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公開番号2025026774
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-25
出願番号2023131707
出願日2023-08-11
発明の名称蓄電デバイスの製造方法
出願人プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社,トヨタ自動車株式会社,トヨタバッテリー株式会社
代理人弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
主分類H01M 50/169 20210101AFI20250217BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】レーザ溶接でケースを形成する際に、ケース蓋部材の挿通孔周囲部と端子部材との間を絶縁する樹脂部材に焦げ部が生じるのを抑制できる蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電デバイス1の製造方法は、蓋アセンブリ15のうちケース蓋部材30によりケース本体部材20の開口部20cを塞いだ状態で、ケース本体部材20の開口部20c及びケース蓋部材30の周縁部30fに、全周にわたりレーザ光LCを照射しレーザ溶接するレーザ溶接工程S3と、これに先立ち、レーザ光LCの散乱光LBが樹脂部材70,80に届くのを妨げる遮蔽部材SA,SBを蓋アセンブリ15に配置する遮蔽工程S2と、レーザ溶接工程S3の後、遮蔽部材SA,SBを取り除く除去工程S4を備える。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
開口部を有する有底筒状のケース本体部材、及び、挿通孔を有し、前記開口部を閉塞する形態で前記ケース本体部材に全周にわたり溶接されたケース蓋部材を有するケースと、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、
前記ケース蓋部材のうち前記挿通孔を囲む挿通孔周囲部と、前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備える
蓄電デバイスの製造方法であって、
前記ケース蓋部材に前記樹脂部材を介して前記端子部材を一体化した蓋アセンブリのうち、前記ケース蓋部材により、前記ケース本体部材の前記開口部を塞いだ状態で、前記ケース本体部材の前記開口部及び前記ケース蓋部材の周縁部に、全周にわたりレーザ光を照射しレーザ溶接して、前記ケースを形成するレーザ溶接工程と、
前記レーザ溶接工程に先立ち、前記レーザ光の散乱光が前記樹脂部材に届くのを妨げる遮蔽部材を前記蓋アセンブリに配置する遮蔽工程と、
前記レーザ溶接工程の後、前記遮蔽部材を取り除く除去工程と、を備える
蓄電デバイスの製造方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記レーザ光の波長λは、0.5μm以上であり、
前記遮蔽部材は、前記レーザ光の前記散乱光が届く部位に、Agメッキ層を有する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記レーザ光の波長λは、0.9μm以上であり、
前記遮蔽部材は、前記レーザ光の前記散乱光が届く部位が、Cuからなる
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記遮蔽部材は、前記蓋アセンブリのうち前記樹脂部材または前記端子部材に対して脱着可能に構成されている
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記遮蔽部材は、金属板材を屈曲加工してなる
蓄電デバイスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース本体部材にケース蓋部材が溶接されたケースと、ケース蓋部材の挿通孔内に挿通された端子部材と、ケース蓋部材の挿通孔周囲部と端子部材の間を絶縁しつつ、これらに接合し、ケース蓋部材に端子部材を固定する樹脂部材とを備える蓄電デバイスの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスとして、直方体箱状のケースに樹脂部材を介して正負の端子部材がそれぞれ固定された角型の電池が知られている。具体的には、ケースは、矩形状の開口部を有する有底角筒状のケース本体部材と、開口部を閉塞する形態でケース本体部材に全周にわたり溶接された矩形板状のケース蓋部材とからなる。また正負の端子部材は、ケース蓋部材に設けられた挿通孔内にそれぞれ挿通されて、ケース内部からケース外部に延びており、樹脂部材がケース蓋部材の挿通孔周囲部と正負の端子部材との間をそれぞれ絶縁しつつ、これらに気密に接合し、ケース蓋部材に正負の端子部材をそれぞれ固定している。このような電池は、例えば特許文献1(図1、図2等を参照)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-079172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電池は、以下のように製造している。即ち、インサート成形や加締めなどにより、樹脂部材を介してケース蓋部材に端子部材を固定し、これらが一体化した蓋アセンブリを形成する。次に、この蓋アセンブリのケース蓋部材でケース本体部材の開口部を塞ぎ、ケース本体部材の開口部及びケース蓋部材の周縁部を全周にわたりレーザ溶接して、ケースを形成する。その後、ケース内に電解液を注液するなどして、電池を完成させる。
しかしながら、前述のレーザ溶接の際、レーザ光の散乱光が、ケース蓋部材と端子部材との間を絶縁する樹脂部材に届いて、樹脂部材に焦げ部が生じることがある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、ケース本体部材とケース蓋部材をレーザ溶接してケースを形成する際に、ケース蓋部材の挿通孔周囲部と端子部材との間を絶縁する樹脂部材に焦げ部が生じるのを抑制することができる蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、開口部を有する有底筒状のケース本体部材、及び、挿通孔を有し、前記開口部を閉塞する形態で前記ケース本体部材に全周にわたり溶接されたケース蓋部材を有するケースと、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、前記ケース蓋部材のうち前記挿通孔を囲む挿通孔周囲部と、前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備える蓄電デバイスの製造方法であって、前記ケース蓋部材に前記樹脂部材を介して前記端子部材を一体化した蓋アセンブリのうち、前記ケース蓋部材により、前記ケース本体部材の前記開口部を塞いだ状態で、前記ケース本体部材の前記開口部及び前記ケース蓋部材の周縁部に、全周にわたりレーザ光を照射しレーザ溶接して、前記ケースを形成するレーザ溶接工程と、前記レーザ溶接工程に先立ち、前記レーザ光の散乱光が前記樹脂部材に届くのを妨げる遮蔽部材を前記蓋アセンブリに配置する遮蔽工程と、前記レーザ溶接工程の後、前記遮蔽部材を取り除く除去工程と、を備える蓄電デバイスの製造方法である。
【0007】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、ケース本体部材とケース蓋部材をレーザ溶接するレーザ溶接工程に先立ち、遮蔽工程で上述の遮蔽部材を蓋アセンブリに配置しておく。これにより、レーザ溶接工程でのレーザ溶接の際に、遮蔽部材によってレーザ光の散乱光が樹脂部材に届き難くなるため、樹脂部材に焦げ部が生じるのを抑制することができる。
【0008】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
「遮蔽部材」としては、例えば、金属からなる遮蔽部材やセラミックからなる遮蔽部材などが挙げられる。また遮蔽部材は、樹脂部材のうちケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部の全体を覆う形態でもよいし、樹脂外側部の一部のみを覆う形態でもよい。或いは、遮蔽部材は、樹脂部材とケース蓋部材の周縁部との間に配置する壁状(衝立状)の形態でもよい。
「樹脂部材」は、ケース蓋部材の挿通孔内に端子部材を挿通した状態でインサート成形された樹脂部材でもよいし、ケース蓋部材及び端子部材とは別に形成され、端子部材によってケース蓋部材と共に加締め固定された樹脂部材でもよい。
【0009】
(2)(1)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記レーザ光の波長λは、0.5μm以上であり、前記遮蔽部材は、前記レーザ光の前記散乱光が届く部位に、Agメッキ層を有する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0010】
銀(Ag)は、鉄(Fe)やアルミニウム(Al)に比べて、波長λが0.5μm以上のレーザ光が吸入され難く、このレーザ光の散乱光が届いても溶解し難い。このため、上述のように遮蔽部材のうちレーザ光の散乱光が届く部位に、Agメッキ層を設けることにより、遮蔽部材がレーザ光の散乱光で溶解し難くなるため、遮蔽部材を繰り返し利用することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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