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公開番号2025053930
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-07
出願番号2023163060
出願日2023-09-26
発明の名称蒸留装置
出願人木村化工機株式会社
代理人個人,個人
主分類B01D 3/14 20060101AFI20250331BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】塔頂ベーパを冷却する冷却水の有する熱を有効に利用し、かつ、蒸留塔へのスケールの発生を抑制して、省エネルギー効率を向上させた蒸留装置を提供する。
【解決手段】蒸留装置は、第1蒸留塔1と、軟水を加熱して第1蒸留塔に吹き込む蒸気を発生させる蒸発缶と、第1塔頂ベーパを冷却して、第1凝縮液と第1ベーパとに分離する第1コンデンサ11と、昇温した第1コンデンサ用冷却水から熱回収を行い、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱するヒートポンプHP1と、第1ベーパを、第2凝縮液と気液接触させて蒸留する第2蒸留塔2と、第2蒸留塔から取り出される第2塔頂ベーパを冷却して凝縮させ第2凝縮液を回収する第2コンデンサ22と、昇温した第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行い、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱するヒートポンプHP2とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水と水より沸点の低い低沸点成分とを含有する原料液の蒸留を行う第1蒸留塔と、
前記第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、前記第1凝縮液よりも前記低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離する第1コンデンサと、
前記第1コンデンサにおいて前記第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、前記第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱する第1ヒートポンプと、
前記第1コンデンサにおける分縮後のベーパである前記第1ベーパを、第2凝縮液と気液接触させて蒸留する第2蒸留塔と、
前記第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、前記低沸点成分を主成分とする前記第2凝縮液を回収する第2コンデンサと、
前記第2コンデンサにおいて前記第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、前記第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱する第2ヒートポンプと、
前記第1ヒートポンプによって加熱される前記軟水と前記第2ヒートポンプによって加熱される前記軟水とを直接フラッシュ蒸発させて、前記第1蒸留塔の塔底液に吹き込むように供給される蒸気を発生させる蒸発缶と、
前記第1コンデンサにおける前記第1凝縮液を、前記第1蒸留塔用の還流液として前記第1蒸留塔に還流させる第1還流路と、
前記第2コンデンサにおける前記第2凝縮液の一部を、前記第2蒸留塔用の還流液として前記第2蒸留塔に還流させる第2還流路と、
前記第1蒸留塔の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、系内の圧力を制御する圧力制御機構と
を備える、蒸留装置。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記第2コンデンサから取り出されるベーパを、第3コンデンサ用冷却水により冷却して凝縮させ、前記低沸点成分を主成分とする第3凝縮液を回収する第3コンデンサと、
前記第3コンデンサにおける前記第3凝縮液を、前記第2コンデンサに還流させる第3還流路と、を備える、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項3】
前記圧力制御機構は、系内が所定の真空度となるように、前記第2コンデンサおよび前記第3コンデンサを経て真空吸引を行う真空吸引手段を備える、請求項2記載の蒸留装置。
【請求項4】
前記圧力制御機構は、前記第1蒸留塔の塔底液の温度が90℃以下となるように、系内の圧力を制御する、請求項1記載の蒸留装置。
【請求項5】
前記原料液が、低沸点成分を水よりも少ない割合で含有するものである、請求項1~4のいずれかに1つに記載の蒸留装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプを用いた蒸留装置に関し、詳しくは、水と水より沸点の低い低沸点成分とを含有する原料液を蒸留して、原料液から低沸点成分を分離するために用いられる蒸留装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、蒸留装置における省エネルギー化の必要性は益々増大しており、種々の提案が行われている。
【0003】
そのような省エネルギー技術の1つとして、蒸留装置にヒートポンプを組み込んで、熱効率を向上させるようにした蒸留装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の蒸留装置では、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却する塔頂コンデンサで塔頂ベーパを冷却するのに用いた冷却水が有する熱を、ヒートポンプを利用して汲み上げている。ヒートポンプで汲み上げられた熱は、蒸留塔の塔底液を再加熱するリボイラの熱源として使用されて省エネルギーが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6612936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の蒸留装置の場合、ヒートポンプで汲み上げた熱を利用して蒸留塔の塔底液を加熱するようにしている。例えば、蒸留塔の塔底液がカルシウムやシリカなどのスケールの発生原因となる物質を含んでいるような場合には、蒸留塔の塔底液を再加熱するためのリボイラ(ヒータ)の伝熱面(塔底液と接する面)にスケールが発生する。すなわち、熱交換器(リボイラ・ヒータ)の伝熱面(塔底液と接する面)にスケールが発生して、伝熱効率が低下し、省エネルギー効果が損なわれるという問題点がある。ヒートポンプを利用して塔頂コンデンサの熱を汲み上げて利用するように構成しているにもかかわらず、意図するような省エネルギー効果を得ることができないという事態を招くことになる。
【0006】
近年、例えば、SAF(Sustainable Aviation Fuel (Alcohol to Jet))などのような燃料の原料に用いられる低濃度のバイオエタノールを水との共沸点以下の濃度にまで蒸留する装置では、蒸留工程における省エネルギー効果が強く求められている。
【0007】
本開示は、塔頂ベーパを冷却するのに用いた冷却水が有する熱をヒートポンプにより汲み上げて、蒸留操作を行うための熱源として有効に利用することが可能で、かつ、特許文献1の蒸留装置のように、蒸留塔の塔底液を再加熱するためのリボイラを必要とすることなく、処理対象液がスケールの発生原因となる物質を含んでいる場合にも機器へのスケールの発生を抑制して、省エネルギー効率が高められた操業を安定して継続的に行うことが可能な蒸留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の蒸留装置は以下のように構成する。
【0009】
本開示の蒸留装置は、第1蒸留塔と、第1コンデンサと、第1ヒートポンプと、蒸発缶と、第2蒸留塔と、第2コンデンサと、第2ヒートポンプと、第1還流路と、第2還流路と、圧力制御機構とを備える。第1蒸留塔は、水と水より沸点の低い低沸点成分とを含有する原料液の蒸留を行う。第1コンデンサは、第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離する。第1ヒートポンプは、第1コンデンサにおいて第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱する。第2蒸留塔は、第1コンデンサにおける分縮後のベーパである第1ベーパを、第2凝縮液と気液接触させて蒸留する。第2コンデンサは、第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、低沸点成分を主成分とする第2凝縮液を回収する。第2ヒートポンプは、第2コンデンサにおいて第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、軟水を加熱する。蒸発缶は、第1ヒートポンプによって加熱される軟水と第2ヒートポンプによって加熱される軟水とを直接フラッシュ蒸発させて、第1蒸留塔の塔底液に吹き込むように供給される蒸気を発生させる。第1還流路は、第1コンデンサにおける第1凝縮液を、第1蒸留塔用の還流液として第1蒸留塔に還流させる。第2還流路は、第2コンデンサにおける第2凝縮液の一部を、第2蒸留塔用の還流液として第2蒸留塔に還流させる。圧力制御機構は、第1蒸留塔の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、系内の圧力を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の蒸留装置によれば、塔頂ベーパを冷却するのに用いた冷却水が有する熱をヒートポンプにより汲み上げて、蒸留操作を行うための熱源として有効に利用することが可能である。さらに、特許文献1の蒸留装置のように、蒸留塔の塔底液を再加熱するためのリボイラを必要とすることがない。よって、処理対象液がスケールの発生原因となる物質を含んでいる場合にも機器へのスケールの発生を抑制して、省エネルギー効率が高められた操業を安定して継続的に行うことが可能な蒸留装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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