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公開番号2024065725
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-15
出願番号2022174733
出願日2022-10-31
発明の名称波動歯車装置およびロボット
出願人ニデック株式会社
代理人個人
主分類F16H 1/32 20060101AFI20240508BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】波動歯車装置の摩耗を防止する。
【解決手段】この波動歯車装置100は、剛性内歯歯車10と、可撓性歯車20と、波動発生器30を有する。剛性内歯歯車は、内歯11を有し、中心軸C1を中心として円環状に拡がる。可撓性歯車は、剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合う外歯を有する。波動発生器は、可撓性歯車の径方向内側にて回転し、周方向の位置によって異なる外径を有する。可撓性歯車は、歯部21と、胴体部22と、底部23を有する。胴体部は、歯部よりも軸方向一方側に配置され、中心軸と平行な方向の成分を含む方向に延びる筒状の部位である。底部は、胴体部の軸方向一方側の端部から径方向内側に拡がる。剛性内歯歯車の内周面におけるビッカース硬度をVigとし、可撓性歯車の歯部におけるビッカース硬度をVfgとすると、200HV≦Vig≦Vfgの関係が成立する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
内周面に複数の内歯を有し、中心軸を中心として円環状に拡がる剛性内歯歯車と、
前記剛性内歯歯車の前記複数の内歯に対して部分的に噛み合う外歯を有する可撓性歯車と、
前記剛性内歯歯車および前記可撓性歯車の径方向内側において、前記中心軸を中心として回転し、周方向の位置によって異なる外径を有する波動発生器と、
を有し、
前記可撓性歯車は、
前記中心軸に沿って筒状に延び、外側面に前記中心軸から離れる方向に延びる複数の前記外歯を有する歯部と、
前記歯部よりも軸方向一方側に配置され、前記中心軸と平行な方向の成分を含む方向に延びる筒状の胴体部と、
前記胴体部の軸方向一方側の端部から径方向内側に拡がる底部と、
を有し、
前記剛性内歯歯車の内周面におけるビッカース硬度をVigとし、前記可撓性歯車の前記歯部におけるビッカース硬度をVfgとすると、
200HV≦Vig≦Vfg
の関係が成立する、波動歯車装置。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
請求項1に記載の波動歯車装置であって、
さらに、
Vfg≦500HV
の関係が成立する、波動歯車装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置であって、
前記可撓性歯車は、オーステナイト系のステンレス鋼により形成されている、波動歯車装置。
【請求項4】
請求項3に記載の波動歯車装置であって、
前記ステンレス鋼の加工硬化指数であるn値は、0.3以上である、波動歯車装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置であって、
前記可撓性歯車は、ショットピーニングが施されることによって、表面の少なくとも一部における残留応力が-800MPa以上である、波動歯車装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置であって、
前記剛性内歯歯車は、ダクタイル鋳鉄により形成され、かつ、引張強度が500MPa以上である、波動歯車装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置であって、
前記波動発生器は、
前記中心軸を中心として回転し、周方向の位置によって異なる外径を有する非真円カムと、
内輪が前記非真円カムに固定され、かつ、外輪が前記可撓性歯車に固定され、または前記可撓性歯車に接触する、可撓性軸受と、
を有し、
前記外輪を形成する材料は、Feを主成分とし、0.95~1.00重量%のCと、0.15~0.35重量%のSiと、1.30~1.60重量%のCrと、を含む、波動歯車装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置を備えた、ロボット。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の波動歯車装置であって、
前記剛性内歯歯車の前記複数の内歯は、転造により形成されたことを特徴とする、波動歯車装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、波動歯車装置およびロボットに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、剛性内歯歯車と可撓性歯車とを備える波動歯車装置が知られている。この種の波動歯車装置は、主に減速機として用いられる。従来の波動歯車装置については、例えば、特開2017-180486号公報および特開2018-087611号公報に開示されている。
【0003】
特開2017-180486号公報および特開2018-087611号公報の歯車装置(1)が備える可撓性歯車(3)は、一端が開口したカップ状をなし、その開口側の端部に外歯(33)が形成されている。また、可撓性歯車(3)は、軸線(a)まわりの円筒状の胴部(31)と、胴部(31)の軸線(a)方向での他端部側に接続されている底部(32)とを有する。これにより、胴部(31)の底部(32)とは反対側の端部を径方向に撓み易くし、剛性歯車(2)に対する可撓性歯車(3)の良好な噛み合いを実現する。また、底部(32)には、入力軸や出力軸が接続される。
【0004】
また、上記公報には、金属製の円柱状の素材(10)に、据え込鍛造工程や絞り加工工程を行うことにより、可撓性歯車(3)を形成することが記載されている。据え込鍛造工程においては、素材(10)が軸線方向(α)に加圧されることによって、円板状の板体(11)が形成される。絞り加工工程においては、板体(11)が絞り加工されることによって、胴部(31)および底部(32)を有する筒体(12)が形成される。さらに、転造等によって、筒体(12)に外歯(33)が形成される。
特開2017-180486号公報
特開2018-087611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、波動歯車装置においては、可撓性歯車が剛性歯車と噛み合いながら撓み、回転する。このため、波動歯車装置が長期間に亘って駆動すると、可撓性歯車または剛性歯車の強度(硬度)が低い場合や、可撓性歯車と剛性歯車との間の強度の差が大きい場合に、可撓性歯車または剛性歯車が摩耗したり、回転時の噛み合いが不安定になったりする虞がある。
【0006】
本発明の目的は、可撓性歯車および剛性歯車の強度や、可撓性歯車と剛性歯車との間の強度のバランスを、所定の範囲に設定することによって、これらの部材の摩耗や劣化を抑制し、回転時の噛み合いを安定させることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、波動歯車装置であって、内周面に複数の内歯を有し、中心軸を中心として円環状に拡がる剛性内歯歯車と、前記剛性内歯歯車の前記複数の内歯に対して部分的に噛み合う外歯を有する可撓性歯車と、前記剛性内歯歯車および前記可撓性歯車の径方向内側において、前記中心軸を中心として回転し、周方向の位置によって異なる外径を有する波動発生器と、を有し、前記可撓性歯車は、前記中心軸に沿って筒状に延び、外側面に前記中心軸から離れる方向に延びる複数の前記外歯を有する歯部と、前記歯部よりも軸方向一方側に配置され、前記中心軸と平行な方向の成分を含む方向に延びる筒状の胴体部と、前記胴体部の軸方向一方側の端部から径方向内側に拡がる底部と、を有し、前記剛性内歯歯車の内周面におけるビッカース硬度をVigとし、前記可撓性歯車の前記歯部におけるビッカース硬度をVfgとすると、200HV≦Vig≦Vfgの関係が成立する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、剛性内歯歯車と噛み合う可撓性歯車の歯部のビッカース硬度、および可撓性歯車と噛み合う剛性内歯歯車の内周面のビッカース硬度を、それぞれ所定値以上に設定することによって、可撓性歯車が剛性内歯歯車と噛み合いながら回転する際の、これらの部材の摩耗や劣化を抑制し、耐久性を向上できる。また、可撓性歯車の歯部のビッカース硬度を、剛性内歯歯車の内周面のビッカース硬度以上にすることによって、可撓性歯車が剛性内歯歯車と噛み合いながら回転する際の、可撓性歯車の摩耗や劣化をさらに抑制し、噛み合いを安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、波動歯車装置の縦断面図である。
図2は、波動歯車装置の横断面図である。
図3は、可撓性歯車の縦断面図である。
図4は、可撓性歯車の製造手順を示すフローチャートである。
図5は、中間成形品の概要図である。
図6は、剛性内歯歯車の内周面のビッカース硬度と、可撓性歯車の歯部のビッカース硬度とを、様々な値に設定した場合の、耐久試験を行った結果を示す表である。
図7は、ロボットの概要図である。
図8は、自転車の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、波動歯車装置の中心軸と平行な方向を「軸方向」、波動歯車装置の中心軸に直交する方向を「径方向」、波動歯車装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。
(【0011】以降は省略されています)

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