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公開番号
2025043357
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-31
出願番号
2023150634
出願日
2023-09-18
発明の名称
産業資材用帆布及びその製造方法
出願人
平岡織染株式会社
代理人
主分類
D06M
15/248 20060101AFI20250324BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約
【課題】引裂強度、及び屈曲耐久性(耐はためき性)、耐摩耗性に優れた産業資材用帆布、及びその製造方法の提供。
【解決手段】布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群が、マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による合撚糸で構成され、マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する交撚糸条であり、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含む帆布とし、特に液状ゴム硬化物は、反応性液状ゴムの重合体として、必要に応じて液状ゴム硬化物を、シリカ粒子との複合体とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、前記布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群が、マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による合撚糸で構成され、前記マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する交撚糸条であり、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含むことを特徴とする産業資材用帆布。
続きを表示(約 850 文字)
【請求項2】
前記液状ゴム硬化物が、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上の反応性液状ゴムの重合体である請求項1に記載の産業資材用帆布。
【請求項3】
前記液状ゴム硬化物が、シリカ粒子との複合体である請求項1または2に記載の産業資材用帆布。
【請求項4】
前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層にシリコーン微粒子を含み、このシリコーン微粒子が、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー、疎水化シリカパウダー、グラフトシリコーンパウダー、及びシリコーンゴム粒子表面をシリコーンレジンで被覆した複合パウダー、から選ばれた1種以上である請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
【請求項5】
マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による複合糸で構成され布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層が形成された帆布の製造において、1)塩化ビニル樹脂、可塑剤、反応性液状合成ゴム(ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上)、の3種を少なくとも含む軟質塩化ビニル樹脂組成物を調製する工程、2)前記布帛に前記軟質塩化ビニル樹脂組成物を塗工し、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を形成する工程、3)前記反応性液状合成ゴムをゴム硬化物に転化して、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全体に合成ゴム成分を含ませる工程、を含むことを特徴とする産業資材用帆布の製造方法。
【請求項6】
前記布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群が、マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による合撚糸で構成され、前記マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する交撚糸条である請求項5に記載の産業資材用帆布の製造方法。
【請求項7】
前記軟質塩化ビニル樹脂組成物にシリカ粒子を含ませて、シリカ粒子との複合ゴム硬化物に転化する請求項5に記載の産業資材用帆布の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、テント倉庫(簡易ハウス)、屋形テント(運動会、屋外イベント、運営本部、集会、受付などに用いられる天幕装着式の組立テント)、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどの本体素材に用いる帆布で、引裂強度、及び屈曲耐久性(耐はためき性)、耐摩耗性に優れた産業資材用帆布、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなど用途物件の本体素材には、4~6号のスパン布帛に軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含浸被覆した4~6号の帆布が使用されている。これらは、厚さ0.38~0.55mm、質量420~560g/m
2
の規格が主流で、6号、5号、4号と数字が小さい程、重厚かつ堅牢な帆布となる。これらの帆布に用いる布帛は、毛羽の多い短繊維紡績糸から製織されたもので、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の含浸被覆効果が高く、その効果によって帆布の屈曲強さ、屈曲耐久性が得られる。この屈曲強さと屈曲耐久性は、ターポリンを上回る性能であるが、帆布の耐引裂性(引裂強度)は、マルチフィラメント糸で製織された織物を基布とするターポリンよりも劣る欠点を有するため、上記用途において、用途規模(サイズ)が大きいほど強靭性、耐引裂性を重視して6号より5号、5号より4号の帆布と1ランクアップした使用をすることがある。このことは大型用途での質量増を意味し、特に屋形テント、トラック荷台カバー、野積シートなど、保管時は折り畳んで収納される用途では、人手によるシートの運搬や展張装着、及びその撤収には多大な作業負担となっている。従ってこれらの用途では、より軽量で耐久性のある帆布、例えば6号の質量で5号レベルの強靭性、耐久性を具備する帆布、同様に5号の質量で4号レベルの強靭性、耐久性を具備する帆布が切望されている。
【0003】
このようなニーズに対して本出願人は、軟質塩化ビニル樹脂加工による引裂強度に優れた帆布として、2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、並列糸条を経糸及び緯糸に含み、少なくとも経糸と緯糸との交絡点が4本の短繊維紡績糸条で構成された部分を含む平織布帛を基布に用いる発明(特許文献1)を提案した。この発明において、同じ号数(質量)の布帛を用いた帆布同士での対比(実施例1/比較例1、実施例2/比較例2)だと、より引裂強度に優れた帆布が得られ、従来よりも軽量の布帛を用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布が得られることを発明の効果として述べた。また、防水布、ターポリン、テントやトラック幌等の産業資材用や防寒服等の衣料用として用いることのできるシートで、樹脂との接着性に優れ、引張強度、引裂強度等にも優れたシートとして、長繊維糸と短繊維とからなる交撚糸で製編織されてなる基布(実施例1)、または長短複合撚糸で製編織されてなる基布(実施例2)に軟質塩化ビニル樹脂で加工した目付が450g/m
2
の防水加工布の発明(特許文献2)が開示されている。最近では、強度、耐水性、柔軟性および耐久性に優れるとともに、軟質塩化ビニル樹脂加工による軽量性が改善された可撓性積層体として、繊維布帛を構成する経糸および緯糸に、紡績糸およびマルチフィラメント糸から選ばれる1つ以上を含み、繊維布帛の質量に対する、紡績糸、及びマルチフィラメント糸の含有範囲を個々特定し、可撓性積層体の目付を300g/m
2
以上450g/m
2
未満とする発明(特許文献3)が開示されている。この発明において、実施例の可撓性積層体は目付が450g/m
2
未満で、比較例の従来の可撓性積層体と比較して10%~25%軽量化され、しかも、引張強さ、引裂強さ、および伸び率はいずれも従来の可撓性積層体と同等であることが記載されている。しかしながら特許文献3の発明は、実施例1~4として、経糸に紡績糸、緯糸にマルチフィラメント糸を用いた平織基布による態様がメインであるため、経方向と緯方向での引裂強度バランスを得るには、経方向と緯方向とで、糸強度(繊度)、打ち込み本数(糸の配置密度)を調整する手間があり、また外観に方向性を有し、角度によって光沢部と乱反射部の筋が強調される品位であった。
【0004】
特許文献1~3の帆布などは、布帛の織組織の改良、種類の異なる糸の併用などによって、引裂強度などの物性値向上と、軽量化の両立を可能とし得るものである。しかし、さらなる軽量化に対しては、比重の高い軟質塩化ビニル樹脂による樹脂被覆層の厚さを減じることが直截的に効果的であるが、当然のことながら樹脂被覆層を薄くした分、耐屈曲性、耐摩耗性、接合部耐久性(縫製部が剥離破壊し難い安全性)などに悪影響して、亀裂や摩耗傷から漏水(雨漏り)するなどのトラブル、縫製部破壊のトラブルとなり易い。これらのトラブルを回避するためには、樹脂被覆層自体の耐屈曲性、耐摩耗性などの向上を図った上での軽量化(薄肉化)が必須であり、軟質塩化ビニル樹脂被覆層が強靭化できれば、耐久性を損なうことなくある程度の軽量化(薄肉化)も可能となり、トラック荷台カバーの装着、取り外しの作業の苦労が軽減となり、さらには耐用年数向上が、二酸化炭素排出量削減の環境配慮型社会への貢献に繋がるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-017668号公報
特開平10-96168号公報
特開2022-057803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、テント倉庫(簡易ハウス)、屋形テント(運動会、屋外イベント、運営本部、集会、受付などに用いられる天幕装着式の組立テント)、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどの本体素材に用いる帆布として、引裂強度、及び屈曲耐久性(耐はためき性)、耐摩耗性に優れた産業資材用帆布、及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による合撚糸で構成された布帛、及び液状ゴム硬化物を含む軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層とで構成された帆布によると、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を軽量化しても引裂強度、及び屈曲耐久性(耐はためき性)、耐摩耗性に優れていることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の産業資材用帆布は、布帛の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなる帆布であって、前記布帛が経糸条群、及び緯糸条群により製織され、経緯双方の糸条群が、マルチフィラメント糸条/短繊維紡績糸条による合撚糸で構成され、前記マルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する交撚糸条であり、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層に液状ゴム硬化物を含むことが好ましい。合撚糸を構成するマルチフィラメント糸条は、帆布の強度、伸度、及び引裂強度を支配する要素であり、短繊維紡績糸条は、帆布の屈曲耐久性、とりわけ毛羽の多さは布帛と軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層との接着性、すなわちアンカー(投錨)効果を支配する要素である。本発明においては特にマルチフィラメント糸条が、嵩高糸条、または嵩高部分を外周に有する交撚糸条であると、帆布の強度、伸度、及び引裂強度を支配する要素に加え、嵩高部分が毛羽の役割を果たすことで、帆布の屈曲耐久性、布帛と軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層との接着性を支配する要素を兼ね備えた有用なものとなる。嵩高マルチフィラメント糸条はタスラン加工糸、ウーリー加工糸であり、嵩高部分を外周に有する交撚糸条は、コアスパン芯鞘加工糸で、マルチフィラメント糸条の外周にスパン糸を交撚で巻き付けたものである。そして軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層内に、液状ゴム硬化物の分子鎖が塩化ビニル樹脂主鎖に絡み合ったポリマーアロイを形成させることで、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を軽量化しても屈曲耐久性(耐はためき性)、及び耐摩耗性に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)にも優れた産業資材用帆布を得ることがでる。この態様によれば、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を従来品よりも薄い設計として帆布の軽量化を図ったとしても、従来品同等の耐久性を得ることができる。
【0009】
本発明の産業資材用帆布は、前記液状ゴム硬化物が、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上の反応性液状ゴムの重合体であることが好ましい。軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層内に、ゴム成分の分子鎖が塩化ビニル樹脂主鎖に絡み合ったポリマーアロイを形成させることで、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を軽量化しても屈曲耐久性(耐はためき性)、及び耐摩耗性に優れ、特に氷点下での屈曲耐久性(耐はためき性)、及び炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)にも優れた産業資材用帆布を得ることができるので性能を損なわずに1ランクの軽量化も可能とする。
【0010】
本発明の産業資材用帆布は、前記液状ゴム硬化物が、シリカ粒子との複合体であることが好ましい。シリカ粒子表面のシラノール基(Si-OH基)と反応して液状ゴム硬化物の一部となることによって、液状ゴム硬化物が強靭化して、屈曲耐久性(耐はためき性)、耐摩耗性を向上させ、また軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の耐寒性及び耐熱性(軟化温度)を向上させる。この耐熱性向上は、産業資材用帆布同士を熱融着ラップ接合した接合部の剥離強度の向上に加え、炎天下での接合部耐久性(縫製部の剥がれ難さ)の向上となるので性能を損なわずに1ランクの軽量化も可能とする。
(【0011】以降は省略されています)
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