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公開番号2025028135
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2024216320,2020111984
出願日2024-12-11,2020-06-29
発明の名称SARS-CoV-2に対する抗体、該抗体を用いてSARS-CoV-2を検出する方法および該抗体を含むキット
出願人公立大学法人横浜市立大学,関東化学株式会社
代理人弁理士法人葛和国際特許事務所
主分類C07K 16/10 20060101AFI20250220BHJP(有機化学)
要約【課題】
本発明は、SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するための手段を提供することを課題とする。
【解決手段】
SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質に結合する抗体またはその断片、該抗体またはその断片を用いてSARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出する方法、および該抗体またはその断片を含むSARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するためのキット等を提供することにより、上記課題が達成された。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質に結合する抗体またはその断片であって、該抗体またはその断片の認識するエピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の121~419番目にある、前記抗体またはその断片。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
エピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208~222番目、332~351番目、374~397番目、または398~419番目にある、請求項1に記載の抗体またはその断片。
【請求項3】
SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する、請求項1または2に記載の抗体またはその断片。
【請求項4】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
【請求項5】
その断片が、Fabフラグメント、Fab/cフラグメント、Fvフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)

フラグメントである、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
【請求項6】
SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を試料から検出する方法であって、試料を、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体またはその断片と接触させる工程を含む、前記方法。
【請求項7】
試料が、生体試料である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法からなる群から選択される少なくとも1つの免疫学検査によりSARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出する工程をさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体またはその断片を含む、SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するためのキット。
【請求項10】
イムノクロマトストリップの形態である、請求項9に記載のキット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、SARS-CoV-2に対する抗体、該抗体を用いてSARS-CoV-2を検出する方法および該抗体を含むキット等に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
2019新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」と記す場合がある)は、中国武漢市付近で2019年に発生が初めて確認された、SARS関連コロナウイルスに属するコロナウイルスである。ヒトに対して病原性があり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす。
現在、SARS-CoV-2の感染拡大について、WHOがパンデミック(世界的流行)相当との認識を示している。他方、SARS-CoV-2感染患者の治療法は確立されていない。したがって、適切な感染拡大防止策を講じるために、迅速な検査によりSARS-CoV-2感染患者を発見するとともに、免疫学検査を用いて血清中の抗体保有率を調べることで、感染率や感染経路を調査することは極めて重要である。
【0003】
SARS-CoV-2の検出方法としては、採取した鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰等を検体とするリアルタイム逆転写PCR法等の遺伝子検査が主に使用されている(非特許文献1および2)。これによってSARS-CoV-2感染の有無を判断することが可能である。他方、前記遺伝子検査では、SARS-CoV-2に感染しているにも関わらず検体の採取場所、採取時期、保管方法等の影響で前記検体からSARS-CoV-2が検出されない事例(偽陰性)が多発しており、これはSARS-CoV-2が感染拡大する一因となっている。また、遺伝子検査にはPCR中リアルタイムで蛍光を検出する特殊な装置が必要となり、結果を得るためには数時間を要することから、感染現場、防疫現場および臨床現場等の設備が十分とはいえない場所における早期発見という観点から実用性に課題が残る。そこで、正確性、迅速性および簡便性を兼ね備えた検査として、SARS-CoV-2由来タンパク質に対する抗原抗体反応を利用した免疫学検査が求められている。
【0004】
SARS-CoV-2由来タンパク質として、SARS-CoV-2のエンベロープ表面に存在し、宿主細胞への感染に関与するスパイク(以下、「S」と記す場合がある)タンパク質が知られている(非特許文献3)。しかし、SARS-CoV-2由来Sタンパク質は多数の糖鎖が結合した糖タンパク質であり(非特許文献3)、その構造を正確に再現したタンパク質を化学合成や遺伝子組換え微生物等を用いて人工的に作製することは極めて困難であると考えられる。また、SARS-CoV-2と遺伝学的に近縁関係にあるSARSコロナウイルスに由来するSタンパク質はSARSコロナウイルスの増殖に伴ってアミノ酸配列に変異が生じ易いことが知られているが(非特許文献4)、SARS-CoV-2由来Sタンパク質も同様に、SARS-CoV-2の増殖に伴ってアミノ酸配列に変異が生じ易いと考えられる。このため、SARS-CoV-2由来Sタンパク質に対して作製した抗体は、該Sタンパク質の変異体に対しては抗原抗体反応を示さない可能性があり、よって、SARS-CoV-2由来Sタンパク質に対する抗体を用いる免疫学検査では、検体によっては検査結果に偽陰性が生じてしまうおそれがある。
【0005】
他方、SARS-CoV-2由来タンパク質として、SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質(以下、「NP」と記す場合がある)も知られている。SARS-CoV-2と遺伝学的に近縁関係にあるSARSコロナウイルスに由来するNPは種々存在するSARSコロナウイルス由来タンパク質の中でも感染により産生される量が最も多いことが知られているが(非特許文献5)、SARS-CoV-2由来NPも同様に、種々存在するSARS-CoV-2由来タンパク質の中でも感染により産生される量が最も多いと考えられる。このため、SARS-CoV-2由来NPは、検体から比較的容易に検出できるものと期待される。実際に、SARS-CoV-2由来NPの部分ペプチドに対する抗体を作製した事例は既に報告されている(非特許文献6)。しかし、該事例において作製された抗体は、SARS-CoV-2と遺伝学的に近縁関係にあるMERSコロナウイルスに由来するNPやSARSコロナウイルスに由来するNPに対しても抗原抗体反応を示し、SARS-CoV-2由来NPに対する特異性を有していない(非特許文献6)。よって、該抗体を用いる免疫学検査では、検体によっては検査結果に偽陽性が生じてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル(国立感染症研究所、2020年4月16日)
病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1(国立感染症研究所、2020年3月19日)
Chen X., et al., Cell. Mol. Immunol., (2020) doi: https://doi.org/10.1038/s41423-020-0426-7
Qin E., et al., Geno., Prot. Bioinfo., 1(2), 101-107 (2003)
Wang J., et al., Geno., Prot. Bioinfo., 1(2), 145-154 (2003)
Li M., et al., medRxiv, (2020) doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.20.20025999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するための手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、SARS-CoV-2由来NPと他のコロナウイルス由来NPとを分析した結果、SARS-CoV-2由来NPのアミノ酸配列と他のコロナウイルス由来NPのアミノ酸配列との間で同一性が低い領域を見出した。そして上記課題に鑑み、該領域に対応するSARS-CoV-2由来NPの断片を作製し、これを免疫原として常法に従って抗体を作製することによって、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質に結合する抗体またはその断片であって、該抗体またはその断片の認識するエピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の121~419番目にある、前記抗体またはその断片。
[2]エピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208~222番目、332~351番目、374~397番目、または398~419番目にある、[1]の抗体またはその断片。
[3]SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する、[1]または[2]の抗体またはその断片。
[4]抗体が、モノクローナル抗体である、[1]~[3]のいずれかの抗体またはその断片。
[5]その断片が、Fabフラグメント、Fab/cフラグメント、Fvフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)

フラグメントである、[1]~[4]のいずれかの抗体またはその断片。
[6]SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を試料から検出する方法であって、試料を、[1]~[5]のいずれかの抗体またはその断片と接触させる工程を含む、前記方法。
[7]試料が、生体試料である、[6]の方法。
[8]ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法からなる群から選択される少なくとも1つの免疫学検査によりSARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出する工程をさらに含む、[6]または[7]の方法。
[9][1]~[5]のいずれかの抗体またはその断片を含む、SARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するためのキット。
[10]イムノクロマトストリップの形態である、[9]のキット。
【発明の効果】
【0010】
本発明のSARS-CoV-2由来NPに特異的に結合する抗体またはその断片、該抗体またはその断片を用いてSARS-CoV-2由来NPを検出する方法、および該抗体またはその断片を含むSARS-CoV-2由来ヌクレオカプシドを構成するタンパク質を検出するためのキット等により、正確、簡便、かつ迅速にSARS-CoV-2の感染の有無、あるいは既往歴を検出することが可能である。すなわち、本発明により、感染現場、防疫現場および臨床現場等の設備が十分とはいえない場所における早期発見において高い実用性を備えた免疫学検査を提供することができる。これは、本発明のSARS-CoV-2由来NPに特異的に結合する抗体またはその断片の認識するエピトープが、SARS-CoV-2由来NPのアミノ酸配列と他のコロナウイルス由来NPのアミノ酸配列との間で同一性が低い領域から構成されることから、SARS-CoV-2由来NPを検体から特異的に検出することが可能であるためである。
また、本発明のSARS-CoV-2由来NPに特異的に結合する抗体またはその断片によりSARS-CoV-2由来NPを検出する方法を用いることで偽陽性および偽陰性が生じる事例を減少させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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