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公開番号2025015935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-31
出願番号2023118858
出願日2023-07-21
発明の名称光学活性物質の濃度測定方法
出願人富士フイルム株式会社
代理人個人,個人
主分類A61B 3/117 20060101AFI20250124BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】コンセンサスエラーグリッドの基準に合致し得る光学活性物質の濃度測定方法を提供する。
【解決手段】ブリュースター角未満で眼の房水に偏光を照射し第1の反射光の偏光状態を測定する第1工程と、第1の反射光のデータに対して第1のノイズ低減処理を施す第2工程と、ブリュースター角以上で眼の房水に偏光を照射して、第2の反射光の偏光状態を測定する第3工程と、第2の反射光のデータに対して第2のノイズ低減処理を施す第4工程と、ノイズ低減処理が施された第1データおよび第2データを用いて房水の旋光度を算出する第5工程と、房水の旋光度から房水中の光学活性物質の濃度を算出する第6工程とを有し、反射光のデータが波長ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、波長と測定値との関係において、測定波長毎における測定値の差分の符号が変化する回数をnとすると、n/(測定波長数-2)を0.50以下にするノイズ低減処理を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
眼の房水に向けて偏光である第1の入射光を照射し、前記房水と水晶体との界面で前記第1の入射光が反射して得られる第1の反射光の偏光状態を測定する工程であって、前記第1の入射光が前記水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、前記第1の入射光とのなす角度θ
1
がブリュースター角未満となるように前記第1の入射光を照射して、前記第1の反射光の偏光状態を測定して、前記第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データを取得する第1工程と、前記第1工程で得られた前記第1の反射光の偏光状態の情報を含む前記第1データに対して第1のノイズ低減処理を施し、第1のノイズ処理済みデータを取得する第2工程と、
前記眼の前記房水に向けて偏光である第2の入射光を照射し、前記房水と前記水晶体との界面で前記第2の入射光が反射して得られる第2の反射光の偏光状態を測定する工程であって、前記第2の入射光が前記水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、前記第2の入射光とのなす角度θ
2
がブリュースター角以上となるように前記第2の入射光を照射して、前記第2の反射光の偏光状態を測定して、前記第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データを取得する第3工程と、前記第3工程で得られた前記第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データに対して第2のノイズ低減処理を施し、第2のノイズ処理済みデータを取得する第4工程と、
前記第2工程で得られた前記第1のノイズ処理済みデータと、前記第4工程で得られた前記第2のノイズ処理済みデータとを用いて、前記房水の旋光度を算出する第5工程と、
前記房水の旋光度から前記房水中の光学活性物質の濃度を算出する第6工程とを、有し、
前記第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、前記第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータ、または、前記第1の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータであり、
前記第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、前記第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、前記第1のノイズ低減処理が、波長と測定値との関係において、測定波長毎における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定波長数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
前記第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、前記第1の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、前記第1のノイズ低減処理が、測定回数と測定値との関係において、測定順における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定回数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
前記第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、前記第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータ、または、前記第2の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータであり、
前記第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、前記第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、前記第2のノイズ低減処理が、波長と測定値との関係において、測定波長毎における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定波長数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
前記第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、前記第2の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、前記第2のノイズ低減処理が、測定回数と測定値との関係において、測定順における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定回数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理である、光学活性物質の濃度測定方法。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
前記第1のノイズ低減処理および前記第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理を含む、請求項1に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【請求項3】
前記第1のノイズ低減処理および前記第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理およびハイパスフィルタ処理を含む、請求項1に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【請求項4】
前記第1のノイズ低減処理および前記第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理を実施した後、ハイパスフィルタ処理を実施する処理である、請求項3に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【請求項5】
前記ローパスフィルタ処理が、移動平均処理またはサビツキー・ゴーレイ処理である、請求項2~4のいずれか一項に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【請求項6】
前記ハイパスフィルタ処理が、同一条件で測定した複数の前記第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータを平均化したデータと処理前のデータとの差分を活用する処理であり、複数の前記第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータを平均化したデータと処理前のデータとの差分を活用する処理である、請求項3または4に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【請求項7】
前記光学活性物質が、グルコースである請求項1に記載の光学活性物質の濃度測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性物質の濃度測定方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
非侵襲の血糖値測定方法として、グルコース濃度に依存する光学特性を利用して、眼の房水に偏光を照射して、房水を通過し水晶体との界面で反射した偏光の旋光度を測定することで、グルコース濃度を測定することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、眼の房水に向けて偏光である第1の入射光を照射し、房水と水晶体との界面で第1の入射光が反射して得られる第1の反射光の偏光状態を測定する工程であって、第1の入射光が水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、第1の入射光とのなす角度θ1がブリュースター角未満となるように第1の入射光を照射して、第1の反射光の偏光状態を測定する第1工程と、眼の房水に向けて偏光である第2の入射光を照射し、房水と水晶体との界面で第2の入射光が反射して得られる第2の反射光の偏光状態を測定する工程であって、第2の入射光が水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、第2の入射光とのなす角度θ2がブリュースター角以上となるように第2の入射光を照射して、第2の反射光の偏光状態を測定する第2工程と、第1工程で得られた第1の反射光の偏光状態の情報と、第2工程で得られた第2の反射光の偏光状態の情報とを用いて、房水の旋光度を算出する第3工程と、房水の旋光度から房水中の光学活性物質の濃度を算出する第4工程と、を有する、光学活性物質の濃度測定方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2022/024669号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血糖値の測定は、ISO(International Organization for Standardization)15197:2013で規定されるコンセンサスエラーグリッド(図29参照)のAまたはBゾーンに入ることが望まれる。コンセンサスエラーグリッドは、血糖値測定の正確さの評価基準であり、血糖値の測定結果を、基準計測器において得られた血糖値と比較して明確にするためのものである。
【0006】
本発明の課題は、コンセンサスエラーグリッドの基準に合致し得る測定を行うことができる光学活性物質の濃度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 眼の房水に向けて偏光である第1の入射光を照射し、房水と水晶体との界面で第1の入射光が反射して得られる第1の反射光の偏光状態を測定する工程であって、第1の入射光が水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、第1の入射光とのなす角度θ
1
がブリュースター角未満となるように第1の入射光を照射して、第1の反射光の偏光状態を測定して、第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データを取得する第1工程と、第1工程で得られた第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データに対して第1のノイズ低減処理を施し、第1のノイズ処理済みデータを取得する第2工程と、
眼の房水に向けて偏光である第2の入射光を照射し、房水と水晶体との界面で第2の入射光が反射して得られる第2の反射光の偏光状態を測定する工程であって、第2の入射光が水晶体の表面と交わる点での接平面に対する法線と、第2の入射光とのなす角度θ
2
がブリュースター角以上となるように第2の入射光を照射して、第2の反射光の偏光状態を測定して、第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データを取得する第3工程と、第3工程で得られた第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データに対して第2のノイズ低減処理を施し、第2のノイズ処理済みデータを取得する第4工程と、
第2工程で得られた第1のノイズ処理済みデータと、第4工程で得られた第2のノイズ処理済みデータとを用いて、房水の旋光度を算出する第5工程と、
房水の旋光度から房水中の光学活性物質の濃度を算出する第6工程とを、有し、
第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータ、または、第1の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータであり、
第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、第1のノイズ低減処理が、波長と測定値との関係において、測定波長毎における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定波長数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
第1の反射光の偏光状態の情報を含む第1データが、第1の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、第1のノイズ低減処理が、測定回数と測定値との関係において、測定順における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定回数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータ、または、第2の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータであり、
第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、第2のノイズ低減処理が、波長と測定値との関係において、測定波長毎における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定波長数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理であり、
第2の反射光の偏光状態の情報を含む第2データが、第2の反射光の測定回ごとの偏光状態の情報を含むデータの場合、第2のノイズ低減処理が、測定回数と測定値との関係において、測定順における測定値の差分の符号が変化する回数をnとし、n/(測定回数-2)の値を、0.50以下にするノイズ低減処理である、光学活性物質の濃度測定方法。
[2] 第1のノイズ低減処理および第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理を含む、[1]に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
[3] 第1のノイズ低減処理および第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理およびハイパスフィルタ処理を含む、[1]に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
[4] 第1のノイズ低減処理および第2のノイズ低減処理が、ローパスフィルタ処理を実施した後、ハイパスフィルタ処理を実施する処理である、[3]に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
[5] ローパスフィルタ処理が、移動平均処理またはサビツキー・ゴーレイ処理である、[2]~[4]のいずれかに記載の光学活性物質の濃度測定方法。
[6] ハイパスフィルタ処理が、同一条件で測定した複数の第1の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータを平均化したデータと処理前のデータとの差分を活用する処理であり、複数の第2の反射光の波長ごとの偏光状態の情報を含むデータを平均化したデータと処理前のデータとの差分を活用する処理である、[3]または[4]に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
[7] 光学活性物質が、グルコースである[1]に記載の光学活性物質の濃度測定方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンセンサスエラーグリッドの基準に合致し得る光学活性物質の濃度測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の光学活性物質の濃度測定方法の第1工程を説明するための概念図である。
第1工程における計算モデルの説明を行うための概念図である。
角度θを説明するための図である。
本発明の光学活性物質の濃度測定方法の第2工程を説明するための概念図である。
第2工程における計算モデルの説明を行うための概念図である。
空気~角膜での偏光変化を説明するための概念図である。
空気-角膜界面での入射角度θ
i
と透過率との関係を表すグラフである。
角膜~房水での偏光変化を説明するための概念図である。
角膜-房水界面での入射角度θ
i
と透過率との関係を表すグラフである。
房水~水晶体での偏光変化を説明するための概念図である。
房水~角膜~空気での偏光変化を説明するための概念図である。
ミュラー行列として測定した処理前データの例を概念的に示す図である。
測定値の差分の符号が変化する回数を説明するための概念図である。
本発明の光学活性物質の濃度測定方法を実施する光学活性物質濃度測定装置の一例を概念的に表す図である。
測定部における偏光板の配置を説明するための斜視図である。
図15を別の方向から見た図である。
測定部の他の一例を説明するための模式図である。
回転角度と光量との関係を表すグラフである。
測定部の他の一例を説明するための模式図である。
偏光状態と受光パターンとの関係を表す図である。
測定部の他の一例を説明するための模式図である。
受光素子の他の一例を説明するための模式図である。
実施例で用いたセルを概念的に示す断面図である。
図23に示すセルの斜視図である。
旋光性の測定結果を示すグラフである。
実施例1のノイズ処理済みデータの一例を示すグラフである。
実施例3のノイズ処理済みデータの一例を示すグラフである。
比較例1のノイズ処理済みデータの一例を示すグラフである。
コンセンサスエラーグリッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の光学活性物質の濃度測定方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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