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公開番号2024146431
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023059322
出願日2023-03-31
発明の名称水冷ジャケット
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人
主分類F27D 1/12 20060101AFI20241004BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】冷却性や遮熱性を維持しつつ耐久性を向上できる水冷ジャケットを提供する。
【解決手段】高温の設備の外面に設置される水冷ジャケット10であって、高温の設備の外面に配置される内壁11と、内壁11との間に液体収容空間10hが形成されるように内壁から離間した状態で設けられる外壁12と、液体収容空間10hに液体を供給する給液部20と、液体が蒸発した蒸気を液体収容空間10hから排出する排気部25と、を有しており、内壁11は、ベース壁11aと、ベース壁11aの外面に設けられた、ベース壁11aの素材よりも熱伝導率の低い素材で形成された保護層11bと、を有しており、ベース壁11aの内面に、ベース壁11aの上下方向に沿って延びる複数枚の伝熱フィン15が設けられており、液体収容空間10hは、液体収容空間10hの下部が複数枚の伝熱フィン15によって複数の空間15hに分離されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
高温の設備の外面に設置される水冷ジャケットであって、
該高温の設備の外面に配置される内壁と、
該内壁との間に液体収容空間が形成されるように該内壁から離間した状態で設けられる外壁と、
前記液体収容空間に液体を供給する給液部と、
液体が蒸発した蒸気を前記液体収容空間から排出する排気部と、を有しており、
前記内壁は、
ベース壁と、
該ベース壁の外面に設けられた、該ベース壁の素材よりも熱伝導率の低い素材で形成された保護層と、を有しており、
前記ベース壁の内面に、該ベース壁の上下方向に沿って延びる複数枚の伝熱フィンが設けられており、
前記液体収容空間は、
該液体収容空間内が前記複数枚の伝熱フィンによって複数の空間に分離されている
ことを特徴とする水冷ジャケット。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記保護層の材質がニッケルクロム合金である
ことを特徴とする請求項1に記載の水冷ジャケット。
【請求項3】
前記給液部は、
前記液体収容空間に供給する液体が貯留された貯留部と、
該貯留部内の液体を前記液体収容空間に供給する供給配管と、を備えており、
前記供給配管は、
前記複数枚の伝熱フィンの上下方向の中間よりも下方の位置に接続されている
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の水冷ジャケット。
【請求項4】
前記貯留部は、
前記液体収容空間内の液体が所定の液面の高さを維持できる量の液体を該液体収容空間に供給できる水頭圧となる位置に配設されている
ことを特徴とする請求項3に記載の水冷ジャケット。
【請求項5】
前記給液部は、
前記液体収容空間に対して50℃~100℃の水を供給する機能を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の水冷ジャケット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷ジャケットに関する。さらに詳しくは、銅製錬等の非鉄金属製錬プロセス等における炉や煙道の壁面を冷却するとともに遮熱するために設けられる水冷ジャケットに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
銅製錬等の非鉄金属製錬プロセスにおいては、自熔炉や転炉などの炉において高温の熔体を取り扱う。また、自熔炉や転炉等に設けられた煙道では、自熔炉や転炉等から排出される高温の排ガスがその内部を流れる。かかる高温の熔体や排ガスの熱により自熔炉や転炉、煙道等(以下単に自熔炉等という)が損傷することを防ぎ周囲の設備などを高温から保護するために、一般的に、自熔炉等の壁面には煉瓦や不定形耐火物によって形成された遮熱壁が設置される。かかる構造を有する遮熱壁は、断熱能力や耐熱性に優れる一方で、施工に時間と技術を要する。具体的には、煉瓦や不定形耐火物は現地で加工や組み立てを行うのが一般的であり、施工する作業者のために足場を組んだり施工中の作業環境を快適かつ安全に保ったりする必要がある。しかし、自熔炉等において高所に遮熱壁を設置する場合、足場や作業環境を整備することが困難となる。
【0003】
煉瓦や不定形耐火物によって形成された遮熱壁以外にも、自熔炉等の壁面を冷却したり自熔炉等の熱から外部を遮断(遮熱)したりする壁面構造物として水冷ジャケットが使用される(例えば、特許文献1~3参照)。水冷ジャケットは、内部に空洞を有する一般的に鋼製もしくは銅製の構造物であり、空洞部に冷却水を入れることによって水冷ジャケット自体を冷却したり水冷ジャケットを設けた設備から放出される熱を遮断して遮熱したりすることによって設備の周辺を高温から守ることができる。しかも、水冷ジャケットは煉瓦や不定形耐火物に比べると一基でも広い面積の壁面に対応することができるし、クレーン等を使って自熔炉等から離れた位置からでも水冷ジャケットを設置できるので、足場を組んだり施工中の作業環境を維持したりといった負担が少なく、また、短時間で設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
実公昭57-002880号公報
特許第3397827号公報
特公昭57-014403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、水冷ジャケットの冷却水には、通常、一般的な工業用水が使用されるが、一般的な工業用水にはカルシウムやマグネシウムなどが含まれているので、水冷ジャケットを長期間使用するとカルシウムやマグネシウムを主成分とするスラッジが水冷ジャケット内に蓄積する。このようなスラッジは、水冷ジャケットの内部の下部に蓄積しやすく、かかるスラッジが蓄積するとスラッジが形成された箇所より下方の空間には十分に冷却水を供給できず水冷ジャケットが冷却不足となる。かかる冷却不足が発生すると、水冷ジャケットが高温となることで水冷ジャケット自体に歪みが発生し、この歪みに起因して種々の問題が発生する。例えば、水冷ジャケットを複数連結して使用している場合には、歪みによって水冷ジャケット同士の接続部に隙間ができる場合がある。かかる隙間ができると、水冷ジャケットによる自熔炉等と外気との遮断が不十分となり、遮熱効果が低下する。また、水冷ジャケットの歪みがある一定以上になると、水冷ジャケットが破断して穴が開き冷却水の漏れが発生する場合がある。かかる冷却水の漏れが一度発生すると、漏れが発生した水冷ジャケットの周囲に設置されている水冷ジャケットや、水冷ジャケットを設けている自熔炉等を腐食させるなどの問題が発生する可能性もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、冷却性や遮熱性を維持しつつ耐久性を向上できる水冷ジャケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の水冷ジャケットは、高温の設備の外面に設置される水冷ジャケットであって、該高温の設備の外面に配置される内壁と、該内壁との間に液体収容空間が形成されるように該内壁から離間した状態で設けられる外壁と、前記液体収容空間に液体を供給する給液部と、液体が蒸発した蒸気を前記液体収容空間から排出する排気部と、を有しており、前記内壁は、ベース壁と、該ベース壁の外面に設けられた、該ベース壁の素材よりも熱伝導率の低い素材で形成された保護層と、を有しており、前記ベース壁の内面に、該ベース壁の上下方向に沿って延びる複数枚の伝熱フィンが設けられており、前記液体収容空間は、該液体収容空間内が前記複数枚の伝熱フィンによって複数の空間に分離されていることを特徴とする。
第2発明の水冷ジャケットは、第1発明において、前記保護層の材質がニッケルクロム合金であることを特徴とする。
第3発明の水冷ジャケットは、第1または第2発明において、前記給液部は、前記液体収容空間に供給する液体が貯留された貯留部と、該貯留部内の液体を前記液体収容空間に供給する供給配管と、を備えており、前記供給配管は、前記複数枚の伝熱フィンの上下方向の中間よりも下方の位置に接続されていることを特徴とする。
第4発明の水冷ジャケットは、第3発明において、前記貯留部は、前記液体収容空間内の液体が所定の液面の高さを維持できる量の液体を該液体収容空間に供給できる水頭圧となる位置に配設されていることを特徴とする。
第5発明の水冷ジャケットは、第1発明において、前記給液部は、前記液体収容空間に対して50℃~100℃の水を供給する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、内壁がベース壁の外面にベース壁よりも熱伝導率の低い材質で形成された保護層を有するので、高温の設備から内壁や水冷ジャケットに供給される熱を抑えることができる。一方、ベース壁の内面に複数枚の伝熱フィンが設けられているので、保護層を設けていても内壁に伝達される高温の設備の熱をある程度効率よく液体に熱伝達することができる。したがって、高温の設備から加わる熱による内壁等の損傷を防止しつつ高温の設備の熱を抜熱することができる。
第2発明によれば、高温の設備からの熱を効果的に遮断することができる。
第3発明によれば、液体収容空間内において、複数枚の伝熱フィンの上下方向の中間よりも下方の位置に液体を供給するので、冷却効果を高く維持できる。
第4発明によれば、適切な量の液体を液体収容空間内に供給できるので、冷却効果と遮熱効果を適切に維持することができる。
第5発明によれば、液体収容空間内に蒸気層を確実に形成できるので、冷却効果が一定に保たれるとともに、蒸気を水冷ジャケットから安定して形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本実施形態の水冷ジャケット10の概略断面図である。
図1のII-II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の水冷ジャケットは、高温の設備の冷却と高温の設備と外部とを遮熱するために設けられる構造物であり、高温の設備を冷却する冷却性や高温の設備と外部との熱の移動を遮断する遮熱性を維持しつつ、水冷ジャケット自体の耐久性を向上できるようにしたものである。
(【0011】以降は省略されています)

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