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公開番号
2025038022
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-18
出願番号
2024215015,2023061539
出願日
2024-12-10,2014-12-24
発明の名称
抗TROP2抗体-薬物コンジュゲート
出願人
第一三共株式会社
,
北海道公立大学法人 札幌医科大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07K
16/28 20060101AFI20250311BHJP(有機化学)
要約
【課題】抗腫瘍効果と安全性面に優れる、優れた治療効果を有する抗体-薬物コンジュゲートの製造方法の提供。
【解決手段】抗TROP2抗体を還元条件で処理した後に次の化合物:(maleimid-N-yl)-CH
2
CH
2
-C(=O)-GGFG-NH-CH
2
CH
2
-C(=O)-(NH-DX)を反応させる工程を含む、次の薬物-リンカー構造:-(Succinimid-3-yl-N)-CH
2
CH
2
-C(=O)-GGFG-NH-CH
2
CH
2
-C(=O)-(NH-DX)をチオエーテル結合を介して抗TROP2抗体に結合させた抗体-薬物コンジュゲートの製造方法。式中、-(NH-DX)は、次式:
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>JPEG</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025038022000046.jpg</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">44</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">53</com:WidthMeasure> </com:Image>
で示される基であり、-GGFG-は、-Gly-Gly-Phe-Gly-を示す。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
抗TROP2抗体を還元条件で処理した後に次の化合物:
(maleimid-N-yl)-CH
2
CH
2
-C(=O)-GGFG-NH-CH
2
CH
2
-C(=O)-(NH-DX)
を反応させる工程を含む、
次の薬物-リンカー構造:
-(Succinimid-3-yl-N)-CH
2
CH
2
-C(=O)-GGFG-NH-CH
2
CH
2
-C(=O)-(NH-DX)
をチオエーテル結合を介して抗TROP2抗体に結合させた抗体-薬物コンジュゲートの製造方法。
(式中、(maleimid-N-yl)-は、次式:
JPEG
2025038022000043.jpg
21
17
で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(Succinimid-3-yl-N)-は、次式:
JPEG
2025038022000044.jpg
21
19
で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(NH-DX)は、次式:
JPEG
2025038022000045.jpg
44
53
で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基であり、
-GGFG-は、-Gly-Gly-Phe-Gly-のテトラペプチド残基を示す。)
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
薬物-リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が2から8個の範囲である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
薬物-リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が3から8個の範囲である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
抗TROP2抗体が、配列番号23に記載のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号27に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖、を含む、請求項1-3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
抗TROP2抗体が、
配列番号12においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至129に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、
配列番号14においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至129に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、
配列番号14においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号20においてアミノ酸番号21乃至129に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、並びに、
配列番号16においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号22においてアミノ酸番号21乃至129に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、
からなる群から選択される重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を含む、請求項1-3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
抗TROP2抗体が、
配列番号12においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、
配列番号14においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、
配列番号14においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号20においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、並びに、
配列番号16においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号22においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、
からなる群から選択される重鎖及び軽鎖を含む、請求項1-3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
抗TROP2抗体が、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至129に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
抗TROP2抗体が、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
抗TROP2抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
抗TROP2抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、請求項8に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗TROP2抗体と抗腫瘍性薬物とをリンカー構造部分を介して結合させた
、抗腫瘍薬として有用な抗体-薬物コンジュゲートに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
癌細胞表面に発現し、かつ細胞に内在化できる抗原に結合する抗体に、細胞毒性を有す
る薬物を結合させた抗体-薬物コンジュゲート(Antibody-Drug Conjugate;ADC)は、癌
細胞に選択的に薬物を送達できることによって、癌細胞内に薬物を蓄積させ、癌細胞を死
滅させることが期待できる(非特許文献1~3参照)。ADCとして例えば、抗CD33抗体に
カリチアマイシンを結合させたMylotarg(登録商標;ゲムツズマブオゾガマイシン)が急
性骨髄性白血病の治療薬として認可されている。また、抗CD30抗体にオーリスタチンEを
結合させたAdcetris(登録商標;ブレンツキシマブベドティン)がホジキンリンパ腫と未
分化大細胞リンパ腫の治療薬として最近認可された(非特許文献4参照)。これまでに認
可されたADCに含有される薬物は、DNA又はチューブリンを標的としている。
【0003】
抗腫瘍性の低分子化合物としてトポイソメラーゼIを阻害して抗腫瘍作用を発現する化
合物であるカンプトテシン誘導体が知られている。その中で下式
【0004】
TIFF
2025038022000001.tif
57
70
【0005】
で示される抗腫瘍性化合物(エキサテカン、化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フル
オロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インド
リジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)は、水溶性のカンプトテシン誘導体であ
る(特許文献1、2)。この化合物は、現在臨床で用いられているイリノテカンとは異な
り、抗腫瘍効果の発現には酵素による活性化を必要としない。また、イリノテカンの薬効
本体であるSN-38や、同じく臨床で用いられているトポテカンよりもトポイソメラーゼI
阻害活性が強く、invitroで種々の癌細胞に対して、より強い殺細胞活性を有している。
特にP-glycoproteinの発現によってSN-38等に耐性を示す癌細胞に対しても効果を示した
。また、マウスのヒト腫瘍皮下移植モデルでも強い抗腫瘍効果を示し、臨床試験が行われ
たものの上市には至っていない(非特許文献5~10参照)。エキサテカンがADCとして
有効に作用するかについては明らかではなかった。
【0006】
DE-310は、生分解性のカルボキシメチルデキストランポリアルコールポリマーにエキサ
テカンを、GGFGペプチドスペーサーを介して結合させた複合体である(特許文献3)。エ
キサテカンを高分子プロドラッグ化することによって、高い血中滞留性を保持させ、さら
に腫瘍新生血管の透過性の亢進と腫瘍組織滞留性を利用して、受動的に腫瘍部位への指向
性を高めたものである。DE-310は、酵素によるペプチドスペーサーの切断によって、活性
本体であるエキサテカン、及びグリシンがアミノ基に結合しているエキサテカンが持続的
に遊離され、その結果薬物動態が改善される。非臨床試験における種々の腫瘍の評価モデ
ルにおいて、DE-310は、ここに含まれるエキサテカンの総量がエキサテカン単剤の投与時
よりも減少しているのにも拘らず、単剤の投与時よりもより高い有効性を示した。DE-310
に関しては臨床試験が実施されて有効例も確認され、活性本体が正常組織よりも腫瘍に集
積することが確認されたとの報告がある一方、ヒトにおける腫瘍へのDE-310及び活性本体
の集積は正常組織への集積と大差なく、ヒトでは受動的なターゲティングは見られなかっ
たとの報告もある(非特許文献11~14参照)。結果としてDE-310も上市には至らず、
エキサテカンがこの様なターゲティングを指向した薬物として有効に機能するかについて
は明らかではなかった。
【0007】
DE-310の関連化合物として、-NH-(CH
2
)
4
-C(=O)-で示される構造部分を-GGFG-スペーサ
ーとエキサテカンの間に挿入し、-GGFG-NH-(CH
2
)
4
-C(=O)-をスペーサー構造とする複合体
も知られているが(特許文献4)、同複合体の抗腫瘍効果については全く知られていない
。
【0008】
ヒトTROP2(TACSTD2:tumor-associated calciu
m signal transducer 2,GA733-1,EGP-1,M1S1
;以下、hTROP2と表記する)は、323アミノ酸残基からなる1回膜貫通型の1型
細胞膜蛋白質である。以前より、ヒト栄養膜細胞(trophoblasts)と癌細胞
に共通する、免疫抵抗性に関与する細胞膜蛋白質の存在(非特許文献15)が示唆されて
いたが、ヒト絨毛癌細胞株の細胞膜蛋白質に対するモノクローナル抗体(162-25.
3,162-46.2)により認識される抗原分子が特定され、ヒト栄養膜細胞に発現す
る分子の一つとしてTROP2と命名された(非特許文献16)。後に同じ分子が他の研
究者によって発見され、胃癌細胞株を免疫して得られたマウスモノクローナル抗体GA7
33によって認識される腫瘍抗原GA733-1(非特許文献17)、非小細胞肺癌細胞
免疫によって得られたマウスモノクローナル抗体RS7-3G11により認識される上皮
糖蛋白質(EGP-1;非特許文献18)とも呼ばれたが、1995年にTROP2遺伝
子がクローニングされ、これらが同一の分子であることが確認された(非特許文献19)
。hTROP2のDNA配列及びアミノ酸配列は公的データベース上に公開されており、
例えばNM_002353,NP_002344(NCBI)等のアクセッション番号に
より参照可能である。
hTROP2遺伝子は約50%の相同性を持つヒトTrop-1(EpCAM,EGP
-2,TACSTD1)と共にTACSTD遺伝子ファミリーを構成している(非特許文
献21)。hTROP2蛋白質は、N末端26アミノ酸残基から成るシグナル配列、24
8アミノ酸残基から成る細胞外ドメイン、23アミノ酸残基から成る細胞膜貫通ドメイン
、26アミノ酸残基から成る細胞内ドメインで構成されている。細胞外ドメインには4つ
のN結合型糖鎖付加部位があり、見かけ上の分子量は理論計算値35キロダルトンより1
0キロダルトン前後増加することが知られている(非特許文献19)。
これまでhTROP2の生理学的リガンドは同定されておらず、分子機能は明らかにさ
れていないが、腫瘍細胞においてカルシウムシグナルを伝達することが示され(非特許文
献20)、またCa
2+
依存性キナーゼであるプロテインキナーゼCにより細胞内セリン3
03残基がリン酸化されること(非特許文献18)や、細胞内ドメインにPIP
2
結合配
列を有することから、腫瘍細胞におけるシグナル伝達機能が示唆されている(非特許文献
22)。
臨床検体を用いた免疫組織化学解析により、hTROP2は種々の上皮細胞癌種におい
て過剰発現していること、かつ、正常組織においてはいくつかの組織の上皮細胞での発現
に限られ、その発現量も腫瘍組織と比較して低いことが示されている(非特許文献23~
27)。またhTrop2の発現は大腸癌(非特許文献23)、胃癌(非特許文献24)
、膵臓癌(非特許文献25)、口腔癌(非特許文献26)、グリオーマ(非特許文献27
)において予後不良と相関することも報告されている。
さらに大腸癌細胞を用いたモデルから、hTROP2の発現が腫瘍細胞の足場非依存的
細胞増殖及び免疫不全マウスでの腫瘍形成に関与していることが報告されている(非特許
文献28)。
【0009】
この様な癌との関連性を示唆する情報から、これまでに複数の抗hTROP2抗体が樹
立され、その抗腫瘍効果が検討されている。この中にはコンジュゲート化されていない抗
体単独でヌードマウス異種移植モデルにおける抗腫瘍活性を示すもの(特許文献5~8)
の他、抗体と抗細胞薬剤とのADCとして抗腫瘍活性を示すもの(特許文献9~12)等が
開示されている。しかしながら、それらの活性の強さや適用範囲はまだ十分ではなく、h
TROP2を治療標的とする未充足医療ニーズが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開平5-59061号公報
特開平8-337584号公報
国際公開第1997/46260号
国際公開第2000/25825号
国際公開第2008/144891号
国際公開第2011/145744号
国際公開第2011/155579号
国際公開第2013/077458号
国際公開第2003/074566号
国際公開第2011/068845号
国際公開第2013/068946号
米国特許第7999083号明細書
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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