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公開番号
2025016538
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-04
出願番号
2024185456,2023530940
出願日
2024-10-21,2021-11-22
発明の名称
二重特異性抗体及びその使用
出願人
康諾亜生物医薬科技(成都)有限公司
,
KEYMED BIOSCIENCES (CHENGDU) CO., LTD.
代理人
弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類
C07K
16/46 20060101AFI20250128BHJP(有機化学)
要約
【課題】二重特異性抗体での重鎖間のミスマッチを解決する手段を提供する。
【解決手段】がんの治療における二重特異性抗体又はその抗原結合断片、そのコード核酸、前記核酸を含む細胞、前記二重特異性抗体又はその抗原結合断片、核酸及び/又は細胞を含む組成物、及び、前記二重特異性抗体又はその抗原断片の関連使用を開示する。異なるタイプの軽鎖κλ二重特異性抗体設計及び全長IgGコンフォメーションを採用する新規なT細胞アダプターを開示し、そのうち、標的細胞及びT細胞CD3に結合する抗体アームは、それぞれκ軽鎖及びλ軽鎖を採用し、その同種の重鎖と対合すると共に、相補的な電荷対を導入して正確な対形成の効率を高め、アフィニティーを最適化する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
(a)第1の抗原結合部分又はその抗原結合断片であって、前記第1の抗原結合部分は、第1の軽鎖及び第1の重鎖を含み、前記第1の軽鎖は、κ型軽鎖であり、前記第1の抗原結合部分は、第1の抗原に結合する第1の結合ドメインを含む、第1の抗原結合部分又はその抗原結合断片、
前記第1の抗原は、BCMA抗原であり、
前記第1の結合ドメインの第1の軽鎖CDRは、
SEQ ID NO:99又は134で示されるアミノ酸配列からなる第1の軽鎖CDR1、
SEQ ID NO:100又は135で示されるアミノ酸配列からなる第1の軽鎖CDR2、
SEQ ID NO:101で示されるアミノ酸配列からなる第1の軽鎖CDR3であり、
前記第1の結合ドメインの重鎖CDRは、
SEQ ID NO:96で示されるアミノ酸配列からなる第1の重鎖CDR1、
SEQ ID NO:97で示されるアミノ酸配列からなる第1の重鎖CDR2、
SEQ ID NO:98で示されるアミノ酸配列からなる第1の重鎖CDR3であり、及び、
(b)第2の抗原結合部分又はその抗原結合断片であって、前記第2の抗原結合部分は、第2の軽鎖及び第2の重鎖を含み、前記第2の軽鎖は、λ型軽鎖であり、前記第2の抗原結合部分は、第2の抗原に結合する第2の結合ドメインを含む、第2の抗原結合部分又はその抗原結合断片、を含む二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
続きを表示(約 4,800 文字)
【請求項2】
前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:99、100、101で示されるアミノ酸配列から選ばれ、又は前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:134、135、101で示されるアミノ酸配列から選ばれ、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:99、100、101で示されるアミノ酸配列から選ばれ、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:96、97、98で示されるアミノ酸配列から選ばれ、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:134、135、101で示されるアミノ酸配列から選ばれ、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖CDR1、CDR2、CDR3は、それぞれSEQ ID NO:96、97、98で示されるアミノ酸配列から選ばれる、
請求項1に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記第2の抗原は、CD3抗原であり、
前記第2の結合ドメインの第2の軽鎖CDRは、
SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、
SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、
SEQ ID NO:21で示されるアミノ酸配列からなるCDR3であり、
前記第2の結合ドメインの重鎖CDRは、
SEQ ID NO:26で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、
SEQ ID NO:27で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、
SEQ ID NO:28で示されるアミノ酸配列からなるCDR3である、
請求項1又は2に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、Gln
42
Lys突然変異(Vκ
BCMA
:Gln
42
Lys)を有し、及び/又は、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、Gln
39
Glu突然変異(VH
BCMA
:Gln
39
Glu)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記第1の結合ドメインは、SEQ ID NO:122又は124で示されるアミノ酸配列又はその任意の変異体の第1の軽鎖可変領域、及び、SEQ ID NO:108又は120で示されるアミノ酸配列又はその任意の変異体の第1の重鎖可変領域を含み、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:122で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:120で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:124で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:108で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:122で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:108で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:124で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:120で示されるアミノ酸配列である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:80及び84で示されるアミノ酸配列から選ばれ、及び/又は、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:82及び86で示されるアミノ酸配列から選ばれ、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:80で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:86で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:84で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:82で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:80で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:82で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:84で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:86で示されるアミノ酸配列である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖可変領域は、Gln
40
Glu突然変異(Vλ
CD3
:Gln
40
Glu)を有し、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖可変領域は、Gln
39
Lys突然変異(VH
CD3
:Gln
39
Lys)を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記第2の結合ドメインは、SEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列又はその任意の変異体の第2の軽鎖可変領域、及び、SEQ ID NO:50で示されるアミノ酸配列又はその任意の変異体の第2の重鎖可変領域を含み、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:122で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:120で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖可変領域はSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖可変領域はSEQ ID NO:50で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:124で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:108で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖可変領域はSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖可変領域はSEQ ID NO:50で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:122で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:108で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖可変領域はSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖可変領域はSEQ ID NO:50で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:124で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:120で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖可変領域はSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖可変領域はSEQ ID NO:50で示されるアミノ酸配列である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖は、SEQ ID NO:66で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖は、SEQ ID NO:68で示されるアミノ酸配列であり、好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:80で示されるアミノ酸配列であり、及び前基第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:86で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖は、SEQ ID NO:66で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖は、SEQ ID NO:68で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:84で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:82で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖は、SEQ ID NO:66で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖は、SEQ ID NO:68で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:80で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:82で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖は、SEQ ID NO:66で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖は、SEQ ID NO:68で示されるアミノ酸配列であり、
好ましくは、前記第1の抗原結合部分の第1の軽鎖は、SEQ ID NO:84で示されるアミノ酸配列であり、前記第1の抗原結合部分の第1の重鎖は、SEQ ID NO:86で示されるアミノ酸配列であり、前記第2の抗原結合部分の第2の軽鎖は、SEQ ID NO:66で示されるアミノ酸配列であり、及び前記第2の抗原結合部分の第2の重鎖は、SEQ ID NO:68で示されるアミノ酸配列である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記二重特異性抗体の第1の抗原結合部分及び/又は第2の抗原結合部分は、Ser
228
Pro、Leu
235
Glu及び/又はPro
329
Ala突然変異をさらに有する、請求項1~9のいずれの1項に記載の二重特異性抗体又はその抗原結合断片。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、二重特異性抗体及びその使用、特にCD3及び他の1種の抗原に結合する二重特異性な抗体及びその使用に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
T細胞二重特異性抗体(又はT細胞アダプターと呼ばれる)は、その一端を介して標的細胞の表面抗原(抗原アーム)を認識し、他端を介してT細胞のCD3受容体(CD3アーム)に結合し、TCR/ペプチド/HLAと類似する方式で、T細胞のCD3を凝集させることで、T細胞を活性化させ、腫瘍を殺傷する特別な抗体分子である。前世紀80年代、二重特異性抗体を利用して腫瘍細胞を殺傷することが報告されている(Staerz UD.,Nature.1985 Apr 18-24;314(6012):628-31;Perez P.et al.Nature.1985 Jul 25-31;316(6026):354-6)。30年以上の研究をしたところ、抗体のミスマッチという問題が基本的に解決され、3つの二重特異性抗体薬物は、次々と承認されている。承認された適応症に対して非常に優れた効果を示しているが、それに伴う副作用及び使用の制限により、これら二重特異性抗体を早期の広い範囲に使用するは、阻害されている。例えば、初期に承認されたカツマキソマブ(catumaxomab)は、Fcセグメントが肝臓Kupffer細胞に発現されるFcγ受容体に結合し、急速なサイトカイン放出を引き起こすため、現在、市販が廃止され、2014年に承認されたブリナツモマブ(blinatumomab)は、Fv抗体断片を採用するため、生物学的半減期が僅か2時間で、低用量で継続的な静脈内注入が必要であり、また、FDAは、サイトカイン放出症候群及び神経毒性に伴うブラックボックス警告を要求するようになった。
【0003】
正常な免疫応答過程において、TCRは、低アフィニティー(約1~100μM)で感染又は突然変異した細胞の外因性ペプチド-ヒト白血球抗原複合体(HLA)に結合し、CD3シグナル伝達複合体(CD3εγ、CD3εδ及びCD3ζζがある)を介して活性化シグナルを核内に伝達し、転写因子及びその下流タンパク質(サイトカイン、グランザイム、パーフォリン等)の発現を活性化させ、そのうち、TCR複合体に産生されたシグナル強度は、T細胞の運命を決定するものである。初期に開発されたCD3二重特異性抗体は、多くはOKT3、L2K、UCHT1及びTR66などの少数のマウス抗体に基づくものであり、アフィニティーが高いため、T細胞の過剰活性化につながり、多数のサイトカインを放出し、サイトカインストーム症候群を産生すると共に、高いアフィニティーにより二重特異性な抗体の二次リンパ器官における募集に致し、腫瘍組織への曝露を減らす。
【0004】
抗体Fc部分のFcγ受容体への結合能力は、薬物の安全に影響を与えるもう1つの要因であり、Fcγ受容体は、複数の正常な組織に発現されているため、二重特異性抗体は、Fcにより細胞膜のFcγ受容体に結合した後、他端に結合したCD3受容体がFcγ受容体の凝集により架橋されて活性化され、重篤なオフターゲット毒性をもたらす。Fcγ受容体への結合能力が弱いヒトIgG2サブタイプ又はIgG4サブタイプを使用すること、或は、さらにCH2の対応部位にアミノ酸置換を行い、例えば、Armourらは、IgG1及びIgG4の第233~236位(EU配列番号)をIgG2の対応配列に置換することで、Fcγ受容体への結合を減少し(Armour KL,et al,Recombinant human IgG molecules lacking Fcgamma receptor I binding and monocyte triggering activities,Eur J Immunol.1999 Aug;29(8):2613-24)、Newmanらは、IgG4に突然変異Ser228Pro及びLeu235Gluを導入することで、IgG4構造を安定させるとともに、Fcγ受容体への結合を減少し(Newman R,et al,Modification of the Fc region of a primatized IgG antibody to human CD4 retains its ability to modulate CD4 receptors but does not deplete CD4(+) T cells in chimpanzees.Clin Immunol.2001 Feb;98(2):164-74)、Idusogieらは、Asp270、Lys322、Pro329又はPro331をそれぞれAlaに置換することで、IgG1の補体C1qへの結合を減らすことができることを見出した(Idusogie EE,et al,Mapping of the C1q binding site on rituxan,a chimeric antibody with a human IgG1 Fc. J Immunol.2000 Apr 15;164(8):4178-84)。
【0005】
鎖間ミスマッチは、天然IgG様二重特異性抗体の開発中の主なプロセスの困難点である。Merchant AMらに発明された共同軽鎖(Merchant AM, et al, An efficient route to human bispecific IgG.Nat Biotechnol.1998.PMID:9661204)、又は、Fischer Nらがに開発された共同重鎖(Fischer N,et al,Exploiting light chains for the scalable generation and platform purification of native human bispecific IgG.Nat Commun.2015 Feb 12;6:6113)は、通常、複雑なタンパク質工学的改造を行うか、又は、遺伝子組み換え動物を利用して生産する必要がある(McWhirter J,et al,Common light chain mouse.WO2011097603.2011)、Carter Pら(Atwell S,et al,Stable heterodimers from remodeling the domain interface of a homodimer using a phage display library,J Mol Biol.1997 Jul 4;270(1):26-35)。重鎖間のミスマッチを解決するために、抗体Fcセグメントにknobs-into-holes相補突然変異を導入し、Schaefer Gら(Schaefer W,et al,Immunoglobulin domain crossover as a generic approach for the production of bispecific IgG antibodies,Proc Natl Acad Sci U S A.2011)は、軽鎖ミスマッチという問題を解決するために、軽鎖、重鎖のFab部分又は全長を置換するCrossMab技術を開発したが、正しいペアリングを実現するために、一部を置換するCrossMab
VH-VL
及びCrossMab
CH1-CL
に追加のペプチドセグメントを導入する必要があり、また、Fab全長を置換するCrossMab
Fab
は、正確な対形成の効率が50%未満である。
【発明の概要】
【0006】
二重特異性抗体を発現させる過程において、本発明者らは、λ軽鎖を有するヒト化抗CD3抗体、及び、κ軽鎖を有する標的抗体を組み合わせると、抗CD3抗体のλ軽鎖が同種のCD3重鎖と対合する傾向があり、標的抗体のκ軽鎖が同種の標的抗体の重鎖と対合する傾向があることを予期せず見出した。さらに、軽鎖と重鎖の間に相補的な電荷対を設定することで、正確な対形成の効率をさらに向上させることができる。また、CD20、BCMA及びGPC3などの複数の標的抗体及びヒト化抗CD3抗体により構築された新規なT細胞アダプターは、3段階の精製によりいずれも98~100%の単量体純度を達成し、ミスマッチ割合が極めに低い(<1%)と実証された。
【0007】
本開示は、異なるタイプの軽鎖κλ二重特異性抗体設計及び全長IgGコンフォメーションを採用する新規なT細胞アダプターを提供し、そのうち、標的細胞及びT細胞CD3に結合する抗体アームは、それぞれκ軽鎖及びλ軽鎖を採用し、その同種の重鎖と対合すると共に、相補的な電荷対を導入して正確な対形成の効率を高め、アフィニティーを最適化することで、新規なT細胞アダプターは、低濃度で活性化T細胞を募集し、標的細胞に対して効果的な殺傷を生じ、標的細胞が存在しない場合、T細胞が活性化されず、また、新規なT細胞のκλ二重特異性抗体は、FcγR受容体に結合せず、サイトカインストームのリスクを低減することができる。本開示に係る方法で構築された新規なCD20×CD3κλ二重特異性抗体、BCMA×CD3κλ二重特異性抗体及びGPC3×CD3κλ二重特異性抗体は、精製收率が高く、3段階精製で99%超えの純度を達成することができる。動物は、新規なCD20-CD3κλ二重特異性抗体によく耐え、新規なT細胞アダプターの治療効果及び安全性は、同種類の抗体に優れている。
【0008】
一の態様において、本開示は、二重特異性抗体又はその抗原結合部分を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、前記態様に係る二重特異性抗体又はその抗原結合部分をコードする核酸を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、前記態様に係る核酸を含むベクターを提供する。
(【0011】以降は省略されています)
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