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公開番号2025012415
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115229
出願日2023-07-13
発明の名称粘着シート
出願人日東電工株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C09J 7/38 20180101AFI20250117BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】基材を備える構成で、高い黒色度に基づき良好な外観を付与することができ、かつ良好な耐反撥性を安定して保持し得る粘着シートを提供する。
【解決手段】繊維質基材と、該繊維質基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備える粘着シートが提供される。この粘着シートにおいて、上記繊維質基材の密度は0.4g/cm3以下である。また、上記粘着剤層は、L*a*b*表色系で規定されるL*が10以下である。さらに、上記粘着剤層は、60℃90%RHの環境下に4週間保持した後、23℃、引張速度50mm/分の条件で実施される引張り試験における破断強度が0.70MPa以上1.10MPa以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
繊維質基材と、該繊維質基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層と、を備え、
前記繊維質基材の密度は0.4g/cm

以下であり、
前記粘着剤層は、






表色系で規定されるL

が10以下であり、
60℃90%RHの環境下に4週間保持した後、23℃、引張速度50mm/分の条件で実施される引張り試験における破断強度が0.70MPa以上1.10MPa以下である、粘着シート。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記粘着剤層には、黒色顔料分散体が配合されている、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記黒色顔料分散体は、黒色顔料と、液状樹脂とを含み、該黒色顔料の少なくとも一部は該液状樹脂中に分散している、請求項2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記黒色顔料分散体の配合量は、不揮発分基準で、前記粘着剤層に含まれるベースポリマー100重量部に対して4重量部以上10重量部以下である、請求項2または3に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてゴム系ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてスチレン系ブロック共重合体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記粘着剤層は、溶剤型粘着剤組成物またはホットメルト型粘着剤組成物から形成された粘着剤層である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記繊維質基材の厚さは20μm以上60μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項9】
前記粘着シートの総厚さは100μm以上350μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項10】
曲面を有する黒色被着体の該曲面を含む領域に貼り付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
一般に粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。かかる性質を活かして、粘着剤は、作業性がよく接着の信頼性の高い接合手段として、家電製品、自動車、OA機器等の各種産業分野において広く利用されている。粘着剤の代表的な組成として、常温でゴム弾性を示すポリマーをベースポリマーとして含む組成が挙げられる。また、例えば、電子機器における液晶表示装置のバックライトモジュール等の光源や有機EL(electroluminescence)等の自発光素子からの光漏れの防止や、被着体の隠蔽、被着体の外観調整、意匠性等を目的として、着色粘着剤層を有する粘着シートが利用されている。この種の技術を開示する文献として特許文献1が挙げられる。特許文献2は、スチレン系ブロック共重合体をベースポリマーとして含む粘着剤を開示する技術文献である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-007500号公報
特開2015-28130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着色された粘着剤は、上述の遮光や、被着体の表面を覆って被着体を隠蔽する、外観を調整する、意匠性を付与するなどの目的で用いられるほか、被着体に貼り付けられた状態で目立たぬように被着体の色味にあわせて着色する態様で用いられ得る。かかる粘着剤は、該粘着剤が視認される個所で用いられる場合に被着体の外観を損なわず好ましい。例えば、L





表色系で規定されるL

値が低い黒色の部材を接合する粘着剤に黒色顔料を添加して、該部材と同程度のL

値を持たせることにより、粘着剤の存在が目立たなくなり、該粘着剤により接合された部材や、該部材を含む製品の外観は良好に保持され得る。
【0005】
また、粘着剤の被着対象物のなかには、例えばデザイン性や機能性等のため、三次元形状等の曲面形状を有するものがある。そのような曲面形状を有する部分に貼り付けて用いる粘着剤には、該曲面形状によく追従、密着し、かかる密着状態を長期間にわたって保持する性能、典型的には耐反撥性を有することが求められる。上記着色粘着剤についても、曲面に貼り付けて使用する場合、該曲面から剥がれない耐反撥性を有することが求められる。しかし、上記着色粘着剤の黒色度を高めた場合、黒色度と耐反撥性との両立が難しくなることがある。具体的には、着色粘着剤の黒色度を効率的に高めるには、黒色顔料を例えば液状樹脂等の分散媒に予めよく分散させた状態で粘着剤に配合することが望ましい。しかし、該分散媒は、耐反撥性低下の原因となり、例えば、上記L

値が10以下となるような黒色度の高い設計とした場合には、耐反撥性が低下する場合がある。
【0006】
ところで、粘着シートは、その使用目的や使用箇所に応じて、支持基材を有する基材付き粘着シートの形態で用いられる。例えば、基材付き粘着シートは、加工性に優れる傾向があるので、種々の形状に加工して用いる用途に好ましく利用される。また、例えば薄厚の粘着シートでは、基材を有することにより取扱い性を改善することができる。しかし例えば、樹脂フィルム製基材を有する粘着シートは、該樹脂フィルムの剛性のため、柔軟性や耐反撥性が低下しやすい。基材付き粘着シートにおいては、不織布など繊維質の基材を用いることにより被着体への追従性を改善することができる。また、耐反撥性を高めるためには、粘着剤の含侵性のよい繊維質材料を選定するなどの工夫が必要となる。さらに、粘着剤含侵性等の繊維質基材の特性は、粘着シートの色味にも影響する。粘着剤の含侵性のよくない繊維質基材では、非含侵部分に存在する空気により白みが出やすく、黒色度が低下しやすい。
【0007】
さらに、粘着剤は、通常、高温高湿環境に曝されるなど過酷な環境で保管された場合や、該環境で粘着剤が使用された場合、あるいは、長期間の保管や使用等により、程度の大小はあるものの劣化する。具体的には、粘着剤は、高温高湿など過酷な環境で保管された場合に劣化し、所期の特性を発揮できないことがある。また、被着体への貼付け後、上記のような過酷な環境に曝されると、粘着剤は使用中に劣化し、所期の特性を維持できないことがある。そのように粘着剤が劣化すると、耐反撥性の低下が顕著になりやすい。また、上記繊維質基材を備える粘着シートでは、耐反撥性の保持に粘着剤含侵性が影響することを考慮する必要がある。具体的には、例えば、粘着剤の含侵性の低い繊維質基材を使用した場合に、初期にはその影響が現れず良好な耐反撥性を有しても、高温高湿環境に曝されたり、長期間の使用により粘着剤が劣化すると、粘着剤の繊維質基材への含侵性の低さが耐反撥性低下として顕在化することがある。例えば、家電製品のなかには製品寿命の長いものが多くあり、かかる用途に用いられる粘着シートには、高温高湿環境に曝された場合でも粘着シート性能を保持し得る経時安定性を有することが求められる。例えば、所定の耐反撥性が求められる用途においては、耐反撥性を長期間に亘って安定して保持する性能を有することが求められている。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて創出されたものであり、基材を備える構成で、高い黒色度に基づき良好な外観を付与することができ、かつ良好な耐反撥性を安定して保持し得る粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書によると、繊維質基材と、該繊維質基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備える粘着シートが提供される。この粘着シートにおいて、上記繊維質基材の密度は0.4g/cm

以下である。また、上記粘着剤層は、L





表色系で規定されるL

が10以下である。さらに、上記粘着剤層は、60℃90%RHの環境下に4週間保持した後、23℃、引張速度50mm/分の条件で実施される引張り試験における破断強度(高温高湿保管後SS破断強度)が0.70MPa以上1.10MPa以下である。上記構成の粘着シートによると、粘着剤層のL

が10以下であることにより、繊維質基材を備える構成で、粘着剤層の高い黒色度に基づき良好な外観を付与することができる。また、上記粘着シートは、繊維質基材の選定と、粘着剤層の上記高温高湿保管後SS破断強度特性に基づき、過酷な環境に曝された場合でも良好な耐反撥性を安定して保持することができる。要するに、上記構成の粘着シートによると、基材を備える構成で、黒色度に基づく良好な外観と、耐反撥性の安定保持とを両立することができる。
【0010】
いくつかの態様において、上記粘着剤層には、黒色顔料分散体が配合されている。黒色顔料を分散体の形態で粘着剤層に配合することにより、良好な外観を付与し得る高い黒色度が得られやすい。いくつかの好ましい態様において、上記黒色顔料分散体は、黒色顔料と、液状樹脂とを含む。また、上記分散体において、上記黒色顔料の少なくとも一部は上記液状樹脂中に分散している。かかる構成によると、高い黒色度が得られやすい。また、上記黒色顔料分散体を配合する組成において、粘着剤層の上記高温高湿保管後SS破断強度を特定の範囲とすることにより、黒色度と耐反撥性とを好ましく両立することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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