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公開番号2025175313
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-03
出願番号2022172278
出願日2022-10-27
発明の名称人工臓器及びその製造方法
出願人個人,国立大学法人 東京大学,公立大学法人横浜市立大学,MatriSurge株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20251126BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞充填率に優れ、臓器の機能が維持された人工臓器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】人工臓器の製造方法は、哺乳動物の臓器又はその一部に対して脱細胞化処理を行い、脱細胞化された臓器又はその一部を得ることと、前記脱細胞化された臓器又はその一部に細胞を生着させる細胞化処理を行い、前記細胞が生着した臓器を得ることと、を含み、前記細胞化処理は、前記脱細胞化された臓器又はその一部に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を含むオルガノイドを穿刺注入すること、及び、前記脱細胞化された臓器又はその一部の血管内に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を灌流させること、を含む。人工臓器は、前記人工臓器の製造方法によって得られる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
哺乳動物の臓器又はその一部に対して脱細胞化処理を行い、脱細胞化された臓器又はその一部を得ることと、
前記脱細胞化された臓器又はその一部に細胞を生着させる細胞化処理を行い、前記細胞が生着した臓器を得ることと、
を含み、
前記細胞化処理は、
前記脱細胞化された臓器又はその一部に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を含むオルガノイドを穿刺注入すること、及び、
前記脱細胞化された臓器又はその一部の血管内に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を灌流させること、
を含む、人工臓器の製造方法。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記哺乳動物が、ヒト以外の哺乳動物である、請求項1に記載の人工臓器の製造方法。
【請求項3】
前記細胞が、ヒト由来の細胞である、請求項1又は2に記載の人工臓器の製造方法。
【請求項4】
前記臓器が実質臓器である、請求項1又は2に記載の人工臓器の製造方法。
【請求項5】
前記臓器が肝臓又は腎臓である、請求項1又は2に記載の人工臓器の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の人工臓器の製造方法によって得られる、人工臓器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、人工臓器及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年の再生医療分野の発展により、皮膚や消化管粘膜、角膜をはじめとした薄層組織や、骨、軟部組織等の比較的単純な構造及び機能を有する組織の再生研究が加速度的に進んでいる。一方、臓器単位の研究開発は遅れをとっている。その理由として三次元臓器が持つ非常に複雑な構造及び機能を理解し、再現することが未だに困難である点が挙げられる。特に社会的ニーズの高い肝臓、腎臓、膵臓をはじめとした実質臓器不全に対する根本的治療になり得るような機能的臓器再生技術の開発は、まだ道半ばである。これまで立体臓器の再生を具現化するためにさまざまな技術開発が行われている。
【0003】
臓器構造を再生するにあたり、1)適切な細胞外マトリックス(ECM)、2)微小構造から大血管までの連続する三次元構造、3)十分な細胞の供給が必要となる。このような複雑な立体臓器の再生を実現化するため、2008年にOttらは実質臓器そのものを脱細胞化した臓器骨格を再生医療に応用する手法を世界に先駆けて報告している(例えば、特許文献1参照)。この手法は、生体組織から種々の方法を用いて細胞をすべて取り除き、残った線維性タンパク質であるECMの骨格を組織再生に利用するものである。実際に、すでに同様の手法によって得られたヒトの皮膚を用いた脱細胞化組織(Alloderm(登録商標))やブタ心臓弁を用いた脱細胞化組織(Hancock(登録商標))等が製品化され、医療用素材として臨床応用されている。
【0004】
また、発明者らは、ブタ肝臓に脱細胞化処理を施した後、脱細胞化処理されたブタ肝臓内部に血管からブタの肝臓細胞と血管内皮細胞を注入し、充填することで、肝臓細胞及び血管内皮細胞が十分量生着した人工肝臓の作製に成功したことを報告している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2009-505752号公報
【非特許文献】
【0006】
Higashi H et al., “Transplantation of bioengineered liver capable of extended function in a preclinical liver failure model”, Am J Transplant., Vol. 22, Issue 3, pp. 731-744, 2022.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1等に記載の、脱細胞化処理された肝臓内部に血管から肝臓細胞と血管内皮細胞を注入する方法では、脈管構造の再構築に優れている。しかしながら、アルブミン産生能が低く、改良の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細胞充填率に優れ、臓器の機能が維持された人工臓器及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、脱細胞化された臓器に、血管から細胞(シングルセル)を注入し、且つ、オルガノイドを直接穿刺注入することで、細胞充填率が向上し、臓器の機能が維持された人工臓器が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 哺乳動物の臓器又はその一部に対して脱細胞化処理を行い、脱細胞化された臓器又はその一部を得ることと、
前記脱細胞化された臓器又はその一部に細胞を生着させる細胞化処理を行い、前記細胞が生着した臓器を得ることと、
を含み、
前記細胞化処理は、
前記脱細胞化された臓器又はその一部に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を含むオルガノイドを穿刺注入すること、及び、
前記脱細胞化された臓器又はその一部の血管内に、前記臓器を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞を灌流させること、
を含む、人工臓器の製造方法。
(2) 前記哺乳動物が、ヒト以外の哺乳動物である、(1)に記載の人工臓器の製造方法。
(3) 前記細胞が、ヒト由来の細胞である、(1)又は(2)に記載の人工臓器の製造方法。
(4) 前記臓器が実質臓器である、(1)~(3)のいずれか一つに記載の人工臓器の製造方法。
(5) 前記臓器が肝臓又は腎臓である、(1)~(4)のいずれか一つに記載の人工臓器の製造方法。
(6) (1)~(5)のいずれか一つに記載の人工臓器の製造方法によって得られる、人工臓器。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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