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公開番号2024042916
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022147839
出願日2022-09-16
発明の名称自由落下運航システム
出願人個人
代理人個人
主分類B64C 37/02 20060101AFI20240322BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】飛行動力を最小限に抑えることにより、エネルギー資源の使用を抑止し、災害時、有事、極地等といった通常の輸送が困難な場所に物資を運ぶことを目的とする。また中電波の届かない状況でも慣性航法による自動飛行により、迅速かつ柔軟に物資を運ぶことを目的とする。
【解決手段】気球及び気球の下方に当該気球と切り離し可能なように接続された飛行体であり、前記飛行体は、少なくとも機体胴体、左右の翼及び垂直尾翼を有し、左右の翼の揚力によって向き、高度、速度により航路を調整することを特徴とする自由落下運航システムである。また前記機体胴体にプロペラが設置されており、当該プロペラの回転で発生する回転運動エネルギーを利用して、向き、高度、速度により航路を調整することを特徴とする更に前記飛行体が衛星測位システムを用いて飛行体の飛行位置を測量する装置を有することを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
気球及び気球の下方に当該気球と切り離し可能なように接続された飛行体とから構成された自由落下運航システムにおいて、前記飛行体は、少なくとも機体胴体、左右の翼及び垂直尾翼を有し、左右の翼の揚力によって向き、高度、速度により航路を調整することを特徴とする自由落下運航システム。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
更に前記機体胴体にプロペラが設置されており、左右の翼により発生する揚力と、前記プロペラの回転で発生する回転運動エネルギーを利用して、向き、高度、速度により航路を調整することを特徴とする請求項1に記載された自由落下運航システム。
【請求項3】
前記飛行体が衛星測位システムを用いて飛行体の飛行位置を測量する装置を有することを特徴とする請求項1又は2に記載された自由落下運航システム。
【請求項4】
前記飛行体が、飛行体の高度、位置又は時間を検出し、速度及び移動距離を算出することにより飛行体の地上における位置を測量する装置を有し、及び\又は飛行体の現在位置を発信し、前記飛行体を予め設定された目的地まで誘導することを特徴とする請求項1又は2に記載された自由落下運航システム。
【請求項5】
前記プロぺラが、回転運動エネルギーを発生させる発電装置に接続され、回転運動エネルギーにより産出された電力を利用して飛行体の向き、高度、速度により航路を調整することにより、前記飛行体を予め設定された目的地まで誘導することが可能であることを特徴とする請求項2に記載された自由落下運航システム。
【請求項6】
前記飛行体が電波の受信器及び発信器を有しており、飛行体外部からの電波を受信し、または電波を発信することによって飛行体を無線通信の中継基地として機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載された自由落下運航システム。
【請求項7】
前記飛行体が、飛行体の高度、位置又は時間を検出し、検出された情報を監視者へ送信し、前記情報を受信した監視者は、飛行体の動作を制御する信号を飛行体に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載された自由落下運航システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、気球によって一定の高度まで上昇した後に飛行体を切り離し、切り離された飛行体が目的地まで下降速度を調整しながら飛行し、一定距離に達した後は落下飛行する自由落下運航システムに関するものである。
また気象観測や、電波中継が必要な場面で、上空滞空時間を確保しながら上空観測や上空中継を行うことができる運航システムに関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
本願発明者は、災害時、有事、極地等といった通常の輸送が困難な場所に、ある程度の誤差の範囲で物資を運ぶことができるシステムを検討していた。
現在、物資を目的地まで運ぶ方法としては、トラック輸送やドローン輸送などが挙げられる。このような技術を利用して、本発明が目的とする災害時、有事、極地等といった通常の輸送が困難な場所に物資を運ぶ方法として利用することが考えられる。
しかしながら、トラック輸送は、化石燃料や電気の利用が不可避である。化石燃料においては、地下資源の採掘や大型タンカーの座礁など自然環境を破壊することが問題視されており、貴重な生物資源の減少が人類の生活に及ぼす影響が危惧されている。
【0003】
その他、排気ガス、渋滞、ドライバー不足、道路、路線等のインフラによる制約によって、災害時や極地等への輸送が困難となることは容易に想定される。
また、ドローン輸送については、ドローン自体の重量によって物資輸送には非効率である点が問題となっている。特に現在のドローンは蓄電池を内蔵しているため、飛行する距離や運ぶ物資の重量によっては、ドローン自体が巨大化し、重量も増加してしまうため、効率が悪くなり、飛行距離も大きく制限されてしまう問題点が指摘されている。
また現在実用化されているドローンは電子機器による遠隔操作によって運用されている。そして、高圧送電線からの放電、他の無線通信を行う無線局、鉄道や工場等からの妨害電波やその他の違法な電波、高層ビル等の大規模建築物や鉄道、道路等の高架構造物による電波の遮蔽、反射によるゴーストや森林地帯における電波の減衰等に起因する電子機器の障害の発生が問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するためにドローンによる輸送には、中継基地局の建設等が必要となり、結果的に莫大な初期投資費用が必要となってしまう。
また本発明は、災害時、有事、極地に物資を運ぶことを目的としているが、このような場合には、中継基地局が未設置の場所への物資の搬送が困難となる。更に災害時には電波障害や建物の崩落等、中継基地局又はシステム自体に何らかも問題が発生することも考えられるため、迅速かつ柔軟な対応をドローン輸送では確保できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平4―126697号公報
特許第7055915号公報
特許第3711538号公報
特開2021―28473号公報
特開2000-214254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、飛行動力を最小限に抑えることにより、エネルギー資源の使用を抑止し、災害時、有事、極地等といった通常の輸送が困難な場所に物資を運ぶことを目的とする。特に一定の高度まで上昇する際に燃料の使用を抑制することによって、脱炭素の要請にも適合することを目的とする。
また本発明は、中継基地局の設置を必要とせず、初期投資費用を大幅に低廉させ、電波の届かない状況でも慣性航法による自動飛行により、迅速かつ柔軟に物資を運ぶことを目的とする。
また本発明は蓄電池を備えた飛行体における筐体の巨大化や重量の増加を抑止し、効率的に長距離飛行を達成することを目的とする。
更に本発明は、重力、自重、落下速度、揚力、風力を利用した再生可能エネルギーを活用し、飛行体を誘導しながら、ある程度の誤差の範囲で物資を運ぶことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
(1)本発明は、気球及び気球の下方に切り離し可能なように接続された飛行体とから構成された自由落下運航システムにおいて、前記飛行体は、少なくとも機体胴体、左右の翼及び垂直尾翼を有し、左右の翼の揚力によって向き、高度、速度により航路を調整することを特徴とする自由落下運航システムである。
ここで気球と飛行体との切り離しは、気球と飛行体との接合部に電気的又は電磁的な切離構造を有することにより行う。例えば、運航システムが所定の高度に達した際に、高度、緯度、経度情報を得た内蔵されたコンピュータが、無線、有線回線を通じて、サーボモータ制御回路、駆動回路に信号を送り、サーボモータ(モータの動きを角度に変える)を駆動させ、フックを自動開錠することによって行うことができる。
また飛行体の落下速度を調整することによって、着陸時の衝撃を調整し、飛行体の損傷を防止する。更に到着点付近にてパラシュートなどを利用して、着地時の衝撃を弱めることも可能である。また左右の翼の角度を調整することによって飛行体の向きや高度を変えることが可能である。また飛行体の航路を調整するために左右の翼が使用されるため、飛行体の向き、高度、速度の調整については、最小限の機能である。その他の飛行体の動作に左右の翼を使用することも可能である。
【0008】
さらに本発明に係る気球についても回収することが可能である。 例えば、本発明に係る気球は、飛行体を切り離した後に、気球内の気体を排出する。そして気球の下方に設けた解除装置には、主翼が設置されている。当該主翼によって、気球の飛行を安定させ、主翼の角度を調節して揚力を得ながら所望の航路を飛行することが可能となる。また主翼の角度を調整することによって舵をとることも可能であり、気球の航路を修正する機能を補助することができる。
さらに解除装置の先端は、プロペラを設置することも可能である。当該プロペラは、気球が落下する時に発生するプロペラの回転によって発生する回転運動エネルギーを利用して落下速度を調整することができる。このような機能によって、気球をある程度の目的地範囲に航行させることが可能となる。
本発明の構成を採用することによって、飛行体と接続された気球を一定高度まで上昇させることができるため、飛行動力を最小限に抑えることができる。そしてこのような作用効果によって、エネルギー資源の使用を抑止し、災害時、有事、極地等といった通常の輸送が困難な場所に物資を運ぶことが可能となる。特に一定の高度まで上昇する際に燃料の使用を抑制することによって、脱炭素の要請にも適合する優れた効果を奏する。
【0009】
(2)更に前記機体胴体にプロペラが設置されており、当該プロペラの回転で発生する回転運動エネルギーを利用して向き、高度、速度により航路を調整する装置を有する上記(1)に記載された自由落下運航システムである。
本発明に係るプロペラは、機体の落下運動に空気抵抗を与えて、落下速度を下げる機能を有する。また場合によってはプロペラの仰角を変えて、電動で回転させることで揚力を発生させ、機体を上昇させる機能を有する。また飛行体の航路を調整するためにプロペラが使用されるため、飛行体の向き、高度、速度の調整については、最小限の機能である。その他の飛行体の動作にプロペラの機能を使用することも可能である。
このようなプロペラは、例えば、機体胴体の先端又は左右の翼の前方二箇所に設置することが考えられる。上記プロペラの機能を発揮できる状態であれば、プロペラの数に限定はなく、機体胴体の他の箇所に設置することも可能である。
【0010】
(3)前記飛行体が衛星測位システムを用いて飛行体の飛行位置を測量する装置を有し、及び\又は飛行体から電波を発信することによって飛行体を無線通信の中継基地として機能させることを特徴とする請求項1に記載された自由落下運航システム。上記(1)又は(2)に記載された自由落下運航システムである。
ここで本発明で使用される衛星測位システムとは、全地球測位システム(GPS)等を用いて、地上における位置を測量するGNSSのことである。このようなGNSSを飛行体に組込むことによって、飛行体の位置を測量することができる。一般的には4機以上の衛星から送信された電波を、複数の測量用受信機で同時観測し、これらのデータを組み合わせて解析し、観測点間の幾何学的な三次元の位置関係を数センチメートル以下の誤差で得るシステムのことである。測量では、ナビ用の測位信号に加え、その信号を載せた搬送波(波長約19.0cm、24.4cm、25.5cm)の情報も使って衛星までの距離を測ることなどにより、測位精度をメートル級からセンチメートル級に高めることも可能である。解析には衛星の軌道情報が必要であり、衛星から送信される放送暦を利用することができる。測量の座標値を得るには基準点での同時観測が必要となるが、国土地理院が全国に設けた電子基準点(常時GNSS観測を行う施設)のデータを利用することで可能となる。
また飛行体の現在位置を発信する装置は、飛行体を無線通信の中継基地として機能する。無線通信は、電波、赤外線、可視光、音波、超音波、パルス信号、X線等を利用して行われる。通信測量された飛行位置を発信するパルス信号発信機等が挙げられる。
また本発明は、中継基地局の設置を必要とせず、初期投資費用を大幅に低廉させ、電波の届かない状況でも自動飛行により、迅速かつ柔軟に物資を運ぶことが可能である。
また本発明に係る飛行体は、いわゆる慣性航法を採用することも可能である。すなわち、ジャイロスコープ、加速度センサ、気圧高度計等によって、向き、傾き、速度、現在位置、高度を測定し、現在移動速度、移動高度、位置、目的地までの残存距離、残存高度を随時測定記録しながら所定の目的地まで飛行体を誘導しながら物資を運ぶことも可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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