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公開番号2025081567
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-27
出願番号2025026311,2021059609
出願日2025-02-21,2021-03-31
発明の名称乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法および、乳頭突起形成促進剤
出願人株式会社ナリス化粧品
代理人
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250520BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明の課題は、乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法、および新規の乳頭突起改善剤を提供することである。
【解決手段】MMP-9が乳頭突起形成促進に関わることを明らかにし、表皮細胞のMMP-9遺伝子発現量、表皮細胞のMMP-9タンパク質量、表皮細胞の細胞収縮度の少なくとも1つを指標とした乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法を発明し、前記課題を解決した。さらに、該スクリーニング方法を用いたスクリーニングを実施し、本発明の指標によって乳頭突起形成促進作用を有すると判断されたワサビノキの抽出物に実際に乳頭突起形成促進作用を確認し、本発明を完成させるに至った。
【選択図】図9
特許請求の範囲【請求項1】
表皮細胞の細胞収縮度を指標とした乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法。
続きを表示(約 190 文字)【請求項2】
(1)表皮細胞に被験物質を添加し培養するステップ、
(2)表皮細胞の細胞収縮度を測定するステップ、
(3)ステップ(2)で得られた表皮細胞の細胞収縮度を被験物質の無添加群と比較し、表皮細胞の細胞収縮度を向上させる物質を、乳頭突起形成促進作用を有する物質と判断するステップ
を含んでなる請求項1に記載の乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有用な乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法およびこれにより選択される乳頭突起形成促進剤に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
皮膚は人体が外気と接する表層から順に表皮、真皮、皮下組織の3層から構成されている。表皮は、ケラチノサイト(角化細胞)という細胞からなり、真皮に近い深部から基底層、有棘層、顆粒層、角質層に分類される。表皮では分裂によりケラチノサイトが基底層から角層に向けて押し上げられ、表層から順にいわゆる垢として剥がれ落ちる。
【0003】
真皮は表皮に近い乳頭層と、それより深部に存在する網状層に分類される。乳頭層は主としてコラーゲンから構成される膠原線維とエラスチンから構成される弾性線維、その他の細胞外マトリックス成分、ファイブロブラスト(線維芽細胞)を含む。網状層は乳頭層よりも厚く、真皮の大部分を占める層である。網状層もコラーゲンから構成される膠原線維とエラスチンから構成される弾性線維を含むが、乳頭層の膠原線維よりも太く、乳頭層の弾性線維よりも成熟している。
【0004】
乳頭層の上層部には表皮に向けて突出した乳頭突起が形成されている。この乳頭突起の間に表皮層が入り込み、表皮と真皮の間で、真皮層の乳頭層と表皮層が相互にかみ合った凹凸構造が形成されている。表皮層と真皮層の間は基底膜と呼ばれる膜構造で隔てられており、乳頭突起は表皮層、真皮層、基底膜から構成される構造物であるといえる。
【0005】
真皮と表皮の間は基底膜で隔てられているが、真皮と表皮の間では乳頭突起を介してシグナル伝達、老廃物や栄養の輸送などの物質輸送が行われ、真皮と表皮がかみ合うことによって外部からの物理的刺激の緩和作用があるとされる。加えて、乳頭突起の形状は皮膚状態(角層水分量、経表皮水分蒸散量、角層細胞面積、皮膚色)とも関連があることが報告されており(特許文献1)、皮膚の状態を正常に保つためには、乳頭突起を適切に維持することが重要と考えられる。しかしながら、乳頭突起は加齢や紫外線によって平坦化し(非特許文献1)、変形や数の減少あるいは乳頭突起の喪失が生じることが知られている。そのため、乳頭突起を適切に維持する方法が求められている。
【0006】
このように、乳頭突起を適切に維持することは皮膚状態を維持する方法として非常に有効であるが、これまで乳頭突起の形成機構は明らかになっておらず、乳頭突起改善剤を探索する際には、実際にヒト皮膚に塗布して、乳頭突起状態そのものを観察し、評価する必要があった。しかしながら、乳頭突起は皮膚内部に存在する構造物であることから、その状態の評価は容易ではなく、ヒト皮膚を摘出して切片を作成して観察する、ヒト皮膚を摘出して表皮層を剥離の上電子顕微鏡で観察する、共焦点レーザー生体顕微鏡などの高価な機器を用いて観察する、など、観察試料提供者に対する物理的・精神的負担や、研究者の費用や労力を要する方法がとられてきた。そのため、乳頭突起の形成機構を解明し、簡易な乳頭突起形成促進剤のスクリーニング方法の開発が望まれていた。
【0007】
また、人体の乳頭突起構造の維持だけでなく、人工皮膚の製造においても乳頭突起形成の促進は重要である。人工皮膚は火傷、外傷など損傷を受けた皮膚の代替または再生のために利用されており、人工皮膚に使用し得る乳頭突起を有する皮膚モデルを得るための方法が知られている(特願2020―101725)。しかし、産業上利用可能な安定した品質の乳頭突起を有する皮膚モデルを製造するためには、乳頭突起形成を促す方法が求められていた。
【0008】
マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinase、以下「MMP」)は、触媒機構に金属が関与するプロテアーゼの一種であり、好中球ゼラチナーゼ、IV型コラゲナーゼ、ゼラチナーゼBとも呼ばれ、変性コラーゲン(ゼラチン)とネイティブコラーゲン(IV型、V型、XI型コラーゲン)に対して広い基質特異性を示す酵素で、タンパク質の分解に加えて生理活性物質の活性化などの生理現象に関与することが知られる。
例えば、MMP-9はRho/Rockシグナル経路を介して、アクトミオシンの収縮性を生み出し、細胞遊走などの細胞運動を引き起こすことが知られている(非特許文献2)。
しかしながら、これまで乳頭突起形成促進に対するMMP-9や細胞収縮の寄与は知られておらず、加えて、上述の通り、MMP-9は基底膜に特異的に発現するIV型コラーゲンを分解することが報告されており、皮膚疾患や皮膚の炎症、老化に関わるとしてそれらの改善のため、産生阻害が研究されることはあったが(非特許文献3)、皮膚状態の正常化を企図してMMP-9の機能を高めるという思想は存在しなかった。すなわち、従来乳頭突起構成要素の一つである基底膜を分解することが知られているMMP-9が乳頭突起形成促進に貢献するとは、全く知られていなかった。
【0009】
ワサビノキの抽出物の少なくとも1種のタンパク質フラクションのスキンケアへの使用(特許文献2)が知られているが、特定のタンパク質フラクションではないワサビノキの抽出物がMMP-9の機能を高める可能性については全く知られていなかった。また、モリンガ・オレイフェラまたはその抽出物を含む多種の素材から成る群より選択される成分のうちの1つ以上を含む、皮膚の調子を整える方法(特許文献3)が開示されているが、モリンガ・オレイフェラまたはその抽出物の作用は不明で、線維芽細胞による上昇したMMP発現レベルは、加速した加齢と関連付けられているとする思想に基づく方法であることから、全くMMPの発現の促進を企図した使用ではなかった。さらに、ワサビノキの90%エタノールによる抽出物には、上述のMMP-9を産生阻害する効果があり、MMP-9による細胞外マトリックスの分解を抑制する効果が報告されている(特許文献4)。以上述べたように、ワサビノキの抽出物の利用はいくつか知られてはいるものの、専らMMPもしくはMMP-9の機能を低減する意図で用いられてきたものであって、ワサビノキの抽出物がMMP-9の機能を高める可能性については全く知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2016-016277号公報
特表2002-507575号公報
特表2014-521698号公報
特表2012-530769号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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