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公開番号
2025069550
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-01
出願番号
2023179340
出願日
2023-10-18
発明の名称
繊維補強コンクリート造の耐力壁
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
E04B
2/56 20060101AFI20250423BHJP(建築物)
要約
【課題】壁を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、繊維補強コンクリート造の耐力壁を提供する。
【解決手段】繊維補強コンクリート造の耐力壁は、プレキャストコンクリート製の壁面を形成する繊維補強コンクリート体と、壁または柱からなるコンクリート造の躯体部と、を備え、繊維補強コンクリート体と躯体部との間の互いに対向する両端面には、凸部が連続して形成され、両端面の間には凸部に嵌合するようにシアコッター部が形成され、シアコッター部は、繊維補強コンクリート体、及び躯体部を形成するコンクリートの圧縮強度を上回る充填材で形成され、シアコッター部を介して繊維補強コンクリート体と躯体部が接合されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
繊維補強コンクリート造の耐力壁であって、
プレキャストコンクリート製の、壁面を形成する繊維補強コンクリート体と、
壁または柱からなるコンクリート造の躯体部と、
を備え、
前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部との間の互いに対向する両端面には、凸部が連続して形成され、前記両端面の間には前記凸部に嵌合するようにシアコッター部が形成され、
前記シアコッター部は、前記繊維補強コンクリート体、及び前記躯体部を形成するコンクリートの圧縮強度を上回る充填材で形成され、前記シアコッター部を介して前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部が接合されていることを特徴とする繊維補強コンクリート造の耐力壁。
続きを表示(約 410 文字)
【請求項2】
繊維補強コンクリート造の耐力壁であって、
プレキャストコンクリート製の、壁面を形成する繊維補強コンクリート体と、
前記繊維補強コンクリート体の圧縮強度を上回るコンクリートで形成される躯体部と、
を備え、
前記繊維補強コンクリート体の端面には、凸部が連続して設けられたシアコッター部が形成されており、
前記躯体部が、前記繊維補強コンクリート体のシアコッター部に嵌合することで、前記シアコッター部を介して、前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部が接合されていることを特徴とする繊維補強コンクリート造の耐力壁。
【請求項3】
前記繊維補強コンクリート体の前記凸部は、前記凸部の突出高さHに対する前記凸部の長さLの比(L/H)が、5以上7以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維補強コンクリート造の耐力壁。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維補強コンクリート造の耐力壁に関する。
続きを表示(約 6,100 文字)
【背景技術】
【0002】
建築構造物の耐力壁をコンクリートにより実現するに際し、壁をプレキャストコンクリートによりコンクリート体として形成し、このコンクリート体を、柱や梁等の、周囲の部材と接合することがある。この接合を強固なものとするために、コンクリート体に、シアコッターを形成することがある。
例えば特許文献1には、PC(プレキャスト鉄筋コンクリート造)フレームの柱と、PCフレーム内に組込まれるPC耐震壁板における、PCフレームの柱との接合面に、シアコッター(シャーコッタ)が設けられ、シアコッターと壁板と柱の接合部に対する充填後打ちモルタルとによって、壁板の鉛直ジョイントが構成されているプレキャスト鉄筋コンクリート造耐震壁が記載されている。
また、特許文献2には、プレキャストコンクリート製のパネル状の壁体の外周面と躯体側との間に、コッターを設け、モルタル等の自硬性充填材を充填する構成が記載されている。
更に、特許文献3には、上下の柱と左右の梁に囲まれた開口部内に耐震壁を設ける際、繊維補強コンクリートにより形成されたシアコッター(コッター部材)を、その突出部を開口部の内方に向けた状態で接着し、耐震壁を構成する鉄筋を、コッター部材の突出部同士の間に位置するように組み立て、これら鉄筋にコンクリートを打設することにより、開口部内に耐震壁を増設することが記載されている。
【0003】
ところで、繊維により補強されていない普通コンクリートにおいては、ひび割れが生じると、その後引張応力の負担が困難な状態となり、ひび割れが進行する。これに対し、特許文献3で使用されているような、コンクリートに繊維を練り混ぜた繊維補強コンクリートにおいては、いったんひび割れが生じても、ひび割れで分離したひび割れ面間を繊維が連結することで、ひび割れの進行が抑制され、なおかつ引張応力が繊維により負担される。また、普通コンクリートにおいては、圧壊した際に荷重支持能力が急激に失われるが、繊維補強コンクリートにおいては圧縮靭性に優れ、圧壊後でも大きな荷重を支持することができる。
このように、繊維補強コンクリートは、普通コンクリートに比べると、大きな引張応力を負担することが可能であり、また圧縮靭性に優れる。このため、壁を形成するコンクリート体を、特許文献1、2に記載されたようなプレキャストコンクリートとして製造する際に、特許文献3に記載されたようなシアコッターを一体に有するように、コンクリート体の全体を繊維補強コンクリートで製造すれば、せん断強度と靱性能に優れたシアコッターを有する、強固なコンクリート体を実現することができる可能性がある。
【0004】
ここで、特許文献3の構成においては、コッター部材の接合対象となる壁の部分を形成するコンクリートとしては、繊維補強コンクリートが使用されていない。仮に、引用文献3において、壁の部分を、普通コンクリートを打設することによって形成した場合には、例えば地震により耐力壁に力が作用した際に、コッター部材より先に、コッター部材が接合された接合対象となる壁の部分が破壊される可能性がある。すなわち、コッター部材に作用する応力に耐え得るように、繊維補強コンクリートを用いてコッター部材を設計、製造したとしても、コッター部材に作用する応力が設計値に到達する前に、コッター部材の接合対象が先に破壊されてしまう。
特許文献3においては、コッター部材は、事前に形成された柱や梁に接合されて使用される形態となっているが、シアコッターを一体に有するように、コンクリート体の全体を繊維補強コンクリートで製造する場合においても、同様な状態が生じ得る。すなわち、この場合においても、コンクリート体に作用する応力が設計値に到達する前に、コンクリート体の接合対象が先に破壊されてしまうため、耐力壁が、意図された強度を発揮できず、想定したよりも早く、破壊される可能性がある。
壁を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、耐力壁が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭63-197777号公報
特開平11-182056号公報
特開2002-13209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、壁を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、繊維補強コンクリート造の耐力壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の繊維補強コンクリート造の耐力壁は、繊維補強コンクリート造の耐力壁であって、プレキャストコンクリート製の、壁面を形成する繊維補強コンクリート体と、壁または柱からなるコンクリート造の躯体部と、を備え、前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部との間の互いに対向する両端面には、凸部が連続して形成され、前記両端面の間には前記凸部に嵌合するようにシアコッター部が形成され、前記シアコッター部は、前記繊維補強コンクリート体、及び前記躯体部を形成するコンクリートの圧縮強度を上回る充填材で形成され、前記シアコッター部を介して前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部が接合されていることを特徴とする。ここで躯体部は、繊維により補強されていない普通コンクリート、または繊維補強コンクリートで形成される。
上記のような構成においては、繊維補強コンクリート体は、繊維補強コンクリートを用いて、強固な構造を有するように製造されており、繊維補強コンクリート体の端面に設けられた、充填材で形成されるシアコッター部と嵌合することでシアコッターとして機能する凸部の各々の強度も、同様に高いものとなっている。このため、一つのシアコッター(凸部)に求められる強度が同じであれば、例えば通常のコンクリートを用いてコンクリート体を製造する場合よりも、繊維補強コンクリートを用いてコンクリート体を製造する方が、シアコッターの大きさを小さくすることができる。したがって、繊維補強コンクリート体の端面に設けることができるシアコッターの数が多くなり、繊維補強コンクリート体と、繊維補強コンクリート体が直接当接して接合される接合対象との接合が、強固なものとなる。
このように、繊維補強コンクリート体は、繊維補強コンクリートにより、強固に形成されている。しかし、繊維補強コンクリート体が直接当接して接合される接合対象の強度が十分でなければ、繊維補強コンクリート体に作用する応力に耐え得るように繊維補強コンクリート体及びこのシアコッター(凸部)を設計、製造したとしても、想定した応力に到達する前に、接合対象の方が先に破壊してしまう。ここで、繊維補強コンクリート体の端面と躯体部の端面の間には、充填材が充填されることで、繊維補強コンクリート体が直接当接して接合されるシアコッター部が形成されており、繊維補強コンクリート体に形成された、隣り合うシアコッターの間には、充填材が充填されて、シアコッター部とシアコッターが互いに嵌合された構成となっている。この、シアコッター部を形成する充填材は、繊維補強コンクリート体を形成するコンクリートを上回る圧縮強度を有するため、繊維補強コンクリート体の設計時に想定した応力に達する前に、繊維補強コンクリート体のシアコッターに嵌合するように設けられたシアコッター部の部分が先に破壊されることが、抑制される。
また、充填材の圧縮強度は、躯体部を形成するコンクリートをも上回っているため、躯体部と、充填材により形成されたシアコッター部と、の間においても、繊維補強コンクリート体の場合と同様に、躯体部の設計時に想定した応力に達する前に、躯体部のシアコッター(凸部)に嵌合するように設けられたシアコッター部の部分が先に破壊されることが、抑制される。
このようにして、繊維補強コンクリート体と躯体部の接合部分の強度を、確実に、繊維補強コンクリート体及び躯体部の強度によって、決定することができる。
したがって、壁面を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、耐力壁を提供することが可能となる。
【0008】
本発明の繊維補強コンクリート造の耐力壁は、繊維補強コンクリート造の耐力壁であって、プレキャストコンクリート製の、壁面を形成する繊維補強コンクリート体と、前記繊維補強コンクリート体の圧縮強度を上回るコンクリートで形成される躯体部と、を備え、前記繊維補強コンクリート体の端面には、凸部が連続して設けられたシアコッター部が形成されており、前記躯体部が、前記繊維補強コンクリート体のシアコッター部に嵌合することで、前記シアコッター部を介して、前記繊維補強コンクリート体と前記躯体部が接合されていることを特徴とする。
上記のような構成においては、繊維補強コンクリート体は、繊維補強コンクリートを用いて、強固な構造を有するように製造されており、繊維補強コンクリート体の端面に設けられた、躯体部と嵌合することでシアコッターとして機能する凸部の各々の強度も、同様に高いものとなっている。このため、一つのシアコッター(凸部)に求められる強度が同じであれば、例えば通常のコンクリートを用いてコンクリート体を製造する場合よりも、繊維補強コンクリートを用いてコンクリート体を製造する方が、シアコッターの大きさを小さくすることができる。したがって、繊維補強コンクリート体の端面に設けることができるシアコッターの数が多くなり、繊維補強コンクリート体と、繊維補強コンクリート体が直接当接して接合される接合対象との接合が、強固なものとなる。
このように、繊維補強コンクリート体は、繊維補強コンクリートにより、強固に形成されている。しかし、繊維補強コンクリート体が直接当接して接合される接合対象の強度が十分でなければ、繊維補強コンクリート体に作用する応力に耐え得るように繊維補強コンクリート体及びこのシアコッター(凸部)を設計、製造したとしても、想定した応力に到達する前に、接合対象の方が先に破壊してしまう。ここで、繊維補強コンクリート体には、躯体部が、繊維補強コンクリート体の端面に凸部が連続することで形成されたシアコッター部に嵌合することで、繊維補強コンクリート体と接合して設けられている。すなわち、繊維補強コンクリート体に形成された、複数のシアコッター(凸部)の間には、躯体部が嵌合する構成となっている。この躯体部は、繊維補強コンクリート体を形成する繊維補強コンクリートを上回る圧縮強度のコンクリートで形成されているため、繊維補強コンクリート体の設計時に想定した応力に達する前に、繊維補強コンクリート体のシアコッターに嵌合するように設けられた躯体部の部分が先に破壊されることが、抑制される。
このようにして、繊維補強コンクリート体と躯体部の接合部分の強度を、確実に、繊維補強コンクリート体の強度によって、決定することができる。
したがって、壁面を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、耐力壁を提供することが可能となる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記繊維補強コンクリート体の前記凸部は、前記凸部の突出高さHに対する前記凸部の長さLの比(L/H)が、5以上7以下となるように形成されている。
一般に、シアコッターに力が作用した際における破壊の形態として、シアオフ破壊と、支圧破壊が挙げられる。シアオフ破壊においては、シアコッターが形成された端面の部分で、シアコッターが端面の延在する方向にせん断されて破壊される。支圧破壊においては、シアコッターの、端面から立ち上がるように設けられる壁面と、シアコッターに嵌合して設けられている他の部材の、当該壁面に当接する壁面との間に作用する圧縮力により、これら壁面の部分が、部分的に圧縮されて破壊される。シアオフ破壊は、せん断抵抗力が急激に失われる、脆性的な破壊であるのに対し、支圧破壊においては、支圧破壊が生じた後においてもせん断力に対して依然として抵抗可能であるため、シアオフ破壊よりも支圧破壊が先行して生じるように設計するのが望ましい。
ここで、繊維により補強されていない普通コンクリートによりシアコッターを形成した場合において、シアオフ破壊よりも支圧破壊を先行させようとすると、シアコッターの突出高さHに対する、シアコッターが設けられた端面が延在する方向におけるシアコッターの長さLの比(L/H)を、6~10程度とする必要がある。これに対し、繊維補強コンクリートにおいては、普通コンクリートよりも1.2倍程度のせん断強度(シアオフ破壊に対する強度)を有し、支圧強度(支圧破壊に対する強度)は、普通コンクリートと同程度であることが、実験によりわかった。このため、繊維補強コンクリート体を繊維補強コンクリートにより形成するに際し、シアコッターとして機能する凸部の、突出高さHに対する長さLの比(L/H)の下限を、上記の比の下限である6を1.2により除算した値となる、5とすることで、シアオフ破壊よりも支圧破壊が先行して生じるようにすることが可能である。
また、凸部の、突出高さHに対する長さLの比(L/H)の上限を7と制限することで、より多くの凸部を設けることができる。
このようにして、上記のような構成により、強固な構造を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、壁を形成するコンクリート体をプレキャストコンクリートとして製造する際に、コンクリート体と接合対象との接合を強固なものとしつつ、接合部の早期の破壊を抑制することができる、繊維補強コンクリート造の耐力壁を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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