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公開番号2025046016
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-02
出願番号2023154142
出願日2023-09-21
発明の名称油脂組成物
出願人雪印メグミルク株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類A23D 7/00 20060101AFI20250326BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】本発明は、部分水素添加油脂を含まず、また、飽和脂肪酸含量が少ないながらも融点が高く、酸化安定性に優れたエステル交換油脂を含むファットスプレッドに好適に用いられる油脂組成物の提供を課題とする。
【解決手段】下記に示すエステル交換油脂を含有するファットスプレッド調製用油脂組成物を提供する。
エステル交換油脂;
全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量が30質量%以上49質量%以下、全構成脂肪酸中のオレイン酸量が20質量%以上70質量%以下、リノール酸量が12質量%以下、リノレン酸量が4.5質量%以下、ベヘン酸量が30質量%以下、エルカ酸量が20質量%以下であり、かつ、25℃におけるSFCが40%以下である
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記に示すエステル交換油脂を含有するファットスプレッド調製用油脂組成物。
エステル交換油脂;
全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量が30質量%以上49質量%以下、全構成脂肪酸中のオレイン酸含量が20質量%以上70質量%以下、リノール酸含量が12質量%以下、リノレン酸含量が4.5質量%以下、ベヘン酸含量が30質量%以下、エルカ酸含量が20質量%以下であり、かつ、25℃におけるSFCが40%以下である
続きを表示(約 150 文字)【請求項2】
前記エステル交換油脂の融点が30℃以上56℃未満である請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項3】
前記エステル交換油脂のPOVが11以下である請求項2に記載の油脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の油脂組成物を含むファットスプレッド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化安定性に優れたエステル交換油脂を含む油脂組成物に関する。特に詳しくはファットスプレッド調製用の酸化安定性に優れたエステル交換油脂を含む油脂組成物に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
油脂組成物の原料として用いられる油脂のうち、融点が高い油脂は、油脂結晶が析出しない温度帯で保管するため、高い酸化安定性が求められる。
【0003】
従来、酸化安定性を有する融点が高い油脂として、水素添加により酸化安定性を付与した部分水素添加油脂が多用されていた。部分水素添加油脂は、水素の添加量の増加により飽和脂肪酸の含有量を増加でき、また、多様なトランス脂肪酸を含有させることができるため融点を自由に調節できるというメリットがあった。そのため、油脂組成物に用いると、高温や常温下における部分的な液状化の低減ができるため、部分水素添加油脂は、広く使用されてきた。
【0004】
一方で、トランス脂肪酸を含む油脂の過剰摂取は、心筋梗塞などの冠動脈心疾患のリスクを増加させると言われており、近年では、油脂中のトランス脂肪酸量の低減が望まれている。
【0005】
また、油脂中の飽和脂肪酸についても、近年その過剰摂取により冠動脈心疾患のリスクを高めることが指摘されているため、油脂中の飽和脂肪酸量も低減する方が好ましい。油脂中の飽和脂肪酸量を減らすと、不飽和脂肪酸量が増えることになるが、不飽和脂肪酸の中でも脂肪酸鎖に不飽和結合を2つ以上含む多価不飽和脂肪酸量が増加すると油脂は酸化しやすくなるため、酸化安定性の確保が課題となる。
【0006】
以上のような背景から、部分水素添加油脂を含まず、飽和脂肪酸含有量が少ないながらも融点が高く、さらに酸化安定性に優れた油脂の開発が望まれている。
【0007】
特許文献1には、油脂の酸化安定性を確保するために、抗酸化剤であるレシチンを含有し、油脂組成物中の構成脂肪酸のうち、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、トランス脂肪酸の配合比を特定範囲とした、酸化安定性に優れた液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物について開示されている。しかしながら、特許文献1の液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物は酸化安定性に優れているものの、油脂の構成脂肪酸中のオレイン酸含量が70~83質量%と高いことから、油脂組成物の融点は低い。また、抗酸化剤であるレシチンを必須としている。
特許文献2には、脂肪酸中の多価不飽和脂肪酸(不飽和結合が3個以上)含量を5~30%、飽和脂肪酸(不飽和結合が0個)含量を50~80%、融点を35℃以上とすることで、抗酸化剤やマスキング剤を併用することなく酸化安定性を確保し、官能特性を改良した食用油脂について開示されている。しかしながら、特許文献2の食用油脂は、酸化安定性が向上されるものの、油脂の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量がかなり高いという問題がある。
特許文献3には、部分水素添加油脂を使用し、多価不飽和脂肪酸含量と飽和脂肪酸含量が低く、加熱時の劣化臭を抑制して固体脂に似た風味を食品に与える加熱調理用油脂組成物について開示されている。しかし、特許文献3の油脂組成物は、原料油脂としてトランス脂肪酸を含む部分水素添加油を使用しており、また、融点が低いという問題がある。
特許文献4には、低温での結晶化が抑制されて、白濁や沈殿が生じ難いα-リノレン酸を豊富に含むジアシルグリセロール高含有油脂の提供方法が開示されている。しかし、特許文献4の油脂は、油脂の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸量は少ないが、多価不飽和脂肪酸であるα-リノール酸含量が40質量%と多いため、融点が低く、また、酸化安定性に劣ると考えられる。
以上より、上記従来の技術では、部分水素添加油脂を含まずに、多価不飽和脂肪酸含量と飽和脂肪酸含量を低く抑えながら、融点が高く、かつ、酸化安定性に優れた油脂を提供することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2020-48515号公報
特開平7-308153号公報
特開2019-58114号公報
特開2018-104684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、部分水素添加油脂を含まず、また、飽和脂肪酸含量が少ないながらも融点が高く、酸化安定性に優れたエステル交換油脂を含むファットスプレッドに好適に用いられる油脂組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するべく、本発明者等が鋭意検討を進めた結果、以下の解決方策が考えられた。
まず、油脂の飽和脂肪酸含量は少ないながらも、融点や25℃における固体脂含量(SFC:Solid Fat Cotent)の値は、高い必要があるが、これらが高すぎる油脂は、使用時に固化しやすくなり、ハンドリング性の低下や、喫食時のくちどけの悪さなどの問題が生じる。さらに、加熱保管時における保管温度を高温に設定しなければならないため、油脂の酸化劣化も懸念される。
酸化劣化に関しては、多価不飽和脂肪酸含量が多い場合にエステル交換油脂の酸化安定性が低下する。すなわち、油脂の自動酸化は、ラジカルによる脂肪酸中の水素の引き抜きによって起こる。引きぬかれる水素として、不飽和結合を1つ含む一価不飽和脂肪酸はアリル水素、不飽和結合を2つ以上含む多価不飽和脂肪酸は二重アリル水素を有する。二重アリル水素は、アリル水素と比較して引き抜き反応速度が100倍速いと考えられており、一価不飽和脂肪酸よりも多価不飽和脂肪酸は酸化安定性が低い。そのため、多価不飽和脂肪酸は、油脂中の含量が一定値を超えると急激に油脂の酸化安定性が低下する。
そこで、多価不飽和脂肪酸の含量を減らすことで、酸化安定性の向上した油脂を得ることが可能となると考えられる。また、飽和脂肪酸量の増加を避けるために、一価の不飽和脂肪酸量を増加させることで、飽和脂肪酸量が少なく、かつ酸化安定性に優れた油脂を得ることが可能となる。
上記知見に基づいて更なる研究を続けた結果、本発明者等は、部分水素添加油脂を使用せず、エステル交換油脂において特定の多価不飽和脂肪酸含量を特定範囲とし、かつ、一価の不飽和脂肪酸量を特定範囲とすることにより、飽和脂肪酸含量が少ないながらも、融点が30℃以上55℃以下と高く、酸化安定性に優れたファットスプレッド調製用の油脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
<1>
下記に示すエステル交換油脂を含有するファットスプレッド調製用油脂組成物。
エステル交換油脂;
全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量が30質量%以上49質量%以下、全構成脂肪酸中のオレイン酸含量が20質量%以上70質量%以下、リノール酸含量が12質量%以下、リノレン酸含量が4.5質量%以下、ベヘン酸含量が30質量%以下、エルカ酸含量が20質量%以下であり、かつ、25℃におけるSFCが40%以下である
<2>
前記エステル交換油脂の融点が30℃以上56℃未満である<1>に記載の油脂組成物。
<3>
前記エステル交換油脂のPOVが11以下である<2>に記載の油脂組成物。
<4>
<1>~<3>のいずれかに記載の油脂組成物を含むファットスプレッド。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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