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公開番号2025026231
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023139354
出願日2023-08-10
発明の名称潜水式土運船と土砂降ろし方法
出願人個人
代理人
主分類E02B 3/18 20060101AFI20250214BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】我が国の沿岸域には海砂採取の浚渫窪地が無数に存在する。これらの窪地が海域環境の悪化を招くことから、埋め戻し等の対策事業が進められている。海の工事は汚濁拡散防止対策を行う必要がある。さらに事業を促進するためには、汚濁物質の発生及び汚濁拡散の抑制を高めること。事業費縮減となる埋め戻し作業等の迅速化が求められる。
【解決手段】対策工事の海底埋め戻しはトレミー管を使わず、土砂を積載した土運船が潜水して所定の海底面で反転して土砂降ろしを行い、空となった土運船は水面まで自動的に浮上する工法で行う。これにより作業の迅速化を進める。また、当該工法の汚濁拡散防止対策は土砂降ろし直前まで積載土砂の表面を汚濁防止シートで覆い、土砂降ろしの反転直後は土運船と汚濁防止シートが海底面を囲い込むことで土砂降ろしの汚濁発生及び拡散の抑制を2段階で行うものである。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
土砂を運搬して土砂降ろしをする土運船において、当該土運船は船倉の周囲に複数の密閉タンクを一体化させ、これらの密閉タンクの大半をバラストタンクとして機能させ、当該土運船はバラスト水の流入制御による潜水機能を有し、且つ遠隔操作による土運船の水中反転装置を装備したものであり、当該土運船の土砂降ろし方法は土砂を積載した土運船が潜水して所定の海底面で反転し、空となった土運船は水面まで自動的に浮上する土砂降ろし方法を特徴とする潜水式土運船。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
請求項1の潜水式土運船において、当該土運船の潜水機能は船倉及び複数の密閉タンクに必要量のバラスト水を流入させて浮力を減少させるものであるが、土運船の水中重量の比重を1よりも適切に大きく保つことで、土運船の水中作動を容易とする最適水中重量を確保して、土運船の潜水を安定化させ、且つ土運船の反転操作を容易とすることを特徴とする潜水式土運船。
【請求項3】
請求項1の潜水式土運船において、複数の密閉タンクの大半は複数の通気口,通水口が自動開閉するバラスト水自動流入装置を設けた土運船のバラストタンクとしたもので、この自動装置によりバラスト水の流入量を正確に調整することで、任意の最適水中重量を確保する機能を有することを特徴とする潜水式土運船。
【請求項4】
前記バラスト水自動流入装置において、通気口,通水口のそれぞれの気密蓋は交換式水中バッテリーを動力源として自動開閉する請求項3に記載のバラスト水自動流入装置。
【請求項5】
請求項1の水中反転装置を装備した潜水式土運船において、当該水中反転装置は船体縦断の重心から等距離の2か所の位置にそれぞれ設置し、船体の横断外周に溝形の反転用ロープガイドを張り付け、反転用ロープはこれの中点を船倉幅の中点と一致させて船倉の両側天端に固定してから、反転用ロープガイドの溝に合わせて船体外周を抱え込むように巻き付け、これらのロープ両端はそれぞれの反対側の船倉の天端まで伸ばし、さらに、これらのロープ先端にはフック受け具が取り付けられたものであり、反転用ロープとこれを巻き付けた反転用ロープガイドで構成される水中反転装置を装備していることを特徴とする潜水式土運船。
【請求項6】
請求項1の水中反転装置を装備した潜水式土運船において、当該水中反転装置は船首及び船尾の2か所、或いはいずれかの一方の位置に外周に溝のある反転盤が固定され、この反転盤の外周頂部には反転用ロープの中点が固定され、且つ、このロープは反転盤の溝に一重以上巻き付け、ロープ両端は反転盤の天端まで伸ばし、さらにロープ両端にはフック受け具が取り付けられたものであり、反転用ロープとこれを巻き付けた反転盤で構成される水中反転装置を装備していることを特徴とする潜水式土運船。
【請求項7】
請求項1の船倉の土砂表面を覆う段階機能となる汚濁防止シートを取付けた潜水式土運船において、この汚濁防止シートは船倉の土砂表面を覆う複数の汚濁防止シートから成り、これらのシートの一端は船倉の内側に固定され、まず、船体縦方向の縦シートで土砂を覆い、次に、船体横方向の複数の対となる横シートを船倉中央で重ね合わせて仮止めするが、これらの横シートは潜水式土運船の土砂降ろしの反転方向側を固定とした横シートを重ね合わせの上面とし、仮止は土砂の自重で分離するものであり、潜水式土運船の土砂降ろし直前まで積載土砂の表面を汚濁防止シートで覆い、土砂降ろしの反転直後は土運船と汚濁防止シートが海底面を囲い込むことで土砂降ろしの汚濁の拡散抑制をすることを特徴とする段階機能となる汚濁防止シートを取付けた潜水式土運船。
【請求項8】
請求項5及び6の2基の水中反転装置が取り付けられた潜水式土運船の土砂降ろし方法において、土運船の船央の両舷、或いは船首と船尾にウインチを複数台装備した2隻の支援船を着け、2基の水中反転装置の反転用ロープの両端のフック受具4個を2隻の支援船の対応する4台のウインチの操作用ロープのフックと連結した後、土運船の水中重量の比重をバラスト水の増加で1より大きくして潜水を開始させると共に、水中反転装置と連結した支援船の4台のウインチから同時に操作用ロープを送り出し、海底面で停止させ、前記4台の一方の側の2台のウインチは船体横断外周長の半分の長さ、或いは反転盤外周長の半分の長さの操作用ロープを巻き戻し、他方の2台のウインチは同じ長さの操作用ロープを送り出すことで土運船を反転させるものであり、水中反転装置の反転ロープを2隻の支援船の4台のウインチを同時操作して潜水式土運船を遠隔操作により海底面で反転させることを特徴とする潜水式土運船の土砂降ろし方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水底の埋土材,盛土材等に利用するための土砂を運搬して土砂降ろしをする土運船及び土砂降ろしの方法に関する。さらに詳しくは、水底に土砂降ろしする際に、土砂を水面に投入せずに土砂を積んだ土運船そのものを水底面まで潜水させてから土砂降ろしをする土運船及び水底面で土砂降ろしする方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
海洋環境の保全を期するため、廃棄物の海洋投入処分については、国際的には「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」及び同条約の「1996年議定書」により規制されているところである。我が国は、これらの条約、議定書に批准し、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、定められた手続を経て環境大臣の許可を得た廃棄物以外の海洋投入処分を禁止している。
【0003】
一方、閉鎖性海域等においては、人口や産業の集中に伴う環境負荷の流入の増大や、沿岸域の埋立による干潟・浅場等の消失に伴う浄化機能が喪失している。また、過去の大規模な浚渫窪地が要因の一つとされる貧酸素水塊の発生等により、赤潮・青潮が慢性的に発生しやすい状況が続いており、水質及び底質の環境の改善が求められている。これらに対する海域環境改善を進めるためには、干潟・浅場等の保全・再生・創出や、覆砂、浚渫窪地の埋め戻し等の対策が重要であり、その対策のため、建設発生土及び浚渫土等の土砂類の一層の有効利用が期待されている。
【0004】
土砂類の有効利用においては、利用する土砂類が廃棄物でないことが客観的に判断される必要がある。土砂類を有効利用しようとする事業者は、当該事業を行う前に、(1)土砂類の有害性の有無の確認、(2)土砂類の品質の確認、(3)有効利用の実施計画の確認、(4)海洋環境への配慮、(5)モニタリング計画の確認、(6)モニタリング結果の確認の6項目の観点から確認する必要がある。また、事業の実施に際しては、汚濁拡散防止のための施工管理を実施する等、環境への影響を合理的な範囲で最小限にすることが義務付けられている。
【0005】
土砂類を海底の埋土材,盛土材等に利用するに当たって、事業者は利用する土砂類が廃棄物ではなく有価物であることを明確にする。その上で汚濁拡散防止対策を実施する必要がある。土運船で運搬された土砂類を海底の所定範囲に投入する際に、二重管トレミー管を用いる汚濁拡散防止方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
本来のトレミー管工法は単管で、水中にコンクリートを打設する際に用いられる工法として開発された。水中にコンクリートを打込む際に、コンクリートは水の影響から材料が分離して強度低下が起こす。トレミー管工法は水とコンクリートが直接触れることを極力防ぐために用いられる方法である。施工手順は、まずトレミー管を打ち込み箇所の水底に鉛直に立ててホッパーを取り付ける。次に、コンクリートの打込み開始時にはトレミー管内にコンクリートと水が混ざり合うのを防ぐための境界となるプランジャーを設置する。次に水中用の水中コンクリートをトレミー管に流し込む。ここで、コンクリートの流し込みに伴って、少しずつトレミー管を引き上げて施工する。これはトレミー管を水底に着底したままだとコンクリートの流し込みが停止するからである。また、水底の水中コンクリートに対して、トレミー管の先端は常にコンクリート内に埋め込んだ状態にしておき、コンクリートが水と直接触れないようにする。
【0007】
土砂の塊を海面に投入すると細かな土塊へと分離する。水中を落下する土塊はこれの比重が1より大きいことによる。また、汚濁が発生するのは土砂に懸濁物質と成る微細な粘土粒子等が含まれ、これらの懸濁物質が水中を浮遊することによる。土塊が細かくなればなるほど懸濁物質が溶出しやすくなり、汚濁は拡散する。二重管トレミー管工法は単管トレミー管工法を応用したものである。土砂と水中コンクリートでは材料として全く異質である。土砂を水中コンクリートのように単管トレミー管内を満杯にして投入すれば必ず管は閉塞する。閉塞しないように土砂量を控えめに投入すると、トレミー管内を水中落下して土砂塊は細かく分離する。しかし、トレミー管を用いた土砂投入は、汚濁発生領域を底層に限定する。但し、このトレミー管効果は単管でも二重管でも同様である。単管トレミー管工法に比べて二重管トレミー管工法の長所は土砂投入の効率にある。
【0008】
特許文献1の二重管トレミー管工法は内管の水面付近に開口部を設け、開口部には内管から二重管に挟まれた二重管空間への水,土砂の流出を遮断する逆止弁が設けてある。これによりホッパーを介して土砂を内管に投入すると、土砂は海水と共に内管を沈降しトレミー管下端の土砂放出部から放出されて海底に堆積する。一方、汚濁混じりの海水は底層の移流拡散となるが、その一部は土砂放出部~二重管空間~開口部を経由する一方向の循環流を発生させる。その効果は、内管内での土砂の閉塞防止が図られ、循環流の生じない単管トレミー管工法と較べて単位時間あたりの土砂投入量を大きくしている。また、汚濁水の循環・貯留が図られるので、トレミー管外へ流出する濁りが低減される効果があるとされている。また、新たに土砂放出部と海底面をキャンパスシートで囲う工夫がなされ、土砂投入直後の底層周辺での汚濁水の急激な移流拡散が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第5393376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
土砂を海底の所定範囲に投入する際に、二重管トレミー管を用いる汚濁拡散防止工法が利用されている。この工法はバックホウで土砂(土塊)をトレミー内管に投入する。トレミー管内であっても、土塊は水中落下で細かく分離して多くの汚濁物質を発生させる。二重トレミー管工法の効果は循環流により土砂をスムーズに海底に送り出すことである。そして、汚濁発生領域を底層に限定する。これにより従来の単管トレミー管工法にない土砂投入速度の成果をあげている。これに対して、本発明の課題の第一は、どんなときでも土砂は海面から海底の水中落下を無くすこと。そして、土砂表面と水との接触を避けることで汚濁物質の発生及び汚濁拡散の抑制を極限に近づけること。第二はバックホウ等の掘削機械による長時間の繰り返し土砂投入時間を無くすこと等による土砂降ろし作業の迅速化を図ることである。なお、水質環境に配慮した土砂降ろしは海底に限ったことではなく、湖底、河川水底も同様である。
【発明が解決しようとする手段】
(【0011】以降は省略されています)

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