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公開番号2025034679
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023141198
出願日2023-08-31
発明の名称繊維状チーズおよびその製造方法
出願人株式会社明治
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類A23C 19/068 20060101AFI20250306BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】適切な柔らかさを有し、手や爪に付着する汚れが抑制され、口中でほぐれやすく優れた食感を有し、咀嚼しやすい繊維状チーズを提供する。
【解決手段】繊維状チーズであって、咀嚼用容器中に咀嚼疑似歯を備えた咀嚼模擬装置を用い、特定の条件で咀嚼模擬試験を行ったときに、力積値が30N・s以上646N・s以下であり、かつ咀嚼後の切片の体積の最大値が1310mm3以下である、繊維状チーズ。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
繊維状チーズであって、咀嚼用容器中に咀嚼疑似歯を備えた咀嚼模擬装置を用い、下記条件(1)~(9)で咀嚼模擬試験を行ったときに、力積値が30N・s以上646N・s以下であり、かつ咀嚼模擬試験後の切片の体積の最大値が1310mm

以下である、繊維状チーズ。
(1)前記繊維状チーズのサンプル形状:円柱状である。
(2)前記円柱状のサンプルのサイズ:繊維長手方向に対して直交方向に切断して得られた切断面の断面積が177mm

であり、かつ繊維長手方向の長さが15mmである。
(3)咀嚼疑似歯:咀嚼用容器中に上治具および下治具を設け、前記上治具は、長さ59mmであり頂点の角度が120°である三角柱状の主歯形および長さ59mmであり頂点の角度が60°である三角柱状の副歯形を同じ高さで十字形に交差させた構造を有し、前記主歯形は、前記円柱状のサンプルと接触する箇所に一辺6mmおよび高さ1mmの立方体形状の凸部を1mmの間隔で敷き詰めた構造を有し、前記副歯形は、前記凸部を有さず、前記上治具および前記下治具は雄型および雌型の関係にあり、前記主歯形の頂部および前記主歯形の頂部とかみ合う前記下治具の雌型の底部は、曲率半径3mmの円弧状を呈する。
(4)咬合力:前記上治具および前記下治具間に形成された咬合部に前記円柱状のサンプルを設置し、前記円柱状のサンプルに対して噛みちぎり方向およびすり潰し方向で最大200Nである。
(5)咀嚼速度:前記上治具に対する前記下治具の往復運動を1回として60回/minである。
(6)咀嚼方向・回数:前記上治具に対する前記下治具の往復運動を1回として、前記噛みちぎり方向に10回、前記すり潰し方向に10回の合計20回である。
(7)咀嚼時間:20秒間
(8)唾液添加流量:人工唾液として0.02質量%キサンタンガム水溶液を用い、前記人工唾液の前記上治具および前記下治具間への添加流量として4ml/minである。なお、咀嚼模擬試験前に前記人工唾液を前記下治具上に1ml添加しておく。
(9)咀嚼模擬試験環境温度:32~34℃である。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
断面積が50mm

以上400mm

以下であり、かつ繊維長手方向の長さが5mm以上30mm以下である、請求項1に記載の繊維状チーズ。
【請求項3】
質量が50g未満である、請求項1に記載の繊維状チーズ。
【請求項4】
前記質量が0.5g以上40g以下である、請求項3に記載の繊維状チーズ。
【請求項5】
真空包装方法、ガス置換包装方法、脱酸素剤を含める包装方法のいずれかの包装方法で包装されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維状チーズ。
【請求項6】
チーズカードの熟度を4%以上9%以下に調整する、および/または、前記チーズカードのFDMを55%以上75%以下に調整する調整工程を少なくとも有する、繊維状チーズの製造方法。
【請求項7】
前記調整工程後に得られたチーズカードを加熱混練した後、所望の形状に成形する工程および切断する工程を有する、請求項6に記載の繊維状チーズの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は繊維状チーズおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
日本の市場において、ナチュラルチーズが定着しつつある。ナチュラルチーズには、熟成の程度により、乳成分の熟成の風味を楽しめる、いわゆる熟成型ナチュラルチーズ、および新鮮な乳風味を味わえる、いわゆる非熟成型ナチュラルチーズに分類することができる。また、ナチュラルチーズは、その硬さから、特別硬質ナチュラルチーズ、硬質ナチュラルチーズ、半硬質ナチュラルチーズ、軟質ナチュラルチーズに分類することができる。このように、ナチュラルチーズには、熟成の程度や物性(食感)の違いなどにより、多くの種類が存在する。
【0003】
ナチュラルチーズのうち、モッツァレラチーズなどでは、原料乳を凝乳させ、チーズカードとホエイを分離し、ホエイを排出してから、チーズカードを温水中や水蒸気中で加熱しながら混練することにより得られる。さらに、かかる混練したチーズを押出成形や延伸し、その後冷却・固化することにより、押出方向に沿って糸状の繊維が形成された柱状の繊維状チーズが得られる。これは、加熱・混練された、弾力性のある柔らかなチーズカードが押出成形や延伸により一定方向に引き延ばされると、チーズ中のカゼインミセルを形成するサブミセル同士が付かず離れずの状態で押出方向に変形したり、延伸することにより、押出方向あるいは延伸方向に沿ってたんぱく質マトリクスが方向性を持って引き伸ばされた糸状の繊維状のタンパク質構造が形成されるためである。
【0004】
このように繊維状チーズは、押出方向や延伸方向に沿って一定の繊維性を有する。そのため、繊維方向に沿って手で引裂くことができる。なお、繊維状チーズの従来技術としては、例えば下記特許文献1~4に開示された技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2012-183032号公報
特開2016-67319号公報
国際公開第2004/095936号
特開昭57-138342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の繊維状チーズは、(1)硬い、(2)ボリュームや形状が大きすぎる、等の課題があり、改善が求められている。一般的に繊維状チーズは、手で細かく裂きながら食されるため、前記(1)硬いことにより指や爪が汚れ易くなるとともに、口中でほぐれにくく、食感が悪化し、また咀嚼力の弱い飲食者にとって咀嚼が困難となる場合がある。また、前記(2)ボリュームや形状が大きすぎると、特に子供や高齢者などの小食者は一回で全て食べられず、その結果残存した繊維状チーズの水分が蒸発して固くなったり、指により汚染され、残存した繊維状チーズは不衛生であるため、結局廃棄され、フードロスが発生するという問題もある。
【0007】
したがって本発明の目的は、適切な柔らかさを有し、手や爪に付着する汚れが抑制され、口中でほぐれやすく優れた食感を有し、咀嚼しやすい繊維状チーズおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、繊維状チーズの特定の咀嚼条件により測定された力積値および咀嚼後の切片の体積の最大値を特定範囲に定めることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は以下の構成からなる。
1.繊維状チーズであって、咀嚼用容器中に咀嚼疑似歯を備えた咀嚼模擬装置を用い、下記条件(1)~(9)で咀嚼模擬試験を行ったときに、力積値が30N・s以上646N・s以下であり、かつ咀嚼模擬試験後の切片の体積の最大値が1310mm

以下である、繊維状チーズ。
(1)前記繊維状チーズのサンプル形状:円柱状である。
(2)前記円柱状のサンプルのサイズ:繊維長手方向に対して直交方向に切断して得られた切断面の断面積が177mm

であり、かつ繊維長手方向の長さが15mmである。
(3)咀嚼疑似歯:咀嚼用容器中に上治具および下治具を設け、前記上治具は、長さ59mmであり頂点の角度が120°である三角柱状の主歯形および長さ59mmであり頂点の角度が60°である三角柱状の副歯形を同じ高さで十字形に交差させた構造を有し、前記主歯形は、前記円柱状のサンプルと接触する箇所に一辺6mmおよび高さ1mmの立方体形状の凸部を1mmの間隔で敷き詰めた構造を有し、前記副歯形は、前記凸部を有さず、前記上治具および前記下治具は雄型および雌型の関係にあり、前記主歯形の頂部および前記主歯形の頂部とかみ合う前記下治具の雌型の底部は、曲率半径3mmの円弧状を呈する。
(4)咬合力:前記上治具および前記下治具間に形成された咬合部に前記円柱状のサンプルを設置し、前記円柱状のサンプルに対して噛みちぎり方向およびすり潰し方向で最大200Nである。
(5)咀嚼速度:前記上治具に対する前記下治具の往復運動を1回として60回/minである。
(6)咀嚼方向・回数:前記上治具に対する前記下治具の往復運動を1回として、前記噛みちぎり方向に10回、前記すり潰し方向に10回の合計20回である。
(7)咀嚼時間:20秒間
(8)唾液添加流量:人工唾液として0.02質量%キサンタンガム水溶液を用い、前記人工唾液の前記上治具および前記下治具間への添加流量として4ml/minである。なお、咀嚼模擬試験前に前記人工唾液を前記下治具上に1ml添加しておく。
(9)咀嚼模擬試験環境温度:32~34℃である。
2.断面積が50mm

以上400mm

以下であり、かつ繊維長手方向の長さが5mm以上30mm以下である、上記1に記載の繊維状チーズ。
3.質量が50g未満である、上記1に記載の繊維状チーズ。
4.前記質量が0.5g以上40g以下である、上記3に記載の繊維状チーズ。
5.真空包装方法、ガス置換包装方法、脱酸素剤を含める包装方法のいずれかの包装方法で包装されている、上記1から4のいずれか1に記載の繊維状チーズ。
6.チーズカードの熟度を4%以上9%以下に調整する、および/または、前記チーズカードのFDMを55%以上75%以下に調整する調整工程を少なくとも有する、繊維状チーズの製造方法。
7.前記調整工程後に得られたチーズカードを加熱混練した後、所望の形状に成形する工程および切断する工程を有する、上記6に記載の繊維状チーズの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態の繊維状チーズは、前記力積値が30N・s以上646N・s以下であり、かつ咀嚼後の切片の体積の最大値が1310mm

以下であるので、適切な柔らかさを有し、手や爪に付着する汚れが抑制され、口中でほぐれやすく優れた食感を有し、咀嚼しやすい繊維状チーズを提供することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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