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公開番号
2025083418
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-30
出願番号
2025036363,2020550560
出願日
2025-03-07,2019-10-03
発明の名称
細胞情報処理方法
出願人
富士フイルム株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12Q
1/04 20060101AFI20250523BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 本発明の目的は、異なる複数の種類の細胞集団が混在する場合に、個々の細胞集団の変化の作用機序を効率的に解析するための細胞情報処理方法を提供することである。
【解決手段】本発明の細胞情報処理方法は、細胞回収ステップと、シングルセル化ステップと、シングルセルデータ取得ステップと、各時点におけるクラスタリング結果を取得するグルーピングステップと、各時点におけるクラスタリング結果を比較することにより、同じ細胞種の細胞集団の経時的な変化を検出する細胞変化検出ステップと、検出結果に基づいて、同じ細胞種の細胞集団の経時的な変化の作用機序を解析する作用機序解析ステップと、を含む、方法である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
異なる複数種類の細胞を含む対象細胞群を播種した所定の容器を少なくとも2以上用意し、前記対象細胞群に対し、所定の細胞刺激を与えて培養し、2以上の時点で、1つの容器内にある全細胞を回収する細胞回収ステップと、
各時点で回収した全細胞をシングルセル化するシングルセル化ステップと、
各時点のシングルセル化された各細胞からシングルセルデータを取得するシングルセルデータ取得ステップと、
各時点の前記シングルセルデータに基づいて、各時点で回収された全細胞を共通の第1の細胞特徴を有する複数の細胞集団にグループ分けして二次元平面又は三次元空間上にプロットし、且つ、第2の細胞特徴に基づいて、グループ分けした各細胞集団の細胞種を同定する処理を行い、各時点におけるクラスタリング結果を取得するグルーピングステップと、
前記各時点におけるクラスタリング結果を比較することにより、同じ細胞種の前記細胞集団の経時的な変化を検出する細胞変化検出ステップと、
前記検出結果に基づいて、前記同じ細胞種の前記細胞集団の経時的な変化の作用機序を解析する作用機序解析ステップと
を含み、
前記作用機序解析ステップは、前記同じ細胞種の前記細胞集団ごとに、前記各時点での前記遺伝子発現量の変動パターンの類似性に基づいて、各時点で回収された全細胞をグループ分けした少なくとも1つの第1の細胞集団と、前記遺伝子発現量における遺伝子の生物学的機能の類似性に基づいて、各時点で回収された全細胞をグループ分けした少なくとも1つの第2の細胞集団と、を時系列関係、生物学的関係、またはベイジアンネットワークのいずれかで紐づけることにより前記細胞集団間の状態の相互作用を推定する細胞情報処理方法。
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【請求項2】
前記細胞変化検出ステップは、前記各時点におけるクラスタリング結果を比較することにより、前記同じ細胞種の前記細胞集団を構成する細胞数の経時的な変化、及び経時的な前記第1の細胞特徴の変化を検出する請求項1に記載の細胞情報処理方法。
【請求項3】
前記細胞変化検出ステップは、さらに、前記各時点におけるクラスタリング結果において、前記同じ細胞種の前記細胞集団を構成する細胞数の経時的変化、及び経時的な前記第1の細胞特徴の変化を検出する請求項2に記載の細胞情報処理方法。
【請求項4】
前記細胞回収ステップは、さらに、上記所定の細胞刺激を与えずに培養する前記複数種類の細胞を含む対象細胞群を用意し、1以上の時点で、1つの前記所定の容器内にある全細胞を回収し、
前記細胞変化検出ステップは、前記各時点におけるクラスタリング結果を比較することにより、前記細胞集団の前記所定の細胞刺激の有無による、前記同じ細胞種の細胞集団の経時的な変化を評価する請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞情報処理方法。
【請求項5】
前記作用機序解析ステップにおいて、前記細胞刺激の分子ターゲットを解析する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞情報処理方法。
【請求項6】
前記作用機序解析ステップにおいて、前記細胞刺激の分子ターゲットを解析し、治療を想定した適応例を特定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞情報処理方法。
【請求項7】
前記治療を想定した適応例は、細胞刺激により改善が見込める疾患もしくは症状、または分子ターゲットに関連する疾患もしくは症状である、請求項6に記載の細胞情報処理方法。
【請求項8】
前記分子ターゲットは、細胞刺激が直接的に、または間接的に働きかける細胞内外の分子である、請求項6または7に記載の細胞情報処理方法。
【請求項9】
前記細胞刺激は、化学的刺激および物理的刺激からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞情報処理方法。
【請求項10】
前記化学的刺激は、細胞に対して生物学的な反応を誘起する薬剤の添加によるものである、請求項9に記載の細胞情報処理方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞情報処理方法に関する。特に、異なる複数の細胞種を含む対象細胞群において実施する各細胞種の同定方法、若しくは各細胞種の薬効及び薬理スクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
薬剤の最適な適応症または用法・容量を探索する場合、複数の細胞に対する薬剤等による細胞刺激の効果を判定し、さらに作用機序を解析した結果から、薬剤等と最適な適応症を選択する。
従来、このような薬効及び薬理のスクリーニング方法としては、図7に示すように、各ウェル52に配置された個々の細胞種54、56、及び58のみからなる細胞集団に薬剤をそれぞれ与えて培養し、その薬効を各細胞集団の平均化データから解析する方法、又は、臓器から抽出された複数の細胞種を含む細胞集団に薬剤を与えて培養し、薬効を細胞集団の平均化データを用いて解析する方法が用いられてきた。
【0003】
しかし、同種の細胞のみからなる細胞集団でも、個々の細胞の経時的な動的挙動(例えば、細胞の活性化、細胞の阻害、細胞の相互作用、タンパク質発現、タンパク質分泌、細胞増殖、細胞形態の変化、細胞死等)に不均一性があるため、従来の方法では、十分に精度の高い解析を行なえていなかった。そこで、近年では、さらに解析精度を高めるために、同種の細胞のみからなる細胞集団を構成する細胞をシングルセル化し、個々の細胞(単一細胞)レベルでの分子生物学的な解析(シングルセル解析)が行われている。このようなシングルセル解析により、細胞集団の平均化データの解析ではなく、個々の細胞を解析することができるようになったため、平均化データによる解析では検出できなかった細胞や、小さな動的挙動の変化を検出することができるようになった。また、このようなシングルセル解析は、例えば、癌細胞のシングルセルトランスクリプトーム解析により、癌組織中に存在する細胞亜種を分類することに用いられている。また、シングルセル解析を用いて細胞活性を評価する方法として、特許文献1に記載される方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、細胞活性を評価する方法であって、(a)領域上に異なる複数種類の細胞を含む細胞集団を設置する工程、即ち、ナノウェルアレイプレート上の各ナノウェルに、異なる複数種類の細胞を含む細胞集団を設置する工程;(b)該細胞集団の動的な挙動を、時間の関数としてアッセイする工程、即ち、単一細胞レベルの動的な挙動を顕微鏡、蛍光顕微鏡等で可視化して(つまり、画像解析により)経時的に測定する工程;(c)該細胞集団から、該動的な挙動に基づいて、少なくとも1つの解析対象の細胞を同定する工程;(d)同定された少なくとも1つの解析対象の細胞の分子プロファイルを特徴付ける工程、即ち、同定された少なくとも1つの解析対象細胞について単一細胞レベルで、質量分析、遺伝子分析、タンパク質分析等を行い、転写活性、トランスクリプトームのプロファイル、遺伝子発現活性、ゲノムプロファイル、タンパク質発現活性、プロテオームのプロファイル、タンパク質の相互作用活性、細胞受容体の発現活性、脂質プロファイル、脂質活性、炭水化物プロファイル、微小胞活性、グルコース活性、代謝プロファイル、細胞受容体の発現活性等を取得する工程;および(e)工程(b)および(d)から得られた情報を相関させる工程を含む、上記方法が提案されている。
即ち、特許文献1に記載の方法は、異なる複数種類の細胞を含む細胞集団において、個々の細胞種の細胞活性を評価するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2018-514195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、人間が、画像解析によって少なくとも100~200個の細胞からなる細胞集団の動的な挙動を観察し、複数種類の細胞及び動的な挙動が異なる細胞の中から解析対象の単一細胞の同定及び選択を行い、人間によって選び出された単一細胞の動的な挙動の作用機序および細胞間相互作用を解析するものであるため、つまり、各細胞種の形態や、経時的な各細胞の動的な変化を人間が恣意的に判断して解析を行う細胞を同定及び選択するため、精度の高い解析結果を得ることができないという問題がある。
また、特許文献1の一実施態様として記載されているように、解析対象の細胞集団に免疫細胞が含まれる場合、具体的には、血液サンプル中に免疫細胞が含まれる場合、血液サンプルに薬剤を与えてから約24時間で細胞が死滅してしまうという事情がある。また、特許文献1に記載の解析方法は、薬剤を与えた細胞集団を経時的に観察し、解析を行うものであるため(つまり、1つのサンプルの観察を解析が終わるまで続けるものであり、また、さらに、解析対象の細胞の選択及び培養を繰り返しながら解析する方法であるため)、特許文献1に記載の方法を採用する場合、薬剤を細胞集団に与えてから少なくとも24時間以内に全ての解析を終わらせなければならないという非常に厳しい時間的制約がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法は、細胞同定や対象細胞の選択操作に手間やコストがかかり、また、その解析による評価の算出方法及びその結果も複雑であるため、効率的で、高精度、且つ迅速な評価及び解析を必要とする産業的に用いる方法としては実用的ではないという問題がある。
さらに、異なる複数の種類の細胞を含む細胞集団に薬剤をそれぞれ与えて培養し、シングルセル解析技術を用いて、異なる複数の細胞種を含む細胞集団において実施する各細胞種の同定方法、各細胞種の薬効及び薬理を効率的に解析する方法は現時点で報告されていない。
【0008】
また、図7に示すような薬効及び薬理スクリーニング方法を用いた薬剤の探索の初期段階では、薬剤(細胞刺激)による細胞死の無しの判断のみに基づいて、異なる細胞との相互作用解析や、薬効及び薬理のメカニズムの解析が進められるため、膨大な数の候補物質から薬剤となり得る物質を抽出してくる解析初期段階においては、例えば、細胞死が検出されたとしても、それがどのような要因により、細胞死が引き起こされたのか不明なまま、薬剤候補となり得なかったりする可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、従来技術の有する上記問題点を鑑みて、異なる複数の種類の細胞集団が混在する場合に、個々の細胞集団の変化の作用機序を効率的に解析するための細胞情報処理方法を提供することを目的とする。
より具体的に言えば、複数の細胞種が存在する細胞集団において実施する各細胞種の同定、若しくは薬効及び薬理スクリーニングをより簡単な操作で、高精度に且つ迅速に評価及び解析することができ、産業的な規模でも利用できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の細胞情報処理方法は、異なる複数種類の細胞を含む対象細胞群を播種した所定の容器を少なくとも2以上用意し、上記対象細胞群に対し、所定の細胞刺激を与えて培養し、2以上の時点で、1つの容器内にある全細胞を回収する細胞回収ステップと、各時点で回収した全細胞をシングルセル化するシングルセル化ステップと、各時点のシングルセル化された各細胞からシングルセルデータを取得するシングルセルデータ取得ステップと、各時点の上記シングルセルデータに基づいて、各時点で回収された全細胞を共通の第1の細胞特徴を有する複数の細胞集団にグループ分けして二次元平面又は三次元空間上にプロットし、且つ、第2の細胞特徴に基づいて、グループ分けした各細胞集団の細胞種を同定する処理を行い、各時点におけるクラスタリング結果を取得するグルーピングステップと、上記各時点におけるクラスタリング結果を比較することにより、同じ細胞種の上記細胞集団の経時的な変化を検出する細胞変化検出ステップと、上記検出結果に基づいて、上記同じ細胞種の細胞集団の経時的な変化の作用機序を解析する作用機序解析ステップと、を含むものである。
(【0011】以降は省略されています)
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