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公開番号
2025009335
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2023112265
出願日
2023-07-07
発明の名称
機能性繊維構造物及びその製造方法
出願人
大日精化工業株式会社
,
国立大学法人京都大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
D06M
14/04 20060101AFI20250110BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約
【課題】低摩擦性及び耐摩耗性等のCPB(濃厚ポリマーブラシ)の機能が付与された機能性繊維構造物を提供する。
【解決手段】水酸基を有する多数の繊維で構成される繊維基材と、その片末端が繊維の表面に結合してグラフト化したポリメタクリレートを含む、繊維の表面に設けられたポリマー層と、を備え、ポリマー層の平均厚さが、50~2,000nmであり、繊維の表面積に占める、ポリメタクリレートの断面積の割合が、10%以上であり、ポリメタクリレートの数平均分子量が10,000~3,000,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1~1.8である機能性繊維構造物である。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
水酸基を有する多数の繊維で構成される繊維基材と、
その片末端が前記繊維の表面に結合してグラフト化したポリメタクリレートを含む、前記繊維の表面に設けられたポリマー層と、を備え、
前記ポリマー層の平均厚さが、50~2,000nmであり、
前記繊維の表面積に占める、前記ポリメタクリレートの断面積の割合が、10%以上であり、
前記ポリメタクリレートの数平均分子量が10,000~3,000,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1~1.8である機能性繊維構造物。
続きを表示(約 630 文字)
【請求項2】
前記繊維が、セルロース系繊維である請求項1に記載の機能性繊維構造物。
【請求項3】
前記ポリメタクリレートが、メタクリル酸アルカリ金属塩、アルキルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第4級アンモニウム塩基含有メタクリレート、ベタイン構造含有メタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリフルオロアルキルメタクリレート、及びポリジメチルシロキサン含有メタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種のメタクリレートモノマーに由来する構成単位を有する請求項1に記載の機能性繊維構造物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の機能性繊維構造物の製造方法であって、
前記繊維基材に2-ブロモイソ酪酸ブロミド又は2-ブロモ-2-メチルプロピオニルオキシプロピルトリアルキルシランを反応させ、前記繊維の表面に2-ブロモイソ酪酸エステル基を導入して開始基含有基材を得る工程と、
前記開始基含有基材の存在下、常圧~1,000MPaの圧力条件で前記メタクリレートモノマーを表面開始リビングラジカル重合して、その片末端が前記繊維の表面に結合してグラフト化した前記ポリメタクリレートを含む前記ポリマー層を前記繊維の表面に設ける工程と、
を有する機能性繊維構造物の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性繊維構造物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
基材の改質方法として、基材と吸着又は反応しうる基をその末端に有するポリマーを基材に作用させることで、物理的又は化学的に結合したポリマー層を基材表面に設ける方法が知られている。また、基材表面に付与した重合性基を起点としてモノマーを重合させることで、基材表面からグラフトしたポリマー層を設ける方法も知られている。
【0003】
近年、1990年代に発展したリビングラジカル重合の技術を利用して基材上に高密度にグラフトされる、いわゆる「濃厚ポリマーブラシ」が研究されている。この濃厚ポリマーブラシ(以下、単に「CPB」とも記す)では、ビニル系モノマーを用いて形成されたポリマーの分子鎖が、1~4nm間隔の高密度で基板上にグラフトされている。すなわち、基材表面1nm
2
当たりに0.1分子鎖以上のポリマーの末端が結合している。このようなCPBによって基材表面を改質したり、ポリマーの良溶剤でCPBを膨潤させたりすることによって、低摩擦性、タンパク質吸着抑制、非血液凝固性、生物付着防止性、サイズ排除特性、超親水性、超撥水性、過冷却特性、及び触感改良特性等の特徴的なCPBの機能が発揮され、これらの機能を基材に付与することができる。
【0004】
例えば、無機材料、プラスチック、及びフィルム等の工業製品を基材とし、これらの基材表面にCPBを付与することが検討されている(特許文献1及び2)。また、複数の単量体を含有する重合用の液体組成物を繊維布帛に付与して重合することによって得られる機能性繊維布帛が提案されている(特許文献3)。さらに、布帛を構成する糸にラジカル重合性モノマーをグラフトした、ガス消臭機能が付与された機能性布帛が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2018/198876号
特開2019-65787号公報
特開2006-45686号公報
特開2013-155464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CPBは極低摩擦性を示すことから、トライボロジー分野において、摩擦によるエネルギーロスの削減等の省エネ化及び二酸化炭素削減等の環境問題への対応が期待される。また、CPBは低摩擦性、サイズ排除特性、タンパク質付着防止性、非血液凝固防止性、超親水性、及び超撥水性等の特定を示すことから、高性能な医療機器や高感度な診断薬等の提供が期待される。しかしながら、有効な低摩擦性及び耐摩耗性等の特性が付与された機能性の繊維構造物はこれまでに存在していなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、低摩擦性及び耐摩耗性等のCPB(濃厚ポリマーブラシ)の機能が付与された機能性繊維構造物を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の機能性繊維構造物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下に示す機能性繊維構造物が提供される。
[1]水酸基を有する多数の繊維で構成される繊維基材と、その片末端が前記繊維の表面に結合してグラフト化したポリメタクリレートを含む、前記繊維の表面に設けられたポリマー層と、を備え、前記ポリマー層の平均厚さが、50~2,000nmであり、前記繊維の表面積に占める、前記ポリメタクリレートの断面積の割合が、10%以上であり、前記ポリメタクリレートの数平均分子量が10,000~3,000,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1~1.8である機能性繊維構造物。
[2]前記繊維が、セルロース系繊維である前記[1]に記載の機能性繊維構造物。
[3]前記ポリメタクリレートが、メタクリル酸アルカリ金属塩、アルキルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第4級アンモニウム塩基含有メタクリレート、ベタイン構造含有メタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリフルオロアルキルメタクリレート、及びポリジメチルシロキサン含有メタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種のメタクリレートモノマーに由来する構成単位を有する前記[1]又は[2]に記載の機能性繊維構造物。
【0009】
また、本発明によれば、以下に示す機能性繊維構造物の製造方法が提供される。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の機能性繊維構造物の製造方法であって、前記繊維基材に2-ブロモイソ酪酸ブロミド又は2-ブロモ-2-メチルプロピオニルオキシプロピルトリアルキルシランを反応させ、前記繊維の表面に2-ブロモイソ酪酸エステル基を導入して開始基含有基材を得る工程と、前記開始基含有基材の存在下、常圧~1,000MPaの圧力条件で前記メタクリレートモノマーを表面開始リビングラジカル重合して、その片末端が前記繊維の表面に結合してグラフト化した前記ポリメタクリレートを含む前記ポリマー層を前記繊維の表面に設ける工程と、を有する機能性繊維構造物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低摩擦性及び耐摩耗性等のCPB(濃厚ポリマーブラシ)の機能が付与された機能性繊維構造物を提供することができる。また、本発明によれば、上記の機能性繊維構造物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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