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公開番号2024039122
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-22
出願番号2022143434
出願日2022-09-09
発明の名称ゴム補強用ポリエステル繊維コード
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D06M 13/352 20060101AFI20240314BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂を含まず、環境負荷低減に有利な代替原料を使用した新規の接着処理剤からなるゴム補強用ポリエスエル繊維コードであって、従来RFL接着剤と同等以上の初期接着力を発現し、かつゴム加硫工程や製品使用時にゴム中で長時間高温に曝された時の耐熱接着力が著しく改善され、耐疲労性が向上し、タイヤの補強材として好適なゴム補強用ポリエステル繊維コードに関する。またディップ工程において樹脂カス蓄積を抑制でき生産性の良好なゴム補強用ポリエステル繊維コードを提供する。
【解決手段】ポリエステル繊維が、少なくとも(A)オキサゾリン基を含む化合物、(B)ブロックドイソシアネート化合物、(C)ゴムラテックス、(D)エポキシ化合物の四種を含む第1処理剤によって被覆され、さらにその外層として、少なくとも(a)リグニン誘導体、(b)ブロックドイソシアネート化合物、(c)ゴムラテックスの三種を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、第1処理剤は、全固形分を100重量%として、(A)オキサゾリン基を含む化合物が10~50重量%、(B)ブロックドイソシアネート化合物が3~13重量%、(C)ゴムラテックスが20~60重量%、(D)エポキシ化合物が20~60重量%含有するものであり、かつ、第2処理剤に含まれる(a)リグニン誘導体の数平均分子量が10000~60000でありかつ重量平均分子量が80000~130000であり、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂を含まないことを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエステル繊維が、少なくとも(A)オキサゾリン基を含む化合物、(B)ブロックドイソシアネート化合物、(C)ゴムラテックス、(D)エポキシ化合物の四種を含む第1処理剤によって被覆され、さらにその外層として、少なくとも(a)リグニン誘導体、(b)ブロックドイソシアネート化合物、(c)ゴムラテックスの三種を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、第1処理剤は、全固形分を100重量%として、(A)オキサゾリン基を含む化合物が10~50重量%、(B)ブロックドイソシアネート化合物が3~13重量%、(C)ゴムラテックスが20~60重量%、(D)エポキシ化合物が20~60重量%含有するものであり、かつ、第2処理剤に含まれる(a)リグニン誘導体の数平均分子量が10000~60000でありかつ重量平均分子量が80000~130000であり、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂を含まないことを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維コード。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記第1処理剤に含まれる(B)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項3】
前記第2処理剤に含まれる(b)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項4】
前記第1処理剤に含まれる(B)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであり、かつ、前記第2処理剤に含まれる(b)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項5】
前記第1処理剤に含まれる(C)ゴムラテックスが、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)20~100、かつTgが-70℃~-30℃のVPラテックスを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項6】
前記第2処理剤に含まれる(c)ゴムラテックスが、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)20~100、かつTgが-70℃~-30℃のVPラテックスを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項7】
前記第1処理剤に含まれる(B)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであり、かつ、前記第2処理剤に含まれる(b)ブロックドイソシアネート化合物が、2官能型のMDI系ブロックドイソシアネートであり、さらに、
前記第1処理剤に含まれる(C)ゴムラテックスが、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)20~100、かつTgが-70℃~-30℃のVPラテックスを含むものであり、かつ、前記第2処理剤に含まれる(c)ゴムラテックスが、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)20~100、かつTgが-70℃~-30℃のVPラテックスを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項8】
前記第1処理剤に含まれる(A)オキサゾリン基含有化合物が、Tgが0~80℃、かつオキサゾリン基量が1.0~5.0mmol/g,solidであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項9】
コード表層のタキネスが2.0~10.0N/cm2であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項10】
前記第2処理剤処理剤の乾燥重量で全固形分を100重量%としたとき、(a)リグニン誘導体の含有量が5~50重量%であり、(a)リグニン誘導体と、(b)ブロックドイソシアネート化合物の固形分重量比が、(aの固形分):(bの固形分)=10:1~10:20であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷低減に有利な新規の接着処理剤からなり、耐熱接着力が著しく改善されたゴム補強用ポリエステル繊維コードに関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
タイヤ、ホース、ベルトなどのゴム製品には、補強材としてナイロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維が広く使用されている。ゴム製品のこれら合成繊維とゴム組成物とを接着させる手段として、レゾルシン、ホルマリンからなるレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂およびゴムラテックスを含むRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)接着剤が従来から広く使用されている。しかし、レゾルシンとホルマリンはいずれも劇物であり、環境負荷が高く、健康への有害性から、近年、使用時の大気中への放出の抑制や、使用量の削減が求められている。
【0003】
また、上述のようにゴム製品には合成繊維が補強材として広く使用されている中、特にポリエステル繊維は、優れた強度、弾性率および熱寸法安定性を有するため、特にタイヤ用途において好適に使用されている。ポリエステル繊維は補強材としてゴム製品中に埋め込まれて使用される時、その高温環境下では熱劣化する。その化学的熱劣化はゴム自身およびゴム中に配合されている種々の添加物の影響を受ける。アミン系老化防止剤が配合されたゴム中で高温処理を受けたポリエステル繊維は、主にこれらのアミン系化合物、ゴム自身の酸化劣化によって生じた低分子量化合物や水分子およびゴム中に含まれていた水分等によってアミン分解や加水分解される。かかるアミン分解や加水分解されたポリエステル繊維は接着性や強力等初期の特性を著しく低下させ使用に耐えられなくなるという問題があった。
【0004】
ポリエステル繊維がアミン分解や加水分解すると、分子鎖切断に伴う強力低下やゴムと繊維層との接着性の低下を生じる。しかしながら、ポリエステル繊維をゴム補強用繊維として用いた場合にはかかる欠点を有するものの、高強力、高弾性率、熱寸法安定性に優れ、かつ耐疲労性や接着性の改良も進み、またタイヤ製造技術の向上と相まって、近年は殆どの乗用車ラヂアルタイヤのカーカス材として用いられている。とはいっても、前記本質的な欠点を有しているため、タイヤ高速走行時に発熱した熱がこもりにくく化学劣化し難い、比較的小さなタイヤサイズの乗用車用カーカス材に限られて使用されているのが現状である。トラック、バス等の大型タイヤではごく一部に使用されているに過ぎない。一般には、トラック、バス用タイヤ、航空機用タイヤ、ランフラットタイヤ、ラジアルタイヤのキャッププライ材等にはポリエステル繊維コードは使用されていない。
【0005】
キャッププライ材やランフラットタイヤ補強材などはカーカス材に比べ一段と発熱し高温となるため、従来のポリエステル繊維コードでは使用に耐えず、耐熱接着力に優れるナイロン66やレーヨン繊維がそれぞれ、一般には使用されている。コスト、供給安定性、弾性率の点からタイヤ補強材の繊維素材としてはポリエステル繊維が好ましいが、これら用途への適用のためにはポリエステル繊維コードの耐熱接着力の大幅な改善が必要である。
【0006】
また、繊維にゴムとの接着性を保有させるため、上記RFLに代表される接着剤を繊維表面に処理することが必須であるが、接着剤処理プロセスにおいて、付与される接着剤組成に起因する樹脂カスがディッピングマシンのロール等、処理装置に付着し、清掃のため連続生産が困難になるという生産性の低下や、ロール上に蓄積した樹脂カスが、ディップコード表層に転写して品位異常に繋がるという問題があった。
【0007】
上記問題に対する技術として、例えば特許文献1~6の先行技術がある。
【0008】
特許文献1には、特定の官能基を有する熱硬化性樹脂と不飽和エラストマーラテックスを含む水性接着剤組成物でポリエステル繊維を処理する手法について開示されている。
【0009】
特許文献2には、ポリフェノール類、クロルフェノール樹脂及びリグニン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分、及び前記成分以外の水溶性ポリマー又は前記成分以外の水分散性ポリマーから選択される少なくとも1種の成分を含む有機繊維用接着剤でポリエステル繊維を処理する手法について開示されている。
【0010】
特許文献3には、3官能以上の特定のブロックドイソシアネートオリゴマー、ラテックス、ポリアクリレートまたはリグニン化合物、及び添加剤を含む水性接着剤組成物でポリエステル繊維を処理する手法について開示されている。
(【0011】以降は省略されています)

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