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公開番号2024075980
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-05
出願番号2022187289
出願日2022-11-24
発明の名称量子鍵配布システム、光信号受信装置、量子鍵配送方法
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人谷・阿部特許事務所
主分類H04L 9/12 20060101AFI20240529BHJP(電気通信技術)
要約【課題】より低コスト、かつダークカウントの発生が少ない量子鍵配送システムを提供する。
【解決手段】パルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかの微弱なパルス光をランダムに送信する光信号送信装置100、遅延時間2T、伝搬位相差0のマッハツェンダー干渉計31、遅延時間Tで伝搬位相差π/2のマッハツェンダー干渉計32、マッハツェンダー干渉計31、32を通って出力された光子を検出する光子検出器323,324を備える光信号受信装置3を含み、光信号受信装置3は、検出された光子の情報を、この光子を検出した光子検出器に対応付けて記録し、光子を検出した光子検出器に対応して1または0ビットを生成し、光子が検出された場合、この光子が検出された時刻の情報を光信号送信装置100に通知する量子鍵配送システムを構成する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
光の量子力学的性質に基づいて、暗号通信のための秘密鍵を安全に離れた二者に供給する量子鍵配送システムであって、
1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに送信する光信号送信装置と、
前記光信号送信装置から送信された前記パルス光を受信する光信号受信装置と、を含み、
前記光信号受信装置は、
遅延時間が前記パルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、
前記第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間が前記パルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、
前記第1のマッハツェンダー干渉計及び前記第2のマッハツェンダー干渉計を通って出力された光子を検出する第1の光子検出器及び第2の光子検出器と、
前記第1の光子検出器及び前記第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器に対応付けて記録する光子記録部と、
前記第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、前記第2の光子検出器が光子を検出することよって前記第1のビットと異なる第2のビットを生成するビット列生成部と、
前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、前記光信号送信装置に通知する通知部と、を備え、
前記パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する量子鍵配送システム。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記光信号送信装置は、4連続の前記パルス光をフレーム化して送信し、前記パルス光のフレームの間に散発的にダミーパルスを挿入する、請求項1に記載の量子鍵配送システム。
【請求項3】
1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに受信する光信号受信装置であって、
遅延時間が前記パルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、
前記第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間が前記パルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、
前記第1のマッハツェンダー干渉計及び前記第2のマッハツェンダー干渉計を通って出力された光子を検出する第1の光子検出器及び第2の光子検出器と、
前記第1の光子検出器及び前記第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器に対応付けて記録する光子記録部と、
前記第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、前記第2の光子検出器が光子を検出することよって前記第1のビットと異なる第2のビットを生成するビット列生成部と、
前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、前記パルス光を送信した光信号送信装置に通知する通知部と、を備え、
前記パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する光信号受信装置。
【請求項4】
前記第1のマッハツェンダー干渉計は、第2マッハツェンダー干渉計の前段、または後段に接続される、請求項3に記載の光信号受信装置。
【請求項5】
4連続の前記パルス光がフレーム化されている、請求項3に記載の光信号受信装置。
【請求項6】
1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに受信する工程と、
遅延時間が前記パルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、前記第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間が前記パルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、を通って出力された光子を第1の光子検出器及び第2の光子検出器によって検出する工程と、
前記第1の光子検出器及び前記第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器に対応付けて記録する工程と、
前記第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、前記第2の光子検出器が光子を検出することよって前記第1のビットと異なる第2のビットを生成する工程と、
前記第1の光子検出器または前記第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、前記パルス光を送信した光信号送信装置に通知する工程と、を含み、
前記パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する量子鍵配送方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、4値差動位相シフトによりパルス光を送受信して秘密鍵を生成する量子鍵配送システム、この光信号受信装置及び量子鍵配送方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
光の量子力学的性質を利用して、離れた二者に暗号通信のための秘密鍵を供給する量子鍵配送(Quantum Key Distribution: QKD)の研究開発が進められている。ここでは、4値差動位相シフト(Differential Quadrature Phase Shift:DQPS)QKDについて述べる。DQPS-QKDは、送信装置から連続するパルス光(以下、「パルス列」とも記す)を送信し、これを受信装置がマッハツェンダー干渉計(Mach-Zehnder Interferometer:MZI)で分岐、合波し、4つの光子検出器により検出する。送信されるパルス列のパルス光は、いずれも位相が0、π/2、π、3π/2のいずれかであって、光子エネルギーが微弱である。このような構成においては、隣接するパルス光(パルス列における直前または直後のパルス光)の位相差と、光子を検出した光子検出器、及び検出確率との間に対応関係がある。公知のDQPS-QKDは、この点を利用し、送信されたパルス列に含まれる隣接するパルス光の位相差に基づいて鍵ビット値を生成する。このようなDQPS-QKDは、例えば、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
“Differential‐quadrature‐phase-shift quantum key distribution,” Kyo Inoue and Yuuki Iwai, Phys. Rev. A 79, 022319 ‐ Published 20 February 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、非特許文献1に記載のDQPS―QKDシステムは、微弱なパルス光を送受信して鍵ビット値を生成している。しかしながら、微弱なパルス光の光子を検出する光子検出器は、1光子レベルの光エネルギーを検出する超高感度受信特性を備えている。このため、DQPS-QKD装置に用いられる光子検出器は、他の光子検出器よりも装置構成が複雑であり、かつ高コストである。また、このような光子検出器では、光子が入力されていないにも関わらず、光子が検出される、ダークカウントと呼ばれる現象が起こり得る。ダークカウントは、鍵ビットの誤りの一因となる。
【0005】
また、非特許文献1に記載のDQPS-QKDシステムは、4つの位相状態を判別することに起因して、光子検出器を4台使用する。この点は、DQPS-QKDシステムをいっそう高コスト化する。また、ダークカウントが起こる確率は、光子検出器の台数に比例するため、鍵ビットの誤り率を小さくするためにも光子検出器の台数は少ない方が好ましい。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、4位相状態を判別しながらも、より低コスト、かつダークカウントの発生が少ない量子鍵配送システム、この光信号受信装置及び量子鍵配送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一形態の量子鍵配送システムは、光の量子力学的性質に基づいて、暗号通信のための秘密鍵を安全に離れた二者に供給する量子鍵配送システムであって、1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに送信する光信号送信装置と、光信号送信装置から送信されたパルス光を受信する光信号受信装置と、を含み、光信号受信装置は、遅延時間がパルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間がパルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、第1のマッハツェンダー干渉計及び第2のマッハツェンダー干渉計を通って出力された光子を検出する第1の光子検出器及び第2の光子検出器と、第1の光子検出器及び第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した第1の光子検出器または第2の光子検出器に対応付けて記録する光子記録部と、第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、第2の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットと異なる第2のビットを生成するビット列生成部と、第1の光子検出器または第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、光信号送信装置に通知する通知部と、を備え、パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する。
【0008】
本発明の一形態の光信号受信装置は、1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに受信する光信号受信装置であって、遅延時間がパルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、
第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間がパルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、第1のマッハツェンダー干渉計及び第2のマッハツェンダー干渉計を通って出力された光子を検出する第1の光子検出器及び第2の光子検出器と、第1の光子検出器及び第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した第1の光子検出器または第2の光子検出器に対応付けて記録する光子記録部と、第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、第2の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットと異なる第2のビットを生成するビット列生成部と、第1の光子検出器または第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、光信号送信装置に通知する通知部と、を備え、パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する。
【0009】
本発明の一形態の量子鍵配送方法は、1パルス光あたりの平均光子数が1光子未満であり、かつ隣接するパルス光間の位相差が0、π/2、π、3π/2のいずれかである4連続のパルス光を時間的にランダムに受信する工程と、遅延時間がパルス光の間隔の2倍に等しく、伝搬位相差が0である第1のマッハツェンダー干渉計と、第1のマッハツェンダー干渉計と接続され、遅延時間がパルス光の間隔に等しく、伝搬位相差がπ/2である第2のマッハツェンダー干渉計と、を通って出力された光子を第1の光子検出器及び第2の光子検出器によって検出する工程と、第1の光子検出器及び第2の光子検出器において検出された光子に係る情報を、当該光子を検出した第1の光子検出器または第2の光子検出器に対応付けて記録する工程と、第1の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットを生成し、第2の光子検出器が光子を検出することよって第1のビットと異なる第2のビットを生成する工程と、第1の光子検出器または第2の光子検出器が光子を検出した場合、当該光子が検出された時刻にかかる情報を、光信号送信装置に通知する工程と、を含み、パルス光の位相に基づいて、暗号通信に用いる秘密鍵を生成する。
【発明の効果】
【0010】
以上の形態によれば、4位相状態を判別しながらも、より低コスト、かつダークカウントの発生が少ない量子鍵配送システム、この光信号受信装置及び量子鍵配送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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