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公開番号2024139521
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2023050494
出願日2023-03-27
発明の名称研磨液組成物
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C09K 3/14 20060101AFI20241002BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】一態様において、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチ低減とを両立できる研磨液組成物を提供する。
【解決手段】本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)と、酸(成分B)と、水系媒体と、を含有し、成分Aは、In-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度が170μA/cm2以上330μA/cm2未満であるシリカ粒子であり、pHが1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。ここで、In-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度は、研磨による基板の腐食反応により発生する電子の発生量を電気化学測定装置により測定した電流密度の値である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シリカ粒子(成分A)と、酸(成分B)と、水系媒体と、を含有し、
成分Aは、In-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度が170μA/cm
2
以上330μA/cm
2
未満であるシリカ粒子であり、
pHが1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
ここで、In-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度は、評価対象プレート電極(磁気ディスク基板用Ni-Pめっきされたアルミニウム合金基板)が作用極電極として配置され、セル内に参照電極(銀-塩化銀電極)及び対極電極(白金電極)が配置されたプレート電極評価セルと、各電極に接続されたポテンショスタットと、前記評価対象プレート電極に接触可能に配置された研磨パッド(スエードパッド)を有する回転制御体とを備え、前記セル内に電解質(シリカ粒子:5質量%、リン酸:1質量%、過酸化水素:0.3質量%、及び水を含み、pHが2.5である研磨液組成物)が前記各電極を浸漬又は接触させるように貯留されている電気化学測定装置を用い、下記ステップで測定される。
・前記電解質の液温約26℃において、前記回転制御体に貼り付けた研磨パッドを作用極と接触させ(印加荷重:300g/cm
2
±100g/cm
2
)、前記回転制御体を回転させる(回転数:25rpm)。このとき測定される開回路電圧の値を腐食電位E
corr
とする。
・腐食電位E
corr
から0.5Vアノード側へLSV法(Linear Sweep Voltammetry)を用いて電位を走査したときに観測されるアノード反応の電流曲線に対し、ターフェル・プロット法を用いて電流密度を測定し、この電流密度を動的瞬間腐食速度として算出する。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
成分Aは、前記In-situ電気化学測定において観測される腐食電位E
corr
が、-0.32V超である、請求項1に記載の研磨液組成物。
【請求項3】
成分Aの平均一次粒子径は1nm以上50nm以下である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
【請求項4】
酸化剤(成分C)をさらに含有する、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
【請求項5】
複素環芳香族化合物(成分D)、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分E)、及び、アニオン性水溶性高分子(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む、被研磨基板の研磨速度を向上させる方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、研磨液組成物、並びにこれを用いた基板の製造方法及び研磨方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレ(ロールオフ)の低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。
【0003】
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、シリカ粒子、酸、酸化剤、水溶性高分子、含窒素有機化合物、及び水を含み、pHが4.0以下の研磨液組成物が開示されている。同文献には、Ni-Pめっきが施された磁気ディスク基板を、前記研磨用組成物に浸漬し、該研磨用組成物から取り出して水で洗浄し、次いでアルカリ性水溶液で洗浄する浸漬-洗浄試験において、研磨液組成物に浸漬する前後の基板の腐食電位の差が所定範囲内であることが記載されている。
特許文献2には、予め溝を形成させた絶縁膜上に銅を電気めっき法を用いて埋め込んだ後、配線形成のための溝部分以外の過剰な銅を除去するための研磨液として、砥粒(例えば、シリカ)、金属酸化剤(例えば、過酸化水素)、銅を溶解させるとともに銅と錯体をつくる化合物(例えば、無機酸、有機酸)、pH調整剤、荷重下における銅の溶解を促進する溶解速度促進剤(例えば、硝酸塩)、及び、非荷重下における銅の溶解を抑制する溶解抑制剤(例えば、ベンゾトリアゾール)を含み、pHが3以下である研磨液が開示されている。
特許文献3には、コバルト含有材料を研磨するための研磨用組成物であって、シリカ等の研磨剤と弱酸除去速度向上剤とアゾール含有腐食阻害剤とpH調整剤とを含み、前記除去速度向上剤、前記腐食阻害剤及び前記pH調整剤がそれぞれ1と18の間のpKaを有し、前記組成物のpHが7と12の間にあり、それぞれ前記組成物の総重量に基づいて約100百万分率未満の硫酸イオン及び約100百万分率未満のハロゲン化物イオンを有する、研磨用組成物が提案されている。
特許文献4には、コバルトを含む層を研磨するための研磨用組成物として、砥粒と第1酸解離定数が2以上である酸又はその塩と防食剤と分散剤とを含み、電気伝導度が3mS/cm以上であり、pHが6.5以上である研磨用組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-128479号公報
国際公開第2006/30595号
特開2018-93204号公報
特開2018-157164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、基板表面のスクラッチをいっそう低減できる研磨液組成物の開発が求められている。
さらに、近年では、基板の薄型化も進んでおり、基板の剛性が低下する傾向にある。基板の剛性が低下すると、基板の加工が難しいため、加工条件の緩和が必要となる。しかし、加工条件を緩和(例えば、加工圧の低下)すると、従来のシリカ砥粒では十分な研磨速度を確保できない。
また、一般的に、研磨速度とスクラッチとはトレードオフの関係にあり、一方が改善すれば一方が悪化するという問題がある。
【0006】
そこで、本開示は、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチ低減とを両立できる研磨液組成物、並びにこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法及び基板の研磨方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分AはIn-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度が170μA/cm
2
以上330μA/cm
2
未満であるシリカ粒子であり、pHが1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
ここで、In-situ電気化学測定における動的瞬間腐食速度は、評価対象プレート電極(磁気ディスク基板用Ni-Pめっきされたアルミニウム合金基板)が作用極電極として配置され、セル内に参照電極(銀-塩化銀電極)及び対極電極(白金電極)が配置されたプレート電極評価セルと、各電極に接続されたポテンショスタットと、前記評価対象プレート電極に接触可能に配置された研磨パッド(スエードパッド)を有する回転制御体とを備え、前記セル内に電解質(シリカ粒子:5質量%、リン酸:1質量%、過酸化水素:0.3質量%、及び水を含み、pHが2.5である研磨液組成物)が前記各電極を浸漬又は接触させるように貯留されている電気化学測定装置を用い、下記ステップで測定される。
・前記電解質の液温約26℃において、前記回転制御体に貼り付けた研磨パッドを作用極と接触させ(印加荷重:300g/cm
2
±100g/cm
2
)、前記回転制御体を回転させる(回転数:25rpm)。このとき測定される開回路電圧の値を腐食電位E
corr
とする。
・腐食電位E
corr
から0.5Vアノード側へLSV法(Linear Sweep Voltammetry)を用いて電位を走査したときに観測されるアノード反応の電流曲線に対し、ターフェル・プロット法を用いて電流密度を測定し、この電流密度を動的瞬間腐食速度として算出する。
【0008】
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
【0009】
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む、被研磨基板の研磨速度を向上させる方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の研磨組成物によれば、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチ低減とを両立できるという効果が奏されうる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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