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公開番号
2025036258
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-14
出願番号
2024144486
出願日
2024-08-26
発明の名称
炭素数1~4の原料アルコールから芳香族化合物の製造に用いられる10員環ゼオライト触媒
出願人
国立大学法人東京科学大学
,
出光興産株式会社
代理人
弁理士法人大谷特許事務所
主分類
B01J
29/70 20060101AFI20250306BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】炭素数1~4の原料アルコールから、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を高い選択性で製造し得る10員環ゼオライト触媒を提供する。
【解決手段】水と、ケイ素源と、アルニウム源と、水酸化物と、分岐アルコールとを含む原料混合物を水熱反応させて得られる10員環ゼオライト触媒であって、前記水酸化物が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される1種以上であり、前記分岐アルコールが、炭素数5以上かつ4級炭素を有するものであり、かつ、炭素数1~4の原料アルコールから芳香族化合物の製造に用いられる10員環ゼオライト触媒。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
水と、ケイ素源と、アルミニウム源と、水酸化物と、分岐アルコールとを含む原料混合物を水熱反応させて得られる10員環ゼオライト触媒であって、前記水酸化物が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される1種以上であり、前記分岐アルコールが、炭素数5以上かつ4級炭素を有するものであり、かつ、炭素数1~4の原料アルコールから芳香族化合物の製造に用いられる10員環ゼオライト触媒。
続きを表示(約 690 文字)
【請求項2】
前記分岐アルコールが、炭素数5~10のポリオールである、請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒。
【請求項3】
前記ケイ素源とアルミニウム源との比率が、SiO
2
:Al
2
O
3
換算のモル比で、20.0~400.0:1である、請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒。
【請求項4】
ペンタシル構造を有する請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒。
【請求項5】
MFI型である請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒。
【請求項6】
前記原料アルコールが、エタノールである請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒。
【請求項7】
前記水と、前記ケイ素源と、前記アルミニウム源と、前記水酸化物と、前記分岐アルコールとを含む原料混合物を水熱反応させる工程を有する、請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の10員環ゼオライト触媒を、炭素数1~4の原料アルコールと接触させて生成物を得る反応工程を有する、芳香族化合物の製造方法。
【請求項9】
前記反応工程を、200℃以上600℃以下の温度条件、かつ、大気圧以上1.0MPa以下の圧力条件下で行う請求項8に記載の芳香族化合物の製造方法。
【請求項10】
前記生成物中における、ベンゼン、トルエン及びキシレンの選択率が、炭素原子換算で30質量%以上である請求項8に記載の芳香族化合物の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素数1~4の原料アルコールから芳香族化合物の製造に用いられる10員環ゼオライト触媒に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物は、化学産業において必要不可欠な基礎化学品である。昨今、気候変動問題が深刻化される中、化学品原料となる資源として、石油に替わって再生可能資源を用いた製造プロセスの構築が急務である。特に、近年再生可能資源としてバイオマス由来のエタノール等のアルコールが注目されており、アルコールを原料として芳香族化合物を製造する新たな技術の確立が求められている。
エタノールを原料に芳香族化合物を製造する方法として、結晶性アルミノシリケートおよび結晶性ガロシリケートをシリカで修飾した触媒を用いた製造法(特許文献1)、MFI型ゼオライトとシリカバインダーから成るシリカ成形体で、リンと亜鉛を含んだ流動床触媒を用いた製造法(特許文献2)、アルコールから芳香族化合物を製造する方法として、外表面ブレンステッド酸量が0.1~10.0μmol/gかつ銀含有量が0.05~3wt%である平均粒子径100nm以下の10員環細孔ゼオライトを用いた製造法(特許文献3)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5294928号
特許第6574059号
特開2021-159884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に提案される方法においては、ゼオライトをシリケートで被覆するため、複数回の水熱合成が必要であり、触媒合成コストに課題がある。また、特許文献2に提案される方法においては、流動床反応器を用いることから循環時の物質損失により生産性が低い。さらに、特許文献3に提案されるメタノールから芳香族化合物を製造する方法においては、ゼオライトの粒子径や外表面のブレンステッド酸量及び修飾金属Agの含有量が制御され、触媒の耐水性ならびに触媒寿命の向上効果は検証されたものの、芳香族化合物の選択性の向上の余地があり、加えて、エタノールを原料とした場合の触媒機能制御効果は確認されていない。いずれの提案においても、エタノール転換による芳香族化合物の製造に用いる触媒として、ゼオライトのAl原子の分布を制御した芳香族化合物の選択性向上効果は検証されておらず、改良の余地が残されている。
【0005】
本発明は、炭素数1~4の原料アルコールから、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を高い選択性で製造し得る10員環ゼオライト触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]~[10]を提供する。
[1]水と、ケイ素源と、アルミニウム源と、水酸化物と、分岐アルコールとを含む原料混合物を水熱反応させて得られる10員環ゼオライト触媒であって、前記水酸化物が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される1種以上であり、前記分岐アルコールが、炭素数5以上かつ4級炭素を有するものであり、かつ、炭素数1~4の原料アルコールから芳香族化合物の製造に用いられる10員環ゼオライト触媒。
[2]前記分岐アルコールが、炭素数5~10のポリオールである、[1]に記載の10員環ゼオライト触媒。
[3]前記ケイ素源とアルミニウム源との比率が、SiO
2
:Al
2
O
3
換算のモル比で、20.0~400.0:1である、[1]又は[2]に記載の10員環ゼオライト触媒。
[4]ペンタシル構造を有する[1]~[3]のいずれか1に記載の10員環ゼオライト触媒。
[5]MFI型である[1]~[4]のいずれか1に記載の10員環ゼオライト触媒。
[6]前記原料アルコールが、エタノールである[1]~[5]のいずれか1に記載の10員環ゼオライト触媒。
[7]前記水と、前記ケイ素源と、前記アルミニウム源と、前記水酸化物と、前記分岐アルコールとを含む原料混合物を水熱反応させる工程を有する、[1]~[6]のいずれか1に記載の10員環ゼオライト触媒の製造方法。
[8][1]~[6]のいずれか1に記載の10員環ゼオライト触媒を、炭素数1~4の原料アルコールと接触させて生成物を得る反応工程を有する、芳香族化合物の製造方法。
[9]前記反応工程を、200℃以上600℃以下の温度条件、かつ、大気圧以上1.0MPa以下の圧力条件下で行う[8]に記載の芳香族化合物の製造方法。
[10]前記生成物中における、ベンゼン、トルエン及びキシレンの選択率が、炭素原子換算で30質量%以上である[8]又は[9]に記載の芳香族化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炭素数1~4の原料アルコールから、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を高い選択性で製造し得る10員環ゼオライト触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例1で得られたゼオライト触媒のX線回折スペクトルである。
比較例1で得られたゼオライト触媒のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本明細書において、「以上」、「以下」、「~」の数値範囲に係る上限及び下限の数値は任意に組み合わせできる数値であり、また実施例の数値を上限及び下限の数値として用いることもできる。また、好ましいとされている規定は任意に採用することができる。即ち、好ましいとされている一の規定を、好ましいとされている他の一又は複数の規定と組み合わせて採用することができる。好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
【0010】
本発明者らは、原料アルコールから芳香族化合物を製造する際のゼオライト触媒について検討したところ、10員環ゼオライト触媒を製造する際の原料として、炭素数5以上かつ4級炭素を有する分岐アルコールなどを用いることで、得られる芳香族化合物が含有するベンゼン、トルエン及びキシレン(BTX)の選択率が向上することを見出した。以下、そのメカニズムについて詳述する。
従来、10員環ゼオライト、より具体的にはMFI型アルミノシリケートであるZSM-5の合成は、典型的にはテトラプロピルアンモニウムカチオン(N(CH
2
CH
2
CH
3
)
4
+
、“TPA
+
”)を有機構造規定剤(充填剤)として用い、Na
+
共存下にて行われる。これに対し、本実施形態の10員環ゼオライト触媒の合成は、多価アルコールの一種であり、構造がTPA
+
と類似し、電荷をもたないペンタエリトリトール(C(CH
2
OH)
4
、“PET”)等の分岐アルコールを用いて、水酸化物の共存下にて行われる。
ここで、MFI型等の10員環ゼオライトは,10員環の直線状細孔(ストレートチャンネル)とジグザグな細孔(ジグザグチャンネル)が互いに交差した3次元細孔構造を有する。10員環細孔の直径は5.5Å程度であるが、細孔の交差した場所(インターセクション)は約10Åと広い空間となっている。
そして、ペンタエリトリトール分子などの分岐アルコールは嵩高いため、インターセクションにしか存在できない。この場合、Al
3+
の対カチオンは細孔内に均一に存在できるはずであるが、インターセクションがペンタエリトリトール分子で占有されているため、結果としてAl原子はインターセクション以外の、ストレートチャンネル内やジグザグチャンネル内に選択的に存在させることができる。
次に、インターセクションで反応が進行すると、広い反応場での逐次反応が進行し、BTXよりも嵩高い芳香族化合物が生成することが考えられ、他方、10員環細孔内は形状選択的にBTXがちょうど生成する大きさである。
本実施形態の10員環ゼオライト触媒においては、酸点位置が10員環のストレートチャンネルとジグザグチャンネルに選択的に配置されているため、BTXの収率が向上する。
(【0011】以降は省略されています)
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