分割体を有し、
前記第1分割体及び前記第2分割体は、それぞれ、前記第3分割体との対向面に、前記吐出流路に対応する凹部を有しておらず、
前記第3分割体は、該第3分割体を厚み方向に貫通して前記第2方向に延びる複数の貫通溝を有し、該複数の貫通溝が、前記複数の吐出流路を形成する、請求項1~3の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
【請求項7】
前記液体流路は、前記複数の吐出流路と、該複数の吐出流路を前記第1方向に跨ぐように配置され、前記第3方向において各該吐出流路の一部と重なるバッファー流路とを含み、
前記第1分割体及び前記第2分割体の一方における前記重合面を形成する面に、前記バッファー流路に対応する凹部が形成されている、請求項5又は6に記載の電界紡糸装置。
【請求項8】
前記紡糸ヘッドにおける前記原料液の移動方向の上流側から下流側に向けて気体流を噴射する気体噴射部を備え、
前記気体流は、前記吐出口から吐出された前記原料液を延伸するための第1気体流と、該第1気体流よりも前記液体流路から遠い位置を流れる加熱された第2気体流とを含み、
前記気体噴射部は、前記第1気体流を噴射する第1気体噴射部と、前記第2気体流を噴射する第2気体噴射部とを有し、
前記第1気体噴射部は、前記第1気体流の噴射方向が前記原料液の吐出方向と一致するように、該第1気体流を噴射する、請求項1~7の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
【請求項9】
前記第1気体噴射部は、前記第1気体流の移動に使用される気体流路を有し、該気体流路における前記気体流の移動方向の下流側端部に、該気体流路の流路断面積が最小のオリフィス部が位置し、
前記複数の吐出口それぞれに対し、前記オリフィス部が1個又は2個以上配置されている、請求項8に記載の電界紡糸装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の電界紡糸装置を用いて繊維を製造する工程と、該繊維を集積して不織布を製造する工程とを有する、不織布の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡糸装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
紡糸は、樹脂などの紡糸素材を加熱溶融又は溶媒に溶解して流動化させた粘調体からなる原料液を、紡糸ヘッドなどの所定の貯留部に連続的に供給し、該貯留部に接続された吐出口から吐出して繊維(糸)を製造する技術である。原料液の形態により、溶融紡糸、溶液紡糸がある。また、原料液を吐出口から吐出後に繊維の形に固定する形態により、湿式紡糸、乾式紡糸、メルトブローン、電界紡糸(静電紡糸)などの公知の紡糸法がある。
【0003】
メルトブローン法、電界紡糸法などは、繊維径がナノサイズの極細繊維であるナノファイバの製造に利用されている。なかでも電界紡糸法は、ナノファイバを簡便且つ高い生産性で製造できる技術として近年注目されている。一般的に、電界紡糸法は、原料液を吐出するノズルと、該ノズルから所定距離を隔てた位置に対向配置された電極とを用い、両者の間に高電圧を印加した状態で、該原料液をノズル先端の吐出口から紡糸空間に吐出させることで実施される。こうして紡糸空間に吐出された原料液中の樹脂は帯電しており、そのクーロン力(電荷反発力)で延伸・細径化されながら冷却固化されてナノファイバとなる。また、特にナノファイバのような極細繊維を製造する場合、典型的には、原料液の移動方向の上流側から下流側の紡糸空間に向けて気体流(延伸エアー)を噴射し、該気体流による機械遠心力と前記クーロン力とによって、原料液中の樹脂を延伸・細径化する。
【0004】
特許文献1には、電界紡糸法を利用したナノファイバ製造装置として、紡糸空間中に原料液を流出させる三角柱状の流出体と、該流出体と所定距離をおいて対向配置される対向電極とを備えたものが記載されている。前記流出体は、第1分割体と第2分割体とを重ね合わせることで形成され、両分割体の重合面には、原料液の流路を形成する複数のノズルが、原料液の流れる方向と直交する方向に間欠配置されている。前記複数のノズルの先端の吐出口は、前記流出体の一端に沿って間欠配置されているところ、この吐出口が間欠配置された流出体の一端は、平面視において直線状であり、凹凸を有していない。
【0005】
特許文献2には、繊維径のばらつきが小さい均質なナノファイバを製造可能な静電紡糸用スピナレットとして、該スピナレットを構成する構造体の一面に、複数の突起が該構造体の長軸方向に沿って並ぶように形成され、該複数の突起それぞれの頂部に、原料液を吐出する吐出口が形成されているものが記載されている。前記スピナレットは、トップレート、ノズル等の複数の部品を重ね合わせることで形成されるところ、該スピナレットにおける原料液の流路は、これら複数の部品の重合面には配置されておらず、該重合面に対して直交する方向に延びている。
【0006】
特許文献3には、メルトブローン法により紡糸を行う紡糸装置として、原料液の流路を有するヘッドと、該ヘッドの下面に固定されたノズル基板とを備え、該ノズル基板が、基板本体と、該基板本体の一方の面に設けられた複数の紡糸ノズルとを有するものが記載されている。前記紡糸ノズルは、前記基板本体に着脱可能に取り付けられており(特許文献3の[0066])、該基板本体及び前記ヘッドとは別体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2014-80708号公報
特開2016-37694号公報
特開2015-28228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年のナノファイバの需要の高まりを背景に、電界紡糸法によるナノファイバの生産性の向上が要望されている。斯かる要望に応え得る電界紡糸装置の改良技術として、紡糸空間に原料液を吐出する吐出口を備えた電界紡糸装置において、吐出口1個当たりの原料液の吐出量を従来よりも増やす方法が考えられる。しかし、この方法は電界紡糸装置の肥大化を招きやすい。また、吐出口1個当たりの原料液の吐出量を増やした場合、繊維の細径化には延伸エアーの高速化が必要となるところ、これによって紡糸空間中で繊維が切れやすくなる等の不都合を招くおそれがある。
【0009】
前記方法とは別の電界紡糸装置の改良技術として、吐出口の単位面積当たりの配置数(配置密度)を従来よりも増加させる方法が考えられる。しかし、吐出口を形成するノズル等の部材は典型的には導体であるため、電界紡糸装置において吐出口の配置密度を増加させると、吐出口の配置位置(典型的には、電界紡糸装置における原料液の吐出方向の先端部)における導体の配置密度が増加し、その結果、電界紡糸の実施中における吐出口及びその近傍の電場密度が低下するおそれがある。斯かる電場密度の低下は、吐出口から吐出される原料液中の樹脂の帯電量の低下を招き、繊維の延伸・細径化が困難になるおそれがある。電界紡糸装置の肥大化を抑制しつつ、ナノファイバのような極細繊維を安定的に量産し得る技術は未だ提供されていない。
【0010】
本発明の課題は、極細繊維の量産化を可能にする技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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