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公開番号2024054609
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-17
出願番号2022160937
出願日2022-10-05
発明の名称劣化推定方法
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人弁理士法人 快友国際特許事務所
主分類H01L 23/36 20060101AFI20240410BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を推定する劣化推定方法が必要とされている。
【解決手段】劣化推定装置は、冷熱サイクルによる熱抵抗の劣化カーブを記憶する記憶工程であって、劣化カーブは複数の温度差ごとに記憶される、記憶工程と、半導体素子が動作することによる冷熱サイクルの見積データを入力し、見積データに含まれる冷熱サイクルの温度差ごとに、対応する劣化カーブに基づいて熱抵抗の増加分を計算し、劣化カーブごとに計算された熱抵抗の増加分を積算して熱抵抗の全体の増加分を推定する推定工程と、を備えている。推定工程では、冷熱サイクルの温度差が低い劣化カーブから順に熱抵抗の増加分を積み上げるように積算して熱抵抗の全体の増加分が推定される。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を推定する劣化推定方法であって、
冷熱サイクルによる熱抵抗の劣化カーブを記憶する記憶工程であって、前記劣化カーブは複数の温度差ごとに記憶される、記憶工程と、
前記半導体素子が動作することによる冷熱サイクルの見積データを入力し、前記見積データに含まれる冷熱サイクルの温度差ごとに、対応する前記劣化カーブに基づいて熱抵抗の増加分を計算し、前記劣化カーブごとに計算された熱抵抗の増加分を積算して熱抵抗の全体の増加分を推定する推定工程と、を備えており、
前記推定工程では、冷熱サイクルの温度差が低い前記劣化カーブから順に熱抵抗の増加分を積み上げるように積算して熱抵抗の全体の増加分が推定される、劣化推定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を推定する劣化推定方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間にグリスが塗布された半導体装置が開示されている。特許文献1で指摘されるように、このような半導体装置では、パワーカードに封止された半導体素子の発熱と冷却の繰り返し(冷熱サイクル)で生じるポンプアウトと呼ばれる現象により、パワーカードと冷却器の間からグリスの抜けが発生することが知られている。グリスの抜けによってパワーカードと冷却器の間の熱抵抗が増加し、半導体装置が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-018943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を推定する劣化推定方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、半導体素子を封止したパワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を推定する劣化推定方法に適用される。劣化推定方法は、冷熱サイクルによる熱抵抗の劣化カーブを記憶する記憶工程であって、前記劣化カーブは複数の温度差ごとに記憶される、記憶工程と、前記半導体素子が動作することによる冷熱サイクルの見積データを入力し、前記見積データに含まれる冷熱サイクルの温度差ごとに、対応する前記劣化カーブに基づいて熱抵抗の増加分を計算し、前記劣化カーブごとに計算された熱抵抗の増加分を積算して熱抵抗の全体の増加分を推定する推定工程と、を備えていてもよい。前記推定工程では、冷熱サイクルの温度差が低い前記劣化カーブから順に熱抵抗の増加分を積み上げるように積算して熱抵抗の全体の増加分が推定されてもよい。上記劣化推定方法によると、パワーカードと冷却器の間に塗布されるグリスの抜けに起因した劣化を正確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
半導体装置の分解断面図を模式的に示す。
劣化推定装置の機能ブロック図を示す。
劣化推定装置が実行する劣化推定処理の概要を説明するための図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、半導体装置1は、対向配置された一対の冷却器2と、一対の冷却器2の間に挿入されるパワーカード6と、を備えている。パワーカード6には、例えばIGBT等の半導体素子が封止されている。パワーカード6と一対の冷却器2の各々の間には絶縁基板4が介在している。絶縁基板4と冷却器2の間、及び、絶縁基板4とパワーカード6の間にはそれぞれグリス8が塗布されている。パワーカード6は、積層方向に荷重が加えられた状態で一対の冷却器2の間で挟持されている。グリス8は、積層方向の荷重によって薄く引き延ばされており、パワーカード6から冷却器2への熱伝導率を高めている。このような半導体装置1は、例えば車両に搭載されるコンバータ及びインバータ等の電力変換装置で利用される。
【0008】
このような半導体装置1では、パワーカード6に封止された半導体素子がオン(電流通電)すると半導体素子が発熱し、半導体素子がオフ(電流遮断)すると半導体素子が冷却される。このような冷熱サイクルに伴って半導体素子の熱膨張と収縮が繰り返されると、パワーカード6と冷却器2の間からグリス8が抜ける、ポンプアウトという現象が発生する。ポンプアウトが発生すると、パワーカード6と冷却器2の間の熱抵抗が増加し、半導体装置1が劣化する。以下、図2及び図3を参照し、グリス8の抜けに起因した劣化を推定する劣化推定装置について説明する。
【0009】
図2に示すように、劣化推定装置10は、熱抵抗の劣化カーブを記憶している記憶部12と、半導体装置1の熱抵抗劣化を推定する推定部14と、を備えている。劣化推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含むコンピュータで構成されており、ROMに予め記憶されたプログラムをRAMに展開してCPUで実行するように構成されている。劣化推定装置10は、半導体装置1の半導体素子が動作することによる冷熱サイクルの見積データを入力し、半導体装置1の劣化後の熱抵抗値を出力するように構成されている。冷熱サイクルの見積データは、車両が所定距離に亘って使用されたときの半導体装置1が経験し得る冷熱サイクルを見積もったデータであり、温度差と、温度差ごとのサイクル数と、の組合せのデータである。例えば、冷熱サイクルの見積データは、車両が15万マイルに亘って使用されたときの半導体装置1が経験し得る冷熱サイクルを見積もったデータであってもよい。車両が所定距離に亘って使用された後の半導体装置1の熱抵抗値を正確に推定できれば、半導体装置1の熱設計の適正化に有用である。
【0010】
図3を参照し、劣化推定装置10が実行する劣化推定処理について説明する。図3に示されるように、記憶部12(図2参照)には、冷熱サイクルの温度差(ΔT)ごとの半導体装置1の熱抵抗の劣化カーブが記憶されている。熱抵抗の劣化カーブは、その温度差の冷熱サイクルが繰り返されたときの半導体装置1の熱抵抗の推移を記述したデータであり、ポンプアウトに起因した熱抵抗の増加を反映している。この例では、温度差が30℃、60℃、80℃及び100℃の劣化カーブを示しているが、記憶部12(図2参照)にはより多くの、例えば温度差が1℃間隔で形成された複数の劣化カーブが記憶されていてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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