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公開番号2025122584
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-21
出願番号2024018190
出願日2024-02-08
発明の名称脳機能改善用組成物
出願人株式会社明治,国立大学法人九州大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類A61K 31/7105 20060101AFI20250814BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、NGF産生促進用組成物、BDNF産生促進用組成物、脳機能改善用組成物、Tollip産生促進用組成物、及び抗炎症用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】前記の組成物はいずれもmiR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
miR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む、NGF産生促進用組成物。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
miR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む、BDNF産生促進用組成物。
【請求項3】
miR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む、脳機能改善用組成物。
【請求項4】
miR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む、Tollip産生促進用組成物。
【請求項5】
miR-26a-5p及びmiR-181a-5pよりなる群から選択される少なくとも1種のmiRNAを有効成分として含む、抗炎症用組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、神経成長因子(NGF)及び/又は脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生促進作用を有する脳機能改善用組成物に関する。またNGF産生促進用組成物、及びBDNF産生促進用組成物に関する。
さらに本発明は、Tollip産生促進作用を有する抗炎症用組成物に関する。またTollip産生促進用組成物に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
ストレスや加齢による脳機能の低下は、記憶力の低下、うつ病、不眠、認知症などを引き起こし、生活の質(Quality of life:QOL)を著しく低下させる。高ストレス化、及び超高齢化が進行するわが国において、うつ病や認知症などの精神疾患の罹患者の増加が社会的問題となっており、脳機能の低下を抑制し、改善又は向上させる物質の探索研究が活発に行われている。
【0003】
近年、神経細胞の生存維持、成長、シナプスの機能亢進などの機能を有し、認知能や記憶力の維持向上に寄与する因子として、神経成長因子(nerve growth factor:NGF)(本発明では単に「NGF」と称する)、及び脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF)(本発明では単に「BDNF」と称する)が注目されている。
【0004】
NGFは、脳内の特に海馬や大脳皮質に多く存在しており、NGF mRNAレベルも同部位で高いことが知られている。NGFは、コリン作動性ニューロンの生存及び機能維持に必須の栄養因子として考えられていることから、同ニューロンの変性脱落が主要な病変とされるアルツハイマー病の治療薬として活用し得る可能性が示唆されている。しかし、NGFは分子量が約13,000の蛋白質であり、脳血液関門を通過しない。このため、脳血液関門を通過し得る低分子化合物であって、脳内のNGF産生を促進する化合物を見出すことができれば、これらの化合物により、機能低下した前脳基底核コリン作動性神経細胞を賦活化し、脳の機能低下が改善できるものと期待される。
【0005】
BDNFは、シナプス可塑性とニューロンの生存に重要な役割を担っていることが知られている。BDNFの低下が、うつ病などの精神神経疾患の発症に関わることが示唆されており、実際、多くの神経変性疾患、精神疾患及びうつ病患者の脳内では、BDNF発現の減少が確認されている(非特許文献1及び2)。また、うつ病モデル動物を用いた実験において、脳室へのBDNF投与により行動異常が改善すること、また、BDNFの増加により記憶や学習等のパフォーマンスが高まることが報告されている(非特許文献3)。このため、BDNFを増加させることにより、脳機能の向上又は改善、認知力又は記憶力の向上、抗うつ又は抗不安、気力向上、及び精神安定化などの作用効果が発揮されることが期待される。
【0006】
Toll相互作用タンパク質(Toll-interactingprotein:Tollip)(本発明では単に「Tollip」と称する)は、TLRシグナル伝達経路における主要な抑制性アダプタータンパク質である(TLR負調節因子)。Tollipは、標的N末端Myb1結合ドメイン、保存されたコアドメイン2、及び小胞体分解にユビキチンを結合するC末端部分を含み、TLR誘発MyD88依存性NF-κB活性化経路を2つの方法で制御する。第一に、Tollipは無傷のTollip C末端領域を介してTLR-TIRドメインを介してIL-1RおよびTLR4と直接相互作用し、ユビキチンを小胞体分解ドメインに結合させることにより、TLR誘導免疫応答を抑制する。第二に、TollipはTLR活性化後のIL-1R関連キナーゼの活性を強力に抑制する。実際、Tollipの過剰発現は、TLRとIL-1Rリガンド結合に応答するNF-κBの活性化を阻害することから、TollipがTLRを介したシグナル伝達を負に制御していることが示唆されている(以上、非特許文献4参照)。
【0007】
TLRはMyD88やMyD88を含むいくつかのアダプタータンパク質を介して、下流のシグナルを伝達する。TLRシグナル伝達は自然免疫系の制御に不可欠であるが、最近の研究では、異常なTLRシグナル伝達はインスリン抵抗性、アルツハイマー病、腫瘍転移、慢性腎臓病、心血管系疾患などのいくつかの疾患に関与していることが示唆されている。さらに最近の研究では、TLR-4シグナル伝達経路の阻害が慢性炎症性疾患の抑制のターゲットになる可能性が見出されている(以上、非特許文献4参照)。
【0008】
炎症は、通常、患者の病的状態を判断する重要な信号と見なされており、有害な刺激に対する組織の反応として定義されている。炎症は、関節炎、喘息、がん、糖尿病、自己免疫疾患などと関連しており、これらの疾患の主な前兆として認識されている。自然免疫応答の中心的な役割を担うマクロファージは、貪食作用、殺菌性の活性酸素および窒素中間体の生成、およびサイトカインおよびケモカインの産生に関与する。刺激されたマクロファージによって産生される炎症性サイトカインおよびケモカインには、interleukin 6 (IL-6) やtumor necrosis factor α (TNF-α) などが含まれる。
【0009】
緑茶の主要ポリフェノールであるエピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)は、緑茶ポリフェノールの抗炎症作用において中心的な役割を果たしていることが知られているが、最近の研究では、EGCGの抗炎症作用にも、Tollipのアップレギュレーション(発現上昇)が不可欠な役割を果たしていることが報告されている。このEGCG誘発Tollip発現上昇は、Src-1阻害剤、Akt1/2阻害剤、及びNO合成酵素阻害剤により抑制されることから、Src/Akt/eNOS軸が、EGCG誘発Tollip発現の上流で働いていることが示唆されている(以上、非特許文献4参照)。
【0010】
これらのことから、Tollip 発現を上昇させることにより炎症が抑制し、また改善することができるものと期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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