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公開番号2024010593
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-24
出願番号2022112022
出願日2022-07-12
発明の名称スポイラを有するカイト
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類B64C 31/06 20200101AFI20240117BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】 テザーに接続されて空中に飛揚されるカイトに於いて、迎角が小さいときでも有効な剥離作用が得られるスポイラを提供する。
【解決手段】 左右の翼部を有するカイト1は、左右の翼部のそれぞれの上面に設けられた平板状3aのスポイラ3L、3Rにして、その前縁3afが翼部上面1aに枢着され、その後縁3arが翼部上面から離れる方向に枢動可能であるスポイラを有し、スポイラの後縁3arに於いて、該スポイラの平板の面方向に対して交差し、翼部上面から離れる方向に延在した板状部3bが設けられている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
テザーに接続されて空中に飛揚されるカイトであって、
左右の翼部と
前記左右の翼部のそれぞれの上面に設けられた平板状のスポイラにして、その前縁が前記上面に枢着され、その後縁が前記翼部上面から離れる方向に枢動可能であるスポイラを有し、
前記スポイラの後縁に於いて、該スポイラの平板の面方向に対して交差し、前記翼部上面から離れる方向に延在した板状部が設けられているカイト。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
請求項1のカイトであって、前記スポイラの後縁に於ける前記板状部が前記スポイラの平板の面方向に対して略垂直方向に延在しているカイト。
【請求項3】
請求項1のカイトであって、前記スポイラが前記翼部の後縁よりも前縁に近い部位に配置されているカイト。
【請求項4】
請求項1のカイトであって、前記板状部の前記スポイラの後縁との接続部分から末縁までの長さが、前記スポイラの前縁から後縁までの長さの5~20%であるカイト。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、上空に飛揚し係留されるカイト(凧)に係り、より詳細には、カイトの表面に設けられる空力デバイスであるスポイラの形状に係る。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
上空にカイトなどの飛行体を飛揚し、風力発電などを行うカイトシステムの利用が検討されている(例えば、特許文献1)。カイトシステムに於ける飛行体は、その飛揚及び滞空のためのエネルギーとして、主として高高度域に流れる偏西風或いは貿易風等の気流エネルギーを利用することとなるので、省エネルギーの観点から極めて有利である。そのようなカイトシステムに於ける飛行体であるカイトに関して、例えば、特許文献2に於いては、線状部材(テザー)に接続された飛行体(カイト)の飛行の安定性を向上させる技術として、風圧から揚力を発生させる翼部と線状部材上に設けられる起点部とを接続する接続部に於いて、翼部が受ける力に応じて弾性変形する変形部を設け、変形部の変形によって、起点部から翼部の一方の端部までの距離と、起点部から翼部の他方の端部までの距離との比率を変更可能に構成することが開示されている。また、特許文献3に於いては、後退翼を有する凧型飛行体(カイト)の強度を確保しつつ、飛行安定性を向上する構造として、左右翼部の後縁であって、凧型飛行体の左右方向に凧型飛行体の重心を通って延びる直線と左右翼部の揚力作用点を結ぶ曲線との交点よりも左右翼部の端部側のそれぞれに、板状部材を取り付け、板状部材の後端が後退翼の翼面よりも上側に位置するように傾いた構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-94521
特開2021-154976
特開2022-37630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如きカイトシステムに於けるカイトのロール方向の姿勢制御のための一つの構成として、カイトの左右翼部の上面に於いて、スポイラの如き空力デバイスを設け、左右翼部上面に流れる気流を適宜剥離して、左右翼部に作用する揚力の大きさを低下する構成が有効である。また、カイトのような構造が弾性的である飛行体の場合、その翼部の後端寄りに空力作用のあるデバイスを設置すると、翼部の後側がねじれる変形が発生して、空力作用の効果が低下し、或いは、期待する作用とは逆方向の作用が生じ得るので(エルロンリバーサル等)、スポイラは、翼部の前端寄りに設けられることが多い。そして、カイトに於いて、カイトの受けている風力とテザーからの張力とがほぼつり合い、上空でほぼ静止している状態では、カイト自体の速度が略0であり、これにより、カイトの姿勢に対する風の変動の影響が相対的に大きくなるので、できるだけ広範囲の姿勢条件にて、スポイラによる空力作用(揚力の低下)が有効であることが好ましい。
【0005】
上記の如きカイトの上面に取り付けられるスポイラに関して、本発明の発明者の研究によれば、左右翼部上面に於ける揚力の調節のためのスポイラを翼部の前端寄りに設けた構成の場合、スポイラの形状が単なる平板状であるときには、翼部の迎角(風向きに対する翼部の前後方向の角度-図2(B)中のα参照)が小さくなると、スポイラの空力作用が低下し、かかる作用が逆向きにも成り得ることが見出された。より詳細には、スポイラの空力作用は、平板状のスポイラが翼部上面からその面と交差する方向に外方へ突出することにより、翼部前端から流れてきた気流を翼部上面から剥離して、翼部上面に作用する揚力を低下させることであるところ、平板状のスポイラを翼部の前端寄りに設けただけの場合、迎角が小さいときは、スポイラで一旦剥離した流れが、スポイラ後流で再付着や回り込みにより、剥離の作用効果が十分に発揮されないことが見出された(図3(B)参照)。そこで、本発明の発明者が、スポイラの形状について検討したところ、スポイラの形状として、平板形状の後縁に板状部が翼部上面から離れる方向に延在又は直立している形状を採用すると、迎角が小さいときでも有効な剥離作用が得られることが見出された。本発明に於いては、この知見が利用される。
【0006】
かくして、本発明の課題は、カイトに於いて、迎角が小さいときでも翼部上面に於ける気流の有効な剥離作用が得られるスポイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の課題は、テザーに接続されて空中に飛揚されるカイトであって、
左右の翼部と
前記左右の翼部のそれぞれの上面に設けられた平板状のスポイラにして、その前縁が前記上面に枢着され、その後縁が前記翼部上面から離れる方向に枢動可能であるスポイラを有し、
前記スポイラの後縁に於いて、該スポイラの平板の面方向に対して交差し、前記翼部上面から離れる方向に延在した板状部が設けられているカイト
によって達成される。
【0008】
上記の構成に於いて、「カイト」とは、カイトシステムに於いて、テザーに接続されて空中に飛揚される任意の形式のカイトであってよい。カイトは、前後方向の中心軸から左右方向に延在する翼部を有し、それらの前縁から後縁へ流れる気流(風)により揚力を得て空中へ飛揚される。テザーは、カイトと地上の施設又は別の飛行体との間を接続するテザー(ロープ)であってよい。「平板状のスポイラ」は、上記の如く、左右の翼部のそれぞれの上面に於いて、その前縁が枢着され、その後縁が翼部上面から離れる方向に枢動可能に取り付けられる空力デバイスである。翼部上面に対するスポイラの平板の延在方向の角度(スポイラ角)が有意な角度となると、スポイラによって、翼部前縁から翼部上面に沿って流れてくる気流が剥離され、その程度に応じて、翼部の揚力が低減される。左右翼部のスポイラのスポイラ角は、任意の手法にて制御されてよく、実施形態の欄に於いて詳述される如く、スポイラ角が大きくなるほど、翼部の揚力の低減作用が大きくなるので、左右のスポイラ角をそれぞれ調節することによって、左右翼部の揚力が調節され、カイトのロール姿勢が制御されることとなる。
【0009】
上記のカイトの左右の翼部上面のそれぞれに設けられるスポイラの形状に関して、既に触れた如く、その形状が単なる平板状である場合には、カイトの迎角が小さくなると、翼部の揚力の低減作用が低下し、例えば、迎角が0°であるときには、殆ど、翼部の揚力の低減作用が発揮されないどころか、翼部の揚力を上昇させる作用が生ずることとなる。そこで、本発明によるカイトのスポイラに於いては、上記の如く、スポイラの後縁に於いて、板状部が、該スポイラの平板の面方向に対して交差し、翼部上面から離れる方向に延在するように設けられる。かかる構成によれば、カイトの迎角が小さくても、スポイラによる翼部上面に沿う気流の剥離作用がより効果的に発揮され、例えば、迎角が0°であるときでも、翼部の揚力が有意に低減できることとなる。
【0010】
上記の本発明の構成に於いて、スポイラの後縁に於ける板状部は、スポイラの平板の面方向に対して略垂直方向に延在していてよい。これにより、スポイラによる気流の強制的な剥離がより効果的に達成されることとなる。また、翼部の風洞試験等に於けるスポイラによる揚力の低減効果と翼部の受ける抵抗とのバランスとの評価により、板状部のスポイラの後縁との接続部分から末縁までの長さは、スポイラの前縁から後縁までの長さの5~20%が適当であることが見出されている。
(【0011】以降は省略されています)

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