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公開番号2025025673
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023130693
出願日2023-08-10
発明の名称温度推定方法、炉の操業方法、炉の設計方法、炉の操業プロセスの開発方法、物体の充填状態の設定方法、及び処理装置
出願人JFEスチール株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類F27D 19/00 20060101AFI20250214BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を精度よく推定可能な温度推定方法及び処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る温度推定方法は、充填層の形状データから流体が流れる空間である流体空間のデータを作成するステップと、流体空間内に計算格子点を作成するステップと、作成された各計算格子点について、計算格子点の位置が物体内にあるか否かに応じて符号が異なる、計算格子点と物体の表面との間の距離を示す符号付距離を算出するステップと、算出された符号付距離に基づいて、作成された各計算格子点が物体内に位置するか否かを判別するステップと、物体内にないと判別された計算格子点において流体方程式を解くことにより、流体空間内における流体の速度を算出するステップと、算出された流体の速度を用いて各計算格子点において熱移流拡散方程式を解くことにより、流体及び物体の温度を推定するステップと、を含む。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を推定する温度推定方法であって、
前記充填層の形状データから前記流体が流れる空間である流体空間のデータを作成する第1ステップと、
前記流体空間内に計算格子点を作成する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて作成された各計算格子点について、計算格子点の位置が物体内にあるか否かに応じて符号が異なる、計算格子点と前記物体の表面との間の距離を示す符号付距離を算出する第3ステップと、
前記第3ステップにおいて算出された符号付距離に基づいて、前記第2ステップにおいて作成された各計算格子点が前記物体内に位置するか否かを判別する第4ステップと、
前記第4ステップにおいて前記物体内にないと判別された計算格子点において流体方程式を解くことにより、前記流体空間内における流体の速度を算出する第5ステップと、
前記第5ステップにおいて計算された流体の速度を用いて各計算格子点において熱移流拡散方程式を解くことにより、前記流体及び前記物体の温度を推定する第6ステップと、
を含む、温度推定方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記第5ステップは、前記流体方程式として格子ボルツマン方程式を用いる格子ボルツマン法を利用して流体の速度を算出するステップを含む、請求項1に記載の温度推定方法。
【請求項3】
前記第6ステップは、物体内に位置する計算格子点と物体内に位置しない計算格子点に隣接する計算格子点に熱伝達率を設定して温度を算出するステップを含む、請求項1に記載の温度推定方法。
【請求項4】
物体を燃焼するための熱源を備えた炉の操業方法であって、
請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の温度推定方法を用いて予め算出された、炉内に装入された前記物体及び/又は炉内の流体の温度に基づいて、炉内に装入する前記物体の量及び/又は前記熱源を制御する制御ステップと、
を含む、炉の操業方法。
【請求項5】
物体を燃焼するための熱源を備えた炉の設計方法であって、
請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の温度推定方法を用いて予め算出された、炉内に装入された前記物体及び/又は炉内の流体の温度に基づいて、前記炉の形状及び/又は前記熱源の仕様を設定する、炉の設計方法。
【請求項6】
物体を燃焼するための熱源を備えた炉の操業プロセスの開発方法であって、
請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の温度推定方法を用いて予め算出された、炉内に装入された前記物体及び/又は炉内の流体の温度に基づいて、前記炉内に装入する前記物体の量及び/又は前記熱源の制御を含む前記炉の操業プロセスを開発する、炉の操業プロセスの開発方法。
【請求項7】
物体を燃焼するための炉の内に装入される物体の充填状態の設定方法であって、
請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の温度推定方法を用いて予め算出された、炉内に装入された前記物体及び/又は炉内の流体の温度に基づいて、前記炉内に装入する前記物体の量及び/又は充填時の配置を決定する、物体の充填状態の設定方法。
【請求項8】
複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を推定する処理装置であって、
前記充填層の形状データから前記流体が流れる空間である流体空間のデータを作成する空間データ作成部と、
前記流体空間内に計算格子点を作成する計算格子点作成部と、
前記計算格子点によって作成された各計算格子点について、計算格子点の位置が物体内にあるか否かに応じて符号が異なる、計算格子点と前記物体の表面との間の距離を示す符号付距離を算出する符号付距離関数計算部と、
前記符号付距離関数計算部によって算出された符号付距離に基づいて、前記計算格子点作成部によって作成された各計算格子点が前記物体内に位置するか否かを判別する空間判定部と、
前記空間判定部によって前記物体内にないと判別された計算格子点において流体方程式を解くことにより、前記流体空間内における流体の速度を算出する流れ計算部と、
前記流れ計算部によって算出された流体の速度を用いて各計算格子点において熱移流拡散方程式を解くことにより、前記流体及び前記物体の温度を推定する温度推定部と、
を備える、処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を推定する温度推定方法、炉の操業方法、炉の設計方法、炉の操業プロセスの開発方法、物体の充填状態の設定方法、及び処理装置に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
電気炉の操業効率を高めるため、電気炉で発生した高温の排ガスを用いて鉄源であるスクラップを予熱する予熱型電気炉がある。この予熱型電気炉は、スクラップを予熱する予熱部と、黒鉛電極等によって発生したアークの熱を用いてスクラップを溶解する溶解部と、を備えている。予熱部と溶解部は連通しており、予熱部では、溶解部で発生した高温の排ガスによって予熱されたスクラップがスクラップの自重又は機械的な操作によって溶解部に装入されて溶解される。この予熱型電気炉の操業効率を高めるためには、予熱部において排ガスの熱をスクラップに着実に着熱させる必要がある。
【0003】
このため、それぞれのスクラップについて予熱効率の高い操業条件を決定するためには、それぞれのスクラップに対して排ガスの熱がどのように着熱するかを調査する。その調査手段として、スクラップや排ガスの温度の時間変化等を詳細に調査可能なシミュレーションの1種である伝熱計算を利用することが考えられる。具体的には、予熱部において複数のスクラップが充填されたスクラップ充填層の温度を推定する方法として、特許文献1,2に記載されているような伝熱方程式を用いる方法が考えられる。特許文献1には、有限要素法を用いたモデルによる非定常伝熱計算により電気炉の側面のスラグコーチングの厚みを推定する方法が記載されている。また、特許文献2には、非定常の熱伝導方程式を用いてセンサ温度に基づいて炉壁温度を予測してスクラップの解け落ちを判定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2009-85549号公報
特開2017-226864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スクラップは、自動車、家電製品、建築資材等の様々な製品、若しくは、製品の製造中に発生したものであるため、様々な形状を有している。このため、予熱部におけるスクラップ充填層は、コンピュータ等の情報処理装置によるシミュレーションで通常行われる「完全な球体の物体」の集合体として仮定することが非常に困難である。さらにスクラップ充填層は、その形状が装入するスクラップの種類やその装入方法によっても異なる。例えば薄板系が多いスクラップ充填層とH形鋼の多いスクラップ充填層とでは、同じ重量であってもその形状が異なる。
【0006】
上記特許文献1,2に記載の方法では、複雑な形状を有するスクラップ充填層を通る排ガスの温度を精度よく予測できない。詳しくは、特許文献1に記載の方法では、スラグの厚みはほぼ円筒状であり、計算形状に複雑な形状が適用されていない。また、排ガスの流れのシミュレーション方法は記載されておらず、スクラップ充填層に入り込む排ガスの流れを計算することはできない。同様に、特許文献2には、電気炉壁の熱伝導方程式の理論的な式が記載されているだけであり、複雑な形状を有するスクラップ充填層に伝熱するための計算方法は記載されていない。また、排ガスの流れを計算する方法も記載されておらず、スクラップ充填層を通る排ガスの温度を推定することはできない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を精度よく推定可能な温度推定方法及び処理装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、操業コストを削減して炉を安定的に操業可能な炉の操業方法、炉の設計方法、炉の操業プロセスの開発方法、及び物体の充填状態の設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明に係る温度推定方法は、複数の物体が充填された充填層内の空隙を通過する流体及び/又は物体の温度を推定する温度推定方法であって、前記充填層の形状データから前記流体が流れる空間である流体空間のデータを作成する第1ステップと、前記流体空間内に計算格子点を作成する第2ステップと、前記第2ステップにおいて作成された各計算格子点について、計算格子点の位置が物体内にあるか否かに応じて符号が異なる、計算格子点と前記物体の表面との間の距離を示す符号付距離を算出する第3ステップと、前記第3ステップにおいて算出された符号付距離に基づいて、前記第2ステップにおいて作成された各計算格子点が前記物体内に位置するか否かを判別する第4ステップと、前記第4ステップにおいて前記物体内にないと判別された計算格子点において流体方程式を解くことにより、前記流体空間内における流体の速度を算出する第5ステップと、前記第5ステップにおいて算出された流体の速度を用いて各計算格子点において熱移流拡散方程式を解くことにより、前記流体及び前記物体の温度を推定する第6ステップと、を含む。
【0009】
[2]本発明に係る温度推定方法は、[1]の温度推定方法であって、前記第5ステップは、前記流体方程式として格子ボルツマン方程式を用いる格子ボルツマン法を利用して流体の速度を算出するステップを含む。
【0010】
[3]本発明に係る温度推定方法は、[1]又は[2]の温度推定方法であって、前記第6ステップは、物体内に位置する計算格子点と物体内に位置しない計算格子点に隣接する計算格子点に熱伝達率を設定して温度を算出するステップを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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