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公開番号
2025044839
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-02
出願番号
2023152635
出願日
2023-09-20
発明の名称
エクオール高含有発酵物、及び製造方法
出願人
株式会社ダイセル
代理人
弁理士法人秀和特許事務所
主分類
C12P
17/06 20060101AFI20250326BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】大豆由来の不純物が少ないエクオール発酵液を安価に製造する方法の提供
【解決手段】大豆胚軸抽出物より樹脂処理またはイソフラボンを沈殿化処理等の精製を行った大豆胚軸抽出物生成物を発酵原料として、必要な栄養源及び水素を含む気体を供給してエクオールの嫌気発酵を行う。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
大豆胚軸抽出物精製物をエクオール及びオルニチン産生能を有する微生物により発酵し、大豆胚軸又は大豆胚軸抽出物を原料とした発酵よりも、大豆由来の不純物が少ない大豆胚軸抽出物精製物発酵物。
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【請求項2】
請求項1記載の発酵物で、不純物が、ゲニステイン類又はグリシテイン類又はサポニン又は大豆アレルゲンの何れか一つ以上である大豆胚軸抽出物精製物発酵物。
【請求項3】
大豆胚軸抽出物精製物をエクオール及びオルニチン産生能を有する微生物により発酵して得られた発酵物であって 、乾燥重量1g当たり20mg以上のエクオールを含み、エ
クオールがイソフラボンの総量当たり50重量%以上であり、ゲニステイン類の総和がイソフラボンの総量当たり10重量%以下であり、前記ゲニステイン類が、ゲニスチン、マロニルゲニスチン、アセチルゲニスチン、ゲニステイン、ジハイドロゲニステイン又はそれらの組み合わせである、大豆胚軸抽出物精製物発酵物。
【請求項4】
前記ゲニステイン類の総和がイソフラボンの総量当たり5.0重量%以下の範囲である
、上記請求項3記載の大豆胚軸抽出物精製物発酵物。
【請求項5】
上記請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の発酵物の抽出物。
【請求項6】
乾燥固形分1g当たり、エクオールを20~70mg含む、上記請求項5記載の抽出物。
【請求項7】
上記請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の発酵物、又は請求項5又は請求項6に記載の抽出物を含む、サプリメント。
【請求項8】
エクオール及びオルニチンを含有する大豆胚軸抽出物精製物発酵物の製造方法であって、栄養成分及びアルギニンの存在下において、大豆胚軸抽出物精製物を発酵原料として用い、エクオール及びオルニチン産生能を有する微生物により発酵することにより、エクオール及びオルニチンを含む請求項1、請求項2、請求項3,または請求項4記載の大豆胚軸抽出物精製物発酵物を製造することを特徴とする発酵物の製造方法。
【請求項9】
前記栄養成分が、窒素源、炭素源、無機塩、ビタミン類、及びアミノ酸類からなる群から選択される少なくとも1つを含む、かつ気相に水素を含む1種類以上の気体を供給して嫌気発酵を行う請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
無機窒素源が硫安、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウムもしくは硝酸ソーダであり、ビタミン類がビオチン、葉酸、ピリドキシン、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸もしくはビタミンB12であり、有機窒素源がアミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類もしくは肉エキスであり、炭素源としてはグルコース等の糖類であり、無機塩類としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはリン酸を含む無機塩類であり、及び/またはアミノ酸類としては、アルギニン、シトルリン、システインもしくはシスチンである請求項9記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆胚軸抽出物から精製したイソフラボンを原料とし、エクオール生産能を有する嫌気性微生物によって得られる高純度エクオール含有発酵物とその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
大豆、葛などのマメ科の植物に多く含まれているイソフラボン類はポリフェノールの分類のひとつであり、イソフラボンを基本骨格とするフラボノイドである。近年の調査により、イソフラボン類は女性ホルモン作用(エストロゲン)や抗酸化作用を有し、イソフラボン類を摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害などに対して予防効果があることが明らかとなっている。
イソフラボン類は、たとえば大豆内では、糖と共有結合した配糖体の形、ダイジン(daidzin)、グリシチン(glycitin)、ゲニスチン(genistin)として存在しており、アグリコ
ンの形ではごく少量存在しているのみである。これら配糖体はさらにマロニル化、アセチル化されているものも存在している。これらの配糖体は、ヒトや動物の体内に入ると消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素であるβグルコシダーゼ等の働きにより、それぞれダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、ゲニステイン(genistein)となる。さらに、腸内細菌の働きによりダイゼインは、ジヒドロダイゼイン(dihydrodaidzein)
を経て、O-デスメチルアンゴレンシン(O-desmethylangolensin:O-DMA)又はエクオール(equol)へと、また、ゲニステインは、ジヒドロゲニステイン(dihydrogenistein)を
経て、5-ヒドロキシエクオール(5-hydroxyequol)へと変換されることが知られている。
【0003】
エクオールは、これらの代謝産物の中で最もエストロゲン活性が高いことが知られている。しかしながら、人間の場合、イソフラボンの代謝には個人差があり、上記のようにダイゼインを発酵させてエクオールを産生する能力を有する腸内細菌を保有する人は少なく、その保有率は日本人で約5割、欧米人で約3割程度であることが明らかとなっている。そのため、エクオール産生菌を保有しない人は、イソフラボンを含む大豆等のマメ科食物を摂取してもエクオールを体内で産生することができないという問題点が存在していた。
【0004】
これらの課題を克服するために、乳酸菌等の嫌気性微生物を用いて体外的にエクオールを産生させる試みがなされている(特許文献1~4)が工業レベルの量でエクオールが生産できるかどうかは確認されていない。また、大豆胚軸又は大豆胚軸抽出物を原料として、より高いエクオール含量、かつイソフラボン類の一つであるゲニステイン類が少ない等、不純物が少ない大豆胚軸発酵物や大豆胚軸抽出物発酵物、及びその製造方法も報告されているが(特許文献5~7)、具体的には大豆胚軸発酵物1g当たり5.38mg~6.51mg程度のエクオールを含む発酵物しか得られていなかった。
【0005】
大豆胚軸や大豆胚軸抽出物を発酵原料とする場合は、エクオールの原料物質となるダイゼイン類以外の物質が多く含まれる。このため、大豆胚軸や大豆胚軸抽出物を発酵原料とする限り、特許文献5~7に示されたようなに、発酵物から更に水―エタノール抽出法やカラムクロマトグラフィーで生成する方法で精製しなければ、高純度のエクオールを得ることが出来なかった。しかし、発酵液を精製すると多量の廃液が発生する。地球環境保護の観点からも、廃液を出来るだけ排出しない方法が望まれていた。また、発酵液からエクオールを精製する場合に使用する揮発性有機化合物も、環境上の問題が有った。また、揮発性有機化合物等危険物を取り扱う抽出精製設備は、防爆仕様となり、生産工場建設費も高価なものであった。
【0006】
大豆胚軸や大豆胚軸抽出物を発酵原料とする場合、大豆自体がアレルゲンを有しており、粉末である大豆胚軸や大豆胚軸抽出物を発酵原料として発酵槽に投入する時に、大豆アレルゲンを含む粉塵が舞い、作業員と接触し、大豆アレルギーを発症する場合があった。このため作業員にアレルゲンが接触しない為に、局所排気装置の設置や設備の密閉化等、特別な設備が必要であった。発酵法は、一つの発酵槽で、様々な製品を作ることができる汎用性に富む方法であるが、アレルゲン物質を使用した場合、他のアレルゲンフリーの製品を製造する為には、アレルゲンフリーにする特別な洗浄を行う必要があり、特別洗浄実施により、生産性が著しく低下することが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2006-204296
特表2006-504409
特開2008-61584
特開2010-104241
特許7009043
特許7009044
特許7019279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、大豆胚軸抽出物精製物を原料として用い嫌気性微生物を利用したエクオールの製造において、従来法と比較して圧倒的に、廃液、及び揮発性有機化合物排出量が少ない、エコロジカルなエクオール高含有発酵製品の製造方法を提供することにある。また、食品原料として使用されるエクオール高含有発酵生産物を効率的に製造する為には、有機溶媒を用いる精製工程を省略することが重要である。製造設備についても、揮発性有機化合物等危険物を取り扱わない為、高価な防爆仕様設備を建設する必要がなくなる。
また製造作業員が大豆アレルゲンに接触しアレルギーを発症するリスクも無くしたい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討したところ、大豆胚軸や大豆胚軸抽出物ではなく、大豆胚軸抽出物を精製した大豆胚軸抽出物精製物を原料として、必要成分を添加することを補填することにより、エクオールを発酵生産できることが可能となり発酵液を精製することなく、大豆由来の不純物が少ない高含量のエクオールを含有する発酵物を得ることが出来ることを見出した。大豆胚軸抽出物は、大豆胚軸からエタノールで抽出されたものであるが、この抽出液を原料として、樹脂処理工程、または沈殿化処理工程、または結晶化処理工程の1種類以上の工程を行って精製し、大豆由来の不純物を目標水
準まで除いた大豆胚軸抽出物精製物を得る。様々な不純物含有量が少ない大豆胚軸抽出物精製物を原料とすれば、ゲニステイン類や、グリシテイン類や、苦み、えぐみといった不快味の原因となるサポニン等、大豆由来の成分含有量を低減することが可能である。大豆胚軸抽出物精製物のイソフラボン含量は、サポニンを十分低減すること、及びアレルゲンフリーにする為にも85%以上が良い。まだ過度な高含量精製物は、製造コストが高くなる点や、イソフラボン自体の溶解度が低い為、イソフラボン含量98%以上の高純度品、例えば試薬等は、分散性が悪い為、非常に細かく粉砕しなければ、反応性が悪い。イソフラボンは、純度が高いほど、また粒度が細かいほど最小着火エネルギーが低く、粉塵爆発の危険度が増すことより、試薬レベルの高純度品の実使用は困難である。従って、イソフラボン含量の上限は95%が望ましい。
【0010】
大豆胚軸抽出物精製物はイソフラボン含量に富んだ組成物であるが、これを原料として
イソフラボンの一種であるダイゼイン類を資化してエクオールを産生する能力を有する嫌気性微生物を用いて発酵生産を行う場合、本原料には嫌気性微生物が生育するための栄養成分が少なく、大豆胚軸抽出物を用いた場合に比べ増殖が悪い、発酵が進みにくいという問題がある。発明者らは、鋭意検討を行い、栄養成分として、窒素源、炭素源、無機塩、ビタミン類、及びアミノ酸類からなる群から選択される少なくとも1つを含む物資を添加し、かつ気相に水素を含む1種類以上の気体を供給して嫌気発酵させる時、エクオールが生成することを見出した。
窒素源として好ましい無機窒素源としては、ビタミン類やアミノ酸類を含む成分である、酵母エキス、ペプトン類、肉エキス等があるが、より好ましい成分は、酵母エキス、ペプトン類である。また、炭素源としては、グルコース、無機塩類としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはリン酸を含む塩類が必要である。アミノ酸類としては、アルギニンもしくはシトルリンとシステインもしくはシスチンの組み合わせが必要である。
(【0011】以降は省略されています)
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