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公開番号2024130590
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023040419
出願日2023-03-15
発明の名称豆腐の製造方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人クオリオ,個人,個人
主分類A23L 11/45 20210101AFI20240920BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】無機塩からなる凝固作用成分を分散してなるW/O型やS/O型の分散液(凝固剤)を用いて豆腐を製造するに当たり、豆乳に添加する凝固剤量を減らしても、得られる豆腐の品質を十分に維持することができる豆腐の製造方法を提供する。
【解決手段】無機塩からなる凝固作用成分を含有する相がポリグリセリン脂肪酸エステルの作用によって油相中に分散してなるW/O型又はS/O型分散液と、油脂とを、質量基準で[分散液]:[油脂]が98:2~78:22となるように混合し、得られた混合液と豆乳とを混合することを含む、豆腐の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
無機塩からなる凝固作用成分を含有する相がポリグリセリン脂肪酸エステルの作用によって油相中に分散してなるW/O型又はS/O型分散液と、油脂とを、質量基準で[分散液]:[油脂]が98:2~78:22となるように混合し、得られた混合液と豆乳とを混合することを含む、豆腐の製造方法。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
請求項1記載の豆腐の製造方法で得られる豆腐の硬度Hn1と、前記油脂を混合せずに前記分散液と前記豆乳とを混合すること以外は当該製造方法と同じ製造方法で得られる豆腐の硬度Hn2とが下記式(1)を満たす、請求項1に記載の豆腐の製造方法。
[硬度Hn1/硬度Hn2] ≧ 0.85 ・・・式(1)
【請求項3】
前記油脂が風味油を含む、請求項1又は2に記載の豆腐の製造方法。
【請求項4】
前記分散液中、前記油相を構成する油脂の含有量が20~40質量%である、請求項1又は2に記載の豆腐の製造方法。
【請求項5】
前記豆乳100質量部に対し、前記凝固作用成分量が0.14質量部以上となるように前記混合物と前記豆乳とを混合する、請求項1又は2に記載の豆腐の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
豆腐は、豆乳に凝固剤を加えてタンパク質を架橋、ゲル化して製造される。タンパク質が架橋されて形成される網目構造中には多数の水分子が保持され、豆腐特有の弾力とみずみずしさが発現する。この凝固剤として、古くから塩化マグネシウムを主成分とするにがりが使用されてきた。塩化マグネシウムは豆腐にほどよい甘味を付与するため、塩化マグネシウムを用いることで風味のよい豆腐に仕上げることができる。一方、塩化マグネシウムの凝固作用は速効性であり、豆乳中に均一に拡散する前に凝固反応が素早く進行する。したがって、塩化マグネシウムを凝固剤として用いてゲル組織の均一性の高い高品質の豆腐を得るには熟練した技術を要するとされる。
また上記凝固剤として、塩化マグネシウムの他、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等の無機塩が豆乳に対する凝固作用を示すことが知られている。
【0003】
凝固作用成分として無機塩を用いてゲル組織の均一な豆腐をより簡便に製造するために、無機塩を徐放する徐放性凝固剤を調製し、かかる徐放性凝固剤を豆乳に添加して豆腐を製造することが知られている。
例えば特許文献1には、油脂とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとを含む油相と、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを溶解してなる水溶液を含む水相とを有する油中水型乳化組成物からなる豆腐用凝固剤であって、前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量が4.0~50.0質量部であり、前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量が合計で6.0~14.0質量%である豆腐用凝固剤が記載されている。この豆腐用凝固剤は、いわゆるW/O型(Water in Oil型)の乳化安定性に優れた凝固剤である。
また、特許文献2には、油脂とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとを含む油相中に、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが分散してなる豆腐用凝固剤であって、前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量が4.0~50.0質量部であり、前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量が合計で9.0~15.0質量%である豆腐用凝固剤が記載されている。この豆腐用凝固剤は、いわゆるS/O型(Solid in Oil型)の分散安定性に優れたスラリー状の凝固剤である。
特許文献1及び2記載の技術によれば、これらの凝固剤を豆乳中に分散させることにより、油脂に包まれた塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが徐々に豆乳中に溶け出して豆乳の凝固を生じ、にがりの甘味が引き立ち、苦みは少なく、ゲル組織が均質で全体に亘って均一な硬さを有する豆腐が得られるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2016-106573号公報
特開2017-93407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無機塩からなる凝固作用成分を、W/O型やS/O型の分散液状とし、これを徐放性凝固剤として用いて豆腐を製造する場合、無機塩をそのまま凝固剤として用いて豆腐を製造する場合に比べて、徐放性凝固剤の製造コストが上乗せされるため、豆腐の製造コストは必然的に高くなる。他方、製造コストを抑えるべく単純に凝固剤の使用量を減らせば十分な凝固作用を得ることができず、得られる豆腐は品質に劣るものとなる。
【0006】
本発明は、無機塩からなる凝固作用成分を分散してなるW/O型やS/O型の分散液(凝固剤)を用いて豆腐を製造するに当たり、豆乳に添加する凝固剤量を減らしても、得られる豆腐の品質を十分に維持することができる豆腐の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが検討を重ねた結果、無機塩からなる凝固作用成分を含有する相がポリグリセリン脂肪酸エステルの作用によって油相中に分散してなるW/O型又はS/O型分散液を、豆腐製造における凝固剤として用いるに当たり、この凝固剤を豆乳に添加する前に特定量の油脂と混合し、得られた混合液を豆乳に添加することにより、上記凝固剤をそのまま豆乳に添加する場合の凝固剤の必要量に比べて、凝固剤使用量を低減しても、目的の高品質な豆腐が得られること、その結果、豆腐の製造コストを低減できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づき検討を重ねて完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明は、無機塩からなる凝固作用成分を含有する相がポリグリセリン脂肪酸エステルの作用によって油相中に分散してなるW/O型又はS/O型分散液と、油脂とを、質量基準で[分散液]:[油脂]が98:2~78:22となるように混合し、得られた混合液と豆乳とを混合することを含む、豆腐の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の豆腐の製造方法によれば、無機塩からなる凝固作用成分を分散してなるW/O型やS/O型の凝固剤を用いて豆腐を製造するに当たり、豆乳に添加する凝固剤量を減らしても、得られる豆腐の品質を十分に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[豆腐の製造方法]
本発明の豆腐の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも称す。)は、凝固作用成分を含有する相がポリグリセリン脂肪酸エステルの作用によって油相中に分散してなるW/O型又はS/O型分散液(以下、これらのW/O型分散液とS/O型分散液とを総称して、単に「分散液」とも称す。)と、油脂(前記分散液と混合する油脂を「油脂A」とも称す。)とを、本発明で規定する特定の量比で混合し、次いで当該混合液(前記分散液と前記油脂Aとの混合液を「混合液I」とも称す。)と豆乳とを混合することを含む。
本発明の製造方法は、前記分散液を特定量の前記油脂Aで希釈してから豆乳と混合すること以外は、常法により実施することができる。すなわち、前記混合液Iと、豆乳とを混合し、この混合液I中の凝固作用成分が徐々に豆乳中に放出されることによって、豆乳中のタンパク質に架橋構造が形成され、ゲル組織の均一な豆腐を得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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