TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024089366
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-03
出願番号2022204692
出願日2022-12-21
発明の名称抗HBs抗体およびその用途
出願人国立大学法人広島大学
代理人個人,個人
主分類C12N 15/13 20060101AFI20240626BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】HBV感染の治療または予防に有効な抗体を提供する。
【解決手段】本開示は、抗HBs抗体および前記抗体を含む医薬組成物を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号3のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号4のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号5のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号7のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号8のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号9のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域
を含む、抗HBs抗体。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
ヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号2のアミノ酸配列もしくは配列番号2のアミノ酸配列において1~10個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号6のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号6のアミノ酸配列もしくは配列番号6のアミノ酸配列において1~10個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域から特定されるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域から特定されるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む、抗HBs抗体。
【請求項7】
HBs抗原への結合において請求項1~6のいずれかに記載の抗体と競合する、抗HBs抗体。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
B型肝炎ウイルス感染の治療または予防のための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
慢性B型肝炎、急性B型肝炎、または肝硬変の治療または予防のための、請求項9に記載の医薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、B型肝炎ウイルス(HBV)のHBs抗原に対する抗体およびその用途に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
HBVは、世界でおよそ3億人が感染し、2億人以上が持続感染している、広く世界中に存在しているウイルスである。年間100万人以上がこのウイルスに由来する肝硬変や肝臓癌により死亡するという、深刻な感染症を引き起こしている。ウイルスは、多くは幼少期の感染により持続感染となるが、成人で感染しても慢性化する症例もある。持続感染となった症例の一部は慢性肝炎から肝硬変へと進展し、また一部の症例は肝細胞癌を発症する。このようにB型肝炎ウイルスの持続感染は深刻な保健上の問題であり、その治療法、感染の予防法、病態の評価方法などが喫緊の課題としてあげられている。
【0003】
HBVは、約3,200塩基の一部分2本鎖環状DNAをゲノムとして有するウイルスである。HBVのウイルス粒子は、内部にHBVの遺伝子を持つコア粒子と、これを包む外殻(エンベロープ)とからなる。現在、HBV感染の診断には、外殻に存在するHBs抗原、コア粒子に存在するHBc関連抗原、血液中に放出されるHBe抗原、これら抗原に対する抗体や、HBV DNA量などがマーカーとして用いられ、これらを組み合わせて感染の有無や病態または治療効果の判定が行われている。HBV感染の抗ウイルス治療にはインターフェロンや核酸アナログが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、HBV感染の治療または予防に有効な抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ある態様において、
配列番号3のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号4のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号5のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号7のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号8のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号9のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域
を含む、抗HBs抗体を提供する。
【0006】
本開示は、ある態様において、前記抗体を含む医薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によりHBs抗原に対する抗体が提供される。本開示の抗体は、HBV感染予防効果のみならず、長期間持続しうる抗ウイルス効果を有する。本開示の抗体はさらに、他の治療薬との併用においてHBV感染に対する優れた治療または予防効果を発揮しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、完全なHBV粒子(Dane粒子)、桿状粒子、および小型球形粒子に共通して存在するHBs抗原の領域の各遺伝子型(Genotype)の代表例アミノ酸配列を比較した図である。Genotype A, B, C, D, E, F, Hの配列(配列番号10~16)を示す。GenBankにおける各HBs抗原のSドメインの99~155番目のアミノ酸配列(A-determinant領域は121~147番目)である。上部の図は想定されているHBs抗原の膜表面上におけるループ構造を示したものである。
図2は、9種類のハイブリドーマの培養上清(0.01、0.1、1μg/ml)の、ヒト初代培養肝細胞に対するHBV感染阻止効果を見たものである。感染9日後のHBs抗原の産生を測定して評価した。
図3は、図2と同様の実験を行い、その効果をHBe抗原の産生を測定して評価したものである。
図4は、ハイブリドーマの拡大培養後の上清から精製した抗体を使用した実験を図3と同様に行い、その効果をHBs抗原で見たものである。
図5は、ハイブリドーマの拡大培養後の上清から精製した抗体を使用した実験を図3と同様に行い、その効果をHBe抗原で見たものである。
図6は、ハイブリドーマの拡大培養後の上清から精製した抗体#7-4gおよび3種類の抗preS1抗体(抗体41、抗体1A、抗体10)の、ヒト初代培養肝細胞に対するHBV感染阻止効果を見たものである。感染9日後のHBs抗原の産生を測定して評価した。
図7は、ハイブリドーマの拡大培養後の上清から精製した抗体#7-4gおよび3種類の抗preS1抗体(抗体41、抗体1A、抗体10)の、ヒト初代培養肝細胞に対するHBV感染阻止効果を見たものである。感染9日後のHBe抗原の産生を測定した評価した。
図8は、ヒト肝細胞キメラマウス(N=3)において抗体#7-4gのHBV感染阻止効果をみたものである。縦軸はHBVのDNA量を示す。
図9は、ヒト肝細胞キメラマウス(N=3)における抗preS1抗体(上)および抗体#7-4g(下)の抗ウイルス効果を比較して示したものである。ラインはHBVのDNA量、色付きのバーはHBs抗原量(sAg)、斜線のバーは抗Hbs抗体量(sAb)を示す。バーは左から、実線、破線、点線のマウスの結果を示す。
図10は、ヒト肝細胞キメラマウス(N=3)において抗体#7-4gと抗preS1抗体とを併用投与した場合の抗ウイルス効果を見たものである。ラインはHBVのDNA量、色付きのバーはHBs抗原量(sAg)、斜線のバーは抗Hbs抗体量(sAb)を示す。バーは左から、実線、破線、点線のマウスの結果を示す。
図11は、ヒト肝細胞キメラマウス(N=3)においてエンテカビル(ETV)を投与した場合の抗ウイルス効果を見たものである。ラインはHBVのDNA量、色付きのバーはHBs抗原量(sAg)またはHBe抗原(eAg)を示す。バーは左から、実線、破線、点線のマウスの結果を示す。
図12は、ヒト肝細胞キメラマウス(N=1)において抗体#7-4gとエンテカビル(ETV)とを併用投与した場合の抗ウイルス効果を見たものである。ラインはHBVのDNA量、色付きのバーはHBs抗原量(sAg)、斜線のバーは抗Hbs抗体量(sAb)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学、医学、薬学、分子生物学、微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。
【0010】
本明細書において、アミノ酸残基は以下の略号で表される。
AlaまたはA:アラニン
ArgまたはR:アルギニン
AsnまたはN:アスパラギン
AspまたはD:アスパラギン酸
CysまたはC:システイン
GlnまたはQ:グルタミン
GluまたはE:グルタミン酸
GlyまたはG:グリシン
HisまたはH:ヒスチジン
IleまたはI:イソロイシン
LeuまたはL:ロイシン
LysまたはK:リジン
MetまたはM:メチオニン
PheまたはF:フェニルアラニン
ProまたはP:プロリン
SerまたはS:セリン
ThrまたはT:スレオニン
TrpまたはW:トリプトファン
TyrまたはY:チロシン
ValまたはV:バリン
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

国立大学法人広島大学
筋量維持剤およびその用途
22日前
国立大学法人広島大学
抗HBs抗体およびその用途
2日前
株式会社ジェイテクト
水素圧縮機
8日前
三建産業株式会社
アンモニア燃焼バーナ
8日前
国立大学法人広島大学
建設機械の制御装置およびこれを備えた建設機械
15日前
国立大学法人広島大学
光異性化基を有する(メタ)アクリル化合物、ポリ(メタ)アクリル化合物、及び、(メタ)アクリル系接着剤
23日前
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
地盤性状調整方法及びこれを用いた炭化水素回収方法
17日前
マグネデザイン株式会社
磁気顕微鏡
1か月前
東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
2か月前
池田食研株式会社
RNAの合成方法
1か月前
株式会社ブラスト
細胞培養装置
2か月前
株式会社土と野菜
発酵促進装置
1か月前
花王株式会社
培養挙動予測方法
17日前
岐阜県
乳酸菌及び発酵物
1か月前
株式会社ブラスト
密閉チャンバー
2か月前
学校法人 創価大学
炭酸ガス溶解装置
1か月前
日本バイリーン株式会社
二酸化炭素吸収装置
1か月前
花王株式会社
発酵生産プロセス支援方法
17日前
合同会社陶徳堂研究所
改良シャーレ
1か月前
個人
非ゲノム配列抗ウイルス用オリゴヌクレオチド
1か月前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
2か月前
個人
果実酒の製造方法とアルコール含有果実
1か月前
相生ユニビオ株式会社
ウイスキーの製造方法
2か月前
サッポロビール株式会社
アルコール飲料
1日前
長谷川香料株式会社
アルコール飲料用香味改善組成物
28日前
小林製薬株式会社
黒ずみ形成方法
3か月前
長谷川香料株式会社
ビールテイスト飲料用香味改善剤
4日前
テルモ株式会社
濾過装置および濾過方法
8日前
個人
急性ストレス評価用データの生成方法
1か月前
国立大学法人東京海洋大学
熱処理リゾチーム組成物
2か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
17日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
株式会社東海ヒット
完全閉鎖型灌流液送液系
2か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
3か月前
三洋化成工業株式会社
培地及び培地を用いる細胞の培養方法
15日前
株式会社シェルタージャパン
藻類増殖制御装置
1か月前
続きを見る