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公開番号2025133103
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2025031522
出願日2025-02-28
発明の名称非ヒト哺乳動物の腫瘍に対する分子標的抗腫瘍剤のスクリーニング方法
出願人国立大学法人 東京大学,国立大学法人東京農工大学
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250903BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】非ヒト哺乳動物の腫瘍の個別化治療に適した分子標的抗腫瘍剤を効率よくスクリーニングする方法の提供。
【解決手段】アベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、及びトラメチニブ、並びに場合によりトセラニブ、オラパリブ、ダブラフェニブ、及び/又はエンコラフェニブを含む分子標的抗腫瘍剤のセットを含む、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤感受性検査キット、及びそのような分子標的抗腫瘍剤のセットを用いた、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、及びトラメチニブを含む分子標的抗腫瘍剤のセットを含む、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤感受性検査キット。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
分子標的抗腫瘍剤のセットがトセラニブ及びオラパリブの少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
分子標的抗腫瘍剤のセットがダブラフェニブ又はエンコラフェニブをさらに含む、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
分子標的抗腫瘍剤のセットがアベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、トラメチニブ、トセラニブ、オラパリブ、及びエンコラフェニブを含む、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
非ヒト哺乳動物がイヌ又はネコである、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
非ヒト哺乳動物が、肝細胞癌、腸腺癌、粘液腺癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、血管肉腫、肺腺癌、副腎皮質癌、腺癌、腎細胞癌、平滑筋腫、脂肪腫、副腎皮質腺腫、肝細胞腺腫、肉腫、膵島細胞癌、リンパ腫、移行型髄膜腫、腱鞘巨細胞腫瘍、肥満細胞腫、直腸腺癌、悪性黒色腫、扁平上皮癌、血管周皮腫、尿路上皮癌、T細胞リンパ腫、甲状腺癌、滑膜肉腫、肛門嚢腺癌、消化管間質腫瘍、組織球性肉腫、線維肉腫、胸腺腫、骨肉腫、神経内分泌癌、及び上皮性腫瘍からなる群から選択されるいずれかの腫瘍を有する、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
分子標的抗腫瘍剤のセットを用いた、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤のスクリーニング方法であって、
分子標的抗腫瘍剤のセットが、アベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、及びトラメチニブを含み、
前記セットのそれぞれの分子標的抗腫瘍剤により、非ヒト哺乳動物個体が有する腫瘍に由来するか又は前記非ヒト哺乳動物個体が有する腫瘍と同じ腫瘍種の同種異系腫瘍に由来する培養細胞を処理し、
各分子標的抗腫瘍剤の処理後の培養細胞の増殖レベルを評価し、
処理後の培養細胞の増殖が抑制された分子標的抗腫瘍剤を、前記非ヒト哺乳動物個体の腫瘍が感受性を有する抗腫瘍剤として選択することを含む、方法。
【請求項8】
培養細胞が、オルガノイドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分子標的抗腫瘍剤のセットがトセラニブ及びオラパリブの少なくとも一方をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
分子標的抗腫瘍剤のセットがダブラフェニブ又はエンコラフェニブをさらに含む、請求項7又は9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非ヒト哺乳動物の腫瘍に対する分子標的抗腫瘍剤のスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
分子標的抗腫瘍剤(分子標的薬)は、標的分子特異的な阻害活性を有しており、分裂細胞すべてを標的とする殺細胞性抗癌剤に比べ、副作用が少なく有効性が高いことが知られている。しかし、分子標的抗腫瘍剤の阻害活性の標的となる標的分子異常は、腫瘍腫毎に、さらに同一腫瘍種であっても患者毎にしばしば異なっており、そのため分子標的抗腫瘍剤の有効性は患者毎に異なる。そこで、有効性の期待される標的分子について患者毎に個別にスクリーニングし、その結果に基づき有効な治療薬候補を選択することによる分子標的抗腫瘍剤の個別化治療が、有望な治療法として期待されている。一方で、多種多様な分子標的抗腫瘍剤の標的分子異常について患者毎に個別にスクリーニングすることは多大な労力を有し、患者の負担も大きい。特に非ヒト哺乳動物においては個別化治療はまだ確立していない。
【0003】
3次元(3D)オルガノイド培養法は、様々な臓器由来の上皮細胞をマトリゲルと混合し、Wnt、Noggin、R-spondinなどの幹細胞性を高める因子を含む培地で培養することにより、3次元の上皮組織様構造を構築する方法として開発された(非特許文献1)。近年、患者検体の細胞から、ヒト臓器や器官に類似した3次元構造を有するオルガノイドを作製する技術が確立された(例えば、非特許文献2、3)。非特許文献4は、膀胱癌患者動物の尿中の腫瘍細胞を培養して膀胱癌オルガノイドを非侵襲的に作製する技術を報告している。
【0004】
特許文献1は、3次元オルガノイド由来の細胞を2次元で培養して得られた2.5次元(2.5D)オルガノイドを製造する方法を開示しており、2.5次元オルガノイドを用いた抗癌剤感受性試験を行ったことを示している。非特許文献5は、腫瘍組織から2.5次元オルガノイドを直接製造する方法を開示している。特許文献2は、ネコ乳腺腫瘍オルガノイド製造方法を開示しており、ネコ乳腺腫瘍オルガノイドを用いた抗癌剤感受性試験を行ったことを示している。
【0005】
しかし特許文献1及び2に開示された抗癌剤感受性試験では、特定の癌由来オルガノイドに対する抗癌剤の感受性が調べられたのみである。多様な患者個体の種々の腫瘍に対して個別化された分子標的抗腫瘍剤の効率的な選択を可能にする分子標的抗腫瘍剤パネルについては、これらの文献には何ら記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-145646号公報
特開2022-165800号公報
【非特許文献】
【0007】
Sato et al., Nature, 459(7244): 262-265, (2009)
Wetering et al., Cell, 161(4): 933-945, (2015)
Boj et al., Cell, 160(1-2): 324-338, (2015)
Elbadawy et al., Cancer Sci., 110(9): 2806-2821, (2019)
Abugomaa A. et al., Biomedicine & Pharmacotherapy, 154 (2022) 113597
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、非ヒト哺乳動物の腫瘍の個別化治療に適した分子標的抗腫瘍剤を効率よくスクリーニングする方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療に適した抗腫瘍剤のスクリーニングに有用な、分子標的抗腫瘍剤のセット(組合せ/パネル)を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]アベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、及びトラメチニブを含む分子標的抗腫瘍剤のセットを含む、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤感受性検査キット。
[2]分子標的抗腫瘍剤のセットがトセラニブ及びオラパリブの少なくとも一方をさらに含む、上記[1]に記載のキット。
[3]分子標的抗腫瘍剤のセットがダブラフェニブ又はエンコラフェニブをさらに含む、上記[1]又は[2]に記載のキット。
[4]分子標的抗腫瘍剤のセットがアベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、トラメチニブ、トセラニブ、オラパリブ、及びエンコラフェニブを含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載のキット。
[5]非ヒト哺乳動物がイヌ又はネコである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のキット。
[6]非ヒト哺乳動物が、肝細胞癌、腸腺癌、粘液腺癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、血管肉腫、肺腺癌、副腎皮質癌、腺癌、腎細胞癌、平滑筋腫、脂肪腫、副腎皮質腺腫、肝細胞腺腫、肉腫、膵島細胞癌、リンパ腫、移行型髄膜腫、腱鞘巨細胞腫瘍、肥満細胞腫、直腸腺癌、悪性黒色腫、扁平上皮癌、血管周皮腫、尿路上皮癌、T細胞リンパ腫、甲状腺癌、滑膜肉腫、肛門嚢腺癌、消化管間質腫瘍、組織球性肉腫、線維肉腫、胸腺腫、骨肉腫、神経内分泌癌、及び上皮性腫瘍からなる群から選択されるいずれかの腫瘍を有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のキット。
[7]分子標的抗腫瘍剤のセットを用いた、腫瘍を有する非ヒト哺乳動物の個別化治療のための抗腫瘍剤のスクリーニング方法であって、
分子標的抗腫瘍剤のセットが、アベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、及びトラメチニブを含み、
前記セットのそれぞれの分子標的抗腫瘍剤により、非ヒト哺乳動物個体が有する腫瘍に由来するか又は前記非ヒト哺乳動物個体が有する腫瘍と同じ腫瘍種の同種異系腫瘍に由来する培養細胞を処理し、
各分子標的抗腫瘍剤の処理後の培養細胞の増殖レベルを評価し、
処理後の培養細胞の増殖が抑制された分子標的抗腫瘍剤を、前記非ヒト哺乳動物個体の腫瘍が感受性を有する抗腫瘍剤として選択することを含む、方法。
[8]培養細胞が、オルガノイドである、上記[7]に記載の方法。
[9]分子標的抗腫瘍剤のセットがトセラニブ及びオラパリブの少なくとも一方をさらに含む、上記[7]又は[8]に記載の方法。
[10]分子標的抗腫瘍剤のセットがダブラフェニブ又はエンコラフェニブをさらに含む、上記[7]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]分子標的抗腫瘍剤のセットがアベマシクリブ、アレクチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、トラメチニブ、トセラニブ、オラパリブ、及びエンコラフェニブを含む、上記[7]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]非ヒト哺乳動物がイヌ又はネコである、上記[7]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]非ヒト哺乳動物が、肝細胞癌、腸腺癌、粘液腺癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、血管肉腫、肺腺癌、副腎皮質癌、腺癌、腎細胞癌、平滑筋腫、脂肪腫、副腎皮質腺腫、肝細胞腺腫、肉腫、膵島細胞癌、リンパ腫、移行型髄膜腫、腱鞘巨細胞腫瘍、肥満細胞腫、直腸腺癌、悪性黒色腫、扁平上皮癌、血管周皮腫、尿路上皮癌、T細胞リンパ腫、甲状腺癌、滑膜肉腫、肛門嚢腺癌、消化管間質腫瘍、組織球性肉腫、線維肉腫、胸腺腫、骨肉腫、神経内分泌癌、及び上皮性腫瘍からなる群から選択されるいずれかの腫瘍を有する、上記[7]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]各分子標的抗腫瘍剤の処理後の培養細胞の細胞生存数を決定し、非処理の培養細胞の細胞生存数と比較した、処理後の培養細胞の細胞生存数の比率を指標として増殖レベルを評価する、上記[7]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15]非処理の培養細胞の細胞生存数と比較した、処理後の培養細胞の細胞生存数の比率が50%以下であることが示された分子標的抗腫瘍剤を、前記非ヒト哺乳動物個体の腫瘍が感受性を有する抗腫瘍剤として選択する、上記[14]に記載の方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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