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公開番号2024002628
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-11
出願番号2022101950
出願日2022-06-24
発明の名称アコヤガイ殻黒変病原因細菌を検出するためのプライマーセット、方法、及びキット
出願人国立大学法人富山大学,国立大学法人三重大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C12Q 1/689 20180101AFI20231228BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】アコヤガイ殻黒変病原因細菌の検出に有用なプライマーセット等を提供する。
【解決手段】アコヤガイ殻黒変病原因細菌をLAMP法で検出するためのプライマーセットであって、(1)特定の配列を有する第1の塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むFIPプライマー、(2)特定の配列を有する第2の塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むBIPプライマー、(3)特定の配列を有する第3の塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むF3プライマー、及び(4)特定の配列を有する第4の塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むB3プライマーを含むプライマーセットが開示される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アコヤガイ殻黒変病原因細菌をLAMP法で検出するためのプライマーセットであって、
(1) 配列番号1で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むFIPプライマー、
(2) 配列番号2で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むBIPプライマー、
(3) 配列番号3で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むF3プライマー、及び
(4) 配列番号4で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むB3プライマー
を含むプライマーセット。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
(5) 配列番号5で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むループプライマーを更に含む、請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項3】
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculum属細菌である、請求項1又は2に記載のプライマーセット。
【請求項4】
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculumsp. Pbs-1株である、請求項1又は2に記載のプライマーセット。
【請求項5】
試料中のアコヤガイ殻黒変病原因細菌を検出する方法であって、
(1) 配列番号1で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むFIPプライマー、
(2) 配列番号2で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むBIPプライマー、
(3) 配列番号3で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むF3プライマー、及び
(4) 配列番号4で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むB3プライマー
を含むプライマーセットを用いたLAMP法により、試料中の核酸を鋳型として増幅反応を行う工程A、及び
工程Aの反応生成物中の増幅産物を検出する工程B
を含む方法。
【請求項6】
プライマーセットが、(5) 配列番号5で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むループプライマーを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ループプライマ―の濃度が、0.5~1μMである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程Aが、60℃以上65℃未満で30~60分間実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
試料が、50pg以上の核酸を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
FIPプライマー及びBIPプライマーの濃度が、それぞれ、1~2μMである、及び/又は、F3プライマー及びB3プライマーの濃度が、それぞれ、0.1~0.5μMである、請求項5に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アコヤガイ殻黒変病原因細菌を検出するためのプライマーセット、方法、及びキット等に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
日本の真珠養殖は三重県、長崎県、及び愛媛県の3県を合わせて生産量の約9割を占めている。これらの地域で生産されるアコヤ真珠は、世界的にも非常に評価が高い。その年間生産量と輸出額はそれぞれ20トンと300億円を超え、地域経済・産業の根幹を担っているとともに、輸出品としても重要な産業となっている。特に、三重県は真珠養殖発祥の地であり、大珠作成法の開発や、厘珠や小珠の主要生産地として、生産量だけでは計れない重要な地域であるが、近年、真珠形成母貝アコヤガイの殻黒変病が深刻化し、そのような伝統技術の継承も危ぶまれている。
【0003】
本症例は1967年に初報告され、2022年現在も解決には至っていない。重症な殻黒変病個体は死に至り、真珠を収穫できる個体が養殖開始時の半分に満たない年すらある。また、死に至らなくても本疾病個体は、抱いている真珠にも黒変様の「しみ」が形成され、低品質真珠(ドクズ珠)として格下げとなり、取引価格に雲泥の差が出る。そのため、真珠養殖業者は真珠を安定的に生産することが非常に困難であり、1993年から2003年の10年間で、三重県、愛媛県、及び長崎県にける真珠養殖の経営体数は、それぞれ36%、28%、24%も減少した。特に三重県での減少が著しく、2013年時の経営体数は、283経営体(最盛期の10%)にまで減少している。このように、殻黒変病は、真珠養殖業者の間で大きな問題として捉えられており、殻黒変病に対する対策が急務とされているが、その原因すらわかっていなかった。そのような中、富山大学を中心とした研究コンソーシアムは、日本国内の主要養殖地(三重・愛媛・長崎)におけるアコアヤガイの殻黒変病の発症状況を調査し、殻黒変病に特定の細菌が高密度に感染している可能性を見出し(非特許文献1)、さらに研究を進めた結果、殻黒変病個体からTenacibaculum sp. Pbs-1株を単離し、本菌株を健常な母貝に感染させて殻黒変病を再現することに成功し、約50年間不明だった殻黒変病の一因を特定した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
真珠形成母貝アコヤガイの寄生虫病に関する新展開-その被害状況の把握と原因の究明-、酒徳昭宏、藤村卓也、伊藤美智子、高島成剛、一色正、日本応用生物学会誌、30、1-6、2017
Newly isolated bacterium Tenacibaculum sp. Strain Pbs-1 from diseased pearl oysters is associated with black-spot shell disease, Sakatoku A., Fujimura T., Ito M., Takashima S., Isshiki T., Aquacluture, 493, 61-67, 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アコヤガイ殻黒変病原因細菌の一つであるTenacibaculumsp. Pbs-1株の感染の有無を確認する方法は、非特許文献2に記載の、富山大学が開発したPCR-DGGEによるものしかなく、操作の煩雑性や検出までに時間が掛かることなど問題点も多い。
【0006】
したがって、本発明は、アコヤガイ殻黒変病原因細菌の検出に有用なプライマーセット、方法、及びキット等を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のプライマーセットを用いたLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法により、アコヤガイ殻黒変病原因細菌を迅速、特異的、及び高感度に検出できることを見出した。本発明は、当該知見を基に更に検討を重ねて完成したものである。
【0008】
本発明は、以下の態様を包含する。
[項1]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌をLAMP法で検出するためのプライマーセットであって、
(1) 配列番号1で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むFIPプライマー、
(2) 配列番号2で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むBIPプライマー、
(3) 配列番号3で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むF3プライマー、及び
(4) 配列番号4で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むB3プライマー
を含むプライマーセット。
[項2]
(5) 配列番号5で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むループプライマーを更に含む、項1に記載のプライマーセット。
[項3]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculum属細菌である、項1又は2に記載のプライマーセット。
[項4]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculumsp. Pbs-1株である、項1又は2に記載のプライマーセット。
[項5]
試料中のアコヤガイ殻黒変病原因細菌を検出する方法であって、
(1) 配列番号1で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むFIPプライマー、
(2) 配列番号2で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むBIPプライマー、
(3) 配列番号3で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むF3プライマー、及び
(4) 配列番号4で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むB3プライマー
を含むプライマーセットを用いたLAMP法により、試料中の核酸を鋳型として増幅反応を行う工程A、及び
工程Aの反応生成物中の増幅産物を検出する工程B
を含む方法。
[項6]
プライマーセットが、(5) 配列番号5で表される塩基配列、又は当該塩基配列において1又は2個の塩基が挿入、欠失、又は置換されている塩基配列を含むループプライマーを更に含む、項5に記載の方法。
[項7]
ループプライマ―の濃度が、0.5~1μMである、項5又は6に記載の方法。
[項8]
工程Aが、60℃以上65℃未満で30~60分間実施される、項5~7のいずれかに記載の方法。
[項9]
試料が、50pg以上の核酸を含む、項5~8のいずれかに記載の方法。
[項10]
FIPプライマー及びBIPプライマーの濃度が、それぞれ、1~2μMである、及び/又は、F3プライマー及びB3プライマーの濃度が、それぞれ、0.1~0.5μMである、項5~9のいずれかに記載の方法。
[項11]
工程Bが、トリアリールメタン色素で染色して検出する工程である、項5~10のいずれかに記載の方法。
[項12]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculum属細菌である、項5~11のいずれかに記載の方法。
[項13]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌が、Tenacibaculumsp. Pbs-1株である、項5~11のいずれかに記載の方法。
[項14]
アコヤガイ殻黒変病原因細菌をLAMP法で検出するためのキットであって、項1~4のいずれかに記載のプライマーセットを含むキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプライマーセットを用いたLAMP法により、アコヤガイ殻黒変病原因細菌を迅速、特異的、及び高感度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
実施例2のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
実施例3のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
実施例4のLAMP法による増幅産物及びその制限酵素消化物の電気泳動結果を示す図である。
実施例5のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
実施例6のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
実施例7のLAMP法による増幅産物の電気泳動結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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