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公開番号2025043327
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-28
出願番号2024158931
出願日2024-09-13
発明の名称細胞用構造体、細胞用構造体の製造方法、及び細胞培養方法
出願人日産化学株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20250321BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 細胞の生存率の低下を抑えて保存でき、かつ細胞の培養を簡単に行うことができる細胞用構造体などの提供。
【解決手段】 基板と、
前記基板の表面に間隔を置いて配された複数のスポットと、
を有する、細胞用構造体であって、
前記複数のスポットのそれぞれが、ポリマーを含有する細胞培養下地膜を有し、
前記細胞培養下地膜の上に、培養用細胞を有し、
前記培養用細胞が、凍結状態である、細胞用構造体。
【選択図】図1A


特許請求の範囲【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に間隔を置いて配された複数のスポットと、
を有する、細胞用構造体であって、
前記複数のスポットのそれぞれが、ポリマーを含有する細胞培養下地膜を有し、
前記細胞培養下地膜の上に、培養用細胞を有し、
前記培養用細胞が、凍結状態である、細胞用構造体。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
更に、前記スポットが、前記細胞培養下地膜上に配された細胞接着性物質を有する、請求項1に記載の細胞用構造体。
【請求項3】
更に、凍結保存剤を有し、
前記培養用細胞が、前記凍結保存剤に覆われている、請求項1に記載の細胞用構造体。
【請求項4】
細胞培養容器である、請求項1に記載の細胞用構造体。
【請求項5】
前記ポリマーが、下記式(Ia)で表される繰り返し単位を含むポリマー(A)である、請求項1に記載の細胞用構造体。
TIFF
2025043327000026.tif
55
60
(式(Ia)中、

a1
及びU
a2
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a1
は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a2
は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す。)
【請求項6】
前記ポリマー(A)が、架橋構造を含む、請求項5に記載の細胞用構造体。
【請求項7】
前記ポリマー(A)が、下記式(IIIa)で表される構造、下記式(IVa)で表される構造、及び下記式(Va)で表される構造の少なくともいずれかを含む、請求項6に記載の細胞用構造体。
TIFF
2025043327000027.tif
109
99
(式中、R

及びR

は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、


は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、nは1~50の数を表す。)
【請求項8】
前記基板の表面が、細胞の付着抑制能を有するコーティング膜を有し、
前記スポットが、前記コーティング膜上に配されている、請求項1に記載の細胞用構造体。
【請求項9】
基板に、ポリマーと溶媒とを含有する細胞培養下地膜形成剤の液滴を付与して、スポットとなる領域に細胞培養下地膜を形成する工程と、
細胞培養下地膜の上に培養用細胞を播種する工程と、
培養用細胞を凍結させる工程と、
を含む、細胞用構造体の製造方法。
【請求項10】
前記凍結させる工程の前に、前記培養用細胞に凍結保存剤を接触させる工程を含む、請求項9に記載の細胞用構造体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞用構造体、細胞用構造体の製造方法、及び細胞培養方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
細胞培養を効率的に行うための下地膜を形成するための下地膜形成剤として、様々な材料が提案されている。
特許文献1には、細胞培養の下地膜として使用するポリマーの製造方法及び細胞培養容器が開示されている。特許文献2には、細胞構造体の製造方法が開示されている。
これらの細胞培養の下地膜は、均質な細胞凝集塊の製造(培養)工程においては、細胞の下地膜への均一な接着のために、生体由来の血清を用いる必要があり、個体差による増殖能力をはじめとする品質のばらつきの問題や、人以外の動物由来血清を用いる場合のアレルギー発生やウイルス混入など安全性のリスクが発生するなどの問題があった。
【0003】
そこで、本出願人は、細胞凝集塊の量産製造において、生体由来の血清を用いなくても均質で高品質な細胞凝集塊を製造することができる細胞培養の下地膜、それを形成するための下地膜形成剤及び、細胞凝集塊製造用基板を提案している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/040247号パンフレット
特開2017-143755号公報
国際公開第2023/282253号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
細胞培養による細胞変質や雑菌汚染の防止、細胞の長期的な安定供給、細胞の輸送などを目的として、細胞の凍結保存が利用されている。しかしながら、細胞構造体を凍結保存すると、細胞の生存率が低下する。
【0006】
本発明は、細胞の生存率の低下を抑えて保存でき、かつ細胞の培養を簡単に行うことができる細胞用構造体、及び当該細胞用構造体の製造方法、並びに、当該細胞用構造体を用いた細胞培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を包含するものである。
[1] 基板と、
前記基板の表面に間隔を置いて配された複数のスポットと、
を有する、細胞用構造体であって、
前記複数のスポットのそれぞれが、ポリマーを含有する細胞培養下地膜を有し、
前記細胞培養下地膜の上に、培養用細胞を有し、
前記培養用細胞が、凍結状態である、細胞用構造体。
[2] 更に、前記スポットが、前記細胞培養下地膜上に配された細胞接着性物質を有する、[1]に記載の細胞用構造体。
[3] 更に、凍結保存剤を有し、
前記培養用細胞が、前記凍結保存剤に覆われている、[1]又は[2]に記載の細胞用構造体。
[4] 細胞培養容器である、[1]から[3]のいずれかに記載の細胞用構造体。
[5] 前記ポリマーが、下記式(Ia)で表される繰り返し単位を含むポリマー(A)である、[1]から[4]のいずれかに記載の細胞用構造体。
TIFF
2025043327000002.tif
55
60
(式(Ia)中、

a1
及びU
a2
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a1
は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a2
は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す。)
[6] 前記ポリマー(A)が、架橋構造を含む、[5]に記載の細胞用構造体。
[7] 前記ポリマー(A)が、下記式(IIIa)で表される構造、下記式(IVa)で表される構造、及び下記式(Va)で表される構造の少なくともいずれかを含む、[6]に記載の細胞用構造体。
TIFF
2025043327000003.tif
109
99
(式中、R

及びR

は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、


は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、nは1~50の数を表す。)
[8] 前記基板の表面が、細胞の付着抑制能を有するコーティング膜を有し、
前記スポットが、前記コーティング膜上に配されている、[1]から[7]のいずれかに記載の細胞用構造体。
[9] 基板に、ポリマーと溶媒とを含有する細胞培養下地膜形成剤の液滴を付与して、スポットとなる領域に細胞培養下地膜を形成する工程と、
細胞培養下地膜の上に培養用細胞を播種する工程と、
培養用細胞を凍結させる工程と、
を含む、細胞用構造体の製造方法。
[10] 前記凍結させる工程の前に、前記培養用細胞に凍結保存剤を接触させる工程を含む、[9]に記載の細胞用構造体の製造方法。
[11] 前記細胞培養下地膜形成剤の液滴の前記基板への付与が、インクジェット法により行われる、[9]又は[10]に記載の細胞用構造体の製造方法。
[12] 更に、前記播種する工程の前に、前記細胞培養下地膜に、細胞接着性物質を含む液滴を付与して、前記細胞培養下地膜上に前記細胞接着性物質を配する工程を含む、[9]から[11]のいずれかに記載の細胞用構造体の製造方法。
[13] 前記細胞接着性物質を含む液滴の前記細胞培養下地膜への付与が、インクジェット法により行われる、[12]に記載の細胞用構造体の製造方法。
[14] 前記ポリマーが、下記式(Ia)で表される繰り返し単位を含むポリマーである、[9]から[13]のいずれかに記載の細胞用構造体の製造方法。
TIFF
2025043327000004.tif
55
60
(式(Ia)中、

a1
及びU
a2
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a1
は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、

a2
は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す。)
[15] 製造される細胞用構造体において、前記基板の表面が細胞の付着抑制能を有するコーティング膜を有し、かつ前記複数のスポットが前記コーティング膜上に配されており、
前記細胞用構造体の製造方法が、更に、細胞の付着抑制能を有するポリマーを含有するコーティング剤を前記基板上に付与し、前記コーティング膜を形成する工程を含む、[9]から[14]のいずれかに記載の細胞用構造体の製造方法。
[16] 製造される細胞用構造体が細胞培養容器である、[9]から[15]のいずれかに記載の細胞用構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、細胞の生存率の低下を抑えて保存でき、かつ細胞の培養を簡単に行うことができる細胞用構造体、及び当該細胞用構造体の製造方法、並びに、当該細胞用構造体を用いた細胞培養方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1Aは、細胞を配する前の細胞用構造体の一例の斜視図である。
図1Bは、細胞を配する前の細胞用構造体の一例の上面図である。
図2Aは、細胞を配する前の細胞用構造体の他の一例の斜視図である。
図2Bは、細胞を配する前の細胞用構造体の他の一例上面図である。
図3Aは、細胞を配する前の細胞用構造体の他の一例の斜視図である。
図3Bは、細胞を配する前の細胞用構造体の他の一例上面図である。
図4Aは、実施例1の試験における播種3時間後の観察結果である。
図4Bは、実施例1の試験における凍結保存液へ置換後の観察結果である。
図4Cは、実施例1の試験における凍結2週間後の融解、培地添加後の観察結果である。
図4Dは、実施例1の試験における凍結融解後、1日間培養後の観察結果である。
図5Aは、実施例2の試験における播種3時間後の観察結果である。
図5Bは、実施例2の試験における凍結融解後、2日間培養後の観察結果である。
図6は、比較例1の試験における培養3日後のスフェロイド形成の観察結果である。
図7Aは、実施例2の蛍光観察結果である。
図7Bは、実施例2の明視野観察結果である。
図8Aは、比較例1の蛍光観察結果である。
図8Bは、比較例1の明視野観察結果である。
図9は、試験例4における細胞凝集塊形成過程の観察結果である。
図10は、試験例4におけるスフェロイドのサイズ分布データである。
図11は、試験例5における細胞凝集塊形成過程の観察結果である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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