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公開番号2024067352
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-17
出願番号2022177358
出願日2022-11-04
発明の名称発酵柑橘果汁製品の製造方法
出願人土佐鶴酒造株式会社
代理人弁理士法人眞久特許事務所
主分類C12G 3/02 20190101AFI20240510BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ゆず等香酸柑橘類や日向夏等の雑柑類やブンタン等の文旦類のような柑橘果実を果皮ごと搾った果汁を処理して発酵させて豊かな発酵風味を付与することができ、発酵させても、これら香酸柑橘類や雑柑類や文旦類の風味・香りが十分に感じられる発酵柑橘果汁製品の製造方法を提供する。
【解決手段】発酵柑橘果汁製品の製造方法は、香酸柑橘類と雑柑類と文旦類との何れかの柑橘類の果実を果皮ごと搾って果汁を取る搾汁工程(i)と、前記果汁に清澄化酵素を添加し繊維質分解しつつ精油成分を遊離させる繊維質分解工程(ii)と、その繊維質分解果汁をマイクロ波蒸留してマイクロ波蒸留精油成分含有抽出物を抽出して分離する分離工程(iii)と、その分離後の残果汁を糖分存在下で発酵酵母により発酵させて残果汁発酵もろみを得る発酵工程(iv)と、それに前記マイクロ波蒸留精油成分含有抽出物を配合して混合した発酵柑橘果汁を得る混合工程(v)とを、有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
香酸柑橘類と雑柑類と文旦類とから選ばれる少なくとも何れかの柑橘類の果実を果皮ごと搾って果汁を取り、必要に応じて冷凍保存する搾汁工程と;
前記果汁に清澄化酵素を添加し繊維質分解しつつ精油成分を遊離させてから、精油成分含有浮遊物及び/又は沈殿物を分別して分離する分離操作と、前記果汁からマイクロ波蒸留によって精油成分を揮発させマイクロ波蒸留精油成分含有抽出物として抽出して分離する分離操作と、前記果汁に清澄化酵素を添加し繊維質分解しつつ精油成分を遊離させてから、その繊維質分解果汁からマイクロ波蒸留によって精油成分を揮発させマイクロ波蒸留精油成分含有抽出物として抽出して分離する分離操作と、前記果汁に清澄化酵素を添加し繊維質分解し浮遊物及び/又は沈殿物を除去してから減圧蒸留して濃縮しつつ蒸留液ごと分離する分離操作との何れかの操作を有する分離工程と;
その分離後の残果汁に糖分存在下で発酵酵母を添加し発酵させて残果汁発酵もろみを得る発酵工程と;
必要に応じ前記残果汁発酵もろみに、前記分離操作で得られた時には前記マイクロ波蒸留精油成分含有抽出物又は前記精油成分含有浮遊物又は前記浮遊物を配合して混合した発酵柑橘果汁を得る混合工程と;
を有することを特徴とする発酵柑橘果汁製品の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記分離工程中、前記繊維質分解において、前記清澄化酵素が、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、及びペクチナーゼから選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項3】
前記分離工程中、前記マイクロ波蒸留を、前記繊維質分解果汁の温度を高くても85℃、及び/又は高くても60kPaの減圧下で行うことを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項4】
前記分離工程で、前記マイクロ波蒸留精油成分含有抽出物を、静置して油層として分画した精油含有柑橘オイルとすることを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項5】
前記発酵工程中、前記発酵が、少なくともアルコール発酵であることを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項6】
前記発酵工程中、前記発酵が、前記アルコール発酵であって、前記発酵酵母が、清酒酵母、ワイン酵母、焼酎酵母、ビール酵母、醤油酵母、及びアルコール発酵する野生酵母から選ばれる酵母であることを特徴とする請求項5に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項7】
前記発酵工程を、少なくとも前記残果汁に接触する内表をプラスチック製又はガラス製とする容器中で行うことを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項8】
前記プラスチックを、ポリプロピレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリエチレンのホモポリマー又はコポリマー、若しくはポリエチレンテレフタレートのホモポリマー又はコポリマーとするというものである。
前記容器が、前記プラスチックを、ポリプロピレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリエチレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリ塩化ビニルのホモポリマー又はコポリマー、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマー又はコポリマー、ポリスチレンのホモポリマー又はコポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、若しくはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂とすることを特徴とする請求項7に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項9】
前記容器が、前記プラスチック製の容器、若しくは、前記プラスチックでコーティングされた内層を有するガラス製容器又は金属容器であることを特徴とする請求項8に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
【請求項10】
前記発酵工程中、前記残果汁にブドウ糖、果糖、及びショ糖を添加することを特徴とする請求項1に記載の発酵柑橘果汁製品の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、香酸柑橘類や雑柑類や文旦類のような柑橘果汁を発酵させてなる発酵柑橘果汁製品の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
ゆず(柚子、学名:Citrus junos)、すだち(酢橘、学名Citrus sudachi)、かぼす(香母酢、学名:Citrus sphaerocarpa)、ライム(Lime、学名Citrus aurantifolia)などは、ミカン科ミカン属の常緑小高木であり、柑橘類の一種であり、香酸柑橘類に区分される。中でも、ゆずは、我が国で広く生産されており、年間生産量が2万トンを超え、高知県産が国内シェアの約50%強を占めている。また、人工若しくは自然交配による日向夏(小夏・土佐小夏・ニューサマーオレンジ、学名Citrus tamurama)のような雑柑類やブンタン(文旦・ザボン、学名Citrus maxima)のような文旦類も、西日本を中心に広く生産されており、高知県産のものも多い。
【0003】
温州ミカン、伊予柑、ネーブル、オレンジ等のようなミカン類・オレンジ類に区分される柑橘類は、糖度が10~12%程度と比較的高く酸度が0.1~0.3%程度と比較的低いために甘く、果物として果肉をそのまま食される。香酸柑橘類の中でもレモン(檸檬、学名:Citrus limon)は、糖度が約6~7%と比較的低く酸度が0.8~0.9%程度と比較的高いために酸っぱかったりほろ苦く酸っぱかったりするが、比較的可食部分が大きいため、果肉を食したり搾ったり、又は果肉を皮ごと味付けや風味付けに使ったりする。雑柑類には、日向夏のように外果皮だけ剥いで内果皮ごと果肉を食べるものもある。ブンタンのような文旦類は、採取直後では酸味が強すぎるので数ヶ月貯蔵して酸味を軽減させてから出荷され、果実を食するものである。それに比べ、香酸柑橘類の中でも、ゆず・すだち・かぼす・ライムのような香酸柑橘類は、糖度が約6~7%と比較的低く酸度が0.6%程度と比較的高いためにほろ苦く酸っぱいうえ、可食果肉部分が比較的小さくてそのまま食べ辛い。そのため、ゆず・すだち・かぼす・ライムのような香酸柑橘類は、そのまま果肉を食するよりも、実を絞ったり実や皮を輪切り又は千切りにしたりして料理に用いられたり、加糖して果汁ジュースに用いられたりすることが多い。ゆず・すだち・かぼす・ライムのような香酸柑橘類は、温州ミカン等やレモン等に比べ小振りな果実であり、果皮が比較的薄く果肉に十分な硬さがないことから、果皮を剥いて果肉だけを食したり加工したりするのが困難である。中でもゆずは、ゆずの果汁や皮が香味・酸味を加えるために柚子酢(生ゆず果実から直に搾った料理用ゆず果汁)として日本料理や、田舎寿司・鰹たたきなどの郷土料理等に用いられたり、ゆずの果汁がジュース等の飲料の爽快な味・香り付け原料として用いられたりしている。
【0004】
一般的に各種柑橘類は、飲料に用いられる場合、果汁にした後、様々な飲料用に加工される。例えば、特許文献1に、可食性の水溶液(アルコール含有又はノンアルコールのベース液体)と、疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有し、前記水溶液と前記疎水性液滴とが分離しており、前記可食性の水溶液が、乳化剤と前記疎水性香気成分と炭酸ガスとを含有しており、前記疎水性香気成分は、レモン、ライム、又はグレープフルーツの特徴香の香気成分であり、飲料の全量に対する、前記疎水性液滴を形成する疎水性液状組成物の含有量が、0.1g/L以上であって、発酵工程を経るアルコール飲料又は発酵工程を経ないノンアルコール飲料のような容器詰飲料が開示されている。
【0005】
特許文献2に、柑橘類の果実、またはこの果実を搾汁して果汁を採取した残部を果皮とともに完全に磨砕し、そのまま、もしくはアルカリを加えてpHを約4~6に調整したのち、圧搾して果皮に起因する香油成分に富む果汁を得、この果汁を濃縮して濃縮果汁成分とし、この濃縮果汁に水を加えて発酵性糖分を約18~26%に調整し、これに酵母を加え発酵させたものを蒸留することを特徴とする、柑橘類の香油成分に富むフルーツ・スピリッツの製造方法が、開示されている。その実施例には、ウンシュウ(温州)ミカンの果実60トンからフルーツ・スピリッツを製造した例が示されている。
【0006】
特許文献3に、温州ミカンを発酵させる方法が開示されている。その実施例1には、果皮に付着する微生物の除菌とはく皮を容易にするため熱処理した早生温州ミカンから、果皮を取り除き、搾汁した果汁を遠心濾過し、ペプトン、酵母抽出物、モルト抽出物、グルコース(ブドウ糖)と共に、酵母サッカロマイセス セルビシエ菌液を接種し、アルコール発酵を行い、アルコール発酵液を得た例が記載されている。
【0007】
特許文献2及び3のように柑橘類の果汁をアルコール発酵させた例があるにも拘わらず、果皮・果肉ごと搾ったゆずの果汁を発酵させようとしても、加糖してさえ、殆ど発酵が進行しない。また果皮等を含んだゆずの果汁から液面に浮上する果皮繊維成分や精油成分(香油成分)を分画して分別すれば2週間以上で僅かに発酵するが、発酵の微弱状態が長く続きすぎて他の細菌による汚染の恐れがある。特許文献2及び3のように、温州ミカンなどの発酵においては果皮を含んでいても含んでいなくても果汁が発酵するに対し、果皮を含んだゆずの果汁の発酵は、それと大きく相違し、極めて発酵し難いという問題があった。ゆず以外にも、すだち、かぼすなどの香酸柑橘類や、日向夏などの雑柑類や、ブンタンのような文旦類についても、同様の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第6847288号公報
特公平3-13865号公報
特開平11-018750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、温州ミカンの発酵、特にアルコール発酵と異なり、ゆずのような香酸柑橘類や日向夏のような雑柑類やブンタンのような文旦類の果実を果皮・果肉ごと搾った果汁に含まれる果皮由来の精油成分が、発酵を阻害していることを突き止めた。しかし、果皮や浮遊精油含有成分を単に除いて発酵させれば発酵阻害が抑制されるもののゆずなど柑橘類特有の風味や味わい・香りが低減されてしまうため、風味や味わいと香りとのバランスを図るのが、極めて困難であったところ、新たな手法を用いることによって、ゆずのみならず広く香酸柑橘類全般・日向夏のような雑柑類・ブンタンのような文旦類などの各種柑橘類についてこの問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、ゆず・すだち・かぼす・ライムなどのような香酸柑橘類や、日向夏のような雑柑類や、ブンタンのような文旦類などの各種柑橘類の果実を果皮ごと搾った果汁を処理して発酵させて豊かな発酵風味を付与することができ、発酵させても、ゆず等の香酸柑橘や日向夏のような雑柑類やブンタン等の文旦類の風味や味わい・香りが十分に感じられる発酵柑橘果汁製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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