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公開番号2025012219
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023114914
出願日2023-07-13
発明の名称高強度鋼板の製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人
主分類C21D 9/46 20060101AFI20250117BHJP(鉄冶金)
要約【課題】熱延鋼板を冷間圧延する際の通板性に優れる、高強度鋼板の製造方法の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.20~0.50%、Si:0.5~2.5%、Mn:2.5~5.0%、P:0.100%以下、S:0.0500%以下、Al:0.01~0.50%およびN:0.010%以下を含有する熱延鋼板を、軟質化処理(温度:Ta-50~Ta+50℃、時間:ta時間以下)の後、冷間圧延して冷延鋼板を得る。冷延鋼板を、オーステナイト単相域の温度T1で15~1000秒加熱し、Ms-50℃以上Ms℃未満の温度T2まで冷却し、500℃以下の温度T3に昇温して15~1000秒保持し、Ms-200℃以上であって温度T2未満である温度T4まで冷却し、500℃以下の温度T5に昇温して15~1000秒保持する。
Ta=600-[Si%]×100
ta=10-[Si%]×4
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.20%以上0.50%以下、
Si:0.5%以上2.5%以下、
Mn:2.5%以上5.0%以下、
P:0.100%以下、
S:0.0500%以下、
Al:0.01%以上0.50%以下、および、
N:0.010%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼片を熱間圧延することにより、熱延鋼板を得て、
前記熱延鋼板に、Ta-50℃以上Ta+50℃以下の処理温度Ta1で、ta時間以下の処理時間ta1加熱する軟質化処理を施し、
前記軟質化処理が施された前記熱延鋼板を冷間圧延することにより、冷延鋼板を得て、
前記冷延鋼板を、オーステナイト単相域の温度T1で15秒以上1000秒以下加熱し、その後、Ms-50℃以上Ms℃未満の温度T2まで冷却し、その後、500℃以下の温度T3に昇温して15秒以上1000秒以下保持し、その後、Ms-200℃以上であって前記温度T2未満である温度T4まで冷却し、その後、500℃以下の温度T5に昇温して15秒以上1000秒以下保持する、高強度鋼板の製造方法。
ここで、前記成分組成における成分Xの含有量を単位質量%で[X%]としたとき、Ta、taおよびMsは、それぞれ、単位℃、時間および℃で、下記式によって求める。
Ta=600-[Si%]×100
ta=10-[Si%]×4
Ms=550-35×[Mn%]-13×[Si%]-10×[Cr%]-12×[Mo%]-600×{1-exp(-0.96×[C%])}
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記成分組成が、更に、質量%で、
Ti:0.100%以下、
Nb:0.100%以下、
V:0.100%以下、
Ta:0.100%以下、
W:0.500%以下、
Cu:2.00%以下、
Ni:1.00%以下、
Sn:0.200%以下、
Sb:0.200%以下、
Cr:1.000%以下、
Mo:1.000%以下、
B:0.0050%以下、
Mg:0.0050%以下、
Zr:0.100%以下、
REM:0.0050%以下、および、
Ca:0.0050%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の高強度鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記軟質化処理が施された前記熱延鋼板は、炭化物の直径が50nm以下である、請求項1または2に記載の高強度鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度鋼板の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。そのため、鋼板などの車体材料の高強度化による車体部品の薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動きが活発である。
【0003】
特許文献1には、高強度鋼板の製造方法として、「質量%で、C:0.20%以上0.50%以下、Si:0.5%以上2.5%以下、Mn:2.5%以上5.0%以下、P:0.100%以下、S:0.0500%以下、Al:0.01%以上0.50%以下、および、N:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼片を、熱間圧延し、その後、冷間圧延する」ことにより得られた「冷延鋼板」に対して特定の熱処理を施す方法が開示されている([請求項1])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-123801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱間圧延により得られた熱延鋼板を冷間圧延する際に、通板性が不十分な場合(熱延鋼板に割れや破断が生じる場合、または、熱延鋼板が硬すぎて圧延しにくい場合)がある。
そこで、本発明は、熱延鋼板を冷間圧延する際の通板性に優れる、高強度鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討したその結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1]質量%で、C:0.20%以上0.50%以下、Si:0.5%以上2.5%以下、Mn:2.5%以上5.0%以下、P:0.100%以下、S:0.0500%以下、Al:0.01%以上0.50%以下、および、N:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼片を熱間圧延することにより、熱延鋼板を得て、上記熱延鋼板に、Ta-50℃以上Ta+50℃以下の処理温度Ta1で、ta時間以下の処理時間ta1加熱する軟質化処理を施し、上記軟質化処理が施された上記熱延鋼板を冷間圧延することにより、冷延鋼板を得て、上記冷延鋼板を、オーステナイト単相域の温度T1で15秒以上1000秒以下加熱し、その後、Ms-50℃以上Ms℃未満の温度T2まで冷却し、その後、500℃以下の温度T3に昇温して15秒以上1000秒以下保持し、その後、Ms-200℃以上であって上記温度T2未満である温度T4まで冷却し、その後、500℃以下の温度T5に昇温して15秒以上1000秒以下保持する、高強度鋼板の製造方法。
ここで、上記成分組成における成分Xの含有量を単位質量%で[X%]としたとき、Ta、taおよびMsは、それぞれ、単位℃、時間および℃で、下記式によって求める。
Ta=600-[Si%]×100
ta=10-[Si%]×4
Ms=550-35×[Mn%]-13×[Si%]-10×[Cr%]-12×[Mo%]-600×{1-exp(-0.96×[C%])}
[2]上記成分組成が、更に、質量%で、Ti:0.100%以下、Nb:0.100%以下、V:0.100%以下、Ta:0.100%以下、W:0.500%以下、Cu:2.00%以下、Ni:1.00%以下、Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下、Cr:1.000%以下、Mo:1.000%以下、B:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、Zr:0.100%以下、REM:0.0050%以下、および、Ca:0.0050%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]に記載の高強度鋼板の製造方法。
[3]上記軟質化処理が施された上記熱延鋼板は、炭化物の直径が50nm以下である、上記[1]または[2]に記載の高強度鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱延鋼板を冷間圧延する際の通板性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
冷間圧延後における熱処理の温度パターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[高強度鋼板の製造方法]
本実施形態の高強度鋼板の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう)を説明する。
本製造方法では、概略的には、まず、特定の成分組成を有する鋼片を熱間圧延することにより、熱延鋼板を得る。次いで、熱延鋼板に、後述する軟質化処理を施してから、冷間圧延を実施して、冷延鋼板を得る。その後、冷延鋼板に特定の熱処理を施す。こうして、高強度鋼板(熱処理が施された冷延鋼板)を得る。
以下、「高強度鋼板」または「冷延鋼板」を、単に「鋼板」ともいう。
【0010】
〈鋼片の成分組成〉
まず、鋼片(スラブ)の成分組成について、説明する。
成分組成における「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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