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公開番号
2025015051
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2023118141
出願日
2023-07-20
発明の名称
バリ取り用スピンドル装置
出願人
津田駒工業株式会社
代理人
主分類
B23C
3/12 20060101AFI20250123BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約
【課題】バリ取り用スピンドル装置において工具の破損等の原因となるスピンドルの急激な復帰を抑えることのできる構成を提供すること。
【解決手段】収容孔周りでハウジングに形成されると共に中心線方向におけるピストンの存在範囲内で収容孔の内周面に開口する環状溝、環状溝に圧力流体を供給するための流体供給機構、及び開口の範囲内でピストンの外周面から突出すると共に環状溝の外側の内周面に当接するように設けられて環状溝内の空間を先端側の第1の空間と後端側の第2の空間とに分ける仕切り部材を備え、仕切り部材は、第1の空間と第2の空間とを連通させる第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ1以上有し、第1の貫通孔に第2の空間から第1の空間への圧力流体の流動のみを許容する一方向バルブが設けられ、第2の貫通孔に復帰時における第1の空間の容積変化に伴う第1の空間から第2の空間への圧力流体の流動を制限する流量制限部が設けられる。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
先端に工具が取り付けられるスピンドル、ハウジングに形成された収容孔内に傾動可能であるように設けられると共に前記ハウジングに対し前記スピンドルを支持するフロートリング、前記収容孔の中心線方向に摺動可能であるように前記収容孔内に設けられると共に前記フロートリングの傾動を許容するかたちで前記フロートリングに当接するピストン、及び前記ピストンを前記フロートリング側である先端側へ付勢する付勢機構を含み、前記傾動時に前記ピストンが前記付勢機構の付勢力に抗して前記先端側とは反対の側である後端側へ移動すると共に復帰時に前記ピストンが前記付勢力によって前記先端側へ移動するバリ取り用スピンドル装置において、
前記収容孔周りで前記ハウジングに形成されると共に前記中心線方向における前記ピストンの存在範囲内で前記収容孔の内周面に開口する環状溝、前記環状溝に圧力流体を供給するための流体供給機構、及び前記開口の範囲内で前記ピストンの外周面から突出すると共に前記環状溝の外側の内周面に当接するように設けられて前記環状溝内の空間を前記先端側の第1の空間と前記後端側の第2の空間とに分ける仕切り部材を備え、
前記仕切り部材は、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ1以上有し、前記第1の貫通孔に前記第2の空間から前記第1の空間への圧力流体の流動のみを許容する一方向バルブが設けられ、前記第2の貫通孔に前記復帰時における前記第1の空間の容積変化に伴う前記第1の空間から前記第2の空間への圧力流体の流動を制限する流量制限部が設けられる
ことを特徴とするバリ取り用スピンドル装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に工具が取り付けられるスピンドル、ハウジングに形成された収容孔内に傾動可能であるように設けられると共にハウジングに対しスピンドルを支持するフロートリング、収容孔の中心線方向に摺動可能であるように収容孔内に設けられると共にフロートリングの傾動を許容するかたちでフロートリングに当接するピストン、及びピストンをフロートリング側である先端側へ付勢する付勢機構を含み、傾動時にピストンが付勢機構の付勢力に抗して先端側とは反対の側である後端側へ移動すると共に復帰時にピストンが付勢力によって先端側へ移動するバリ取り用スピンドル装置に関する。
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【0002】
バリ取り用スピンドル装置は、例えば多関節ロボット等の先端に取り付けられ、鋳物等のワークのバリを除去する加工(バリ取り加工)に用いられている。なお、そのバリ取り加工は、スピンドルの先端に取り付けられた工具が加工対象であるワークのバリに対し押し当てられた状態で、その工具を支持するスピンドルがワークの輪郭に沿って移動されるかたちで行われる。但し、鋳物等のワークにおけるバリの形状は不規則な形状であるのが一般的であるため、バリ取り用スピンドル装置においては、そのような不規則な形状を許容してバリ取り加工を行うことができるように、加工対象のワークにおけるバリの形状に応じてスピンドルが傾動できるように構成されている。
【0003】
そして、そのようなバリ取り用スピンドル装置としては、例えば特許文献1に開示された装置(以下、「従来装置」と言う。)がある。その従来装置は、先端に工具が取り付けられるスピンドルと、中空円筒状のハウジングにおける内側の空間(収容孔)内に傾動可能に設けられるセンタディスク(フロートリング)とを備え、そのセンタディスクが、ハウジングに対しスピンドルを支持するように構成されている。そして、そのようにハウジングに対し傾動可能に設けられたセンタディスクを介してスピンドルが支持されることにより、スピンドルがハウジングに対し傾動可能となっている。
【0004】
また、その従来装置は、ハウジングの中心線方向に摺動可能に設けられるピストンと、ピストンをセンタディスク側である先端側へ付勢する弾性部材(付勢機構)とを備え、そのピストンが、センタディスクの傾動を許容するかたちでセンタディスクに対し当接するように構成されている。
【0005】
そして、その構成においては、スピンドルが傾動する結果としてハウジング内でセンタディスクが傾動するのに伴い、ピストンが、弾性部材の付勢力に抗し、前記先端側とは反対の側である後端側へ移動する。また、バリの形状によるスピンドルの傾動が解消され得る状態となると、スピンドルを支持するセンタディスクが付勢機構によって前記先端側へ付勢されていることから、スピンドル及びセンタディスクがその傾動した状態から復帰することとなる。そして、その復帰に伴い、ピストンが前記先端側へ移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-066120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のようなバリ取り用スピンドル装置においては、スピンドルの傾動した状態からの復帰時において、その復帰が弾性部材の付勢力によって行われることから、ピストンの急激な変位に起因し、スピンドルが急激なかたちで復帰(変位)する場合がある。そして、スピンドルがそのように急激に変位すると、スピンドルの先端に取り付けられている工具がワークに衝突し、工具の破損や加工不良を招く虞がある。
【0008】
なお、前述の従来装置は、ピストンと弾性部材との間にセパレートリングが介装されると共に、そのセパレートリングとピストンとの間に空間が設けられ、その空間に空気等の圧縮性流体が供給されるように構成されている。その上で、特許文献1には、そのように前記空間に圧縮性流体が充填されることで、加工中に弾性部材の付勢力が直接スピンドルに伝わらず、加工中の振動が圧縮性流体によって吸収される、と記載されている。
【0009】
したがって、その記載から、その従来装置の構成においては、前記空間に充填された圧縮性流体が緩衝効果を奏する、と述べているように理解される。また、そのように圧縮性流体が緩衝効果を奏することで、スピンドルの急激な復帰の原因となるピストンの急激な変位が抑えられるとも理解される。しかし、実際には、その従来装置の構成では、そのような緩衝効果は得られず、スピンドルの急激な復帰を抑えることはできない。
【0010】
詳しくは、従来装置の構成に関し、特許文献1には、前記空間に圧縮性流体を供給させる目的について、セパレートリングとピストンとを離間させた状態とすることである、と記載されている。但し、そのようにセパレートリングとピストンとが離間された状態に維持される、すなわち、セパレートリングがピストンから離間された位置に維持されるということは、前記空間に圧縮性流体が充填された状態では、その圧縮性流体の圧力と弾性部材の付勢力とが釣り合った状態となっていると理解される。言い換えれば、圧縮性流体の圧力は、弾性部材の付勢力が作用してもそれ以上は圧縮されない程度に高い圧力となっていると理解される。
(【0011】以降は省略されています)
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