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公開番号2024073420
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-29
出願番号2024019364,2020558973
出願日2024-02-13,2019-04-23
発明の名称DNAメチル化の標的化された編集によるSNCA発現の下方調節
出願人デューク ユニバーシティ
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/09 20060101AFI20240522BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】SNCA発現の調節を標的化する新たな治療戦略の開発。
【解決手段】SNCA遺伝子のエピゲノム修飾用のClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(CRISPR)/CRISPR-associated(Cas)9ベースのエピゲノム修飾剤組成物およびその使用方法が本明細書に開示される。
【選択図】図1A
特許請求の範囲【請求項1】
SNCA遺伝子のエピゲノム修飾用の組成物であって、
(a)(i)融合タンパク質または(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列であって、前記融合タンパク質が2つの異種ポリペプチドドメインを含み、第1のポリペプチドドメインがClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats associated(Cas)タンパク質を含み、かつ、第2のポリペプチドドメインが、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはその組合せからなる群から選択される活性を有するペプチドを含む、(i)融合タンパク質または(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列、および
(b)(i)少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)または(ii)少なくとも1つのガイドgRNAをコードする核酸配列であって、前記少なくとも1つのgRNAが、前記SNCA遺伝子内の標的領域に前記融合タンパク質を標的化する、(i)少なくとも1つのgRNAまたは(ii)少なくとも1つのガイドgRNAをコードする核酸配列
を含む組成物。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記少なくとも1つのgRNAが、前記SNCA遺伝子のイントロン1内の標的領域に前記融合タンパク質を標的化する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記SNCA遺伝子のイントロン1内の少なくとも1つのCpGアイランド領域を修飾する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのCpGアイランド領域が、CpG1、CpG2、CpG3、CpG4、CpG5、CpG6、CpG7、CpG8、CpG9、CpG10、CpG11、CpG12、CpG13、CpG14、CpG15、CpG16、CpG17、CpG18、CpG19、CpG20、CpG21、CpG22、CpG23、またはその組合せを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのCpGアイランド領域が、CpG1、CpG3、CpG6、CpG7、CpG8、CpG9、CpG18、CpG19、CpG20、CpG21、CpG22、またはその組合せを含む、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2のポリペプチドドメインが、メチラーゼ活性を有するペプチドを含み、かつ、前記融合タンパク質が、前記SNCA遺伝子のイントロン1内の少なくとも1つのCpGアイランド領域をメチル化する、請求項3~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのgRNAが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、その相補体、そのバリアント、またはその組合せのうちの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのgRNAが、前記SNCA遺伝子のイントロン4内の標的領域に前記融合タンパク質を標的化し、かつ、イントロン4内の前記標的領域が、H3K4Me3、H3K4Me1および/またはH3K27Acマークであってもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2のポリペプチドドメインが、DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3A(DNMT3A)、その機能的断片、および/またはそのバリアントを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記融合タンパク質が前記SNCA遺伝子の転写を抑制する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月23日に出願された米国仮出願第62/661,134号、2018年5月24日に出願された米国仮出願第62/676,149号、2019年1月8日に出願された米国仮出願第62/789,932号、および2019年3月26日に出願された米国仮出願第62/824,195号の優先権を主張し、これらの各仮出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
政府の利益の声明
本発明は、National Institutes of Neurological Disorders & Stroke(NIH/NINDS)により授与された連邦助成金番号NS085011の下での政府の支援により為された。米国政府は本発明に対してある特定の権利を有する。
技術分野
本開示は、SNCA遺伝子のエピゲノム修飾用のClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(CRISPR)/CRISPR-associated(Cas)9ベースのエピゲノム修飾剤組成物およびその使用方法を対象とする。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(PD)は世界において2番目に一般的な神経変性障害である。PDを予防しまたはその進行を停止させる効果的な治療はない。SNCA遺伝子は、PDの高度に有意な遺伝学的リスク因子として関係付けられてきた。追加的に、蓄積しつつある証拠は、野生型α-シヌクレインのレベルの上昇はPDの病理発生の原因となることを示唆する。現在までに、SNCA遺伝子によりコードされるα-シヌクレインは、PDの最も検証され、有望な治療標的の1つである。さらに、SNCAレベルのマニピュレーションは有益な影響力を実証している。しかしながら、SNCAレベルの堅牢な低減と関連付けられる神経毒性が、SNCA転写物を直接的に標的化するためのRNA干渉(RNAi)ツールを利用する研究で報告された。そのため、α-シヌクレインの正常な生理学的レベルを維持することを可能とするSNCA転写の緊密な調節を達成するための標的の同定および検証が必要とされる。
【0003】
遺伝子およびエピジェネティック調節を含む、いくつかの調節機構がSNCA発現レベルに寄与する。DNAメチル化は転写調節における重要な機構であり、SNCA発現の増加は、SNCAイントロン1におけるCpGの脱メチル化と同時発生的であり得る。さらには、研究は、SNCAイントロン1の疾患に関連する差次的なDNAメチル化を示している。PD患者からの死後の脳組織および血液の分析は、対照ドナーと比較してSNCAイントロン1におけるより低いメチル化レベルを実証した。SNCA-mRNA発現の上昇と相関したSNCAイントロン1におけるDNAメチル化の変化もまた、レビー小体を伴う認知症(DLB)患者において報告されている。DNAメチル化は、SNCA遺伝子発現のマニピュレーションのための魅力的なアプローチである。さらに、DNAメチル化は、遺伝子発現に対する長期効果の可能性を有する安定なエピジェネティックマークを表す。
【0004】
α-シヌクレイン発現レベルを特異的に標的化することは魅力的な神経保護戦略であり、SNCAレベルのマニピュレーションは有益な効果を実証している。SNCAレベルをマニピュレートするための1つのアプローチはsiRNAによるものである。しかしながら、RNAiアプローチは2つの顕著な短所を有する。第1に、RNAiは、「生理学的」レベルのSNCA発現を達成するために緊密調節が所望されるノックダウンのために精密な分解能を提供しない。例えば、SNCA-mRNAに対するsiRNAを有するAAVベクターは、ラットモデルにおいてSNCAレベルの堅牢な低減の結果として、高レベルの毒性を示し、黒質線条体ドパミン作動性ニューロンの有意な損失を引き起こした。これと一致して、MN9D細胞におけるSNCAの下方調節は細胞生存能力を減少させた。第2に、siRNAトランスフェクション後の全ゲノム発現プロファイリングにより実証されるように、RNAiは、その意図する標的以外の遺伝子の発現に影響することがある。一方でPD病理発生においてSNCA過剰発現が役割を担い、他方でα-シヌクレインタンパク質の正常な生理学的レベルを維持する必要性があることは、SNCA発現の調節機構を標的化する新たな治療戦略を開発するこれまで満たされていない必要性を強調する。そのため、SNCA発現の調節を標的化する新たな治療戦略を開発する満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、SNCA遺伝子のエピゲノム修飾用の組成物を対象とする。組成物は、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列であって、融合タンパク質が2つの異種ポリペプチドドメインを含み、第1のポリペプチドドメインがClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats associated(Cas)タンパク質を含み、かつ、第2のポリペプチドドメインが、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはその組合せからなる群から選択される活性を有するペプチドを含む、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列、および(b)(i)少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)または(b)(ii)少なくとも1つのガイドgRNAをコードする核酸配列であって、少なくとも1つのgRNAが、SNCA遺伝子内の標的領域に融合タンパク質を標的化する、(b)(i)少なくとも1つのgRNAまたは(b)(ii)少なくとも1つのガイドgRNAをコードする核酸配列を含む。
本発明は、前記組成物をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とする。
本発明は、前記単離されたポリヌクレオチドを含むベクターを対象とする。
本発明は、前記単離されたポリヌクレオチドまたは前記ベクターを含む宿主細胞を対象とする。
本発明は、少なくとも1つの前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、前記宿主細胞、またはその組合せを含む医薬組成物を対象とする。
本発明は、前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、またはその組合せのうちの少なくとも1つを含むキットを対象とする。
【0006】
本発明は、細胞におけるSNCA遺伝子の発現のin vivoモジュレーションの方法を対象とする。方法は、遺伝子の発現をモジュレートするために十分な量の前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、前記医薬組成物、またはその組合せのうちの少なくとも1つと細胞を接触させることを含む。
【0007】
本発明はまた、対象におけるSNCA遺伝子の発現のin vivoモジュレーションの方法を対象とする。方法は、遺伝子の発現をモジュレートするために十分な量の前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、前記医薬組成物、またはその組合せのうちの少なくとも1つと対象を接触させることを含む。
【0008】
本発明は、対象においてSNCA発現レベルの上昇と関連付けられる疾患または障害を治療する方法を対象とする。方法は、前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、前記医薬組成物、またはその組合せのうちの少なくとも1つを対象に投与することを含む。方法は、前記組成物、前記単離されたポリヌクレオチド、前記ベクター、前記医薬組成物、またはその組合せのうちの少なくとも1つを対象中の細胞に投与することを含んでもよい。
【0009】
本発明は、細胞におけるSNCA遺伝子の発現をin vivoでモジュレートする方法を対象とする。本発明は、対象中の細胞におけるSNCA遺伝子の発現をin vivoでモジュレートする方法を対象とする。本発明は、対象におけるSNCA遺伝子の発現をin vivoでモジュレートする方法を対象とする。方法は、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列であって、融合タンパク質が2つの異種ポリペプチドドメインを含み、第1のポリペプチドドメインがClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats associated(Cas)タンパク質を含み、かつ、第2のポリペプチドドメインが、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、およびデアセチラーゼ活性からなる群から選択される活性を有するペプチドを含む、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列、ならびに(b)(i)SNCA遺伝子内の標的領域に融合分子を標的化する少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)または(b)(ii)SNCA遺伝子内の標的領域に融合タンパク質を標的化する少なくとも1つのgRNAをコードする核酸配列を、遺伝子の発現をモジュレートするために十分な量で細胞または対象と接触させることを含む。
【0010】
本発明は、対象においてSNCA発現レベルの上昇と関連付けられる疾患または障害を治療する方法を対象とする。本発明はまた、対象中の細胞におけるSNCA発現レベルの上昇と関連付けられる疾患または障害を治療する方法を対象とする。方法は、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列であって、融合タンパク質が2つの異種ポリペプチドドメインを含み、第1のポリペプチドドメインがClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats associated(Cas)タンパク質を含み、かつ、第2のポリペプチドドメインが、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、およびデアセチラーゼ活性からなる群から選択される活性を有するペプチドを含む、(a)(i)融合タンパク質または(a)(ii)融合タンパク質をコードする核酸配列、ならびに(b)(i)SNCA遺伝子内の標的領域に融合分子を標的化する少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)または(b)(ii)SNCA遺伝子内の標的領域に融合分子を標的化する少なくとも1つのgRNAをコードする核酸配列を、遺伝子の発現をモジュレートするために十分な量で対象または対象中の細胞に投与することを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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