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公開番号2025058515
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023168497
出願日2023-09-28
発明の名称CO2分離回収転化装置およびCO2分離回収転化方法
出願人株式会社日立プラントサービス
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類B01D 53/14 20060101AFI20250402BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】運転コストが安く、設備の規模が従来よりも小さく、かつCO2を資源転化できるCO2分離回収転化装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るCO2分離回収転化装置1は、第三級アミンを含有するアミン溶液を収容することができる密閉式の第1タンク11と、前記第1タンク11に設けられた排気口12と、前記第1タンク11内に前記アミン溶液を供給するアミン溶液供給手段13と、前記第1タンク11内に塩化塩溶液または塩化塩粉末を供給する塩化塩供給手段14と、前記アミン溶液中にCO2含有ガスを散気させる散気板15と、前記散気板15の上方に設けられた攪拌翼16と、前記第1タンク11の下端に向かって徐々に水平断面積が小さくなる錐体形状の濃縮部17と、前記濃縮部17内で回転するレーキ18と、前記レーキ18の下部に設けられ、前記濃縮部17に堆積した炭酸塩を外部に排出する第1排出口19と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第三級アミンを含有するアミン溶液を収容することができる密閉式の第1タンクと、
前記第1タンクの気相部に設けられた排気口と、
前記第1タンク内に前記アミン溶液を供給するアミン溶液供給手段と、
前記第1タンク内に塩化塩溶液または塩化塩粉末を供給する塩化塩供給手段と、
前記第1タンクの下位部分に設けられた、前記アミン溶液中にCO

ガスを含有する気泡を散気させる散気板と、
前記散気板の上方に設けられ、前記CO

ガスを含有する気泡が十分に散気されたアミン溶液に前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末を供給した後、これらの混合溶液を攪拌する攪拌翼と、
前記散気板の下方に設けられ、前記第1タンクの下端に向かって徐々に水平断面積が小さくなる錐体形状の濃縮部と、
前記濃縮部内で前記濃縮部の傾斜に沿って回転するレーキと、
前記レーキの下部に設けられ、前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末が供給されることによって転化されて前記濃縮部に堆積した炭酸塩を外部に排出する第1排出口と、
を備えることを特徴とするCO

分離回収転化装置。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
第2タンクと第3タンクとを備え、
前記第2タンクは、
第三級アミンを含有するアミン溶液を収容することができる密閉式のタンクであり、かつ、
前記第2タンクは、
前記第2タンクの気相部に設けられた排気口と、
前記第2タンク内に前記アミン溶液を供給するアミン溶液供給手段と、
前記第2タンクの下位部分に設けられた、前記アミン溶液中にCO

ガスを含有する気泡を散気させる散気板と、
前記散気板の下方に設けられ、前記CO

ガスを含有する気泡が十分に散気されたアミン溶液を外部に排出する第2排出口と、
を備え、
前記第3タンクは、
第1配管を介して前記第2排出口と接続されており、前記CO

ガスを含有する気泡が十分に散気されたアミン溶液が前記第1配管により供給されるタンクであり、かつ、
前記第3タンクは、
前記第3タンク内に塩化塩溶液または塩化塩粉末を供給する塩化塩供給手段と、
前記CO

ガスを含有する気泡が十分に散気されたアミン溶液に前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末を供給した後、これらの混合溶液を攪拌する攪拌翼と、
前記第3タンクの下端に向かって徐々に水平断面積が小さくなる錐体形状の濃縮部と、
前記濃縮部内で前記濃縮部の傾斜に沿って回転するレーキと、
前記レーキの下部に設けられ、前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末が供給されることによって転化されて前記濃縮部に堆積した炭酸塩を外部に排出する第3排出口と、
を備えることを特徴とするCO

分離回収転化装置。
【請求項3】
前記アミン溶液供給手段が、前記アミン溶液を貯留する第1貯留タンクと、前記第1貯留タンクと前記第1タンクとを接続する第2配管と、前記第2配管上に設けられたポンプと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項4】
前記アミン溶液供給手段が、前記アミン溶液を貯留する第1貯留タンクと、前記第1貯留タンクと前記第2タンクとを接続する第2配管と、前記第2配管上に設けられたポンプと、を備えることを特徴とする請求項2に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項5】
前記塩化塩供給手段が、前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末を貯留する第2貯留タンクと、前記第2貯留タンクと前記第1タンクとを接続する第3配管と、前記第3配管上に設けられたポンプと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項6】
前記塩化塩供給手段が、前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末を貯留する第2貯留タンクと、前記第2貯留タンクと前記第3タンクとを接続する第3配管と、前記第3配管上に設けられたポンプと、を備えることを特徴とする請求項2に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項7】
前記第3排出口で回収されたアミン溶液を前記アミン溶液供給手段に送液する送液機構を備えている
ことを特徴とする請求項2に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項8】
前記散気板に接続された第6配管上に第1CO

濃度計測器を備えるとともに、前記排気口に第2CO

濃度計測器を備え、
前記第1CO

濃度計測器によるCO

濃度と前記第2CO

濃度計測器によるCO

濃度とに基づいて算出される前記アミン溶液に取り込まれたCO

のモル数と、前記アミン溶液中の前記第三級アミンのモル数と、の比で定義されるCO

ローディングが0.4~0.6の条件で前記散気板による前記CO

ガスを含有する気泡の散気を停止し、前記塩化塩供給手段による前記塩化塩溶液または前記塩化塩粉末の供給を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項9】
前記第1排出口が、ポンプを備えた第7配管と接続されていることを特徴とする請求項1に記載のCO

分離回収転化装置。
【請求項10】
前記第3排出口が、ポンプを備えた第8配管と接続されていることを特徴とする請求項2に記載のCO

分離回収転化装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素(CO

)分離回収装置およびCO

分離回収方法に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
CO

の排出削減に関しては、CO

を排出しない電化製品などの開発が進む一方で、CO

の排出が避けられない製品、設備もある。
例えば、メタンガスを燃料とする発電用ガスエンジンや火力発電所においては、大量のCO

を発生させる。そのような中、近年ではCO

を分離回収する手法が幾つか開発されている。そのようなCO

の分離回収手法としては、例えば、圧力スウィング法(Pressure Swing Adsorption;PSA法)や温度スウィング法(Thermal Swing Adsorption;TSA法)などの物理吸着法、膜分離法、アミン溶液などを用いる化学吸収法が挙げられる。これらの中でも、化学吸収法は、CO

の回収率の高さ、回収されるCO

の純度の面で、他の2つの手法に対して圧倒的な優位性を有する(例えば、非特許文献1~3)。
【0003】
なお、非特許文献1には、Direct Air Capture(DAC)法の説明および運転コストなどが記載されている。また、この非特許文献1には、DAC法と化学吸収法であるアミン吸収法を組み合わせるとよい旨などが記載されている。
ここで、図27は、従来のアミン吸収法の装置構造を説明する概略図である。図27に示すように、従来のアミン吸収法の装置構造は、アミン吸収塔260と、CO

を含有するアミン溶液を110~130℃で加熱してアミン溶液からCO

を回収するとともにアミン溶液を再生する再生塔270とを有する。
図28は、従来のアミン吸収塔260の構造を説明する概略図である。図28に示すように、アミン吸収塔260は、円筒状または角筒状の本体261と、当該本体261の上部に設けられた液分布器262と、液分布器262の下部に設けられた、充填材(剤)を有する充填層263と、充填層263を支持し、アミン溶液を通過させるとともにCO

含有ガスを通過させる孔部を有する支持板264と、支持板264の下方かつ本体261の側壁に設けられた、CO

を含むガスを導入する導入口265と、導入口265の下方に設けられた、アミン溶液を排出する排出口266と、本体上部の蓋部に設けられたガスを排気する排気口267とを有する。配管を通じて液分布器262から散布されたアミン溶液は、充填層263を通過する際に、支持板264の下方の導入口265から導入されたCO

含有ガスと接触してCO

を吸収し、本体下部の排出口266から排出される。排出口266から排出された、CO

をカルバメートや重炭酸イオンの形態で含有するアミン溶液は、再生塔270に送られる。一方、CO

の吸収を受けてCO

が除去されたガスは塔内を上り、排気口267から排気される。再生塔270ではCO

を吸収したアミン溶液を110~130℃で加熱し、アミン溶液とCO

とを分離する。CO

と分離されて再生されたアミン溶液は再びアミン吸収塔260に供給される。アミン溶液と分離されたCO

は別のプロセスで資源に転化される。
【0004】
他方、非特許文献2には、PSA法による高炉ガスからの炭酸ガス分離技術が記載されている。しかしながら、非特許文献2に記載されているようなPSA法には、図29に示すように、回収されるCO

の純度を上げると、CO

の回収率が低下するという欠点がある。なお、図29は、ゼオライトを用いたCO

吸着材281および活性炭282による炭酸ガスの分離について説明したグラフである。図中、横軸はCO

Recovery(回収されるCO

の純度)(%)を示し、縦軸はCO

Purity(CO

回収率)(%)を示している。PSA法は、CO

除去率(回収率)、回収されるCO

の純度の点ではアミンなどを用いる化学吸収法に及ばず、化学吸収法のように処理ガス中のCO

濃度を50ppm以下に下げることはできない。
【0005】
また、非特許文献3には、ゼオライトを用いたCO

分離膜などの膜分離法が記載されている。さらに、この非特許文献3には、メタンとCO

の分離の例が記載されている。ここで、例えば、天然ガス中のCO

を分離回収し、メタンガスを液化する際には、国内のLNG規格であるCO

濃度を100ppm以下にする必要がある。しかし、一般的な膜分離法には、化学吸収法ほどのCO

の除去性能はなく、アミン吸収法(化学吸収法)のように処理ガス中のCO

濃度を100ppm以下に下げることはできない。したがって、膜分離法では、膜分離を行った処理ガス中に残存するCO

を分離回収するため、アミンなどを用いる化学吸収法のAGR(Acid Gas Removal)で処理が行われる。これは、非特許文献3に記載されているCO

分離膜であっても同様である。なお、図30は、膜分離法でメタンとCO

を分離することを説明する説明図である。この図30は、膜分離法として一般的な分離係数(Separation Factor)が30のものを例示している。図31は、膜分離法でCO

を分離した後、AGRで処理を行い、日本のLNG規格を満たす50ppm未満にする場合の説明をする説明図である。
図30の例では、膜は、CO

の供給量の90%とCH

の供給量の23.1%を透過させ、CO

の供給量の10%とCH

の供給量の76.9%を非透過側に残存させる。そのため、図31に示すように、例えば、CO

を40モル%含むサワーガス(天然ガス)を膜で処理し、膜の非透過側に残存したCO

はAGRで処理して回収され、処理された天然ガス中のCO

濃度を日本のLNG規格を満たす50ppm未満にしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
「二酸化炭素のDirect Air Capture(DAC)法のコストと評価」、国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター、令和2年2月
斉間等、茂木康弘、原岡たかし、「PSA法による高炉ガスからの炭酸ガス分離技術の開発」、JFE技法、2013年8月、No.32、p.44-49
森田穣、川瀬健雄、宮田和明、「ゼオライト膜を用いた効率的なCO2分離回収技術の開発」、石油技術協会誌、平成28年(2016年)11月、81巻、6号、p.452-457(DOI:10.3720/japt.81.452)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した装置構造を有する従来のアミン吸収法の装置に関して、参考文献1(小宮山宏、藤谷義、「CO

分離プロセスのエネルギー効率から見た比較研究」、化学工学論文集、1993年、第19巻、5号、pp.818-828)には、“吸収液(アミン溶液)が塗布された充填剤をCO

含有ガスが通過する際、CO

が充填剤表面の吸収液に吸収される。消費エネルギーは4GJ/t-CO

以上であり、これはアミン溶液の再生に必要な加熱エネルギーに大きく起因し、将来的には2GJ/t-CO

以下に低減することが求められている。”と記載されている。また、参考文献2(「カーボンリサイクル技術ロードマップ」、経済産業省、令和3年(2021年)7月改訂、p.7)によれば、従来のアミン吸収法を実施するにあたり、運転コスト(CO

ガス回収コスト)が4,000円程度/t-CO

と高いことが記載されている。つまり、従来のアミン吸収法には、消費エネルギーが高いために運転コストが高くなるという問題があった。
【0008】
また、前記した非特許文献1では、モデルアミン液(AMP:2-amino-2-methyl-1-propamol、40℃、1Mの溶液)を用いて、石炭火力排ガス(発電規模958MW、排ガスCO

濃度13.7%)中のCO

をアミン吸収法で捕集する場合における吸収塔出口CO

濃度と必要充填層高さが計算されている。なお、この計算では、CO

物質移動係数Ky・a:38kmol/m

・hrとしている。その結果は図32に示すとおりである。ここで、図32は、吸収塔出口のCO

濃度と充填層高さとの関係を説明するグラフである。同図中、横軸は吸収塔出口のCO

濃度(CO

モル分率)を示し、縦軸は充填層高さ(m)を示している。
【0009】
図32に示すように、石炭火力排ガス中のCO

をアミン吸収法で捕集する場合、CO

濃度を低くしようとすればするほど充填層を高くしなければならないことがわかる。図32を参照すると、排ガス中のCO

を日本のLNG規格を満たす50ppm(0.005%)未満にする場合、充填層の高さを50m近くにする必要があることがわかる。つまり、従来のアミン吸収法は、CO

分離回収の回収率、回収されるCO

の純度を高めようとすると、前記したように、アミン溶液の再生にかかる運転コストが高いことに加えて、前記充填層を含むアミン吸収塔の高さは数十mにも及び、設備の規模が大型になるという問題を有する。
【0010】
さらに、非特許文献1~3のいずれにも、アミン吸収法で分離回収したCO

に対する具体的な資源転化について十分に説明されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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