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公開番号
2025031377
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-07
出願番号
2023137565
出願日
2023-08-25
発明の名称
エンジニアリングされたタンパク質
出願人
株式会社キュライオ
,
国立大学法人 東京大学
,
京都府公立大学法人
,
学校法人自治医科大学
代理人
個人
主分類
C12N
9/22 20060101AFI20250228BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】ゲノムエンジニアリングツールとして利用可能な、エンジニアリングされたタンパク質を提供する。
【解決手段】AsCas12fのアミノ酸配列において、アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号195位でのリシンへの置換との少なくとも一方の置換を含むタンパク質である。好ましくは、アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換を少なくとも含む二重変異体、または、アミノ酸番号195位でのリシンへの置換を少なくとも含む二重変異体である。好ましくは、アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを少なくとも含む三重変異体、または、アミノ酸番号195位でのリシンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを少なくとも含む三重変異体である。
【選択図】図1-1
特許請求の範囲
【請求項1】
配列番号1で表されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号195位でのリシンへの置換との少なくとも一方の置換を含む、
タンパク質。
続きを表示(約 990 文字)
【請求項2】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換を少なくとも含む二重変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを少なくとも含む変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを少なくとも含む三重変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項5】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを含み、かつ、
アミノ酸番号123位でのヒスチジンへの置換、アミノ酸番号246位でのメチオニンへの置換、アミノ酸番号316でのメチオニンへの置換、またはアミノ酸番号337でのロイシンへの置換のうちいずれか1つの置換を含む三重変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換と、アミノ酸番号316位でのメチオニンへの置換とを少なくとも含む変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換と、アミノ酸番号316位でのメチオニンへの置換とを少なくとも含む四重変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項8】
前記アミノ酸番号188位でのヒスチジンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換と、アミノ酸番号316位でのメチオニンへの置換と、アミノ酸番号48位でのチロシンへの置換とを少なくとも含む変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項9】
前記アミノ酸番号195位でのリシンへの置換を少なくとも含む二重変異体である、請求項1に記載のタンパク質
【請求項10】
前記アミノ酸番号195位でのリシンへの置換と、アミノ酸番号232位でのアラニンへの置換とを少なくとも含む変異体である、請求項1に記載のタンパク質。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジニアリングされた物質に関し、例えばエンジニアリングされたタンパク質に関する。
続きを表示(約 5,400 文字)
【背景技術】
【0002】
細菌及び古細菌のCRISPR-Casシステムは、外来核酸に対する適応免疫を提供することが知られている。特許文献1には、CRISPR-Casシステムは、2つのクラス(クラス1及び2)と6つのタイプ(タイプI~VI)に分類されることが開示されている。クラス2システムには、タイプII、V、及びVIが含まれ、Cas9(タイプII)やCas12(タイプV)などの単一のマルチドメインエフェクターCasタンパク質が含まれる。
特許文献1に開示されるように、Cas9及びCas12aは、真核細胞で強力なヌクレアーゼ活性を示すことから、用途の広いゲノムエンジニアリングツールとして広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2022/092317号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Cas9やCas12等の、ゲノムエンジニアリングツールとして用いられるタンパク質には、様々な特性が要求される。
例えば、化膿連鎖球菌由来のSpCas9は、活性が強いという点では、ゲノムエンジニアリングツールに適している。しかし、その分子サイズは1,367アミノ酸残基(遺伝子が4.1kb)と大きい。一方、AAVベクターにおいては、外来遺伝子の入るスペースは4.5kb未満であり、SpCas9をAAVベクターに載せて動物細胞に導入することすら困難であり、ゲノムエンジニアリングツールとして用いるためには、このサイズの大きさによる制限を受ける。
従って、ゲノムエンジニアリングツールとして利用可能な、エンジニアリングされたタンパク質を提供することが求められている。
【0005】
本発明は、上記背景の下になされたものであり、ゲノムエンジニアリングツールとして利用可能なエンジニアリングされた物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの形態は、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1)アミノ酸番号195位(D195)は変異がなく、アミノ酸番号188位が変異され、または、2)アミノ酸番号S188は変異がなく、アミノ酸番号195位が変異したタンパク質である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ゲノムエンジニアリングツールとして利用可能な、エンジニアリングされた物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
AはAsCas12fのドメイン構造、Bはクライオ電子顕微鏡を用いた複合体構造解析を表す図。
CはAsCas12f-sgRNA-標的DNA三元複合体の構造モデル。
DはsgRNAと標的DNAの概略図。
Aはサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイル、BはTitanKriosに記録された代表的なクライオ電子顕微鏡画像の説明図。
Cは単一粒子クライオ電子顕微鏡画像処理ワークフローの説明図、Dは3D再構成用のフーリエシェル相関(FSC)曲線を表すグラフ。
Eはサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイル、FはTitanKriosに記録された代表的なクライオ電子顕微鏡画像の説明図。
Gは単一粒子クライオ電子顕微鏡画像処理ワークフローの説明図、Hは3D再構成用のフーリエシェル相関(FSC)曲線を表すグラフ。
Iはサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイル、JはTitanKriosに記録された代表的なクライオ電子顕微鏡画像の説明図。
Kは単一粒子クライオ電子顕微鏡画像処理ワークフローの説明図、Lは3D再構成用のフーリエシェル相関(FSC)曲線を表すグラフ。
AはAsCas12fとUnCas12fの構造比較の説明図。
BはAsCas12f.1とAsCas12f.2の二量体界面及びsgRNAスキャフォールドの認識サイトの説明図、CはRECローブに基づくAsCas12f.1とAsCas12f.2の重ね合わせの説明図。
DはREC.1とREC.2との二量体界面、EはRuvC.1とRuvC.2との二量体界面、FはAsCas12f.2によるStem2の認識、GはAsCas12f.1によるStem2の認識の説明図。
AはガイドRNAと標的DNAの認識サイト、BはAsCas12fの静電表面ポテンシャルの説明図。
C~Eは、それぞれ、ステム1とPK 1、ステム3、およびガイドRNA-標的DNAヘテロ二重鎖の認識の説明図。
FはAsCas12fのTS、NTS、RuvC活性部位と未培養古細菌由来のUnCas12fとの構造比較の説明図。
AはAsCas12fのDMSライブラリー設計、BはGFP遺伝子欠失のコンテクストにおける遺伝子編集効率をゲノム評価するためのDMSアプローチの概要の説明図。
Cは単一の突然変異がゲノム編集アクティビティに与える影響の説明図、DはHEK293T細胞のVEGF遺伝子に対するゲノム編集アクティビティを評価するためのSplit-GFP-再構成アッセイの説明図、EはAsCas12f突然変異のゲノム編集アクティビティの説明図、Fはd2EGFPを発現するHEK293T細胞内のAsCas12f-HKRAとAsCas12fによって誘導されたGFP欠失の時間的経過を表すグラフ。
AはGFP欠失に対する単一変異体の効果の相関を表すグラフ。
B-1はWTと比較して編集効率が20%以上増加する単一アミノ酸置換のリスト。
B-2はWTと比較して編集効率が20%以上増加する単一アミノ酸置換のリスト。
C、D、Eは、それぞれ、二重、三重、四重でのAsCas12f変異体のゲノム編集活性を表すグラフ。
AはsgRNA変異体のシーケンスの説明図、Bはフローサイトメトリーによって判定されたsgRNA変異体のゲノム編集アクティビティを表す説明図、Cは共通のシーケンスサイト(n=3は±SDを意味する)用のqPCRによって定量されたsgRNAの発現を表すグラフ、DはGFP欠失の時間的経過を表すグラフである。
Eは野生型のsgRNA、FはsgRNA_ΔS3-5_v7の概略の説明図。
Gは野生型のsgRNAスキャフォールドの構造、HはsgRNA_ΔS3-5_v7スキャフォールドの構造の説明図。
Iは野生型のsgRNAのPK1領域、JはsgRNA_ΔS3-5_v7のPK1領域、Kは野生型のsgRNAのPK2領域、LはsgRNA_ΔS3-5_v7のステム3領域の拡大図。
Aはクライオ電子顕微鏡を用いた標的DNA及び標的DNA複合体結果の説明図。
BはAsCas12f-YHAMの二量体界面、CはAsCas12f-YHAMのターゲットDNA認識、DはAsCas12f-YHAMの疎水性相互作用、EはAsCas12f-HKRAのガイドRNAターゲットDNAヘテロ二本鎖の認識、FはターゲットDNAの認識、GはsgRNAスキャフォールドの認識の説明図。
データ収集、処理、モデル改良及び検証の結果の説明図。
データ収集、処理、モデル改良及び検証の結果の説明図。
Aはセルフターゲッティングライブラリーの説明図、Bは編集頻度を表すグラフ。
C~Eは様々なCasでのゲノム編集活性を表すグラフ。
Aはターゲット編集効率の比較結果を表すグラフ、BはPAM二重鎖の認識結果の説明図。
C、Dは他の標的部位等におけるインデル効率を表すグラフ。
Eは他の標的部位等におけるインデル効率を表すグラフ。
Aはミスマッチの影響を表すグラフ、Bはオフターゲット編集数の比較の説明図。
C-1はガイドシーケンスにより識別されたオフターゲットサイトの説明図。
C-2はガイドシーケンスにより識別されたオフターゲットサイトの説明図。
C-3はガイドシーケンスにより識別されたオフターゲットサイトの説明図。
筋ジストロフィーモデル人工多能性幹細胞(iPSC)の作製及び心筋細胞(iPSC-CM)への分化の説明図であり、AはPCRによるDMDエクソンの完全な欠失の確認の説明図、BはDMDエクソン44欠失-iPS細胞株のゲノム配列の説明図。
筋ジストロフィーモデル人工多能性幹細胞(iPSC)の作製及び心筋細胞(iPSC-CM)への分化の説明図であり、Cは心筋分化14日目のα-アクチニン-mCherryのフローサイトメトリー解析の説明図、Dはウェスタンブロット解析を表す図。
Eはルシフェラーゼ(Luciferase)活性の比較を表すグラフ、Fはプラスミド構築物の概略説明図、Gはプラスミドベクターを導入した細胞におけるルシフェラーゼ活性の増加を表すグラフ。
A~Fは変異体を用いた治療及びノックインの説明図。
G~Jは変異体を用いた治療及びノックインの説明図。
A~FはAsCas12f変異体を用いたAlb locusにおけるFIXのノックイン(マウス)の説明図。
G~JはAsCas12f変異体を用いた遺伝子転写活性化の説明図。
Aはマウスにおける遺伝子転写活性化によるルシフェラーゼの発現を表す説明図、BはROI値を表すグラフである。
STAR Methodsに関連して構造解析に使用した核酸配列の説明図。
STAR Methodsに関連してゲノム編集に使用される核酸配列の説明図。
STAR Methodsに関連してゲノム編集に使用されるプライマーとコンストラクトの説明図。
STAR Methodsに関連してゲノム編集に使用されるプライマーとコンストラクトの説明図。
STAR Methodsに関連してゲノム編集に使用されるプライマーとコンストラクトの説明図。
STAR Methodsに関連してゲノム編集に使用されるプライマーとコンストラクトの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
STAR Methodsにおけるキーリソースの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、アミノ酸配列における置換変異を表す場合、元のアミノ酸の一文字表記、続いて1~3桁の数字による位置番号、次に置換されたアミノ酸の一文字表記により表現することがある。例えば、アミノ酸番号1022位においてアスパラギン酸(D)がアスパラギン(N)に置換される変異が生じている場合、「D1022N」と表され、これは、「アミノ酸番号1022位のAspのAsnへの置換」と同義である。アミノ酸をつないでいる-CO-NH-結合は、ペプチド結合と呼ばれる。このように結合しているアミノ酸のことをアミノ酸残基という。また、「変異」は、開始アミノ酸又は核酸配列に生じた変化を指す。この用語は、置換、挿入及び欠失が包含されることを意図するものである。また、本実施形態において、エンジニアリングされた物質はタンパク質であり、例えば、エンジニアリングされたAsCas12fである。エンジニアリングされた物質は、例えばガイドRNAやベクター等の他の物質とともに組成物として用いられてもよい。
【0010】
細菌及び古細菌のCRISPR-Casシステムは、外来核酸に対する適応免疫を提供し、2つのクラス(クラス1及び2)と6つのタイプ(タイプI~VI)に分類される。クラス2システムには、タイプII、V、及びVIが含まれ、Cas9(タイプII)やCas12(タイプV)などの単一のマルチドメインエフェクターCasタンパク質が含まれる。
CRISPR-Casの用途は、ゲノム編集に限られるわけではない。切断活性を消失させたCasは、RNA依存的なDNA結合タンパク質として機能することから、様々なエフェクター(effector)を融合することで転写活性の調整や一塩基編集などの技術に用いられている。
ゲノム編集酵素においては標的組織への導入のためにAAVなどのウイルスベクターを用いるが、搭載できる遺伝子の大きさに限界があり、Cas9やCas12aはその大きさのために搭載が難しい。
(【0011】以降は省略されています)
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