TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025043356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-31
出願番号2023150633
出願日2023-09-18
発明の名称産業資材用帆布、及びその製造方法
出願人平岡織染株式会社
代理人
主分類D06M 15/248 20060101AFI20250324BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】経方向と緯方向の引裂強度バランス、及び屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性、及び炎天下での接合部耐久性に優れ、しかも外観品位のよい産業資材用帆布、及びその製造方法の提供。
【解決手段】布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群に、マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が規則的に交互配列されていて、この交互配列の繰り返し単位が2~6本であり、交互配列がマルチフィラメント糸条(1~3本)、及び短繊維紡績糸条(1~3本)による組み合わせの何れか1種で、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含むものとする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、前記布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群に、マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が規則的に交互配列されていて、この交互配列の繰り返し単位が2~6本であり、前記交互配列が前記マルチフィラメント糸条(1~3本)、及び前記短繊維紡績糸条(1~3本)による組み合わせ9種の何れか1種であり、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含むことを特徴とする産業資材用帆布。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する芯鞘糸条である請求項1に記載の産業資材用帆布。
【請求項3】
前記液状ゴム硬化物が、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上の反応性液状ゴムの重合体である請求項1または2に記載の産業資材用帆布。
【請求項4】
前記液状ゴム硬化物が、シリカ粒子との複合体である請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
【請求項5】
マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条を規則的に交互配列して含む布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層が形成された帆布の製造において、1)塩化ビニル樹脂、可塑剤、反応性液状合成ゴム(ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上)、の3種を少なくとも含む軟質塩化ビニル樹脂組成物を調製する工程、2)前記布帛に前記軟質塩化ビニル樹脂組成物を塗工し、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を形成する工程、3)前記反応性液状合成ゴムをゴム硬化物に転化して、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全体に合成ゴム成分を含ませる工程、を含むことを特徴とする産業資材用帆布の製造方法。
【請求項6】
前記布帛が、経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群に、マルチフィラメント糸条(嵩高糸条、嵩高部分を外周に有する芯鞘糸条を包含する)、及び短繊維紡績糸条を交互配列で含み、この交互配列の繰り返し単位が2~6本であり、前記交互配列が前記マルチフィラメント糸条(1~3本)、及び前記短繊維紡績糸条(1~3本)による組み合わせ9種の何れか1種である請求項5に記載の産業資材用帆布の製造方法。
【請求項7】
前記軟質塩化ビニル樹脂組成物にシリカ粒子を含ませて、シリカ粒子との複合ゴム硬化物に転化する請求項5に記載の産業資材用帆布の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テント倉庫(簡易ハウス)、屋形テント(運動会、屋外イベント、運営本部、集会、受付などに用いられる天幕装着式の組立テント)、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどの本体素材に用いる帆布で、経方向と緯方向の引裂強度バランス、及び屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)に優れた産業資材用帆布、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなど用途物件の本体素材には、4~6号のスパン布帛に軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含浸被覆した4~6号の帆布が使用されている。これらは、厚さ0.38~0.55mm、質量420~560g/m

の規格が主流で、6号、5号、4号と数字が小さい程、重厚かつ堅牢な帆布となる。これらの帆布に用いる布帛は、毛羽の多い短繊維紡績糸から製織されたもので、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の含浸被覆効果が高く、その効果によって帆布の屈曲強さ、屈曲耐久性が得られる。この屈曲強さと屈曲耐久性は、ターポリンを上回る性能であるが、帆布の耐引裂性(引裂強度)は、マルチフィラメント糸で製織された織物を基布とするターポリンよりも劣る欠点を有するため、上記用途において、用途規模(サイズ)が大きいほど強靭性、耐引裂性を重視して6号より5号、5号より4号の帆布と、1ランクアップした使用をすることがある。このことは大型用途での質量増を意味し、特に屋形テント、トラック荷台カバー、野積シートなど、保管時は折り畳んで収納される用途では、人手によるシートの運搬や展張装着、及びその撤収には多大な作業負担となっている。従ってこれらの用途では、より軽量で耐久性のある帆布、例えば6号の質量で5号レベルの強靭性、耐久性を具備する帆布、同様に5号の質量で4号レベルの強靭性、耐久性を具備する帆布が切望されている。
【0003】
このようなニーズに対して本出願人は、軟質塩化ビニル樹脂加工による引裂強度に優れた帆布として、2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、並列糸条を経糸及び緯糸に含み、少なくとも経糸と緯糸との交絡点が4本の短繊維紡績糸条で構成された部分を含む平織布帛を基布に用いる発明(特許文献1)を提案した。この発明において、同じ号数(質量)の布帛を用いた帆布同士での対比(実施例1/比較例1、実施例2/比較例2)だと、より引裂強度に優れた帆布が得られ、従来よりも軽量の布帛を用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布が得られることを発明の効果として述べた。古くから基布と樹脂の剥離強度、及び引裂強度とを兼ね備えたターポリンとして、経緯及び(又は)緯糸として連続糸と短繊維糸を交互に配列し、織物重量に対して短繊維が5~90重量%とする織物にラミネート樹脂層を有する仕様の提案(特許文献2)、同様に高強力帆布として、短繊維糸と長繊維糸を交互、または格子状に配列し、短繊維糸が5~95重量%、長繊維糸が95~5重量%とする基布に防水加工をほどこした仕様が提案(特許文献3)されているが、各々の糸の量による外観品位(光沢部と乱反射部のバランス)、基布と樹脂の剥離強度、及び引裂強度をバランスよく兼ね備えることができる態様が明らかではなかった。最近では、強度、耐水性、柔軟性および耐久性に優れるとともに、軟質塩化ビニル樹脂加工による軽量性が改善された可撓性積層体として、繊維布帛を構成する経糸および緯糸に、紡績糸およびマルチフィラメント糸から選ばれる1つ以上を含み、繊維布帛の質量に対する、紡績糸、及びマルチフィラメント糸の含有範囲を個々特定し、可撓性積層体の目付を300g/m

以上450g/m

未満とする発明(特許文献4)が開示されている。この発明において、実施例の可撓性積層体は目付が450g/m

未満で、比較例の従来の可撓性積層体と比較して10%~25%軽量化され、しかも、引張強さ、引裂強さ、および伸び率はいずれも従来の可撓性積層体と同等であることが記載されている。しかしながら特許文献4の発明は、実施例1~4として、経糸に紡績糸、緯糸にマルチフィラメント糸を用いた平織基布による態様がメインであるため、経方向と緯方向での引裂強度バランスを得るには、経方向と緯方向とで、糸強度(繊度)、打ち込み本数(糸の配置密度)を調整する手間があり、また外観に方向性を有し、角度によって光沢部と乱反射部の筋が強調される品位であった。
【0004】
特許文献1~4のターポリン、帆布などは、布帛の織組織の改良、種類の異なる糸の併用などによって、引裂強度などの物性値向上と、軽量化の両立を可能とし得るものである。しかし、さらなる軽量化に対しては、比重の高い軟質塩化ビニル樹脂による樹脂被覆層の厚さを減じることが直截的に効果的であるが、当然のことながら樹脂被覆層を薄くした分、耐屈曲性、耐摩耗性、接合部耐久性(縫製部が剥離破壊し難い安全性)などに悪影響して、亀裂や摩耗傷から漏水(雨漏り)するなどのトラブル、縫製部破壊のトラブルとなり易い。これらのトラブルを回避するためには、樹脂被覆層自体の耐屈曲性、耐摩耗性などの向上を図った上での軽量化(薄肉化)が必須であり、軟質塩化ビニル樹脂被覆層が強靭化できれば、耐久性を損なうことなくある程度の軽量化(薄肉化)も可能となる。軟質塩化ビニル樹脂被覆層の強靭化について本出願人は以前、軟質塩化ビニル樹脂層にポリオール化合物を含み、トリイソシアネート化合物がポリオール化合物と付加反応して、軟質塩化ビニル樹脂層内に架橋ウレタン成分を生成することで、軟質塩化ビニル樹脂層の耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などが向上することを特許文献5に開示した。この架橋ウレタン成分の生成は軟質塩化ビニル樹脂層の耐熱性、及び強靭性が向上する反面、寒冷下での風合いが硬くなり、特に氷点下での屈曲、折り畳みの繰り返し、はためきなどの動的ストレスで軟質塩化ビニル樹脂層に亀裂を生じ易い脆弱性があった。これは軟質塩化ビニル樹脂と架橋ウレタンとのガラス転移温度差、さらに相溶性が氷点下で際立って悪化するためと考察される。従って、軟質塩化ビニル樹脂層の強靭性を向上させ、しかも氷点下で動的ストレスを受けても亀裂を生じ難いものに改良する必要が生じていたが、まだその解決には至っていない。そしてこの氷点下での亀裂問題が解決出来れば、屈曲耐久性(耐はためき性)、及び折り畳み収納により優れた帆布が得られるので、テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどの耐用年数向上となり、二酸化炭素排出量削減の環境配慮型社会構築への貢献が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-017668号公報
実開昭48-61171号公報
実開昭51-124169号公報
特開2022-057803号公報
特開2015-205428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、テント倉庫(簡易ハウス)、屋形テント(運動会、屋外イベント、運営本部、集会、受付などに用いられる天幕装着式の組立テント)、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどの本体素材に用いる帆布として、経方向と緯方向の引裂強度バランス、及び屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)に優れ、しかも外観品位(光沢部と乱反射部のバランス)にも優れた産業資材用帆布、及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、布帛に、マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が規則的に交互配列され、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層にゴム成分を含む設計の帆布により、経方向と緯方向の引裂強度バランス、及び屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)に優れ、さらに外観品位(光沢部と乱反射部のバランス)にも優れた産業資材用帆布が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の産業資材用帆布は、布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、前記布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群に、マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が規則的に交互配列されていて、この交互配列の繰り返し単位が2~6本であり、前記交互配列が前記マルチフィラメント糸条(1~3本)、及び前記短繊維紡績糸条(1~3本)による組み合わせ9種の何れか1種であり、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含むことが好ましい。交互配列を構成するマルチフィラメント糸条は、帆布の強度、伸度、及び引裂強度を支配する要素であり、短繊維紡績糸条は、帆布の屈曲耐久性、とりわけ毛羽の多さは布帛と軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層との接着性を支配する要素である。さらにマルチフィラメント糸条の部分の軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層は光沢部を形成し、短繊維紡績糸条の部分の軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層は乱反射部を形成し、光沢部と乱反射部とのバランスがそのまま外観品位の良し悪しとなるので、上記の交互配列を採用することによって外観品位(光沢部と乱反射部のバランス)を安定させることを可能とする。そして軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層内に、液状ゴム硬化物の分子鎖が塩化ビニル樹脂主鎖に絡み合ったポリマーアロイを形成させることで、屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)にも優れた産業資材用帆布を得ることができるので、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を従来品よりも薄い設計として帆布の軽量化を図ったとしても、従来品同等の耐久性を得ることができる。また経緯双方の糸条群に、マルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条を交互配列することで、経方向と緯方向の引裂強度バランスを均衡なものとすることができる。
【0009】
本発明の産業資材用帆布は、前記マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する芯鞘糸条であることが好ましい。短繊維紡績糸条の毛羽によるアンカー(投錨)効果と、嵩高マルチフィラメント糸条のアンカー効果との相乗によって軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層が布帛表面とより強固に接着一体化することで、屈曲耐久性(耐はためき性)により優れ、さらに接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)もより優れたものとすることができる。嵩高マルチフィラメント糸条は、タスラン加工、ウーリー加工、コアスパン芯鞘加工の何れかにより形成することができる。嵩高部分を有する糸条とは、嵩高マルチフィラメント糸条と通常のマルチフィラメント糸条との混撚が挙げられる。
【0010】
本発明の産業資材用帆布は、前記液状ゴム硬化物が、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上の反応性液状ゴムの重合体であることが好ましい。軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層内に、ゴム成分の分子鎖が塩化ビニル樹脂主鎖に絡み合ったポリマーアロイを形成させることで、屈曲耐久性(耐はためき性)に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)にも優れた産業資材用帆布を得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

平岡織染株式会社
開閉式サンシェード構造物
2か月前
平岡織染株式会社
産業資材用帆布及びその製造方法
3日前
平岡織染株式会社
産業資材用帆布、及びその製造方法
3日前
個人
衣類ハンガー
28日前
個人
物干し具
2か月前
株式会社ツインバード
洗濯機
1か月前
セーレン株式会社
皮革様シート
2か月前
スリーエイ株式会社
壁紙
2か月前
アタム技研株式会社
寝具類乾燥装置
1か月前
帝人株式会社
ゴム補強用コード
15日前
株式会社三幸社
折畳み式ハンガー
1か月前
有限会社片桐電機
熱プレス機
21日前
リンナイ株式会社
衣類処理機
1か月前
個人
織物壁紙
24日前
株式会社タツフト
洗濯機用の嵩上げ具
1か月前
トヨタ紡織株式会社
水流帯電装置
1か月前
アイリスオーヤマ株式会社
洗濯機
1か月前
ライオン株式会社
洗濯用具
21日前
花王株式会社
繊維製品の除菌方法
1か月前
アイリスオーヤマ株式会社
洗濯機
2か月前
大和ハウス工業株式会社
物干し設備
1か月前
セーレン株式会社
編物、及び衣料品
27日前
平岡織染株式会社
産業資材用帆布及びその製造方法
3日前
シャープ株式会社
洗濯機
1か月前
ニシダ株式会社
物干し器およびピンチ
2か月前
シャープ株式会社
洗濯機
2か月前
株式会社モリイチ
断熱保温パットの製造方法
21日前
シャープ株式会社
洗濯機
1か月前
シャープ株式会社
洗濯機
17日前
シャープ株式会社
洗濯機
16日前
シャープ株式会社
洗濯機
2か月前
シャープ株式会社
洗濯機
17日前
パナソニックIPマネジメント株式会社
乾燥機
27日前
平岡織染株式会社
産業資材用帆布、及びその製造方法
3日前
東芝ライフスタイル株式会社
洗濯機
1か月前
ダイキン工業株式会社
撥水剤組成物
20日前
続きを見る