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公開番号2025015628
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2024198599,2023085020
出願日2024-11-13,2009-03-17
発明の名称人工多能性幹細胞を作製するための化学的手法と遺伝的手法の組み合わせ法
出願人ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 35/30 20150101AFI20250123BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】哺乳動物細胞において多能性を誘導するための低分子の特定および使用、ならびに多能性を誘導する方法の提供。
【解決手段】(a)i)Octポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、Klfポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびSoxポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の発現カセット;またはii)外因性Octポリペプチド、外因性Soxポリペプチド、および外因性Klfポリペプチドを該哺乳動物非多能性細胞に導入する工程;ならびに(b)該哺乳動物非多能性細胞と、GSK3インヒビター、MEKインヒビター、およびTGFβ受容体/ALK5インヒビターを接触させる工程を含む、方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
細胞療法のための治療的組成物を作製する方法であって、
(a)
(i) Octポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、Klfポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびSoxポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の発現カセット;または
(ii) 外因性Octポリペプチド、外因性Soxポリペプチド、および外因性Klfポリペプチド
を体細胞、前駆細胞、または哺乳動物非多能性幹細胞に導入する工程;
(b) 該体細胞、前駆細胞、または哺乳動物非多能性幹細胞と、GSK3インヒビター、MEKインヒビター、およびTGFβ受容体/ALK5インヒビターを接触させる工程;ならびに
(c) 工程(a)および(b)から得られた該細胞を望む細胞タイプに分化させる工程
を含み、
該治療的組成物が、工程(c) から得られた該細胞を含む、
方法。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
OctポリペプチドがOct4である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
KlfポリペプチドがKlf4である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
SoxポリペプチドがSox2である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
体細胞、前駆細胞、または哺乳動物非多能性幹細胞が、ヒト細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
体細胞が線維芽細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前駆細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前駆細胞が神経前駆細胞、皮膚前駆細胞、または毛包前駆細胞である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
TGFβ受容体/ALK5インヒビターがSB431542およびA-83-01からなる群から選択され、
GSK3インヒビターがCHIR99021を含み、MEKインヒビターがPD0325901を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
細胞療法のための治療的組成物の製造のための混合物の使用であって、
該混合物が、
(a) 体細胞、前駆細胞、または非多能性幹細胞、ならびに
(b) GSK3インヒビター、MEKインヒビター、およびTGFβ受容体/ALK5インヒビター
を含み、
該体細胞、前駆細胞、または非多能性幹細胞が、
(i) Octポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、Klfポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびSoxポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の発現カセット;または
(ii) 外因性Octポリペプチド、外因性Soxポリペプチド、および外因性Klfポリペプチド
を含む、
使用。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本願は、2008年3月17日に出願された米国特許仮出願第61/069,956号および2008年10月31日に出願された同第61/197,986号に係る優先権の恩典を主張する。これらはそれぞれ参照により組み入れられる。
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
発明の背景
幹細胞は、全能性細胞または多能性細胞と分類されることが多い。全能性幹細胞は、あらゆるものに分化する能力を有し、すなわち、体内の異なる全てのタイプの細胞を生じさせる。全能性幹細胞の一例は受精卵細胞である。多能性幹細胞は、3つの主要な生殖細胞層に由来する体内の全ての細胞タイプ、または胚そのものを生じることができる。
【0003】
胚性幹細胞(ESC)などの多能性幹細胞は、多能性を維持しながら、すなわち、様々なタイプの細胞に分化する能力を維持しながら急速に増殖する。胚性幹細胞は細胞移植療法の有望なドナー源である。しかしながら、ヒトESCは、ヒト胚の使用に関する倫理問題および同種異系移植後の拒絶反応とも関連している。これらの問題は、患者の体細胞から多能性幹細胞を直接作製することによって克服できる可能性がある。体細胞核がESCと融合することによって胚性幹細胞に似た状態を獲得することから、「多能性誘導」因子の存在が示唆されている。最近、ESCにおいて高発現している4種類の転写因子(Oct-3/4、Sox2、KLF4、およびc-Myc)を、レトロウイルスを介してマウス線維芽細胞にトランスフェクションすることによって、人工多能性幹(iPS)細胞の作製がもたらされることが、以前の研究から示されていた。Takahashi, K. およびJ Yamanaka, S. Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126, 663-676 (2006)(非特許文献1); Okita, K., Ichisaka, T.およびJ Yamanaka, S. Generation of germline-competent induced pluripotent stem cells. Nature 448, 313-317 (2007)(非特許文献2); Wernig, M. et al. In vitro reprogramming of fibroblasts into a pluripotent ES-cell-like state. Nature 448, 318-324 (2007)(非特許文献3); Maherali, N. et al. Directly reprogrammed fibroblasts show global epigenetic remodeling and widespread tissue contribution. Cell Stem Cell 1, 55-70 (2007)(非特許文献4); Meissner, A., Wernig, M.およびJaenisch, R. Direct reprogramming of genetically unmodified fibroblasts into pluripotent stem cells. Nature Biotechnol. 25, 1177-1181 (2007)(非特許文献5); Takahashi, K. et al. Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factors. Cell 131, 861-872 (2007)(非特許文献6); Yu, J. et al. Induced pluripotent stem cell lines derived from human somatic cells. Science 318, 1917-1920 (2007)(非特許文献7); Nakagawa, M. et al. Generation of induced pluripotent stem cells without Myc from mouse and human fibroblasts Nature Biotechnol. 26, 101-106 (2007)(非特許文献8); Wernig, M., Meissner, A., Cassady, J. P.およびJaenisch, R. c-Myc is dispensable for direct reprogramming of mouse fibroblasts. Cell Stem Cell 2, 10-12(2008)(非特許文献9)を参照されたい。iPS細胞は、テラトーマ形成およびキメラの寄与により判断されるように、形態、増殖、および多能性の点でESCと似ている。
【0004】
マウス体細胞およびヒト体細胞から人工多能性幹(iPS)細胞へのリプログラミングにおいて、定義された遺伝子操作、すなわち、マウスまたはヒトの胚性幹(ES)細胞において高度におよび/または特異的に発現する数種類の遺伝子のウイルス形質導入を用いるという最近のブレークスルーは、従来のヒトES細胞に関連する議論に関係なく、様々な用途(例えば、細胞療法または創薬)のための患者特異的幹細胞を作製する大きな機会、ならびにエピジェネティックな逆プロセスを研究する大きな機会を切り開いた。iPS細胞手法の最終的な臨床用途には、主として、系列特異的細胞タイプの均一な集団を作製し、ならびに現在のiPS細胞遺伝子操作の欠点に関連するリスクおよび低い効率/遅い体内動態を無くすために、ヒトPS細胞を定方向性分化する方法が必要であると考えられる。最近の研究から、以前より必要とされた4種類の遺伝子の1つであるcMycが、iPS細胞作製における過剰発現に必ずしも必要ではないことが分かっている。Nakagawa, M. et al. Generation of induced pluripotent stem cells without Myc from mouse and human fibroblasts Nature Biotechnol. 26, 101-106 (2007)(非特許文献8); Wernig, M., Meissner, A., Cassady, J. P.およびJaenisch, R. c-Myc is dispensable for direct reprogramming of mouse fibroblasts. Cell Stem Cell 2, 10-12(2008)(非特許文献9)を参照されたい。しかしながら、cMycの非存在下では、リプログラミング効率はかなり低く、リプログラミング体内動態もかなり遅かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Takahashi, K. およびJ Yamanaka, S. Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126, 663-676 (2006)
Okita, K., Ichisaka, T.およびJ Yamanaka, S. Generation of germline-competent induced pluripotent stem cells. Nature 448, 313-317 (2007)
Wernig, M. et al. In vitro reprogramming of fibroblasts into a pluripotent ES-cell-like state. Nature 448, 318-324 (2007)
Maherali, N. et al. Directly reprogrammed fibroblasts show global epigenetic remodeling and widespread tissue contribution. Cell Stem Cell 1, 55-70 (2007)
Meissner, A., Wernig, M.およびJaenisch, R. Direct reprogramming of genetically unmodified fibroblasts into pluripotent stem cells. Nature Biotechnol. 25, 1177-1181 (2007)
Takahashi, K. et al. Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factors. Cell 131, 861-872 (2007)
Yu, J. et al. Induced pluripotent stem cell lines derived from human somatic cells. Science 318, 1917-1920 (2007)
Nakagawa, M. et al. Generation of induced pluripotent stem cells without Myc from mouse and human fibroblasts Nature Biotechnol. 26, 101-106 (2007)
Wernig, M., Meissner, A., Cassady, J. P.およびJaenisch, R. c-Myc is dispensable for direct reprogramming of mouse fibroblasts. Cell Stem Cell 2, 10-12(2008)
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な概要
本発明は、哺乳動物細胞から多能性幹細胞へのリプログラミングまたは脱分化を誘導する作用物質をスクリーニングする方法を提供する。一部の態様において、前記方法は、
(a)トランスフェクトされた細胞を作製するために、Octポリペプチド、Klfポリペプチド、Mycポリペプチド、およびSoxポリペプチドのうちの全てではないが少なくとも1つを非多能性細胞に導入する工程;
(b)トランスフェクトされた細胞と、異なる作用物質のライブラリーとを接触させる工程;
(c)接触させた該細胞を多能性幹細胞の特徴についてスクリーニングする工程;ならびに
(d)幹細胞の特徴の発生と、ライブラリー由来の特定の作用物質とを相関付け、それによって、多能性幹細胞への細胞の脱分化を刺激する作用物質を特定する工程
を含む。
【0007】
一部の態様において、工程(a)は、Octポリペプチド、Klfポリペプチド、Mycポリペプチド、およびSoxポリペプチドのうちの全てではないが少なくとも1つの発現のための1つまたは複数の発現カセットを、非多能性細胞に導入することを含む。
【0008】
一部の態様において、工程(a)は、外因性Octポリペプチド、外因性Klfポリペプチド、外因性Mycポリペプチド、および外因性Soxポリペプチドのうちの全てではないが少なくとも1つを、非多能性細胞に導入することを含む。
【0009】
一部の態様において、特定の作用物質は50~1500ダルトンである。
【0010】
一部の態様において、工程(a)は、2つの発現カセットを細胞に導入することを含む。ここで、それぞれの発現カセットは、異なるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、該タンパク質は、Octポリペプチド、Klfポリペプチド、Mycポリペプチド、およびSoxポリペプチドからなる群より選択され、該群の残りのメンバーは細胞に導入されない。
(【0011】以降は省略されています)

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