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公開番号2024032085
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-12
出願番号2022135531
出願日2022-08-29
発明の名称ポリアリーレンスルフィドの製造方法およびポリアリーレンスルフィド
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08G 75/025 20160101AFI20240305BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】取扱性に優れ、分子鎖中に反応性官能基が多く導入されたポリアリーレンスルフィドを、簡便かつ効率よく提供することができるポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供すること。
【解決手段】有機極性溶媒中で、少なくともジハロゲン化芳香族化合物、トリハロゲン化芳香族化合物、無機スルフィド化剤および化合物(A)をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、ジハロゲン化芳香族化合物とトリハロゲン化芳香族化合物とを同じ段階で反応容器に添加することを特徴とし、化合物(A)は少なくとも1つの芳香環を有し、芳香環上にアミノ基、ならびに水酸基、水酸基の塩、チオール基、およびチオール基の塩から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する化合物である、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
有機極性溶媒中で、少なくともジハロゲン化芳香族化合物、トリハロゲン化芳香族化合物、無機スルフィド化剤および化合物(A)をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、ジハロゲン化芳香族化合物とトリハロゲン化芳香族化合物とを同じ段階で反応容器に添加することを特徴とし、化合物(A)は少なくとも1つの芳香環を有し、芳香環上にアミノ基、ならびに水酸基、水酸基の塩、チオール基、およびチオール基の塩から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する化合物である、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、反応容器中で無機スルフィド化剤1モルに対して化合物(A)を0.01モル以上0.5モル以下の範囲で存在させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、反応容器中で、無機スルフィド化剤1モル対してトリハロゲン化芳香族化合物を0.001モル以上0.025モル以下の範囲で存在させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項4】
アミノ基を400μmol/g以上、5,000μmol/g以下の範囲で含有し、下記式(1)で表されるアミノ基過剰度が0.10以上0.60以下であるポリアリーレンスルフィド。
アミノ基過剰度={(アミノ基量)-(分子量算出全末端量)}/(分子量算出全末端量)(1)
ここで、分子量算出全末端量は(2/数平均分子量)×10

μmol/gで表される値であり、数平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出される値である。
【請求項5】
請求項4に記載のポリアリーレンスルフィドであって、数平均分子量が1,000以上15,000以下であるポリアリーレンスルフィド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基を有するポリアリーレンスルフィドの製造方法およびポリアリーレンスルフィドに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)に代表されるポリアリーレンスルフィドは、優れた耐熱性、バリア性、成形性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品、自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。ポリアリーレンスルフィドはその優れた特性ゆえに、近年使用される用途が広がっている。
【0003】
一方で、ポリアリーレンスルフィドは分子鎖中の官能基が少なく、ポリアミドやポリエステル等に代表される他のエンジニアリングプラスチックと比べて相互作用や反応性に劣るため、異素材との接着や複合化を図ることが困難である課題があった。
【0004】
このため、ポリアリーレンスルフィド中に反応性官能基を導入する検討が多くなされている。例えば、特許文献1には、2,4-ジクロロ安息香酸をp-ジクロロベンゼンと同時に添加して重合を行い、ポリアリーレンスルフィドの主鎖中に反応性官能基を導入する方法が開示されている。特許文献2にはポリアリーレンスルフィドを製造する際にカルボン酸を含むモノハロゲン化化合物と金属水酸化物を反応させてポリアリーレンスルフィドの末端に反応性官能基を導入する方法が開示されている。また、特許文献3には環式アリーレンスルフィドを、反応性官能基を有する含硫黄化合物と加熱することで反応性官能基を有するポリアリーレンスルフィドを製造する方法が開示されており、特許文献4および特許文献5には芳香族チオールを用いて反応性官能基を有するポリアリーレンスルフィドを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平4-283247号公報(特許請求の範囲)
特開2017-066261号公報(特許請求の範囲)
国際公開第2012/057319号(特許請求の範囲)
特開2020-084027号広報(特許請求の範囲)
国際公開第2022/045105号(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では反応性官能基は主鎖中に導入されるため、反応対象との接触頻度が低下して反応性を活かすことができず最適な分子設計ではなかった。特許文献2に開示された方法ではポリアリーレンスルフィド分子鎖中に反応性官能基を導入できているものの、原料として使用した化合物の反応性官能基量に対してポリアリーレンスルフィド分子鎖へ導入された反応性官能基量が少なく、未反応のまま廃棄物になる化合物が多いという問題があった。特許文献3に開示された方法では反応性官能基をポリアリーレンスルフィドに導入できるものの、工程が多く簡便とは言えなかった。また、特許文献4に開示された方法ではポリアリーレンスルフィドに導入される官能基の量が少なく、十分な量とは言えなかった。特許文献5に開示されたポリアリーレンスルフィドの製造方法では得られるポリアリーレンスルフィドは微粉状態で得られるため、取り扱い性に劣るものであった。
【0007】
本発明は、分子鎖中に反応性官能基が多く導入されたポリアリーレンスルフィドを、簡便かつ効率的に提供することを課題とするものである。また、本発明は、不純物の少ない反応性官能基含有ポリアリーレンスルフィドであり、形態として取扱性に優れるポリアリーレンスルフィドを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の内容を提供することで実現することが可能である。
1.有機極性溶媒中で、少なくともジハロゲン化芳香族化合物、トリハロゲン化芳香族化合物、無機スルフィド化剤および化合物(A)をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、ジハロゲン化芳香族化合物とトリハロゲン化芳香族化合物とを同じ段階で反応容器に添加することを特徴とし、化合物(A)は少なくとも1つの芳香環を有し、芳香環上にアミノ基、ならびに水酸基、水酸基の塩、チオール基、およびチオール基の塩から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する化合物である、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
2.上記1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、反応容器中で無機スルフィド化剤1モルに対して化合物(A)を0.01モル以上0.5モル以下の範囲で存在させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
3.上記1または2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、反応容器中で、無機スルフィド化剤1モル対してトリハロゲン化芳香族化合物を0.001モル以上0.025モル以下の範囲で存在させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
4.アミノ基を400μmol/g以上、5,000μmol/g以下の範囲で含有し、下記式(1)で表されるアミノ基過剰度が0.10以上0.60以下であるポリアリーレンスルフィド。
アミノ基過剰度={(アミノ基量)-(分子量算出全末端量)}/(分子量算出全末端量)(1)
ここで、分子量算出全末端量は(2/数平均分子量)×10

μmol/gで表される値であり、数平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出される値である。
5.上記4に記載のポリアリーレンスルフィドであって、数平均分子量が1,000以上15,000以下であるポリアリーレンスルフィド。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分子鎖中にアミノ基が多く導入されたポリアリーレンスルフィドを、簡便な方法で効率よく提供することができる。また、本発明の製造方法で製造されたアミノ基を有するポリアリーレンスルフィドは製造後の形態が粒径の制御された粉体である特徴を有しており、取扱が容易であるため作業性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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