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公開番号
2025014244
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2023116623
出願日
2023-07-18
発明の名称
積層型プロトン伝導性電解質膜およびその製造方法
出願人
株式会社豊田中央研究所
,
国立大学法人東海国立大学機構
代理人
個人
,
個人
主分類
H01B
1/06 20060101AFI20250123BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】プロトン伝導性電解質膜においてプロトン伝導性およびガス低透過性を両立する。
【解決手段】積層型プロトン伝導性電解質膜は、プロトン伝導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜とが、この順序で積層されており、ナノシート層は、ナノシート層の面方向にプロトン伝導性ナノシートが複数集合することによって構成されており、プロトン伝導性ナノシートは、ナノシート層の積層方向にプロトン伝導性を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
プロトン伝導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜とが、この順序で積層されており、
前記ナノシート層は、該ナノシート層の面方向に前記プロトン伝導性ナノシートが複数集合することによって構成されており、
前記プロトン伝導性ナノシートは、前記ナノシート層の積層方向にプロトン伝導性を有する
積層型プロトン伝導性電解質膜。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
前記プロトン伝導性ナノシートが、グラフェンナノシート、酸化グラフェンナノシート、ケイ酸塩ナノシート、h-BNナノシート、窒素ドープグラフェンナノシートから選ばれる少なくとも1種類である
積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項3】
請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
プロトン伝導度を、室温、相対湿度100%RHの条件で測定する場合に、前記積層型プロトン伝導性電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σ
nano
と、前記ナノシート層を備えることなく前記第1電解質膜および前記第2電解質膜を接合した接合電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σ
comp1
と、を比較したときの、σ
comp1
に対するσ
nano
の比率、および、前記プロトン伝導度σ
nano
と、前記第1電解質膜および前記第2電解質膜と同種の電解質膜であって前記第1電解質膜および前記第2電解質膜の厚みの合計の厚みを有する単層電解質膜の膜厚方向のプロトン伝導度σ
comp2
と、を比較したときの、σ
comp2
に対するσ
nano
の比率、のうちの少なくとも一方の比率が80%以上であり、
ガス透過係数を、室温、相対湿度0%RH、差圧100kPaの条件で測定する場合に、前記積層型プロトン伝導性電解質膜のガス透過係数P
nano
と、前記接合電解質膜のガス透過係数P
comp1
と、を比較したときの、P
comp1
に対するP
nano
の比率、および、前記ガス透過係数P
nano
と、前記単層電解質膜のガス透過係数P
comp2
と、を比較したときの、P
comp2
に対するP
nano
の比率、のうちの少なくとも一方の比率が75%以下である
積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項4】
請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
前記プロトン伝導性ナノシートの厚さに対する前記ナノシートの平均粒径の比であるアスペクト比が、10~10
7
である
積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項5】
請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
前記第1電解質膜の表面の面積に対する、前記ナノシート層に覆われる部分の面積の割合である被覆率は、70%以上、99.9%以下である
積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項6】
積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法であって、
プロトン伝導性ナノシートの分散液を作製し、
プロトン伝導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜と、のうちの一方の電解質膜を加熱しつつ、該一方の電解質膜上に前記分散液を滴下し、
前記分散液を滴下した後に、滴下した前記分散液を前記一方の電解質膜上から除去して
前記一方の電解質膜を乾燥させることにより、前記一方の電解質膜上において前記プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層を形成し、
前記ナノシート層上に、前記第1電解質膜および前記第2電解質膜のうちの他方の電解質膜を積層して接合する
積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層型プロトン伝導性電解質膜およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、水素を製造するための水電解装置や、水素を用いて発電を行う燃料電池などのエネルギ変換装置に用いるためのガス透過性を抑制したプロトン伝導性電解質膜が種々提案されている。例えば、特許文献1では、第1電解質膜と第2電解質膜との間に、白金等によって構成される複数のナノシート状触媒が積層されたナノシート積層触媒層を備える積層電解質膜が開示されている。また、非特許文献1には、単層CVDグラフェンとプロトン交換膜とのサンドイッチ構造を有する積層電解質膜が開示されており、非特許文献2および非特許文献3には、六方晶窒化ホウ素(h-BN)の単層膜とプロトン交換膜とのサンドイッチ構造を有する積層電解質膜が開示されている。このような積層電解質膜では、ナノシート積層触媒層や単層CVDグラフェンやh-BNの単層膜等を設けることにより、積層電解質膜における水素や酸素のクロスオーバーを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2019-167619号公報
【非特許文献】
【0004】
Single-Layer Graphene Sandwiched between Proton-Exchange Membranes for Selective Proton Transmission, ACS Appl. Nano Mater., 2019, 2, 964-974
Sandwiching h-BN Monolayer Films between Sulfonated Poly(ether ether ketone) and Nafion for Proton Exchange Membranes with Improved Ion Selectivity, Acs Nano, 2019, 13, 2094-2102
AA’-Stacked Trilayer Hexagonal Boron Nitride Membrane for Proton Exchange Membrane Fuel Cells, ACS Nano, 2018, 12, 10764-10771
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した積層電解質膜では、ナノシート積層触媒層や単層CVDグラフェンやh-BNの単層膜等を備えることにより水素のクロスオーバーが抑えられるものの、ナノシート積層触媒層や単層CVDグラフェンやh-BNの単層膜等によって積層電解質膜全体のプロトン伝導性が抑えられ、電解質膜の抵抗が増大するという問題が生じる可能性があった。例えば、特許文献1に開示されるナノシート積層触媒層は、実質的にプロトン伝導性を有していないため、このようなナノシート積層触媒層を設けることにより積層電解質膜全体のプロトン伝導性が低下する。また、非特許文献1-3に開示される単層CVDグラフェンやh-BNの単層膜は、ある程度のプロトン伝導性を有しているが、積層電解質膜全体のプロトン伝導性の低下の抑制は十分とは言い難かった。
【0006】
さらに、特許文献1に開示されるナノシート積層触媒層は、積層電解質膜に進入してきた水素および酸素を「H
2
+1/2O
2
→H
2
O」の化学反応によって水に変換して水素のクロスオーバーを抑制しているが、このような反応により水素が消費されることになる。その結果、このような積層電解質膜を備える水電解装置や燃料電池などの装置における反応効率が低下するという問題が生じていた。そのため、プロトン伝導性電解質膜において、プロトン伝導性およびガス低透過性を両立しつつ、当該プロトン伝導性電解質膜を備え
る装置における反応効率の低下を抑制できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、積層型プロトン伝導性電解質膜が提供される。この積層型プロトン伝導性電解質膜は、プロトン伝導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜とが、この順序で積層されており、前記ナノシート層は、該ナノシート層の面方向に前記プロトン伝導性ナノシートが複数集合することによって構成されており、前記プロトン伝導性ナノシートは、前記ナノシート層の積層方向にプロトン伝導性を有する。
この形態の積層型プロトン伝導性電解質膜によれば、第1電解質膜と第2電解質膜との間に、プロトン伝導性ナノシートが面方向に複数集合することによって構成されたナノシート層を備えるため、プロトン伝導性電解質膜において、プロトン伝導性およびガス低透過性を両立することが可能になる。また、上記のようなプロトン伝導性ナノシートは、水素と酸素とを反応させる触媒活性を実質的に有していないため、積層型プロトン伝導性電解質膜を備える装置における反応効率の低下を抑えることができる。
(2)上記形態の積層型プロトン伝導性電解質膜において、前記プロトン伝導性ナノシートが、グラフェンナノシート、酸化グラフェンナノシート、ケイ酸塩ナノシート、h-BNナノシート、窒素ドープグラフェンナノシートから選ばれる少なくとも1種類であることとしてもよい。このような構成とすれば、積層型プロトン伝導性電解質膜のプロトン伝導性を確保する効果を高めることができる。
(3)上記形態の積層型プロトン伝導性電解質膜において、プロトン伝導度を、室温、相対湿度100%RHの条件で測定する場合に、前記積層型プロトン伝導性電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σ
nano
と、前記ナノシート層を備えることなく前記第1電解質膜および前記第2電解質膜を接合した接合電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σ
comp1
と、を比較したときの、σ
comp1
に対するσ
nano
の比率、および、前記プロトン伝導度σ
nano
と、前記第1電解質膜および前記第2電解質膜と同種の電解質膜であって前記第1電解質膜および前記第2電解質膜の厚みの合計の厚みを有する単層電解質膜の膜厚方向のプロトン伝導度σ
comp2
と、を比較したときの、σ
comp2
に対するσ
nano
の比率、のうちの少なくとも一方の比率が80%以上であり、ガス透過係数を、室温、相対湿度0%RH、差圧100kPaの条件で測定する場合に、前記積層型プロトン伝導性電解質膜のガス透過係数P
nano
と、前記接合電解質膜のガス透過係数P
comp1
と、を比較したときの、P
comp1
に対するP
nano
の比率、および、前記ガス透過係数P
nano
と、前記単層電解質膜のガス透過係数P
comp2
と、を比較したときの、P
comp2
に対するP
nano
の比率、のうちの少なくとも一方の比率が75%以下であることとしてもよい。このような構成とすれば、プロトン伝導性電解質膜においてプロトン伝導性およびガス低透過性を両立する効果を高めることができる。
(4)上記形態の積層型プロトン伝導性電解質膜において、前記プロトン伝導性ナノシートの厚さに対する前記ナノシートの平均粒径の比であるアスペクト比が、10~10
7
であることとしてもよい。このような構成とすれば、プロトン伝導性電解質膜においてプロトン伝導性およびガス低透過性を両立する効果を高めることができる。
(5)上記形態の積層型プロトン伝導性電解質膜において、前記第1電解質膜の表面の面積に対する、前記ナノシート層に覆われる部分の面積の割合である被覆率は、70%以上、99.9%以下であることとしてもよい。このような構成とすれば、プロトン伝導性電解質膜においてプロトン伝導性およびガス低透過性を両立する効果を高めることができる。
(6)本開示の他の一形態によれば、積層型プロトン伝導性電解質膜剤の製造方法が提供される。この積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法は、プロトン伝導性ナノシートの分散液を作製し、プロトン伝導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜と、のうちの一方の電解質膜を加熱しつつ、該一方の電解質膜上に前記分散液を
滴下し、前記分散液を滴下した後に、滴下した前記分散液を前記一方の電解質膜上から除去して前記一方の電解質膜を乾燥させることにより、前記一方の電解質膜上において前記プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層を形成し、前記ナノシート層上に、前記第1電解質膜および前記第2電解質膜のうちの他方の電解質膜を積層して接合する。
この形態の積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法によれば、極めて簡便な操作により、上記(1)に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜を作製することができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、積層型プロトン伝導性電解質膜を備える水電解セル、水電解セルを備える水電解装置、積層型プロトン伝導性電解質膜を備える燃料電池セル、燃料電池セルを備える燃料電池などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
積層型プロトン伝導性電解質膜の概略構成を模式的に表す断面図。
積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法を示す説明図。
各サンプルの構成や測定結果をまとめて示す説明図。
ナノコート領域の被覆状態を観察した様子を模式的に表す説明図。
3D測定レーザー顕微鏡により得られた顕微鏡写真を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.積層型プロトン伝導性電解質膜の構成:
図1は、本開示の実施形態としての積層型プロトン伝導性電解質膜10の概略構成を模式的に表す断面図である。積層型プロトン伝導性電解質膜10は、第1電解質膜12と、ナノシート層16と、第2電解質膜14とが、この順で積層されることによって構成されている。
【0010】
(A-1)電解質膜:
第1電解質膜12および第2電解質膜14は、プロトン伝導性を有する電解質膜である。第1電解質膜12および第2電解質膜14は、固体高分子電解質膜とすることができ、プロトン伝導性を有していれば特に制限されない。具体的には、第1電解質膜12および第2電解質膜14としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマなどのフッ素系樹脂や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等にイオン交換基を導入した炭化水素系樹脂等によって構成される種々のイオン交換膜を用いることができる。第1電解質膜12と第2電解質膜14とは、同種の電解質膜であってもよく、異なる種類の電解質膜であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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